オーバータイム


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負けるな比呂美たんっ! 応援SS第48弾

●仕様上のご注意●

 #45『ホイッスル』の後日のイメージです(直接のつながりはありません)。
 負けるな比呂美たんっ!本編後日談シリーズ(いつそんなシリーズ出来たんでしょう?)の時系列は下記の通り
です。細かい部分で整合性は取れていないと思いますが、基本的には同じイメージを元にしております。

  45 ホイッスル
NEW 48 オーバータイム
  46 託された想い
  44 またね
  41 お留守番
  43 桜並木からのプレゼント
  47 魔法の呪文
      工事中(未定)
  40 憧れのひと
  42 ごほうび
      工事中(未定)

 作者はドラマCDその他の内容に接触しておりませんので公式後日談?との間にはおそらく大きな乖離があるか
と思います。
 へっぽこなのは仕様です。





『オーバータイム』



 仲上家での定期的な夕食を共にした後、比呂美のアパートまでの薄暗い道のりを歩くふたり、そんな時ふたりの
話題は…

 学校での事、部活の事、絵本の事、明日の天気の事…

 ふたりとも他に話したいことはそれなりにあったはずだが、すでにお互いをよく知っている間柄である為、話題
にできる事といえば、そんな当たり障りの無い事ばかり、それ以外はお互いを知りすぎていて遠慮が先にたち、深
みのある会話はあまりはずまない。何気ない日々の出来事に対して関心のある風を装っての会話に終始するのがやっ
とであった。

 そう、間が持たないのである。

 幼馴染であるふたりにとって「お付き合い」といってもそれまでと何かが劇的に変わるわけでもなく、ただ、そ
れまでとは違う関係だ、という意識ばかりが先走り、その事に困惑する場面が目立っていた。

 もちろんお互い離れ離れであれば今頃お互いが何をしているだろうと気にかかり、共に暮らしていた日々のリズ
ムを思い出しながら相手を思い、傍に居たら居たでお互い意識しすぎて何も手につかない。
 ふたりきりで何か話しているだけで内心胸が高鳴り、話し終えればどこか内心ホッとする。
 片方が何か気にすると、相手もそれを察して先回りしてフォローする繰り返し、よく知る間柄で今さら何かを変
えるというのは思ったより難しかった。

 そんな眞一郎と比呂美の見つけ出したふたりきりの時間。比呂美のアパートまで送った後の部屋での短い逢瀬…。
タイムリミットは比呂美の淹れたコーヒーを眞一郎が飲み干すまでの短い時間…。






 今日は失敗した。
 誰かの帰りを少しでも引き止めたくて比呂美はテレビをつけた。

 ちょうどテレビは人気ドラマをやっていた、比呂美は別段興味など無かったがクラスメイトの間で少し口にのぼ
る程度には流行っていた、そんな番組…。
 同じ屋根の下で暮らしていた時もテレビを並んで見た記憶などは無い。誰かさんはどんな番組が好みなんだろう、
などと考えながらそのままにしておいた。ところが、このような番組を見つけない事のツケがやってきた。画面の
中で恋人同士が男女の絆を深めだしたのだ。比呂美は内心動揺し、リモコンに伸ばしたくなる手をどうしたものか
迷った。だが、見始めて少し経ってしまった今となってはチャンネルを変えるのもあからさまに不自然だし、それ
にそんな事をしてはまるで相手を信用していないみたいだし…。結局どうしてよいか分からずに誰かの顔をまとも
に見れず俯く事しか出来なかった。それでなくとも比呂美の部屋という場所は、比呂美のあの日の言葉がふたりに
何かを想起させ、お互い手が触れてしまわぬよう、必要以上に気を遣う羽目になっているというのに…。

 CMの切れ目がくると眞一郎は慌ててコーヒーの残りを飲み干し、逃げるように部屋を辞していった。
 比呂美はとうとうなにも声をかける事が出来なかった。

 ひとり部屋に取り残された比呂美はリモコンでテレビを切った。
 誰かが居なくなった後、急に静かになった部屋で比呂美は後悔した。あの日、世界で一番恥を掻きたくないひと
の前で言ってしまった恥ずべき自分の言葉をどうしたらよいか分からなかった。

