【キャンパス・ライフ2 その1】


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   キャンパス・ライフ2 その1


 らのらのhttp://rano.jp/1042

 タクシーを降りると、昔懐かしい山のかたちが彼女を出迎えた。
 坂道の側溝を流れ落ちていく水の音。空を埋め尽くす雑木林の緑。土の匂いに包まれながら、足元を注意深く見て、古い階段を上がっていった。
 今にも崩落しそうなトタン作りの家が、山肌に付着するよう密集している。テレビの音声が聞こえてきた。今もなお、この集落には住人がいるのだろう。
 麦藁帽子を被った白いサマードレスの少女は、ある家屋の前で足を止めた。
 鍵のかかってない玄関の引き戸は、廃墟とは思えない滑らかさでからから開いた。幼少の頃に来たときと、まったく変わらない匂いがした。玄関に置いてあった割れている水槽には、昔、四匹ぐらい金魚が泳いでいた記憶がある。
 居間は往時の状態を良好に保っていた。ホコリが積もっているぐらいで、テーブルに置きっぱなしのリモコンや灰皿、本棚の雑誌、押入れの布団、何もかもが取り残されていた。
 違う。主が消えていってしまっただけで、この町も、山も、この家も、当たり前のようにその姿のままあり続けているだけのことなのだ。
 目を瞑っただけで彼女は、昔懐かしい日々へと帰っていくことができた。おじいちゃん。おばあちゃん。かけがえのない家族の、みかお姉ちゃんとみきお姉ちゃん。
 数日前の出来事は、彼女の心に大きな傷をえぐりつけた。
 まさか、自分の誇りである猫の血筋が、ラルヴァのものだったなんて。
 まさか、お姉ちゃんたちはラルヴァではなく、学園のみんなに殺されたなんて。
 そして、何より悲惨な真実であったのは、自分自身がラルヴァであったことだった。
「ごめんねマサ。私、もう面と向かってあんたの顔を見れないよ・・・・・・」
 少女はこれまで住んでいたアパートを引き払い、夏休みの間は双葉島を出ることにした。わざわざアパートから出て行ったのも、遠藤雅と会いたくないからである。
 きっとマサは、こんなバケモノを嫌うに違いない。マサはまだ、私がバケモノだということを知らないと思うけど、もしも知ってしまったら、いったいどんな顔を私に向けるのだろう。
 考えただけで辛かった。
 また、それだけで話が終わるほど、こうして故郷に帰ってきた事情は単純ではない。
 憎き与田光一を前にして、熱湯の如く泡立った自分の血液に、確かに大きな「破壊・虐殺の衝動」を感じた。自分は本当に「ラルヴァ」なんだということを、悟ってしまった。
 もしも、その血に飲み込まれてしまったとき。何か、とても恐ろしい展開が待ち受けているような気がしてならなかった。そうなったら、どうなってしまうことだろう。私は手持ちの武器である巨大な鍵爪で、無差別に人間を殺めるのだろうか。
 大好きなマサを、八つ裂きにしてしまうのだろうか・・・・・・?
 涙粒が丸い頬を流れていったのを感じると、彼女はそれを拭い、大きく息を吐く。
 大丈夫。
 そんなことにならないよう、私はこうして彼と距離を置いた。
 大好きなマサのために、私は距離を置いた。
 とても辛いことだけど、しょうがないよね。
 大好きなマサのために、私、我慢するからね・・・・・・?
 大好きだからこそ、こうして私は姿を消したんだからね・・・・・・?
