つんでれとうぞくがいかにもえるかのけんしょうそのに【登録タグ: つ】
「 ツンデレ盗賊がいかに萌えるかの検証 (2)」とは、
アマラ(c01414)作の萌えるシチュエーションである。
アマラ(c01414)作の萌えるシチュエーションである。
目次
本文
ひとしきりベットのふかふか感を堪能した少女は、むっくりと起き上がった。
周りを見回すが、誰も居ない。
少女はベットから降りると、小屋の壁に近づきぺしぺしと叩いてみた。
今まで少女が居たのは、石造りの牢屋ばかりだった。
奴隷が逃げ出さないようにするためだ。
だが、この小屋は木で作られている。
どうやら少女には、それが珍しいらしい。
足元の床にも興味が出たのか、ぺたりと座り込んでぺしぺしと叩く。
石とは違う感触が楽しいらしく、今度は頬を当ててみた。
ぬくもりと、木の香りが鼻をくすぐる。
そのまま眠ってしまいたくなる衝動を抑え、少女は窓の近くによって見た。
窓も、少女にとっては珍しいものの一つだ。
外をのぞくと、生い茂った木々や草花が見える。
小屋の周りは開けており、背の高い草も生えていなかった。
歩きやすいようにしているのが、手入れが行き届いているように見える。
ふと、少女の視界にしろい塊が動いているのが見えた。
開け放たれている窓から顔を出して目を凝らす。
白い塊には、二つの大きなもふもふした角が生えていた。
物心ついてからのほとんどを牢の中ですごしてきた少女には、見知らない動物だ。
少女には角に見えたそれは、実際には角ではなく耳。
もふもふした白い物体の正体は、うさぎなのだ。
少女の中では、ツノのついたもふもふ生物として分類されたうさぎには
首輪が付けられており、近くのくいに結ばれていた。
飼い犬か何かと同じような状況だ。
どうやらこの小屋の周りの草を手入れしているのは、そのうさぎらしい。
少女にはそんなことは分からなかったが、もふもふ生物を見ていると
面白いと言うことだけは分かった。
両手を上半身を窓から出し、ふちのところに身体を預ける。
外に出て行ってもふもふを近くで見てみたくもあったが、盗賊の言葉が頭に残っていた。
少女的には、今の状態は外に出ていることにはならないらしい。
うさぎは少女に気が付いたのか耳をピクリと動かすと、二本足立ちになって
少女の方を振り返った。
じっと見つめあう一人と一匹。
少女は好奇心を煽られ、ますますうさぎに見入る。
うさぎのほうは警戒して、ぴくりと身体を動かす。
その動きに、少女は驚いたようにぽかんと口を開けた。
うさぎが少女を危険なものではないと認識するまで、
しばしこの一人と一匹の攻防は続いた。
周りを見回すが、誰も居ない。
少女はベットから降りると、小屋の壁に近づきぺしぺしと叩いてみた。
今まで少女が居たのは、石造りの牢屋ばかりだった。
奴隷が逃げ出さないようにするためだ。
だが、この小屋は木で作られている。
どうやら少女には、それが珍しいらしい。
足元の床にも興味が出たのか、ぺたりと座り込んでぺしぺしと叩く。
石とは違う感触が楽しいらしく、今度は頬を当ててみた。
ぬくもりと、木の香りが鼻をくすぐる。
そのまま眠ってしまいたくなる衝動を抑え、少女は窓の近くによって見た。
窓も、少女にとっては珍しいものの一つだ。
外をのぞくと、生い茂った木々や草花が見える。
小屋の周りは開けており、背の高い草も生えていなかった。
歩きやすいようにしているのが、手入れが行き届いているように見える。
ふと、少女の視界にしろい塊が動いているのが見えた。
開け放たれている窓から顔を出して目を凝らす。
白い塊には、二つの大きなもふもふした角が生えていた。
物心ついてからのほとんどを牢の中ですごしてきた少女には、見知らない動物だ。
少女には角に見えたそれは、実際には角ではなく耳。
もふもふした白い物体の正体は、うさぎなのだ。
少女の中では、ツノのついたもふもふ生物として分類されたうさぎには
首輪が付けられており、近くのくいに結ばれていた。
飼い犬か何かと同じような状況だ。
どうやらこの小屋の周りの草を手入れしているのは、そのうさぎらしい。
少女にはそんなことは分からなかったが、もふもふ生物を見ていると
面白いと言うことだけは分かった。
両手を上半身を窓から出し、ふちのところに身体を預ける。
外に出て行ってもふもふを近くで見てみたくもあったが、盗賊の言葉が頭に残っていた。
少女的には、今の状態は外に出ていることにはならないらしい。
うさぎは少女に気が付いたのか耳をピクリと動かすと、二本足立ちになって
少女の方を振り返った。
じっと見つめあう一人と一匹。
少女は好奇心を煽られ、ますますうさぎに見入る。
うさぎのほうは警戒して、ぴくりと身体を動かす。
その動きに、少女は驚いたようにぽかんと口を開けた。
うさぎが少女を危険なものではないと認識するまで、
しばしこの一人と一匹の攻防は続いた。
出たときとは対照的に、若干青みががかった顔をして盗賊は森の中を歩いていた。
足取りも若干ふらついている。
服を買うときのダメージが余程大きかったらしい。
その手にはいっそ来る途中で捨ててしまおうかとも思っていた
紙袋がしっかりと握られている。
中身は勿論、少女の為に選んだ服だ。
沢を上り、木々を渡り、山道を行く。
常人の足とは比べ物にならない速度ではあるが、
それでも盗賊のいつもの足取りよりはずっと遅かった。
ようやく目的の小屋についたときには、もう夕方近くになっていた。
思ったよりも遅くなってしまった。
そういえばパンと水は用意していたが、アレでは食料としては
足りなかったかもしれない。
そんなことを考えながら、盗賊は小屋のドアに近づいた。
ドアノブに手をかけようとしたときに、不振な物音に気が付いた。
物音、というのとは、少し違うかもしれない。
小屋の周りの草を刈るために飼っているウサギの足音が、少し妙なのだ。
跳ね回っているようと言うか、逃げ回っていると言うか。
肉食動物に襲われているのかとも考えたが、それにしてはリズミカルな気がする。
不振に思い、盗賊はウサギの足音がするほうに足を進めた。
どうやら、ウサギは今小屋の裏側に居るらしい。
壁沿いに歩いていくと、ウサギがはねているのが目に入った。
小屋の方を向いて、後ろ足だけでぴょんぴょんと飛んでいる。
さらに近づいてみると、壁に取り付けた窓が目に入った。
そして、そこから上半身を乗り出している少女の姿も。
足取りも若干ふらついている。
服を買うときのダメージが余程大きかったらしい。
その手にはいっそ来る途中で捨ててしまおうかとも思っていた
紙袋がしっかりと握られている。
中身は勿論、少女の為に選んだ服だ。
沢を上り、木々を渡り、山道を行く。
常人の足とは比べ物にならない速度ではあるが、
それでも盗賊のいつもの足取りよりはずっと遅かった。
ようやく目的の小屋についたときには、もう夕方近くになっていた。
思ったよりも遅くなってしまった。
そういえばパンと水は用意していたが、アレでは食料としては
足りなかったかもしれない。
そんなことを考えながら、盗賊は小屋のドアに近づいた。
ドアノブに手をかけようとしたときに、不振な物音に気が付いた。
