【異能力研究室3】


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 異能力研究室3


 「えー、先週、今日は『魔術系について』やると言ったんだが、よく考えたら『超能力系』をとばしていたので今日は『超能力系』にします。
 予習してきた人がいたらごめんない。
 まあ、無駄にはならないのでまた次回に生かしていただくということで」

 講義開始と同時に講師の口から出た言葉に一部の生徒から「ええー」という困惑の声が漏れるが、講師はそのまま話を進めるつもりのようで、そそくさとPCを操作し教室前面のスクリーンに講義項目を表示させる。

「ということで『超能力系』だ。
 この系統はESPによる異能発現を行うものをさす。
 サイコキネシス、テレパシー、テレポート、クレヤボヤンスなどがその代表的な発現形態だ。
 これらが変化したものでよく見るのは発火能力《パイロキネシス》、凍結能力《クリオキネシス》、催眠能力《ヒュプノシス》などだ。
 ああ物質再現での召喚もあるな。
 とくにこの形態のことが知りたい、という者はいるかな?」

 講師の問いかけに一人の生徒が手を上げ発言する。

「クラスに『他者を意のままに支配する』という異能者がいて、これは催眠能力だと思うんですが、何らかの制限があるんでしょうか?
 特にないのならあまりに恐ろしい異能だと思うんですが」

 生徒の言葉に講師は頷き答える。

「確かに催眠能力はうかつに使うととても危険な能力だ。
 なんせ相手は催眠にかかれば意のままになってしまうわけだからね。
 だが大抵の場合はなんらかの条件付けがある。
 それは相手の目を見ることだったり、声を聞かせることだったりと様々だ。
 さらにいうと異能者としての能力、つまり扱える魂源力の量や強度によって効果が発揮されない場合もある。
 とはいえ異能を持たない一般人にはほぼ確実に効くため、この系統の異能者にはとても高いモラルが要求されることになる。
 だから学園側もこの手の異能を持つものには特に注目しているらしいよ。
 どうやって注目しているのかはわからないけどね」

 講師の説明に教室は乾いた笑いに包まれる。
 みな一様に怖い考えになったのだろう。

「他には……どうぞ」

 室内を見回しつつ質問者をさがす講師の目が手を上げる生徒を見つける。
 講師は言葉を切り、生徒に発言を促した。

「発火能力って自分も影響を受ける場合とそうでない場合があるみたいですけど、これってどうして違いができるんですか?」

「いい質問だ。
 発火能力や凍結能力はそのほとんどがサイコキネシスによって発現するものだが、君の言う違いはサイコキネシスがどう働くかによって現れてくるんだ。
 まず『発生させた炎や冷気が術者自身にも影響する』場合だが、コレはサイコキネシスで対象の分子を高速で運動させる、もしくは逆に停止させることで、自然現象と同じ状態を発生させているわけだ。
 自然現象と同じとなればこれは当然術者も熱かったり寒かったりするということになる。
 それに対して『発生させた炎や冷気の影響を受けない』場合は、サイコキネシスによる物質再現を行うことで効果を発揮している。
 物質再現であればその本質はサイコキネシスそのものだから術者は影響を受けない、というわけだ。
 あと前者はサイコキネシスでなくテレポートでどこかから炎や冷気を呼び寄せている場合もまれにある。
 どちらにしても異能を発現させた後は術者自身も炎や冷気を制御するのが難しい、なかなか悩ましい部分もある形態といえる。
 わかったかな?」

 講師の説明で納得した生徒は「はい」と応え、席に戻った。
 続いて別の女子生徒が手を上げ、講師は手で「どうぞ」と発言の許可を示す。

「私のパートナーが手や足に亜空間ゲートを開いて空気を出し入れできるんですけど、これはどう分類されるんでしょうか?
 テレポート能力の亜種なのかなと思うんですが、空気を自在に出し入れできるとなるとそれだけではない様にも思えて……」

「なるほど、確かに複合能力のようだね。
 おそらくは君の推察どおり、限定的なテレポートとサイコキネシスを同時に用いているんだろう。
 テレポートでゲートを開き、サイコキネシスで空気の出し入れを行う、といった形だ。
 効果自体は扇風機と換気扇の様なもので、要は『空気を一方から他方へ移動させる』という能力なのだろうね。
 効果が一つであればその強弱は術者の意思一つで調節可能というわけだ。
 それにしても興味深い能力だね。
 私の想像通りなら空を飛んだり、亜空間をボンベ代わりにして長時間潜水したりすることもできそうだ。」

「確かに彼女、空を飛んだりしてます。
 短時間だけしか無理みたいですけど。
 潜水は見たことないですね……。
今度やってみてって言ってみます」

 説明に続けて述べられた講師の推論を受けて、女子生徒は少し冗談めかしてそう応えると席に着く。
 その様子に教室は忍び笑いに包まれた。

「さて、もう質問はないかな?
 ……大丈夫そうだね
 じゃあ今日は講義はここまでにして、後は自習にしよう。
 席を離れて意見を交換し合うのもかまわないよ。
 私は教壇でおとなしくしてるから、また何か質問があれば聞きに来てください」

 講師の言葉に生徒達はうれしそうにため息を漏らす。
 そして各々、PCに向かい次回の予習を始めたり、仲のいいグループで固まって話し始めた。
 と、そんな中一人の生徒が教壇まで歩み寄り質問を発する

「先生!副会長は着物のときパンツはいてるんでしょうか?」

「……日本古来の様式に則れば下着は着けないこともあるだろうが、彼女が着けていないかどうかはわからん。
 席に戻りなさい」

講師の答えは辛らつだった。



  • このSSは筆者の勝手な解釈による創作であり、D設定の域を出るものではありません。



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