 お気に入りの麦藁帽子をテーブルに置くと、畳のホコリを一通り払ってから、横になる。
 ひとたび眠りにつけば、厳しさと苦しさにまみれた地獄のような現実から介抱され、彼女は自然と笑顔になれる。優しい過去の世界に抱かれて、姉や祖父母に見せたことだろう、歳相応の可愛い寝顔を見せる。
 廃墟となった、祖母の家で。
 美しい思い出の眠り続ける、この空間で。
 立浪みくは今、休息に入っていた。


「どうだったか遠藤。あそこの屋台の炒飯、なかなかのモンだったろう」
「はい・・・・・・ちょっとがっつきすぎて、お腹が苦しいです・・・・・・」
 治癒能力者・遠藤雅は、大柄な男に付き添われて夜の住宅街を歩いていた。隣を歩いている大男は名を龍河弾といい、横に並ぶとかなりの身長差が目立つが、これでも雅と同級生である。
「お前は俺と同い年なんだから、そんなにかしこまらなくてもいいんだぜ? 気楽に付き合ってもらわねえと、俺のほうが気ぃ狂っちゃいそうだ」
 そうは言うものの、彼はあの「醒徒会」の一員である。龍河弾という名を知らない生徒が、いないはずがない。そんな大物がこうして、自分の警護にあたっているのだ。緊張するなというほうが、無理がある。
 あと二週間で二学期、大学では後期が始まる時期に来ていた。
 雅はこの夏、他のどんな異能者にも負けないぐらい厳しいトレーニングを積んできた。基礎体力は著しく向上し、スカウト生として恥ずかしくない程度の戦力に成長した。細身であるがしっかりと筋肉が発達し、全身を護るように覆っているのを確認すると、日ごろの訓練の手ごたえを感じることができて嬉しく思える。
 街灯しか照らすものの無い真っ直ぐな道を、二人で歩いていく。夜道はいい思い出がない。カラスと遭遇したり、与田のロボットに襲撃されたり。
 与田の件やみくの失踪は、雅に大きなショックを与えた。自分が弱いから、こんな結果になったんだ。彼がこの夏に誰よりも努力を見せた、悲しいきっかけであった。
 本日の訓練には龍河弾が駆けつけ、力を貸してくれた。「ちょっとは仕事しねーと、会長がほっぺた膨らましちゃうんでなあ。がっはっは」など言いながら、雅に裏山ランニング五十周を指示したとんでもない外道である。
 それでもやりとげた雅に、「安くて・旨くて・たくさん食べられる」ことで評判な店の炒飯をおごってくれたのだから、けっこういい人だと雅は思った。
 意気投合した二人は時間も忘れて話し込んでしまい、気づいたら夜の七時を回っていた。
「やばい。そろそろ帰って、飼い猫五匹にエサをあげないと」
 と、雅が言ったところでお開きとなった。
 しかし、今は雅一人だけで帰宅をさせるわけにはいかないという。
 血塗れ仔猫。
 それは楽しいはずの夏休みを台無しにした、恐怖の異形・・・・・・。


「血塗れ仔猫って、本当にいるんでしょうかね」
「けっこう大騒ぎになっちまったな。俺たちの周りでも、かなりの異能者たちが遭遇して一戦交えてきたそうだ」
 黒い病的なドレスに身を包み、頭には猫耳を乗せている。恐ろしいのはその手に握る鞭で、これまで様々な一般人・異能者を血祭りにあげてきた。
「犠牲者は一般人が五名。異能者が二名。それも、学園の生徒だ。・・・・・・ったく、ひどいことしやがる」
「いったい何者なんでしょうね。そんな恐ろしいのが今もこの町のどこかにいると思うと、ぞっとします」
「上級Sの5。フッ、要するにめっちゃ強ええってこった。そこらのカラスやゴキブリじゃあるめえし、そんなんが表でウロウロされちゃたまったもんじゃねえな」
 血濡れ仔猫による犠牲者は、夏休みに入る前の中等部三年生・大島亜由美を最後にして、なんとか抑えられている。優秀な生徒の敗北を耳にした並程度の異能者たちが、交戦を控えるという賢明な選択を始めたからだ。