物音、というのとは、少し違うかもしれない。
小屋の周りの草を刈るために飼っているウサギの足音が、少し妙なのだ。
跳ね回っているようと言うか、逃げ回っていると言うか。
肉食動物に襲われているのかとも考えたが、それにしてはリズミカルな気がする。
不振に思い、盗賊はウサギの足音がするほうに足を進めた。
どうやら、ウサギは今小屋の裏側に居るらしい。
壁沿いに歩いていくと、ウサギがはねているのが目に入った。
小屋の方を向いて、後ろ足だけでぴょんぴょんと飛んでいる。
さらに近づいてみると、壁に取り付けた窓が目に入った。
そして、そこから上半身を乗り出している少女の姿も。
「ぶっ」
思わず噴出した盗賊にも気が付かず、少女は一心にうさぎと向き合っていた。
お腹を窓枠に乗せ、両手をぶんっと振り上げる。
すると、その動きに合わせウサギがぴょんとジャンプをする。
腕を下ろし、再びぶんっ振り上げる。
お腹を窓枠に乗せ、両手をぶんっと振り上げる。
すると、その動きに合わせウサギがぴょんとジャンプをする。
腕を下ろし、再びぶんっ振り上げる。
ぴょん。
ぶんっ。
ぴょん。
ぶんっ。
ぴょん。
どうやら何らかの意思疎通が図られているらしい。
「なにをしているんだ?」
たまりかねて声をかける盗賊。
その声に、少女はようやく盗賊に気が付いたらしい。
振り上げた腕をそのままに、くるりと身体を捻る。
なぜかウサギも盗賊の方を向く。
盗賊の問いには答えず、少女はじっと固まったまま彼を見ていた。
盗賊は見つめられて居心地が悪いのか、少し眉間に眉を寄せる。
頬が若干赤くなっているが、夕日のせいか目立ちはしなかった。
少女は暫く固まったままでいると、何かを思い出したかのような顔をして
ようやく腕を下ろした。
その声に、少女はようやく盗賊に気が付いたらしい。
振り上げた腕をそのままに、くるりと身体を捻る。
なぜかウサギも盗賊の方を向く。
盗賊の問いには答えず、少女はじっと固まったまま彼を見ていた。
盗賊は見つめられて居心地が悪いのか、少し眉間に眉を寄せる。
頬が若干赤くなっているが、夕日のせいか目立ちはしなかった。
少女は暫く固まったままでいると、何かを思い出したかのような顔をして
ようやく腕を下ろした。
「おかえり」 ●VOICE
どうやら、その言葉が思い出せなかったらしい。
盗賊は拍子抜けしたよに肩の力を抜き、ぼそりと答える。
盗賊は拍子抜けしたよに肩の力を抜き、ぼそりと答える。
「ただいま」
その答えに満足したらしい少女は再びウサギの方に身体を向けると、
びしりと指を刺して言う。
びしりと指を刺して言う。
「つの」 ●VOICE
呼応するようにうさぎはぴょんと飛び跳ねた。
「つの?」
「つの」 ●VOICE
「つの」 ●VOICE
小首をかしげる盗賊に、少女はこくりとうなずく。
「つの・・・」
ウサギに名前でも付けたのだろうか。
盗賊はそう解釈したが、実際は違う。
少女の中でウサギは、「つののついたしろいもふもふせいぶつ」なのだ。
つまり少女的には、盗賊に「つののついたしろいもふもふせいぶつが居る」と、
伝えたい訳だ。
盗賊はそう解釈したが、実際は違う。
少女の中でウサギは、「つののついたしろいもふもふせいぶつ」なのだ。
つまり少女的には、盗賊に「つののついたしろいもふもふせいぶつが居る」と、
伝えたい訳だ。
「つの」 ●VOICE
少女はわが意を得たりと言わんばかりにコクリと頷く。
「つの・・・か」
盗賊はよく意味が理解できないながらも、少女がうさぎを「つの」と呼んでいるのだと
理解することにした。
そのまま再び腕を振り上げる作業に入ろうとする少女に、
盗賊は眉間を押さえながら言葉をかける。
理解することにした。
そのまま再び腕を振り上げる作業に入ろうとする少女に、
盗賊は眉間を押さえながら言葉をかける。
「ずっとそうしていたのか?」
今度は首だけを盗賊に向け、少女はコクリと頷く。
返事を聞いて、ドアのある側に回ろうと身体を動かしかけた盗賊だったが、
ふと手の中にある紙袋を思い出しそれを少女に見せた。
ふと手の中にある紙袋を思い出しそれを少女に見せた。
少女は不思議そうに首をかしげる。
言葉のイミが分からないのかもしれない。
そう、盗賊は思った。
生まれてすぐに奴隷と言う立場になったものには、
ろくに言葉も覚えていないものもいる。
人と会話する機会が無いのだから、当然と言えば当然だ。
盗賊は少し考えてから、紙袋をあけ中身を取り出した。
真っ白な、飾り気の無いワンピースだった。
前をボタンで留めるタイプのそれは、フリルやリボンで彩られているわけでもない、
極単純なものだ。
純白のそれは、夕方の風と赤い日を受け、ひらひらとひらめいている。
きょとんとした顔をする少女に近づくと、盗賊はワンピースを少女の手に乗せた。
言葉のイミが分からないのかもしれない。
そう、盗賊は思った。
生まれてすぐに奴隷と言う立場になったものには、
ろくに言葉も覚えていないものもいる。
人と会話する機会が無いのだから、当然と言えば当然だ。
盗賊は少し考えてから、紙袋をあけ中身を取り出した。
真っ白な、飾り気の無いワンピースだった。
前をボタンで留めるタイプのそれは、フリルやリボンで彩られているわけでもない、
極単純なものだ。
純白のそれは、夕方の風と赤い日を受け、ひらひらとひらめいている。
きょとんとした顔をする少女に近づくと、盗賊はワンピースを少女の手に乗せた。
「これは、お前のだ」
なるべくゆっくりと。
盗賊は少女に言う。
少女は暫く盗賊の顔を眺め、今度は手の中のワンピースに目を移した。
ひらひらと風にはためくそれを見つめ、ゆっくりと顔を上げる。
少女が寝ているときに見せたそれよりも、少しうれしそうな笑顔。
盗賊は少女に言う。
少女は暫く盗賊の顔を眺め、今度は手の中のワンピースに目を移した。
ひらひらと風にはためくそれを見つめ、ゆっくりと顔を上げる。
少女が寝ているときに見せたそれよりも、少しうれしそうな笑顔。
「ありがとう」 ●VOICE
盗賊は釣られるように薄く微笑むと、少女から離れドアの方歩き始めた。
少女はワンピースの方のところをつまみ、ひらひらと揺らしてみる。
そんな少女を、ウサギは不思議そうに首を傾げながら眺めていた。
少女はワンピースの方のところをつまみ、ひらひらと揺らしてみる。
そんな少女を、ウサギは不思議そうに首を傾げながら眺めていた。
少女はそのまま、盗賊が突然襲ってきた羞恥心によるダメージから復活するまで、
白いワンピースを風に遊ばせていた。
白いワンピースを風に遊ばせていた。
盗賊が用意した食べ物は、干し肉と生野菜、そしてパンだった。
森の中にある小屋においておける食料は限られている。
周りに農家があるわけでもないので、保存が利く野菜しか置いておけない。
いつも猟に行く訳でもないし、生肉をそのまま全部食べるわけでもない。
それだけに、出かけたときだけに手に入る生野菜はご馳走だし、
保存が利く干し肉と保存用のパンは常備食だ。
豪勢には見えないかもしれないが、なかなか贅沢な食事と言えるだろう。
もっとも、育ち盛りで取りごろだろう少女には、もっと凝った料理がいいかも知れない。
