SS > 短編-けいおん!メンバー > オールキャラ > サプライズ・シャッフル!


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澪「…というわけだ。みんなくれぐれも律には知られるなよ?」
唯「ラジャーであります、澪ちゃん隊長!」
紬「こういうの、憧れてたんです!」
梓「びっくりする律先輩が目に浮かびますね♪」



◆りっちゃん誕生日記念SS『サプライズ・シャッフル!』◆




いつの間にか夏休みも後半に入り、私達軽音部は
来る文化祭に向けて、毎日学校に練習に来ている。
まあ、ちょっとした強化練習、というわけだ。
とは言っても、練習の前にはムギのお茶を飲みながら
まったりと過ごしているし、やってることはいつもの部活と変わりはない。


…と、言いたいところなんだけど。


ここ数日、みんなの様子が少しおかしい。
何だか、みんなソワソワしてるような気がする。
特に、唯に至っては…

律「おーい、唯?話聞いてるのか?」
唯「え!?べ、別に考え事なんかしてないよりっちゃん!」
律「いや、そんな事聞いてないって…。」

こんな調子だ。
まぁ唯は元からちょっと不思議な奴だけど。


あと、おかしいと言えば…

律「よーし、今日の練習はこんくらいにすっか!」
紬「そうね。最後は中々よかったんじゃないかな。」
澪「うん、これなら学園祭も大丈夫そうだ。」


…と、言いながら、誰も帰る準備をしようとはしない。
で、このタイミングで、今日はたぶん…

梓「律先輩、この前ランチの美味しいお店見つけたんです。
  これからお時間があれば、行きませんか?」



やっぱり梓か。
実は、ここ最近、練習の後は決まって誰かの誘いを受けている。
昨日は澪に頼まれてCDショップについていったし、その前の日は
憂ちゃんがクッキーを沢山焼いたから、という理由で唯の家に言った。
その前の日はムギの楽譜を買うのに付き合わされたんだっけ。

で、ここからもいつものパターンなんだけど、

律「お、じゃあ皆でご飯食べに行こっか!」
紬「ごめんなさい、今日は家にお客様が来るから…」
澪「私もパス。今日は家族でご飯なんだ。」

律「何だよつれないなー。唯は?どーせ暇だろ?」
唯「な、なんで決め付けるのさー!」
律「どうせ毎日家でゴロゴロしてるだけのくせに…。」
唯「そ、そんな事ないもん!今日は、な、夏休みのしゅしゅ宿題をするのです!」


唯…もう少しマシな嘘はつけないのか。


梓「律先輩、早く行きましょうよ。」
律「うーん…、まぁいいや。ゴメン梓、行こうぜ。」


と、こんな感じで、他のみんなを残して誰かと二人で音楽室を後にする日が続いている。
それぞれ用事があるとか言っておきながら、誰も私より先に帰ろうとはしない。一体何なんだ…。





と、言いながら、大方の予想はついているんだけどね。




もうすぐ8月21日。私の誕生日だ。
おそらく、誰か一人が囮になって私を音楽室から追い出し、
サプライズパーティーの計画でも立てているんだろう。
みんな甘いなー。サプライズパーティーが三度の飯より大好きな
この田井中律様から見れば、もうホントお子ちゃまレベル。バレバレだっての。

まぁ、心優しい私は、なーんにも気付かないフリをしてあげるんだけどね。
みんなの気持ちは嬉しいから、台無しにしたくはないし。
前日の晩は、まんまとだまされた演技の練習でもしておこうかなw



      ◆



そんな感じでやってきた、8月21日当日。
気を利かせて、あえて20分ほど遅れて、音楽室にやってきた。
おそらく、私がドアを開けると同時に、クラッカーの音が鳴り響くんだろう。
第一声は、悩んだ末『う、うわっ!なんだなんだ!?』に決めたし、
ちょっくら名女優りっちゃんの演技力でもご覧に入れましょうかね。


ガチャ


澪「やっと来た。遅刻だぞ、律。」
梓「部長なんだからしっかりしてくださいよー。」




あれ?
クラッカーは?ケーキは?プレゼントは?
私の昨日のリハーサルは何だったんだ?