 それでも命知らずな、広く名の知れた異能者たちは、黙ってこの状況を見過ごすわけにはいかない。己の力を存分に発揮し、積極的に血塗れ仔猫を攻め立てた。
 すると戦況が変わり始める。恐怖の血塗れ仔猫が、戦闘を離脱することを始めたのだ。
 彼女の鞭は遠距離特化である。ならば、至近距離で強力な打撃を加えればよい。賢い異能者たちは臆することなく、血塗れ仔猫に接近戦をしかけて間断なく攻撃を繰り広げた。
 連日戦闘を挑まれることになる血塗れ仔猫は、やがて疲労が目に見えて目立つようになった。息が上がり、まともに一撃を食らってしまい、そして逃亡をする。
 血濡れ仔猫の攻略は、もう佳境を迎えていると言ってよかった。
「でも、最近は僕ら異能者が血塗れ仔猫を圧倒してるんですよね? それなら、もう倒されるのは時間の問題だと、楽観的に構えて・・・・・・うっ?」
 雅は、龍河の硬い背中に正面から衝突した。彼は急に立ち止まっていたのだ。
「ど、どうかしたんですか? いきなり止まって――」
「遠藤。下がってろ」
 龍河が低い声でそう言ったのを聞き、雅は息を呑みながら道の先を見る。
 二人をじっと見つめる、赤い点。
 血濡れ仔猫だった。


 しゅるしゅると、何人もの肉体を砕いてきた鞭の先が、龍河目掛けて突き進む。
「フンッ!」。彼はそれを払いのけ、前傾姿勢で走り出した。
 かの異形も異能者たちとの戦闘で学んだか、後ろに飛んで距離をとりつつ、鞭を繰り出してきた。
 それを龍河は追い続ける。雨のように飛んでくる鞭を、何度も払って血塗れ仔猫へ迫った。
 血濡れ仔猫の表情が、いらだちで歪んだ。横殴りにするよう右腕を振りぬき、鞭を飛ばす。
 龍河はそれを掴み取った。鞭の先をぐるぐる右腕に巻き、ニッと笑う。
 体ごと横に向きながら、ズシンと四股を踏むようにして路面のアスファルトに左足を埋めこみ、後方へと腰を捻って回す。
「どっせぇえええええええええええええええええい!」
 鞭を握っている相手を、龍河が強引にブン回した。血塗れ仔猫が住宅のブロック塀に頭から突っ込むと、龍河はそのまま彼女をブン回し続け、コンクリートの壁に、真横に長い一文字をえぐった。 塀から吐き出されてきた血濡れ仔猫は、道の反対側の塀に激しく衝突し、崩れ落ちる。
 重心を上手に左足に移動させ、鞭を握っている相手を逆に振り回したのだ。理想どおりの攻撃に、龍河の声が弾む。
「相手が悪かったなあ、猫耳の姉ちゃんよう。俺が誰だかわかるかい? 俺は醒徒会広報・龍河弾だ。そこらの奴らは一味違うんだ」
 ところが、そのとき、血塗れ仔猫の両目が怒りの閃光を見せる。
 龍河の右腕に巻いている鞭が、ぎゅっと縮み出したのだ。それに龍河が気づいたときには、
 べきっ。
 彼の骨は、粉々に粉砕されてしまっていた。
「おおおおおおおお?」
 ぐにゃぐにゃに曲がってぶらさがった自分の右腕に、驚愕の声を上げる龍河。血塗れ仔猫は間髪いれず、鞭を縮めて手元に寄せてから、龍河の首を目掛けて鋭い鞭を振るった。
「いぎっ!」
 とっさに左腕で防御したのだが、左腕にもみしりと、骨にダメージが入ったのを彼は感じた。
 機関銃のように何発も向かってくる鞭の先端を、辛うじて回避する。何発かはわき腹、胸板、大腿に直撃してしまい、服が破れて肉がえぐれる。
「くっ、こういうプレイは好みじゃねえんだ。マジ痛え!」
 そう言った瞬間、鞭が左目を掠めた。命中は避けられたものの、鋭利な風圧で眼球が潰れてしまった。
「親が頑丈に産んでくれた身体が・・・・・・。申し訳ねえ・・・・・・」
 片目から血を流す龍河は、ふらふらと、右腕を垂らしながら路地裏へ逃げていく。
 それを、怒れる血濡れ仔猫が逃すわけがない。
 穿たれた穴の中で粉砕した、あの跳躍能力の少年のように。
 心臓を真っ直ぐ貫いた、あのウェーブを繰り出す少女のように。
 絶対に血と肉塊に変えて、辺りに撒き散らしてやる! たとえそれが、醒徒会のメンバーだとしても!