と、思っていた盗賊だったが、その予想は全力で裏切られた。
ごろりとテーブルに転がっているキャベツやトマトに、少女の目は釘付けになっている。
口が若干半開きになっているのは、食べる気満々な証拠だろう。
そういえば、置いていったパンも固い保存用のパンだったが不満も無く平らげていた。
考えれ見れば、少女は奴隷だったのだ。
食事に関しては無頓着なのかもしれない。
盗賊がソファーに座ると、少女も盗賊に続いて腰を下ろした。
パンを渡され、早速それにかぶりつく少女を見ながら、盗賊はナイフで野菜と
干し肉を切り始める。
小屋には皿などの気の利いた食器は無い。
機用に四分割したトマトを、盗賊は少女に渡そうと手を伸ばした。
森の中にある小屋においておける食料は限られている。
周りに農家があるわけでもないので、保存が利く野菜しか置いておけない。
いつも猟に行く訳でもないし、生肉をそのまま全部食べるわけでもない。
それだけに、出かけたときだけに手に入る生野菜はご馳走だし、
保存が利く干し肉と保存用のパンは常備食だ。
豪勢には見えないかもしれないが、なかなか贅沢な食事と言えるだろう。
もっとも、育ち盛りで取りごろだろう少女には、もっと凝った料理がいいかも知れない。
と、思っていた盗賊だったが、その予想は全力で裏切られた。
ごろりとテーブルに転がっているキャベツやトマトに、少女の目は釘付けになっている。
口が若干半開きになっているのは、食べる気満々な証拠だろう。
そういえば、置いていったパンも固い保存用のパンだったが不満も無く平らげていた。
考えれ見れば、少女は奴隷だったのだ。
食事に関しては無頓着なのかもしれない。
盗賊がソファーに座ると、少女も盗賊に続いて腰を下ろした。
パンを渡され、早速それにかぶりつく少女を見ながら、盗賊はナイフで野菜と
干し肉を切り始める。
小屋には皿などの気の利いた食器は無い。
機用に四分割したトマトを、盗賊は少女に渡そうと手を伸ばした。
「お前のだ」
掌に載ったトマトを見た少女は、きょとんとした顔でトマトを見た。
自分にくれるらしいことが理解できると、少女はそれを躊躇無く口に入れた。
盗賊の手から。直接。
その様子をみて、盗賊は暫く凍り付いた。
徐々に赤くなっていく顔を隠すように少女から目線をはずすと、
何事も無かったように野菜を切り分け続ける。
自分にくれるらしいことが理解できると、少女はそれを躊躇無く口に入れた。
盗賊の手から。直接。
その様子をみて、盗賊は暫く凍り付いた。
徐々に赤くなっていく顔を隠すように少女から目線をはずすと、
何事も無かったように野菜を切り分け続ける。
「手で取って食べろ・・・!」
落ち着いているように見せようとしているらしいが、声はガクガクに震えていた。
分かったのか分かっていないのか、少女は盗賊の言葉にこくこくと首を振って答える。
干し肉を取り分けにかかると、少女の動きは一期は激しくなった。
それまで干し肉と言うものを食べたことが無かったらしい少女は、
最初こそ匂いを嗅いだり警戒した様子だった。
だが、一度口に入れてしまうと、とても気に入ってしまったらしい。
盗賊が切り分けるのをじーっと見つめたまま、目を離さない。
一応渡されるまでガマンするようではあったが、なんならそのまま飛びついて
奪って行きそうなほどの気迫だ。
分かったのか分かっていないのか、少女は盗賊の言葉にこくこくと首を振って答える。
干し肉を取り分けにかかると、少女の動きは一期は激しくなった。
それまで干し肉と言うものを食べたことが無かったらしい少女は、
最初こそ匂いを嗅いだり警戒した様子だった。
だが、一度口に入れてしまうと、とても気に入ってしまったらしい。
盗賊が切り分けるのをじーっと見つめたまま、目を離さない。
一応渡されるまでガマンするようではあったが、なんならそのまま飛びついて
奪って行きそうなほどの気迫だ。
「これは俺のだ」
盗賊がそういいながら切り分けないと諦めがつかないらしく、盗賊の上を乗り越えて
干し肉を見つめているほどだ。
もちろん、
乗り越えられている盗賊の顔は真っ赤に成っているが、少女はまったく
意に介していない。
盗賊が必死の思いで食事を終えたころには、
少女も満足げな顔をしておとなしくなっていた。
ソファーに座ってのんびりしている少女に、盗賊はほっとするのと同時に、
なんとは無しのダメージに苦しんでいた。
どうやら「あの唇が俺の手に」的なものらしいが、もちろん少女の知ったことではない。
ダメージから復帰した盗賊は、ふと肝心なことに気が付いた。
干し肉を見つめているほどだ。
もちろん、
乗り越えられている盗賊の顔は真っ赤に成っているが、少女はまったく
意に介していない。
盗賊が必死の思いで食事を終えたころには、
少女も満足げな顔をしておとなしくなっていた。
ソファーに座ってのんびりしている少女に、盗賊はほっとするのと同時に、
なんとは無しのダメージに苦しんでいた。
どうやら「あの唇が俺の手に」的なものらしいが、もちろん少女の知ったことではない。
ダメージから復帰した盗賊は、ふと肝心なことに気が付いた。
「お前、名前はなんと言うんだ?」
そう。盗賊は少女の名前を知らなかった。
これから暫くは一緒に暮らすのだ。
知っていた方が良いに決まっている。
盗賊の問いに、少女は不思議そうに首をかしげた。
暫く考えるようなそぶりをした後、盗賊の言葉をようやく飲み込めたのか、こう返した。
これから暫くは一緒に暮らすのだ。
知っていた方が良いに決まっている。
盗賊の問いに、少女は不思議そうに首をかしげた。
暫く考えるようなそぶりをした後、盗賊の言葉をようやく飲み込めたのか、こう返した。
名前が無い。
時々あることだ。奴隷には。
一瞬悪いことを聞いたかとも思う盗賊だったが、少女はまったく気にした様子も無い。
むしろ、当たり前のことをただ伝えたといったように、
なんの疑問も持っていない様子だった。
盗賊はなぜか、そのことに怒りを感じた。
それがどうしてなのか、盗賊には良くわからなかった。
ただ、少女に名前が無いのが当たり前だと感じさせている何かが、
腹立たしく思えたのだ。
時々あることだ。奴隷には。
一瞬悪いことを聞いたかとも思う盗賊だったが、少女はまったく気にした様子も無い。
むしろ、当たり前のことをただ伝えたといったように、
なんの疑問も持っていない様子だった。
盗賊はなぜか、そのことに怒りを感じた。
それがどうしてなのか、盗賊には良くわからなかった。
ただ、少女に名前が無いのが当たり前だと感じさせている何かが、
腹立たしく思えたのだ。
「どーした?」 ●VOICE
少し険しい顔をしている盗賊を不思議に思ったのか、少女がその顔を覗き込んだ。
「なっ! んでも、ない・・・!」
瞬間、盗賊の顔が火をつけたように真っ赤に染まる。
あわてて顔を背けるが、少女は不思議そうに首を捻っている。
あわてて顔を背けるが、少女は不思議そうに首を捻っている。
「無いなら、そうだな。 俺が付けよう」
盗賊の言葉を聞き、今度はすぐに理解が出来たらしい。
少女はコクリと頷くと、盗賊の言葉を待つようにじっとその顔を見つめた。
少女はコクリと頷くと、盗賊の言葉を待つようにじっとその顔を見つめた。