少しばかり混乱している私をよそに、みんないそいそと練習の準備に取り掛かっている。

律「あ、あーゴメンゴメン。昨日夜更かししちゃってさ…」

私も、パーティーを期待して来たなんてことが知られたら恥ずかしいので、
気を取り直してドラムチェアに腰掛ける。




…なんなんだろう、よく分からないけど、自分が惨めに思えた。
勝手に期待して、勝手に期待を裏切られただけなのに。
結局、みんなホントに用事があっただけなんだろうか。
バカみたいだ、私。


うっすらと滲んだ涙を吹き飛ばすように、私は一心不乱にドラムを叩いた。



〜♪〜



澪「よーし、今日の練習はここまでにしよう。」


いつもと同じ練習の時間が、今日はとても長く感じられた。
思考回路が追いついていない私は、帰りの準備をしている皆を
ボーっと眺めることしか出来なかった。


唯が、ギー太をケースにしまおうとしている。
おーい、それは澪のベースケースだぞー、お前のギターケースはあっち…



って、あれ?




ベースケースから、ベースが出てきた。
え、だって、澪はまだベースを抱えてて…あれ?

よく見ると、それは澪と同じジャズベースの、右利き用だった。
それを取り出した唯は、ギー太をムギに渡すと、そのベースを抱えて…え?


さらに、空っぽになったケースに澪が自分のベースをしまうと、
そのままムギのキーボードの前に立った。


梓「律先輩、その場所、少しだけ貸してもらえますか?」


突然の声に驚いて振り返ると、ドラムスティックを持った梓が微笑んでいた。



      ◆



唯「よし、準備完了!せーのっ」


「「りっちゃん、誕生日おめでとう(ございます)っ!!」」



長椅子に座らされた私は、未だ状況がつかめていない。


律「な、な、なんなんだこりゃ!?」



唯「まーまー、とりあえず私達の演奏を聴いてよ!あずにゃんお願い!」
梓「いきますよー!1・2・3!」




<<mp3ファイルを再生してください>>
http://loda.jp/ritsuss/?id=229



〜♪HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪〜


驚いた。澪がキーボードを、唯がベース、ムギがギターを弾いてる、
そして、梓がドラムを叩いている。
みんなで歌ってくれてるハッピーバースデー。毎年のこの日には
すっかり聴きなれている歌だけど、まさかこんな形で自分のバンドメンバーに
歌ってもらえるとは思っていなかった。





梓「律先輩!驚くのはこれからですよ!On Guitar・ムギ先輩!」



ソ、ソロ回しまでやるのか!
どれだけ練習したんだろう。ぎこちなくはあるが、ムギの指は
メロディーを正確に追っている。
チョーキングまで出来るのか。ちょっと音が上がりすぎだけど。


たまたま、合唱部の見学のために音楽室に足を踏み入れたムギ。
私達とは住む世界の違うお嬢様のはずなのに、少しも気取ったところがなく
誰にでも優しく接してくれる、本当に素敵な女の子だ。
私も、彼女を見習って、少しは女の子らしく振舞おうかな。


紬「On Keyboard・澪ちゃん!」


鍵盤楽器が全然出来ないはずの澪が、キーボードを弾いている。
指を2本しか使わないいかにも初心者な弾き方だけど、
顔は真剣そのものだ。


よく考えたら、あいつは昔から真面目なやつだった。
なんで私みたいなおちゃらけた奴と友達でいるのか、ずっと昔に聞いたことがある。
あいつは、私のように場の雰囲気を楽しくする人に憧れてるんだ、と言ってくれた。
澪は私にないものを持っていて、私は澪にないものを持っている。
だから、大切な友達でいられるんだろう。今までも、これからも。


