【冒険をした話をしてみようと思う】


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『冒険した話をしてみようと思う』
ラノで読む


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┃戦闘に勝利した!▼           ..┃
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┃アクリスのレベルが上がった!▼...  ┃
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┃体力が63上がった!           .┃
┃力86上がった!             ..┃
┃かしこさはこれ以上下がらない▼    ..┃
┃                        ..┃
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┃新しい技 ぶん殴る を覚えた▼   ....┃
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 福引でゲーム機が当たったので今日はその話をしてみようと思う。
 私がゲームというと一人ババ抜きや一人ポーカー、一人人生ゲーム(自慢ではないがポーカーではキングのファイブカードを出したことがある)ばかりで、そもそも、テレビゲームというものをしたことがなかったものだから、いい機会だと思い、オマケでついてきたゲームで遊んでみているのだが、これが凄いのだ。
 このゲームは写真を取り込んでキャラクターを作ることが出来るので、まず携帯電話で撮った写真を取り込むことから始めた。久遠さんこそ隠し撮りだけど、アクリスは寝ているところをこっそり撮ったもので、シロちゃんは風景を撮る振りをして偶然にも写りこんでしまったものを使っている。世の中には写真にも写らない人が居るらしく、集合写真もまともに撮らないというよりも撮ることを諦めたこの学園では学級新聞の三面記事常連のアクリス以外の写真は割りと貴重だったりするのだ。もっともその三面記事も爆発後やら食い散らかされた何かだったりと本人の写真は滅多にないわけだが。
 さて、その写真を取り込んでキャラを作るとよく分からないがそれに合わせた強さになるということで、不思議なことにアクリスや久遠さん、シロちゃんはみんな持っている異能や強さになったのだ。
 私はネクラマンサーと言って強さ(ステータスというらしい)が全部低い代わりに変わった能力が使える。アクリスは魔法使いなのに力と体力が高くて魔法が全然使えない。さながら説明書の職業にあったバーサーカーのようだ。久遠さんは全体的に強くて苦手なものがあまりないタイプだ。職業は委員長。説明書にも書いてあったが魔法使いやバーサーカーと同じく職業なところは突っ込んではいけないそうだ。そして最後はシロちゃん。職業は饅頭。これがまた強い。何より面白いのが唯一の必殺技項目にある「食べる」。“ボス”というのだろうか? 節目節目に出てくるやたら強いやつ以外なら殆ど食べてしまえるほど強い技なのだ。もっとも食べられないボスはアクリスがボコボコにするのではあるのが。
 肝心の中身なのだが、まず映像が凄く綺麗だ。実写のようでそうでないようで、こういうのを店頭でしか見たことのない私には、家の中で見るということ自体が新鮮でただただ魅入るばかりだ。キャラクターは少しデフォルメされているのだが、アクリスは小さくなっても分かる胸とか久遠さんの凛々しい表情が素敵だ。あ、シロちゃんは変化なし。
 次に声。これが凄い本当に凄い。自分の語彙の少なさ、いやもう私の辞書の中には“凄い”しか載ってなくても構わないという表現しかできないくらい、もう凄いのだ。
 どう凄いのかを説明すると、端的に言えば喋る。物凄くよく喋る。何故喋るのかだとかそういうのは全然分からないのだけれど、まるで生きている人間のように喋るのだ。これが不思議でたまらない。どうやって喋らせているのだろうか? 洋画の吹き替えはまだ分かる。あれは生きた人間に、生きた人間が声を当てているのだ。そんなことは私でも知っている。しかし、“ゲームの中の人たち”が喋るというのはどう考えても不思議で仕方がない。
 そして “喋る”とは言ったが文字通りキャラ同士が“喋っている”のだ。私は主人公なので喋れないらしいのだが、アクリスと久遠さんはしょっちゅう声を出して喧嘩(といっても久遠さんが抜き手入れながら道端に落ちてるアイテムを食べるアクリスを嗜めているだけ)をしているし、シロちゃんは一人でもきゅもきゅ言いながらその辺のモンスターを食べている。それが、私の知っている“みんなの声で”なのだ。友達が3人しか居ない私なので友達の声を間違えようがないはずなのに、そんな私が“みんなの声”と言い切れるほど同じなのだ。もう不思議で仕方がなく、凄いとしか思えないのだ。

 などと語りつつ、実は語り片手にずうっとゲームをしていたわたしも本気でのめりこんでいたりする。明日は学校なので早めに切り上げることにして電気を消す。
 所で福引とはいっても道端の露天で出していた人に引っ張りこまれて無理矢理やらされたら当たったわけで、商店街の福引かと言われればそうではない。まあそんなことは別に些細なことだ。それと電気を消す前に、テレビのアクリスのキャラから「あ、ミィちゃん、ちょっと待って~」なんて聞こえてきた気がしなくもないけど、それはきっと気のせいだ。慣れないゲームだったのでちょっぴり疲れてしまったのだろう。
 そして明日はどんな風にゲームを進めるようか、なんて考えながら、私は目を閉じたのだった。

 明けて今。ずっうと“今”だったわけだが今は今だ。寝ぼけ眼を擦りつつ、私は教室へと向かう。今日は学校全体が静かだ。私はこういう雰囲気のほうが好きなのだがいいことなのだろうか。などと思いつつ、教室の扉を開ける。
「おっはよう!」
 という声が聞こえない。それどころか教室の殆どが空席だ。アクリスも久遠さんも居ないので誰かに聞けるわけもなく、教室の隅(実際に私の席は窓際の一番後ろだ)に行って小さくなる(言っておくが小さいのは最初からだ)。幾時かしてチャイムが鳴る。
 ……先生が来ない。
 そもそも人がろくに居ないのでザワザワとすることもなく、数分後に別のクラスの先生が特にあわてることもなく入ってきて一言。
「今日は人が少ないので休みにします」
 今更ながらふざけた学校だった。
 私は帰ってゲームの続きが出来るので喜ばしいことではあるのだが、アクリスはともかく久遠さんが登校して来ていないことは心配だ。電話をしてみたところ出なかったので、とりあえずメールだけを打ってみることにした。返事はなかった。家にでも行ってみようかと思ったがよく考えると家の場所を知らない。アクリスの家は想像がつかないけれど、友達の居たことのない私には久遠さんの家すら想像がつかないのだ。
 夢にすら見ることのなかった友達の家。いつかそこに行くことを密かに決意する。
 しかし今は今で遠い未来より今なのだ。なので私は走りだす。ご飯を食べに走るアクリスはきっとこんな気持ちなのだろう、なんて思いながら私は家路を急ぐ。今日も四人で素敵な冒険が出来ればいいなと思いながら――



 さて、今日の話はここで終わりだ。
 何故かって、これはプロローグ。
 私と、アクリスと、久遠さんと、シロちゃんと、双葉学園を巻き込んだ、一大事件『双葉クエスト』の始まりのお話。“これから”笑いあり、涙ありの冒険劇が繰り広げられるのだが、それは“これから”の話だ。
 ところでこの話が続くのか、それは誰にも分からない。

                      ――了――




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