「リゼット で、どうだ?」
その名前は、盗賊がまだ子供のころに飼っていた犬の名前だ。
ストリートチルドレンだった彼が苦楽を共にしてきたその犬は、
もう随分前に死んでしまった。
ケリーと出会う、少し前の話だ。
犬の名前をつけるのもどうかとも思ったが、その名前は盗賊にとっては、
とても特別なものなのだ。
ストリートチルドレンだった彼が苦楽を共にしてきたその犬は、
もう随分前に死んでしまった。
ケリーと出会う、少し前の話だ。
犬の名前をつけるのもどうかとも思ったが、その名前は盗賊にとっては、
とても特別なものなのだ。
「リゼット」 ●VOICE
少女は盗賊の言った名前を確認するように呟く。
「そうだ。いやか?」
「んーん」 ●VOICE
「んーん」 ●VOICE
ぷるぷると首を振ると、少女は自分を指差してもう一度言う。
「リゼット」 ●VOICE
「気に入ってくれたか」
「気に入ってくれたか」
そのしぐさに、盗賊は思わず笑みをこぼす。
少女は、今度は盗賊の方を指差して、首をかしげて見せた。
少女は、今度は盗賊の方を指差して、首をかしげて見せた。
「ん? どうした?」
そう口にした盗賊だったが、すぐにその真意に気が付いた。
「俺の名前か?」
「ん」 ●VOICE
「ん」 ●VOICE
こくりと頷く少女。
盗賊は少し難しそうな顔をして、眉間に皺を寄せた。
顔を知られたらまずいからつれてきたのに、名前まで教えていいものだろうか。
そう考えたのだ。
盗賊は少し難しそうな顔をして、眉間に皺を寄せた。
顔を知られたらまずいからつれてきたのに、名前まで教えていいものだろうか。
そう考えたのだ。
「んー」 ●VOICE
待っているのがイヤなのか、少女は指で盗賊の頬をぐいぐいと突っつく。
その行為に、盗賊の顔は見る見る赤くなっていく。
その行為に、盗賊の顔は見る見る赤くなっていく。
「ユーグ・・・! ユーグだ・・・!」
少女を突っぱねながら、盗賊、ユーグは焦ったように答えた。
その答えに満足したのがリゼットは身体を離し、改めて指をさして言う。
その答えに満足したのがリゼットは身体を離し、改めて指をさして言う。
「ユーグ」 ●VOICE
「そうだ・・・」
「そうだ・・・」
言わされた感のあるユーグは、顔を背けながら頷いた。
「リゼット」 ●VOICE
こんどは、自分を指差して言うリゼット。
どうやら名前を確認しているらしい。
どうやら名前を確認しているらしい。
「そうだ。覚えたか?」
そう聞くユーグに、リゼットは少しだけ表情をほころばせて「ん」とだけ応えた。
窓から入って来た日差しに目を覚ました少女は、ベットの上でごろりと転がった。
腹ばいになって両手両足をあらん限りに伸ばし、ぐいーっと伸びをする。
全身に柔らかなペットのもふもふ感に、少女はご満悦だ。
顔をめぐらせると、ソファーの上で丸まって寝ている盗賊の姿があった。
ベットから身体を離すのが惜しいのか、少女はゆっくりと
不満そうな顔をしながらも身体を起こす。
ようやく上半身を起こすと、少女は盗賊を指差した。
腹ばいになって両手両足をあらん限りに伸ばし、ぐいーっと伸びをする。
全身に柔らかなペットのもふもふ感に、少女はご満悦だ。
顔をめぐらせると、ソファーの上で丸まって寝ている盗賊の姿があった。
ベットから身体を離すのが惜しいのか、少女はゆっくりと
不満そうな顔をしながらも身体を起こす。
ようやく上半身を起こすと、少女は盗賊を指差した。
「ユーグ」 ●VOICE
昨日教えられたばかりの盗賊の名を呼ぶ。
今度は自分を指差すと、少女は確認するように言う。
今度は自分を指差すと、少女は確認するように言う。
「リゼット」 ●VOICE
名前の無かった少女に、盗賊がつけた名前だ。
少女。
リゼットは満足そうに頷くと、窓の方を見た。
まだ太陽は完全に上がりきっていないようだ。
リゼットは毛布を頭に被ると、再びベットに寝転がり寝息を立て始めた。
少女。
リゼットは満足そうに頷くと、窓の方を見た。
まだ太陽は完全に上がりきっていないようだ。
リゼットは毛布を頭に被ると、再びベットに寝転がり寝息を立て始めた。
長期滞在となると、頻繁に外に出るわけにも行かなくなる。
いつも同じ場所に買い物に行ったりすると、足がつきやすくなるからだ。
誰にも顔を覚えられず、普段はひっそりと暮らすのがユーグの流儀だった。
買い物に行かないようにするには、要するに自分で食料を生産すれば良い。
肉や木の実は森で取れる。
だが、野菜はそういうわけには行かない。
ユーグ的に、体調を整える上で野菜はとても重要だ。
体調が整っていなければ、仕事は成功しない。
それはツマリ、直接死を意味する。
なんとかして野菜を調達しなければいけない。
ならば。
自分で作ればいいのだ。
無論盗むと言う手もあるが、そんな仕事でも何がきっかけで失敗するか分からない。
野菜を盗もうとしてつかまって、余罪がばれて縛り首では目も当てられない。
そんなわけで、ユーグは毎回森の小屋に篭る時は小さな畑を作ることにしていた。
幸いこの森は土が非常に肥沃で、植物が良く育つ。
野菜作りの専門家でもないユーグでも、たやすく野菜が収穫できるのだ。
いつも同じ場所に買い物に行ったりすると、足がつきやすくなるからだ。
誰にも顔を覚えられず、普段はひっそりと暮らすのがユーグの流儀だった。
買い物に行かないようにするには、要するに自分で食料を生産すれば良い。
肉や木の実は森で取れる。
だが、野菜はそういうわけには行かない。
ユーグ的に、体調を整える上で野菜はとても重要だ。
体調が整っていなければ、仕事は成功しない。
それはツマリ、直接死を意味する。
なんとかして野菜を調達しなければいけない。
ならば。
自分で作ればいいのだ。
無論盗むと言う手もあるが、そんな仕事でも何がきっかけで失敗するか分からない。
野菜を盗もうとしてつかまって、余罪がばれて縛り首では目も当てられない。
そんなわけで、ユーグは毎回森の小屋に篭る時は小さな畑を作ることにしていた。
幸いこの森は土が非常に肥沃で、植物が良く育つ。
野菜作りの専門家でもないユーグでも、たやすく野菜が収穫できるのだ。
ユーグはクワとカマを物置から取り出してくると、早速その手入れを始めた。
慣れた手つきで刃を研ぐユーグに、リゼットは興味津々だ。
慣れた手つきで刃を研ぐユーグに、リゼットは興味津々だ。
「ゆーぐ それ、なに?」 ●VOICE
「ん?」
「ん?」
目を丸くしてじーっとクワを見つめるリゼット。
様子から察するに、こういったものを見たことが無いらしい。
ユーグはリゼットに見やすいようにクワを持ち上げて見せた。
様子から察するに、こういったものを見たことが無いらしい。
ユーグはリゼットに見やすいようにクワを持ち上げて見せた。
「これはクワだ。 畑を耕すのに使う」
「くわ? はたけ? なに、それ」 ●VOICE
「くわ? はたけ? なに、それ」 ●VOICE
クワを知らないのなら畑も知らないのは道理だろう。
少し考えてから、ユーグは仕方なさそうに言う。
少し考えてから、ユーグは仕方なさそうに言う。
