【双葉学園怪異目録 第十壱ノ巻 トイレの女神様】


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「あなたが落としたのは金のトイレットペーパーですか、それとも銀のトイレットペーパーですか、それとも鉄のトイレットペーパーですか?」
「どれも御免被るっていうか普通に紙だけど」
「三択です」
「趣旨がすでに違う!」
 夕凪健司は絶叫した。



 双葉学園怪異目録 

 第十壱ノ巻 トイレの女神様



 状況をかいつまんで描写すると、

 1、トイレに入って用を足した。
 2、紙がないのに気づいた。
 3、しかし予備のトイレットペーパーが一個置いてあったのでそれをセットしようとした。
 4、運悪く便器の中に落とした。
 5、女神様が出てきた。

 夕凪健司は激しく頭を抱えた。なんだこのシチュエーション。
 どこの泉の女神様だよ。童話は別に怪異じゃないのになんで出てくるのか。メルヘンな世界に帰れと健司は思った。
「選んでくれないとどうしようもないのですが……」
「だからどういうシチュだ! 普通この手のは正直に答えたらちゃんと元のを戻してくれるだろうが! 返せよ濡れてないちゃんとした紙の奴を!」
「そうは言っても、私あれです、いわゆる赤い紙青い紙黄色い紙……って奴の派生パターン」
「どんな派生で泉の女神様なアレンジ加わるんだ!」
 健司は怒鳴った。
 ちなみに「赤い紙青い紙黄色い紙」というのは学校の怪談として有名なもので、赤を選べば血まみれに、青を選べば水に溺れる、あるいは血を抜かれて青くなる、黄色を選べば汚物まみれにされるというものである。
「……じゃあ聞くけど、何を選べばどうなるんだよ」
「金を選べば全身金粉まみれになって金粉ショー的に授業を受けてもらい、銀を選べば銀紙を歯で余すことなくかみ締め続ける午後を凄し、鉄を

選べば鉄道ファンの集団の中で一日中時刻表について議論する休日を」
「どれ選んでも地獄じゃねーか!」
 というかトイレットペーパーが全く関係なかった。

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!」
 野太い声が響く。この声は健司には聞き覚えがあった。
 となりの個室からよじ登ってくる、巨大な牛の角の悪魔ベルフェゴール(おっさんマッチョモード)である。
「トイレは私の縄張りよぉ、それ以上に私の旦那様に何いちゃもんつけてんのかしら!?」
「うん、その顔その声でその口調やめてくれ!」
 マッチョのおっさんにトイレの個室を覗かれるというシチュエーションは御免被りたい。
「ふん、古臭い悪魔風情が何を。時代はセンセーショナルなそしてアバンギャルドな発想を求めています!」
「斬新だからいいってもんじゃないわよぉ、素人が言う誰もやってない事をやるってのは大抵は先人の誰もが考え付いたけどあえてやらなかったことだって四次元殺法コンビも言ってるわぁ」
 悪魔と女神が火花を散らす。
(どうすんだよこの展開……)
 その炸裂する視線にはさまれて、健司は頭を抱えた。



 学校のトイレにはたくさんの噂話があるという。
 そして今日もまたひとつ、怪異がその中に加わった。
 トイレットペーパーをまるごと便器の中に落とすと、女神様が現れる。
 あなたが落としたのは金のトイレットペーパーですか、それとも銀のトイレットペーパーですか、それとも鉄のトイレットペーパーですか?
 どう答えても、ひどいめに合うという……

 あなたは、何と答えますか?




 了


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