澪「On Bass・唯!」


ギターとベースは形は似ているけれど、全く別の楽器だ。
それを、ほんの少し前まで楽器初心者だった唯が、短期間でここまで弾きこなすとは。
こいつはやっぱりすごい奴だ。


普段は私と一緒にバカなことばかりやって笑っている唯。
でも、ひとたび何かに夢中になると、驚異的な集中力を発揮する。
前に唯は、自分の周りの家族や友達が笑っているのを見るのが幸せだ、と言っていた。
今回も、私の笑顔を見る為に、ベースの練習を頑張ってくれたんだろうか。
唯の近くにいると、自然と笑顔になる。本当に、不思議な奴だ。


唯「On Drums・あずにゃん!」


他の3人は、それぞれ本職に教えてもらってたんだろうけど、
梓はどうやってドラムを練習していたんだろう。
派手さはないけど、正確にリズムを刻む、まさに梓らしいソロだ。

多分、こいつが一番プレッシャーだったんじゃないだろうか。
私だって、お遊びとはいえ、梓の前でギターを弾くのは緊張する。
ましてや人一倍音楽に対して真面目な梓だから尚更だろう。

その真面目さ故に、私に対して苛立つことも少なくなかっただろう。
それでも梓は、私達と一緒に音楽を作っていくことを決めてくれた。
演奏技術や正確さだけでは得られない、「人の心を動かす力」が
私達の音楽には、そして私のドラムにはあると言ってくれた。
本当に、誰よりも音楽を愛している子だ。




ソロ回しが終わり、最後の演奏に入るところで、私の涙腺は限界に達していた。
これが、梓の言っていた、人の心を動かす音楽、なんだろうか。
そうなんだとしたら、人の心を動かす音楽、というのはつまり
人の心が作った音楽、なんだろう。

この歌は、この世に生み出されてから今まで、世界中で歌われてきて
その度に誰かの心を動かし続けてきたんだろう。
そんな歌に、軽音部のみんなの私への気持ちが詰め込まれて、私に届けられている。

だからこそ、たどたどしい演奏だけど、私の心を響かせている。






律「ありが…とう、みんなっ…うぅ…。」
紬「りっちゃん、泣かないで。」

ハンカチを差し出してくれたムギの左手。指先が真っ赤になっている。
よく見ると、唯の右手の指先も膨れ上がっているし、梓の手にもマメが出来ている。

必死で練習してくれたんだ。私の為に。
そう思うとまた涙がこみ上げてきた。

ふと、長くてやわらかい髪と、よく知っている匂いに包まれる。


澪「律…。誕生日おめでとう。」
律「みおぉ…ありがと…。」


そのまま、澪の胸の中で、ひとしきり泣いた。



    ◆



律「いやー、私としたことが本当に不覚だったよ。」
紬「予想以上の大成功だったわね♪(いいものも見れたし♪)」
律「それにしても、他のみんなはともかくとして、梓はどうやって練習してたんだ?
  誰にも教えてもらえなかっただろ。それに、あのベースは誰のなんだ?」
梓「父が、ジャズバンドのドラムをやってるんです。昔スタジオに遊びに行った時に、
  少しだけ叩かせてもらったことがあって。」
紬「ベースは、お父様にお願いして、お店のものを借りたのよ。」
律「なるほど、そういうことか。でも皆ホントすごかったよ。」
唯「へっへーん!宿題返上で練習したからね!」
澪「練習がなかったら宿題やってたのか?」
唯「え…?ナンノコトカナー?」


この先、誰かの誕生日になると決まってメンバーシャッフルでの演奏が行われるようになるが、
それはまた別のお話。






終わり。
りっちゃん、本当にお誕生日おめでとう。
りっちゃんが生まれてくれて、りっちゃんに出会えて、本当によかった。

出展
【けいおん!】田井中律は73可愛い【ドラム】

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  • これはヤバイ -- (名無しさん) 2011-03-20 14:30:34
  • ええ話や -- (名無し) 2010-12-27 23:41:07
  • 感動したじゃないかちくしょう -- (名無しさん) 2010-06-06 16:52:17
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