 先程までと同じ位置に座った。しかし、つい先程まで座っていたひとの残滓がよけい孤独感をより強くさせた。
さっきまで目の前にいた相手が今は居ない。堪らなくなるほど不安だった。もう来てはもらえないだろうかとの不
安、嫌われたり、避けられてしまう事への不安。こんな時、いっそ絆を深くしてしまえばと… あの時と同じ事を
つい考えそうになってしまう… 自分の心の弱さに何かがあふれそうになる。

 そっと目尻を拭いながら、時折、時計の秒針を眺めた。誰かは今頃はどのあたりだろうと想像した。 いつも眞
一郎が自宅に戻った後でくれるメールを待って、携帯電話の画面の中でポーズを作っている想い人をずっと眺め続
けていた。






待つ時間は長い…

あんなドラマをわざと見せたとでも思われていないだろうか?

もしかして嫌われてしまっただろうか?

メールをくれなかったらどうしよう…

帰宅後のメールをくれる約束はしていない…

こちらからなにかメールしてみようか

でも、

もし機嫌を損ねていたら…

もし、返事をもらえなかったら…

画面の中の笑顔が滲んだ…

この時は楽しかったのに…

見上げたテーブルの上

残されたコーヒーカップ

手にとるとすっかり冷えている

よほど慌てて飲んだのだろう、底の方に飲み残しが見えていた

カップの冷たさが嫌な想像を掻き立てる

頭の中で何かが囁きかける

見つめる黒い液体に何かを重ねてしまう

カップを持ち上げた手がそのまま唇に近づき…

誰かが口をつけた痕に思わず何かをしそうになり…

ふと我に返る

そんな事…


でも、反対側なら…

残ったコーヒーがもったいないし…

震える手でそのまま口元へ…


ブルルルル…


!!


ビクッと身がすくんだ

思わず室内を見回す

もちろん誰も居ない

携帯の着信を知らせる振動音だと気付くまで一瞬、間があった

ドクドクと胸の高鳴りが収まらない

身体中の血液が逆流でもしているみたいな感覚…

携帯電話を取り上げて

小さな画面の中に見つけたのは

画面の中でいつも笑っている誰かからのメッセージ

『今着いた これから宿題する 解らない所があればアテにしてます』

それだけだった

時計を見るとちょうど帰宅した頃合だった

緊張感の無い内容に思わず苦笑した

肩の力が抜ける

宿題… 先回りしておかないと…

鞄に手を伸ばそうとして止まった

慌ててカップを持つと流しへ急いだ

それをなるべく見ないようにしながら

蛇口を開け手早く洗った

スポンジで丁寧に

まるで何事も無かったように…

比呂美は机に着きノートを取り出しながら気がついた

今度は熱いコーヒーにしよう

飲み頃になるまで少し時間がかかるように…

その熱いカップを手にした誰かさんはどんな表情をするだろうか?

思わず想像して口元が綻んだ

そうそう熱いコーヒーの言い訳も考えておかないと…

ついでにお菓子も用意して…

それから…






結局、比呂美が宿題に取り掛かることが出来たのは眞一郎からの最初の問い合わせメールが着信してからだった。










●あとがき

 ご無沙汰しております。
 前作以降下書きは何本か書き進めていたのですがドラマCDで公式後日談が出るらしいとの事だったので、それ
なら今さらへっぽこSSでもないだろうと工事を中止しておりました。
 作者は作品としての「true tears」に関しては残念ながら複雑な感想しか持ち合わせておりません。
 (これを説明しようとすると膨大な文量になりそうなので控えます)
 ただ比呂美に出逢えた事は良かった事だろうと考えております。
 ドラマCDが気にならないといえばウソですが、どうも本編のシナリオ関係のスタッフの方々と作者の価値観は
すれ違ったままだったのではないかと思っていますので比呂美じゃないですが『そっとしておいて』ほしいと思っ
ていたりします。
 ドラマCDの内容に接触したくなくて比呂美スレにもアクセスしておりませんでした。

 最近、他アニメのSSっぽいものを書いていたらなんだか気になって工事を再開させてしまいました。
 作者はどうやら耐えてがんばっている女性が好みのようですね。
 あと、微量の百合属性がありそうだとも気付いてしまいました。

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