 暴走を始めた血塗れ仔猫は、龍河に止めを刺すため、路地裏へ続く曲がり角を右に――、
「ひゃっほおおおおおおおおおおおおい!」
 龍河の、暑苦しくも勇ましい顔面を認めた瞬間。彼女は頬に本気の一撃を頂戴した。
 体重の軽い血塗れ仔猫は星空へ吹き飛ぶと、放物線を描いて路面に落下した。がっちり骨の繋がった右腕でぶん殴った龍河は、楽しそうに、潰れたはずの左目をウィンクしてみせる。
「残念だったな仔猫ちゃん。こっちにはお前なんかよりもさらに、卑怯な能力を持ってるヤツがいる」
 龍河を全快させた遠藤雅は、ぐったりと壁にもたれかかり、ぜえぜえ肩で息をしていた。これだけ回復させるには、やはり膨大な異能力を必要とするのだろう。
「もっと言えば、まだまだ俺は本気を出してねえんだ。そろそろいい加減にしとけ? 舐めんなよ野良猫ごときが。こんなんが俺の本気だと思うな? すべて焼き尽くしてやろうか? 何ならここで、本当の姿をお披露目しちゃってもいいんだゼぇ・・・・・・?」
 龍河は口元を大きく吊り上げて笑顔を見せると、上半身の筋肉をすべて隆起させ、シャツを破裂させてしまった。
 その脅しを前に、血塗れ仔猫は涙を浮かべて歯を鳴らす。自分以上のバケモノに戦慄したのか、龍河に背を向けて逃亡してしまった。
「けっ。俺としたことが大人げねえ」
 彼はそう吐き捨てると、呼吸を整えて、いつでも覚醒できるよう煮えたぎらせていた竜の血を静める。
 そして、思い出したように路地裏へと駆け込んだ。
「おーい、遠藤。大丈夫か? 生きてるか?」
「ふええ・・・・・・」
 力を使い切った遠藤雅は、しばらく再起ができない状態でばったり寝転んでいた。


 その翌日。
「ばっかもーーーーーーーーーーん!」
 龍河弾は、藤神門御鈴にお叱りチョップをズビシと頂戴した。
 成宮金太郎も呆れ返った様子で、こう言う。
「何やってんだかなあ! 遠藤雅がいなかったら、危なかったんじゃねーのか?」
「いや・・・・・・。その遠藤雅もいることだし・・・・・・本気を出さなくても勝てると思ってなあ・・・・・・」
「そういう軽い態度がいかんと言っておるのだ!」
 怒りの静まらないちびっ子会長は、両手を腰に当ててなおも龍河を叱る。
 醒徒会広報・龍河弾が血塗れ仔猫と衝突――。
 このビッグ・ニュースは瞬く間に島中に浸透した。好き勝手暴れる強敵に対し、とうとうあの醒徒会が動いたと、夏休み中である学園生徒の誰もが奮い立った。
「やっと血塗れ仔猫の恐怖が終わる!」「血塗れ仔猫め、びゃこにゃんのビームで消えて無くなれ!」「水分さん、ぜひあの憎き異能者の敵を、得意の能力でズタズタにしてください!」
 勇気付けられたのは生徒たちだけではない。商店街の大人たちも、学園で働く関係者たちも、みんな醒徒会の行動を強く賞賛した。
「俺たちは手塩にかけて育ててきた一人娘をあいつに殺された・・・・・・。どうして瑠子は殺された! どうして一般人の瑠子が、あいつに殺されなければならなかったんだ! 俺は一般人であることが、悔しい。はがゆい。うらめしい。どうか俺の代わりに、俺のこのメチャクチャになりそうな憎しみを血塗れ仔猫にぶつけてやってくれぇえええ・・・・・・」
 しかし、龍河が油断から血塗れ仔猫に攻め込まれ、遠藤雅によって援護を受けたことを彼らは知らない。夏休み中にも関わらず、会長の鶴の一声で醒徒会メンバーが召集された。