「畑に行ってみるか? 小屋のすぐ外にあるから、危険も無いだろうしな」
リゼットには畑というのが何なのか良くわからなかったが、コクリとうなづいた。
ユーグに被せられた大きなむぎわら帽子をものめずらしそうにいじりながら、
リゼットは小屋の庭を歩いていた。
履いているのは、ユーグのサンダル。
着ている服は、もちろんユーグが買ってきた白いワンピースだ。
太陽は出ているのに、まぶしくないことがリゼットには不思議だった。
暫くむぎわら帽子をいじり、どうやらコレのおかげでまぶしくないらしいと
納得したリゼットは、小走りにユーグに近づいていった。
草の生えていない地面にしゃがみこんでいるユーグを後ろからのぞくと、
なにやら地面から顔を出した茶色いものを撫でている。
それはリゼットの良く知っている動物に似てはいたが、
若干形が違うような気がしなくも無かった。
別のものかともおもったが、リゼットは細かいことを一切気にしないタイプだったので
よく見知った動物と言うことにした。
リゼットは小屋の庭を歩いていた。
履いているのは、ユーグのサンダル。
着ている服は、もちろんユーグが買ってきた白いワンピースだ。
太陽は出ているのに、まぶしくないことがリゼットには不思議だった。
暫くむぎわら帽子をいじり、どうやらコレのおかげでまぶしくないらしいと
納得したリゼットは、小走りにユーグに近づいていった。
草の生えていない地面にしゃがみこんでいるユーグを後ろからのぞくと、
なにやら地面から顔を出した茶色いものを撫でている。
それはリゼットの良く知っている動物に似てはいたが、
若干形が違うような気がしなくも無かった。
別のものかともおもったが、リゼットは細かいことを一切気にしないタイプだったので
よく見知った動物と言うことにした。
「ねずみ」 ●VOICE
「ねずみじゃない。これはモグラだ」
「ねずみじゃない。これはモグラだ」
すぐに否定されて、リゼットはもう一度茶色いものを見てみた。
やっぱりリゼットの知る限り、一番近い形をしたものはねずみだった。
やっぱりリゼットの知る限り、一番近い形をしたものはねずみだった。
ユーグに言われて、リゼットは改めて生き物を見た。
どうやらネズミではないらしい。
どうやらネズミではないらしい。
「これは土の中で生きる動物だ。特にこいつは特別で、
地面の上に特定の植物だけを残して他を土の中に引きずり込む。
そうして土を肥沃にして、ミミズを育てるんだ。
その性質を利用して、畑を作る」
地面の上に特定の植物だけを残して他を土の中に引きずり込む。
そうして土を肥沃にして、ミミズを育てるんだ。
その性質を利用して、畑を作る」
なにやら説明しているユーグだったが、リゼットには話の半分も理解できていなかった。
元々、難しい話は得意ではないのだ。
ただなんとなく、このねずみっぽい生き物はもぐらという名前で、
とてもえらい動物らしいと言うことだけはわかった。
元々、難しい話は得意ではないのだ。
ただなんとなく、このねずみっぽい生き物はもぐらという名前で、
とてもえらい動物らしいと言うことだけはわかった。
リゼットは刻々と頷いてもぐらをじっと見つめた。
モグラは鼻先を轢く引くと動かし、目があるのかないのかぜんぜん分からない顔を
リゼットとユーグに世話しなく向けている。
暫くモグラを見つめてから、リゼットはきりっとした顔でユーグに向き直った。
モグラは鼻先を轢く引くと動かし、目があるのかないのかぜんぜん分からない顔を
リゼットとユーグに世話しなく向けている。
暫くモグラを見つめてから、リゼットはきりっとした顔でユーグに向き直った。
「つのもえらい」 ●VOICE
「・・・よほどきにいったんだな」
「・・・よほどきにいったんだな」
そのときのユーグは、なんともいえない顔難しい顔をしていた。
ユーグが今居る森に居る動物のほとんどには、正式な学名が無かった。
所謂、未発見の動物と言う奴だ。
危険な動物が多く、先住民と呼ばれる類の人間も居ないこの森には、
特有の生物が数多く生息していた。
いまユーグが撫でているモグラも、その一つだ。
普通のモグラと違い、自分で土地を整備して餌であるミミズを増やすのだ。
その過程で、なぜか数種類の植物を育てると言う行動をとる。
それを利用して、ユーグは野菜を育てていたるのだ。
ユーグも学者ではないのでどうしてそういうことをするのかそれ以上詳しくは
分からなかったが、野菜を作る手伝いをしてくれるならそれで十分だった。
幸い、前回この小屋を使ったときに探してきた個体が、まだ近くに居たらしい。
小屋からそう離れていない場所に、立派な畑を作ってくれていた。
後は、もぐらに野菜の種を預けて、水をまいてやれば良い。
ちょうどユーグがもぐらに種を直接渡しているところに、リゼットはやってきたのだ。
所謂、未発見の動物と言う奴だ。
危険な動物が多く、先住民と呼ばれる類の人間も居ないこの森には、
特有の生物が数多く生息していた。
いまユーグが撫でているモグラも、その一つだ。
普通のモグラと違い、自分で土地を整備して餌であるミミズを増やすのだ。
その過程で、なぜか数種類の植物を育てると言う行動をとる。
それを利用して、ユーグは野菜を育てていたるのだ。
ユーグも学者ではないのでどうしてそういうことをするのかそれ以上詳しくは
分からなかったが、野菜を作る手伝いをしてくれるならそれで十分だった。
幸い、前回この小屋を使ったときに探してきた個体が、まだ近くに居たらしい。
小屋からそう離れていない場所に、立派な畑を作ってくれていた。
後は、もぐらに野菜の種を預けて、水をまいてやれば良い。
ちょうどユーグがもぐらに種を直接渡しているところに、リゼットはやってきたのだ。
しゃがみこんでなにやらモグラに話しかけているリゼットを横目に、
ユーグは畑の具合を見ていた。
人間が作ったそれに用に綺麗に作られたそれには、今はキイチゴが数種類
育てられていた。
明日のうちには、これらはすべて土に引きずり込まれて肥料にされ、
ユーグが渡した種がまかれるはずだ。
良く成っているが、モグラは果実には特に興味が無いらしい。
せっかくなので、すべて収穫していくことにした。
幸い害虫はモグラが食べるし、小動物や鳥は近くを飛び跳ねている白いうさぎ、
リゼット曰く「つの」を警戒して身を取りに来ていないようだ。
ユーグは畑の具合を見ていた。
人間が作ったそれに用に綺麗に作られたそれには、今はキイチゴが数種類
育てられていた。
明日のうちには、これらはすべて土に引きずり込まれて肥料にされ、
ユーグが渡した種がまかれるはずだ。
良く成っているが、モグラは果実には特に興味が無いらしい。
せっかくなので、すべて収穫していくことにした。
幸い害虫はモグラが食べるし、小動物や鳥は近くを飛び跳ねている白いうさぎ、
リゼット曰く「つの」を警戒して身を取りに来ていないようだ。
おいしそうな真っ赤な果実がたくさん成っている。
もぐらに畑に入る許可を得てあるが、なるべくみねを潰さない様に
ゆっくりと脚を踏み入れる。
手で身を摘み取り、手かごに入れていく。
ぶどうの房のような粒粒とした外見のキイチゴは、ユーグの良く知っている品種だ。
