p12-20.
仮説検定に関してのお話です。
偶然に起こる可能性がある事に対して、我々はどうやったらそれが「偶然に起こったのではない」と主張することができるのでしょうか。

また、レジメ中に出てくる「実験」の確率をRによって計算する方法とその説明を最後に追加しました。どうやって計算するのか気になっていた人は確認しておいてください。

以下レジメ


精神的遠隔操作(Psychokinesis = PK):精神力で物を動かす能力
  • 存在するということを納得してもらうための科学的な実験を行う

実験: 1個のさいころを(奇数の目が出るように念じながら!)1000回振る
結果:
  • 奇数: 542回
  • 偶数: 458回
これはPKの結果?それとも偶然?

この結果(奇数が542回以上)が得られる確率は…1%以下(=100回に1回以下起こる)
→この確率は大きい?小さい?

統計学ではこう考える
  • 100回に5回…小さい
  • 100回に1回…非常に小さい
  • 1000回に1回…極端に小さい

これらの確率のことを、「危険率」と呼ぶ。

統計的仮説検定

PKの能力が存在するか?を検定するには…
  1. 「仮説を立てる」―――PKは存在しないとする。
  2. 「実験を行う」――――仮説を検討する。さいころを1000回振る。
  3. 「仮説を検討する」――仮説が正しいとしたときに、得られた結果が偶然によって生ずる確率を計算する。得られた結果よりも良い結果が生ずる確率を含め、危険率を計算する(奇数が542~1000回出る確率をあわせて危険率とする)
  4. 危険率がたとえば5%以下であるならば、偶然に起こるはずがないとする
    =仮説は正しくない…「危険率が5%以下で仮説を棄却する」
    PKの能力を認める


※編集者追記
1000回のサイコロを振って、542回以上の奇数が得られる確率はRでは次のような命令により計算できます。
sum(dbinom(542:1000,1000,1/2))
sum()は総和を計算する関数です。何の総和を計算しているかというと、dbinom()関数の第一引数に542~1000までのそれぞれの値を与えた場合のそれぞれの計算結果です。dbinom()関数はなにかというと、二項分布の確率密度関数です。第一引数は試行が成功する回数、第二引数は試行の回数、第三引数は一回の試行が成功する確率です。

具体例を挙げましょう。表と裏が同じ確率で出るコインを3回投げたとき、表が1回だけ出る確率はいくらでしょう?これは手計算でも簡単に答えが出せます。まず、1回目、2回目、3回目のそれぞれに表と裏が出る確率があるわけですから、表と裏の出現パターンの全ては2×2×2で8通りであることが分かります。その中で、1回だけ表が出るパターンは3種類あります(1回目と2回目と3回目)。ですから、その確率は3/8、つまり0.375ということになります。ではRで計算してみましょう。「表が1回」なので第一引数は1です。「3回投げたとき」なので第二引数は3です。「表と裏が同じ確率」なので第3引数は1/2です。入力してみましょう。
> dbinom(1, 3, 1/2)
[1] 0.375
確かに0.375という結果が得られました。

つまり、最初の式は、奇数と偶数が等しい確率で出現するサイコロを1000回振ったとき、542回奇数の出る確率、543回奇数の出る確率…999回奇数の出る確率、1000回奇数の出る確率、の全ての和を計算しているわけです。

1行だけで簡単な式なので実際にRに打ち込んで確認してみてください。また、第一引数を1:1000とした場合の値も確認してみてください。1000回サイコロを振ったとき、奇数の出る回数が0~1000回のいずれかである確率、ということです。


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最終更新:2008年08月12日 17:46