「醒徒会のメンバーが苦戦したなんて知られたら、僕らに多大な信頼を寄せている生徒たちはきっとパニックに陥る」
 と、戒めるように言うのはルールだ。
「アタシたちはこの島・学園での抑止力だからねえ。最後の砦ってやつだ。万が一アタシたちが負けでもしたら、力関係の秩序が狂って大変なことになっちゃうぞおー?」
 と、意地悪な笑みを向けるのは加賀杜だ。
「とにかくだ! 龍河、お前は醒徒会の一員なんだ。己の力を過信して不覚を取るなんて、醒徒会室始まって以来の恥だぞ! ちゃんと自覚を持ってもらわないと困るのだぞ!」
「あー、はいはい。俺が悪ぅござんしたよぅー!」
 会長の説教を聞き飽きた彼は、横長のソファーに寝転ぶと不貞寝を始めてしまう。そんな彼の姿を見て、このごろ気苦労の絶えない会長はため息をつく。ぴりぴりとした嫌な緊張感が、醒徒会に張り詰めていた。
「血塗れ仔猫の件で、誰もがナーバスになっているという時期に・・・・・・はあ」
 デスクについた彼女を「がおー」と白虎が慰める。つぶらな瞳を輝かせ、悩める主に視線を送っている。
「おお、元気付けてくれるのか白虎。嬉しいぞ。私の気持ちをわかってくれて嬉しいぞ」
 と、そこに早瀬速人がやってきた。いつの間にか姿を消していた彼の再登場に、御鈴は目をぱちくりさせる。彼はその両手に、何やら緑色の玉を数個ぶら下げていた。
「ま、ちょっくらスイカ買ってきましたよっと。みんなちょっとはクールダウンして、それから血塗れ仔猫のこと、考えようぜ」
 せっかちな彼とは思えないその行動に、醒徒会のみんなはいっせいに喜びの声を上げる。
「おおー、気が利くじゃねえかよー! 俺、冷たいモン食べたかったんだあ!」
「アタシスイカ割りやりたーい。木の棒で、バシンと」
「君がスイカを殴れば粉々になってしまう。普通に切ろう」
「あらあら、それなら私が切りに行ってまいりましょうか? それとも、このお水で輪切りにして差し上げようかしら?」
「おあ? スイカじゃねえか! おい、俺もよこせや! 喉乾いてんだあ!」
 一転して楽しそうにはしゃぎ始めた六人を見て、御鈴はにっこり微笑んだ。この醒徒会メンバーも結成されて随分経ったが、「絆」というものが芽生えつつある。それはとても良いことだ。
 そして、窓の青空を眺めながら、真剣な表情に戻る。鳩の群れが伸び伸びと、自由に翼を翻しているのを見た。
「犠牲者七人は、重すぎる・・・・・・」
 御鈴は大いに悲しんでいた。自分の在任中に次々と起こった、痛ましい事件。もしも自分が白虎を伴い、彼らを守ってやることができていたらと考えただけで、幼い彼女の心は張り裂けそうになった。
 私たちは醒徒会だ。それは学園生の頂点に立つ者だということを意味し、場合によっては行き過ぎた勢力を粛清せねばならないときもある。
 しかし、それができずに同胞をみすみす見殺しにし、何が醒徒会だ! 異能力者だ!
 御鈴は誓った。この六人の頼もしいメンバーと力を合わせ、絶対に血塗れ仔猫を撃破すると。


 大量に流れ出た血と涙に報いるためにも、血塗れ仔猫の存在は、これ以上許されない――!
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