葉の形や茎の色などで食べられる種類であることを念入りに確かめながら、
形のいびつな身を一つ口に入れてみた。
甘酸っぱく、味が強い。
酸味よりも若干勝る甘みは、なかなかに上品で美味い。
全部摘み取れば、かごいっぱいにはなるだろう。
思いがけない収穫に、ユーグは表情にこそ出さなかったが満足気だ。
キイチゴをつんでいると、リゼットのほうが騒がしくなっていることに気が付く。
モグラと遊んでいるんだろうかと思いリゼットのほうを見る。
しゃがみこんでいるリゼットが見ていたのは、地面から顔を出すモグラだった。
ただ、最初にユーグが見たときよりもその数は明らかに増えていた。
その数、およそ20程度だろうか。
もぐらに畑に入る許可を得てあるが、なるべくみねを潰さない様に
ゆっくりと脚を踏み入れる。
手で身を摘み取り、手かごに入れていく。
ぶどうの房のような粒粒とした外見のキイチゴは、ユーグの良く知っている品種だ。
葉の形や茎の色などで食べられる種類であることを念入りに確かめながら、
形のいびつな身を一つ口に入れてみた。
甘酸っぱく、味が強い。
酸味よりも若干勝る甘みは、なかなかに上品で美味い。
全部摘み取れば、かごいっぱいにはなるだろう。
思いがけない収穫に、ユーグは表情にこそ出さなかったが満足気だ。
キイチゴをつんでいると、リゼットのほうが騒がしくなっていることに気が付く。
モグラと遊んでいるんだろうかと思いリゼットのほうを見る。
しゃがみこんでいるリゼットが見ていたのは、地面から顔を出すモグラだった。
ただ、最初にユーグが見たときよりもその数は明らかに増えていた。
その数、およそ20程度だろうか。
「ぶっ」
思わず噴出すユーグ。
サイズ的に見て、一番最初に出てきた個体が親なのだろうか。
他のものは少し小ぶりだ。
もしかしたら親子なのかもしれない。
あっけにとられているユーグに気が付いたリゼットは、顔を上げモグラらを指差した。
サイズ的に見て、一番最初に出てきた個体が親なのだろうか。
他のものは少し小ぶりだ。
もしかしたら親子なのかもしれない。
あっけにとられているユーグに気が付いたリゼットは、顔を上げモグラらを指差した。
「もぐら、たくさんいた」 ●VOICE
「・・・そうだな」
「・・・そうだな」
なんともいえない顔になっているユーグを尻目に、りぜっとはぶんと両手を振り上げた。
それにあわせるように、上半身だけを地面に出したモグラたちも前足を振り上げる。
そして。
なにかのあいずがあるわけでもなく、同時にゆらゆらと左右に揺れ始めた。
それにあわせるように、上半身だけを地面に出したモグラたちも前足を振り上げる。
そして。
なにかのあいずがあるわけでもなく、同時にゆらゆらと左右に揺れ始めた。
「もぐら もぐら もぐら」 ●VOICE
なにやらリズミカルに呟くリゼットの声にあわせて、ゆらゆら揺れるリゼットとモグラ。
時々子モグラがワンテンポ遅れるが、あわてたように動きをあわせている。
時々子モグラがワンテンポ遅れるが、あわてたように動きをあわせている。
「・・・何なんだ一体・・・」
あまりの出来事にユーグの収穫作業は暫く滞ったのだった。
何とかキイチゴをつみ終わったころには、もう昼食の時間になっていた。
モグラとの遊びに満足したのか、薪束に座って待っていたリゼットに、
ユーグはゴハンにしようと声をかけた。
ユーグの作業が終わるのを待っていたリゼットは、コクリと頷き
抱えていたバスケットを突き出す。
中に入っているのは、固焼きのパンと干し肉。
仕事の合間に食べる為に、ユーグがわざわざ用意しておいたのだ。
ユーグはリゼットからバスケットを受け取ると、自分も薪束に腰を下ろした。
積んだばかりのキイチゴを一つ手にすると、ちぎったパンに乗せて
口の放り込む。
ジャム代わりには申し分ない。
ぽかんとしているリゼットに、ユーグはパンとキイチゴを手渡す。
モグラとの遊びに満足したのか、薪束に座って待っていたリゼットに、
ユーグはゴハンにしようと声をかけた。
ユーグの作業が終わるのを待っていたリゼットは、コクリと頷き
抱えていたバスケットを突き出す。
中に入っているのは、固焼きのパンと干し肉。
仕事の合間に食べる為に、ユーグがわざわざ用意しておいたのだ。
ユーグはリゼットからバスケットを受け取ると、自分も薪束に腰を下ろした。
積んだばかりのキイチゴを一つ手にすると、ちぎったパンに乗せて
口の放り込む。
ジャム代わりには申し分ない。
ぽかんとしているリゼットに、ユーグはパンとキイチゴを手渡す。
「ほら。食べてみろ」
掌に乗せられたキイチゴを、リゼットはじーっと眺める。
「これは、キイチゴ」
確認するように呟くリゼット。
さっき畑でつんでいるユーグに教えてもらったのだ。
さっき畑でつんでいるユーグに教えてもらったのだ。
「あかくて、いいにおい。 おいしそうだ」
こくこくと頷くと、リゼットは口の中にキイチゴを放り込む。
数回あごを動かすと、ぴたりとその動きを止めた。
数回あごを動かすと、ぴたりとその動きを止めた。
「どうした? すっぱかったか?」
ユーグの言葉に、リゼットは首を振る。
「あまかったから、びっくりした」
もしかしたら、イチゴと言うものを食べたことが無いのかもしれない。
「あかいから、ほしにくのあじかとおもった。
けど、あまいのもおいしいな」
けど、あまいのもおいしいな」
どうやらリゼットの中でのおいしい基準は干し肉らしい。
「そうか・・・もっと食べるか?」
コクリと頷くリゼットの手に、ユーグは再びキイチゴをいくつか乗せる。
今度はパンと一緒にそれを食べているリゼット。
ユーグは暫くリゼットの様子を眺めてから、自分も食事を再開した。
今度はパンと一緒にそれを食べているリゼット。
ユーグは暫くリゼットの様子を眺めてから、自分も食事を再開した。
食事を終え、ユーグが次に向かったのは水汲み場だった。
小屋から少し離れた泉から植物を使ったパイプで引いて来ているそれは、
飲み水にも畑の水にも使うライフラインの一つだ。
パイプから出てくる最初の水は飲用で、岩を削って作った桶状の部分にたまる。
そこからあふれた水は、下に置いてある大きな瓶に溜められ、
畑用に使うことにしていた。
まずはパイプから出る水をコップに受け、水量を確認する。
頭の中で数を数え、いっぱいになるまでの時間を計る。
水が出ているということは途中で折れていると言った事は無いだろうが、
ゴミなどが詰っていたら水量が減っている恐れがある。
そうなったら修理しに行かなくてはいけない。
いつ何があるか分からない森の中だ。
事前にそうならないように出来るなら、それに越したことは無い。
何度か測ってみるが、水量は問題ないようだった。
飲用に適した水質も保っているし、どうやらパイプも泉にも問題は無さそうだ。
コップに水を汲み、一息で飲み干す。
パイプの距離はけして短くは無い。
少しはぬるくなりそうなものだが、流れてくる水は冷たくて美味しい。
コップを洗おうとして、ユーグは妙な視線に気が付き振り向いた。
言うまでも無く、リゼットだ。
小屋から少し離れた泉から植物を使ったパイプで引いて来ているそれは、
飲み水にも畑の水にも使うライフラインの一つだ。
パイプから出てくる最初の水は飲用で、岩を削って作った桶状の部分にたまる。
そこからあふれた水は、下に置いてある大きな瓶に溜められ、
畑用に使うことにしていた。
まずはパイプから出る水をコップに受け、水量を確認する。
頭の中で数を数え、いっぱいになるまでの時間を計る。
水が出ているということは途中で折れていると言った事は無いだろうが、
ゴミなどが詰っていたら水量が減っている恐れがある。
そうなったら修理しに行かなくてはいけない。
いつ何があるか分からない森の中だ。
事前にそうならないように出来るなら、それに越したことは無い。
何度か測ってみるが、水量は問題ないようだった。
飲用に適した水質も保っているし、どうやらパイプも泉にも問題は無さそうだ。
コップに水を汲み、一息で飲み干す。
パイプの距離はけして短くは無い。
少しはぬるくなりそうなものだが、流れてくる水は冷たくて美味しい。
コップを洗おうとして、ユーグは妙な視線に気が付き振り向いた。
言うまでも無く、リゼットだ。
「飲むか?」
コップに水を汲んで差し出すと、リゼットはコクリと頷いてそれを受け取る。
「こっぷ、つめたい」
目を丸くするリゼットに、ユーグは「美味いぞ」と飲んでみるように促した。
落とさないためか、両手で持ったコップに口を付けると、
ユーグがそうしたように一気に飲み干す。
落とさないためか、両手で持ったコップに口を付けると、
ユーグがそうしたように一気に飲み干す。
「ぷはー」
声を出して息を吐き出すと、味をかみ締めるようにコクコクと頷く。
「つめたくて、きれいで、うまいみずだ」
どうやら気に入ったらしい。
「よかったな」
「うん よかった。 ゆーぐものむといい」
「俺は今さっき飲んだだろう?」
「そうか。 りぜっとも、のんだ。おいしかった」
「うん よかった。 ゆーぐものむといい」
「俺は今さっき飲んだだろう?」
「そうか。 りぜっとも、のんだ。おいしかった」
納得したように頷くリゼットを見て、ユーグはクスリと笑った。
その顔を見て、リゼットもうれしそうに微笑む。
一瞬、ユーグの頭の中で黒い影が首をもたげた。
殺そうとした少女の様子を見て、笑っている自分が居る。
盗みに入ったあの時。
もしあの妙な感覚に襲われなかったら、自分はなんのためらいもなく
この少女を手にかけていたのだろう。
そして今も、一人でここに居たはずだ。
目の前に居る少女が、微笑んでいるリゼットが居なかったかもしれない。
自分の手でリゼットの首を掻き切って。
その顔を見て、リゼットもうれしそうに微笑む。
一瞬、ユーグの頭の中で黒い影が首をもたげた。
殺そうとした少女の様子を見て、笑っている自分が居る。
盗みに入ったあの時。
もしあの妙な感覚に襲われなかったら、自分はなんのためらいもなく
この少女を手にかけていたのだろう。
そして今も、一人でここに居たはずだ。
目の前に居る少女が、微笑んでいるリゼットが居なかったかもしれない。
自分の手でリゼットの首を掻き切って。
「このぼうがみずだしてるのか」
リゼットの声に、思考が中断される。
どうやら水が出てくる場所に興味を持ったらしいリゼットは、
パイプをつんつんとつっついていた。
真剣な顔で流れる水を見るリゼットに、ユーグの心は一気に和らぐ。
パイプの口に噛み付いて水を飲んでいるリゼットを引き剥がしながら、
呆れた様な顔を作る。
どうやら水が出てくる場所に興味を持ったらしいリゼットは、
パイプをつんつんとつっついていた。
真剣な顔で流れる水を見るリゼットに、ユーグの心は一気に和らぐ。
パイプの口に噛み付いて水を飲んでいるリゼットを引き剥がしながら、
呆れた様な顔を作る。
「これは筒になっているんだ。 遠いところから水を運んできてる」
不思議そうに眉を寄せるリゼット。
ユーグはこんこんとパイプを叩き、ずっと続いているパイプの列を指差す。
長く続くそれをみて、少し考えるようなそぶりを見せてからリゼットは
ようやく納得したと言うように頷いた。
ユーグはこんこんとパイプを叩き、ずっと続いているパイプの列を指差す。
長く続くそれをみて、少し考えるようなそぶりを見せてからリゼットは
ようやく納得したと言うように頷いた。
「すごくながいな。 みず、たくさんあるんだな」
じっとパイプの向こうを眺めているリゼット。
ふと、ユーグは思いついたことを口にしてみる。
ふと、ユーグは思いついたことを口にしてみる。
「パイプの先が気になるなら、見に行ってみるか?」
その言葉にリゼットはすぐにユーグに顔を向け、コクリと頷く。
反応の速さから、余程気に成っているらしいことが伺えた。
反応の速さから、余程気に成っているらしいことが伺えた。
「すぐにいくのか?」
少し考えてから、ユーグは答える。
「いや。明日にしよう。準備もあるしな。ついでだから、あっちで昼飯でも食べるか」
一人で行くのならともかく、リゼットも一緒に連れて行くと成ると色々と
予定外のことも起こるだろう。
準備を整える為にも、すぐに出発と言うのは早すぎると考えたのだ。
リゼットも納得したのか、こくこくと頷く。
予定外のことも起こるだろう。
準備を整える為にも、すぐに出発と言うのは早すぎると考えたのだ。
リゼットも納得したのか、こくこくと頷く。
「そうか。 ごはんも、みずも、たのしみだな」
どうやら昼飯を食べると言う言葉に反応したらしい。
ふと、後ろの方でじゃらじゃらと鎖の音がした。
振り返ってみると、ウサギが飛び放て鎖を鳴らしているのだと分かった。
さっきまで静かだったのに、急にどうしたのかと首を捻るユーグ。
だが、リゼットにはその理由が分かるらしい。
両手を上にピンと伸ばすと、ユーグにたずねる。
ふと、後ろの方でじゃらじゃらと鎖の音がした。
振り返ってみると、ウサギが飛び放て鎖を鳴らしているのだと分かった。
さっきまで静かだったのに、急にどうしたのかと首を捻るユーグ。
だが、リゼットにはその理由が分かるらしい。
両手を上にピンと伸ばすと、ユーグにたずねる。
「つのもいく?」
「いや。連れて行かないが」
「つのは、おるすばん」
「いや。連れて行かないが」
「つのは、おるすばん」
そう言いながら、リゼットはうさぎにむかってお辞儀をするようなかっこうをして見せた。
うさぎはひくひくと鼻を動かすと、再び草を食み始める。
うさぎはひくひくと鼻を動かすと、再び草を食み始める。
「つの、わかったって。 おりこうさんだ」
なぜか得意げに言うリゼットに、ユーグ一言。
「そうか」
というのがやっとなのだった。
うさぎと一緒に飛び回るリゼットを横目に、明日使う道具を用意するユーグ。
そうしているうちに、いつの間にか日が沈みかけていた。
茜色に染まる空を見上げて、ユーグは額と頬の汗をぬぐった。
帽子のおかげで日差しは気にならなかったが、そろそろ暑くなってくる時期だ。
着ているシャツも汗でぐっしょりになってしまった。
くるりと見回すと、リゼットがうさぎの顔を水桶で隠して遊んでいるのが見えた。
どうやら桶を被せてからあけると、耳が横倒しになっているのが面白いらしい。
底板が邪魔で耳がまっすぐに立てられないのだろう。
しかし何でうさぎも嫌がらずにされるがままになっているのか。
毎回水桶を被せるときは無表情。
はずしたときうさぎの耳を見て、良く観察しないと分からない程度の
驚いた表情になるリゼット。
ほうって置いても水桶は開放されそうに無いので、ユーグはリゼットに
声をかけることにした。
そうしているうちに、いつの間にか日が沈みかけていた。
茜色に染まる空を見上げて、ユーグは額と頬の汗をぬぐった。
帽子のおかげで日差しは気にならなかったが、そろそろ暑くなってくる時期だ。
着ているシャツも汗でぐっしょりになってしまった。
くるりと見回すと、リゼットがうさぎの顔を水桶で隠して遊んでいるのが見えた。
どうやら桶を被せてからあけると、耳が横倒しになっているのが面白いらしい。
底板が邪魔で耳がまっすぐに立てられないのだろう。
しかし何でうさぎも嫌がらずにされるがままになっているのか。
毎回水桶を被せるときは無表情。
はずしたときうさぎの耳を見て、良く観察しないと分からない程度の
驚いた表情になるリゼット。
ほうって置いても水桶は開放されそうに無いので、ユーグはリゼットに
声をかけることにした。
「すまないが、水桶を貸してくれないか」
ユーグの言葉に、リゼットとうさぎが振り返る。
「はい」
「ん。有難う」
「ん。有難う」
水桶を受け取り、ユーグはリゼットの頭をぽんぽんと撫でた。
撫でられて目を細めるリゼットを横目に、ユーグは水汲み場に歩を進める。
水桶に水を汲むと、首からかけていたタオルをその中に突っ込む。
着ていたTシャツを脱ぐと、パイプにばさりとかけた。
この日差しの強いなか、真っ黒なシャツを着ていたら汗もかくだろう。
タオルを引き上げ、固めに絞り身体を拭きくユーグ。
その仕草に、リゼットは興味心身だ。
うさぎと一緒に、じーっとユーグのことを見つめている。
水桶の水を頭からかぶり、タオルで顔を拭いたところで、
ユーグは一人と一匹の視線に気が付いた。
撫でられて目を細めるリゼットを横目に、ユーグは水汲み場に歩を進める。
水桶に水を汲むと、首からかけていたタオルをその中に突っ込む。
着ていたTシャツを脱ぐと、パイプにばさりとかけた。
この日差しの強いなか、真っ黒なシャツを着ていたら汗もかくだろう。
タオルを引き上げ、固めに絞り身体を拭きくユーグ。
その仕草に、リゼットは興味心身だ。
うさぎと一緒に、じーっとユーグのことを見つめている。
水桶の水を頭からかぶり、タオルで顔を拭いたところで、
ユーグは一人と一匹の視線に気が付いた。
お前も体拭くか?
と、言おうとしたユーグだったが、言うのはやめて置いた。
リゼットならいきなり裸に成りかねないと思ったからだ。
そう思っただけでなぜか転がりまわりたい衝動に駆られたユーグだったが、
タオルを水桶に叩き付けて何とか堪え切った。
顔は真っ赤に成っていたが、まあ、周りも真っ赤だったから大丈夫だろう。
リゼット的には、ただ「あのまるいのはそうやって使うのか」と、
感心していただけだったのだが。
リゼットならいきなり裸に成りかねないと思ったからだ。
そう思っただけでなぜか転がりまわりたい衝動に駆られたユーグだったが、
タオルを水桶に叩き付けて何とか堪え切った。
顔は真っ赤に成っていたが、まあ、周りも真っ赤だったから大丈夫だろう。
リゼット的には、ただ「あのまるいのはそうやって使うのか」と、
感心していただけだったのだが。
「明日、泉に行ったときに水浴びさせてやるから。
今日は拭くだけで我慢してくれ」
今日は拭くだけで我慢してくれ」
突き出されたタオルを受け取り、リゼットは首をかしげた。
ユーグがやっていたのをまねして、ばふりと顔にタオルを押し付けてみる。
冷たくて気持ちいい。
今度はごしごしとこすってみる。
なんだかすっきりして、気持ちいい。
顔にタオルを乗せたまま、上を向いて落っこちないようにしてみる。
すーすーして涼しくて、気持ちいい。
ユーグがやっていたのをまねして、ばふりと顔にタオルを押し付けてみる。
冷たくて気持ちいい。
今度はごしごしとこすってみる。
なんだかすっきりして、気持ちいい。
顔にタオルを乗せたまま、上を向いて落っこちないようにしてみる。
すーすーして涼しくて、気持ちいい。
「なにやってるんだ?」
不思議そうな顔をしているユーグに、リゼットは顔から離したタオルを返す。
「すずしくてきもちいい。 ゆーぐもやるといい」
「拭くだけにして置く。
身体も拭きたいだろうが、着替えるだけで我慢できるか?」
「拭くだけにして置く。
身体も拭きたいだろうが、着替えるだけで我慢できるか?」
ユーグの言葉に、リゼットはこくこくと頷く。
そんなに汗もかいていないし、リゼットには元々毎日身体を拭く習慣が無い。
着たきりスズメで十数日居ることもざらだった。
ユーグは開けっ放しの窓際に置いてあった二枚のシャツを取ると、
一枚をリゼットに渡す。
そんなに汗もかいていないし、リゼットには元々毎日身体を拭く習慣が無い。
着たきりスズメで十数日居ることもざらだった。
ユーグは開けっ放しの窓際に置いてあった二枚のシャツを取ると、
一枚をリゼットに渡す。
「おれが外にいる間に、小屋の中で着換えて来るといい」
朝もそういわれて、リゼットは一人で小屋の中でワンピースに着換えた。
一緒に着換えようといったが、ユーグは真っ赤になって断固拒否。
きっとユーグは恥ずかしがり屋なのだろうと、リゼットは思った。
とことこと小走りで小屋に入っていくリゼットを見て、ユーグは思い立ったように
タオルを水に漬けて絞る。
窓の近くにあるテーブルにそれを置くと、リゼットに声をかけた。
一緒に着換えようといったが、ユーグは真っ赤になって断固拒否。
きっとユーグは恥ずかしがり屋なのだろうと、リゼットは思った。
とことこと小走りで小屋に入っていくリゼットを見て、ユーグは思い立ったように
タオルを水に漬けて絞る。
窓の近くにあるテーブルにそれを置くと、リゼットに声をかけた。
「着換えるついでに身体も拭いておくといい。すっきりするだろう」
はじめからこうすればよかった。
そう思うユーグ。
この後、身体を拭いてすっきりしたリゼットが服を着忘れたり。
そのままで入ってもいいか確認するユーグに「いいよ」と告げてみたり。
小屋に入って真っ裸のリゼットに遭遇してユーグが気絶しそうになったりした。
それでもなんとか、リゼットは無事にユーグのシャツに着換えることに
成功したのだった。
そう思うユーグ。
この後、身体を拭いてすっきりしたリゼットが服を着忘れたり。
そのままで入ってもいいか確認するユーグに「いいよ」と告げてみたり。
小屋に入って真っ裸のリゼットに遭遇してユーグが気絶しそうになったりした。
それでもなんとか、リゼットは無事にユーグのシャツに着換えることに
成功したのだった。
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こちら
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に分けました
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