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「超能力少年、そしてとなりのストーカー」(2008/11/14 (金) 16:30:05) の最新版変更点
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**超能力少年、そしてとなりのストーカー ◆m0TQE.IDWQ
「………………ふぅ」
四方を絶海に囲まれた地獄の島。
その島に唯一つの短い溜め息が響く、それは心底からの溜め息だった。
溜め息をついたのは何の変哲も無い言ってしまえば平凡な少年。
これまた普遍的な青いブレザーとズボンといった制服を纏い顎に手を当てて何かを思案しているようだった。
茶髪とそれなりの長身で端整な容姿だが、それでも何処でもいるような少年のようである。
だが彼は平凡な少年ではない。
「……不覚ですね」
彼はただ不覚と思った、自分が気が付かない内に殺し合いに参加させられてしまった事に。
そして自身が保護しなければ存在まで巻き込んでしまった事に。
彼の正体は古泉一樹、一種の超能力少年である。
その持ちゆる超能力故に「機関」に属していた。「機関」とは彼のような能力者の集まりである。
その「機関」から彼が託された使命、世界に多大な影響及ばすと言われる涼宮ハルヒの保護。
それはこの島でも行われなければなら無い義務であった。
(…………さてSOS団内で見せてる演技はどうしましょうか?)
そこで古泉は彼が涼宮ハルヒ達の前で振舞っている演じている云わば仮の「古泉一樹」の姿のことを考える。
涼宮ハルヒが古泉に望む願望である、敬語を使い微笑を浮かべて温和な性格。
それをこの島でも演じ続けるのだろうかという事。
今、古泉の周りにはSOS団の面子は居ない。
だが
(……いえ、そのまま続けましょう。僕の周りには居ませんが……何処かできっと長門さんが見てるでしょうし)
彼は演技を続ける事に決めた。
理由の一つとして上げられるのは何故か主催者である長門有希の存在。
長門は情報思念体に造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースで主流派に属す者である。
彼女の役割は涼宮ハルヒの観察であり彼女を死の危険に晒す事は有り得ないはずだった。
それは兎も角長門もハルヒが立ち上げたSOS団の団員である。
主催である彼女ならこの島で起きていることを常に把握していてもおかしくは無いだろう。
ならば常に見られていると言う可能性もあると古泉は判断した。
それにもしこれから別の参加者と遭遇した場合、その参加者がSOS団に関わりある人物と情報交換していたなら別の人格だったら疑われる危険性だってある。
総合的に判断して演技をしないデメリットの方が高い。
そう古泉は結論付けて改めて考える。
(まず……僕がすべき事は早期の涼宮ハルヒ及び彼の保護。こういう非常時ならなおさら急がなくては)
そして古泉がこの孤高の島で自らがすべき方針を考える。
とはいえそれ例え殺し合いの舞台に上がろうとも大きな事は変わらない。
機関から託された使命でもある涼宮ハルヒの保護、そして涼宮ハルヒの大きなキーになる人物でもあるキョン。彼の保護。
これが古泉の大きな役割であり殺し合いでも変わらないことであった。
次に古泉が考えたのは自分たちの知り合いである。
まずは朝比奈みくる、SOS団の仲間であり未来人でも彼女。おっとりとしてるが謎な所もある彼女だが取り敢えず合流できるのならしたい。
何せ彼女もきっと涼宮ハルヒとキョンの保護は方針として香がげるであろうと言う判断からである。
次はキョンの妹。そのまんまキョンの妹である。取り敢えずは保護でしょうと古泉は思う。
キョンは心配するだろうしキョンのことを考えるなら保護しない理由はない。とはいえ積極的に探し人物でもないと判断。
最後に朝倉涼子。長門有希と同じ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。違う点は彼女が急進派に属してると言う点。
しかし古泉にとって不可解な点がひとつだけ存在する。
それは彼女がもう消滅はずである存在であった事だ。なのに名簿に書かれていた。余りにも不自然だった。
が、考えても答えは出せない。よって保留と判断した。最も危険人物だという認識はしていたが。
(とりあえずこんな感じでしょうか。後はこちらが知らない他の参加者はどうしましょうか?)
古泉は知り合いに対する方針に一旦目処をつけ次に他の参加者について考え始めた。
まずは他の参加者と接触した場合優先すべきは涼宮ハルヒ及びキョンの情報である。
それを確実に聞き出し集める。それが涼宮ハルヒに繋がるのだから。
そして利用できる参加者はできるだけ利用する事を決めた。
如何せん他の参加者の情報は未だに不足している。古泉自身より強い者は確実にいるだろう。
ならばそれを盾にし、己が身を守ることを優先。
そして利用できない参加者については見捨てるかもしくは切り捨てる。
取り敢えず優先すべきは涼宮ハルヒとキョンなのだ。
他の参加者の事などは後でいい。
そう古泉は判断した。
(さて僕自身の身の振り方はこんなものでしょう。細かい事は適宜決めるとして……後は支給品を確認しましょう。何か有効になる物は無いでしょうか?)
そしてまず彼が見つけたのは銃器、それもかなり大型の。
それはH&K XM8と言う光学サイト付きアサルトライフルだった。
身体能力は並みの古泉としては大きな武器であり当たりに属す物である。
その銃は数あるアサルトライフルの中でも最近に開発されたものでアサルトライフルの革命さえ言われてるものである。
その他にも支給されたものを確認し古泉は一息をつく。
(さて大まかな事は全て終えました……少し考えて見ましょうか。この殺し合いについてを……)
まず考えるは主催者の位置に居座っている長門有希の存在である。
本来彼女は涼宮ハルヒの観察が目的だったはず。
なのにふざけた殺し合いの主催者になっていた。
これが涼宮ハルヒやキョンが参加して無いならまだ解る、それなら恐らくだが情報思念体に役目を与えられたとかそんな感じであろう。
しかし彼女達が参加しているのだ、故に理由が分からない。
考えられる推論としては情報思念体そのものが考えを変えたと言う点。
情報思念体は涼宮ハルヒの処遇について主流派、急進派、穏健派に分かれている。
これが何かを切っ掛けにバランスを崩して考えが急速に変わったという事だ。
それ故にこんな殺し合いを開いて且つ彼女達も巻き込んでいると言う推論。
だがしかし古泉では立てられるのはあくまで推論である。
彼は推論は立てはする事はできたとしてもこれを信じる気にはあまりなれなかった。
そこで一旦古泉は長門についての推論を止めもう一人の主催者ついて思考をめぐらす。
もう一人の主催者の男の名前は草壁タツオという壮年の親父であった。
まず考えられるとしたら長門と同じく情報思念体によって作られた存在であろうと言う事。
というより今古泉が持ちゆる情報だけではそう判断するしか他無かった。
兎も角長門がいることから確実に裏に情報思念体が絡んでいる事は確実であろう。
この殺し合いがどういった経緯で開かれた理由が分からない現状調べるしかない。
そこで古泉が思い浮かぶのは3人の人物。
一人は長門と同じ存在である朝倉涼子。長門と同じく情報思念体に属する彼女ならなにかしら情報を知っているだろうと。
最も接触するには最大限の注意が必要だが。危険人物である事は変わりないのだから。
そして残り二人は草壁サツキ、草壁メイ。
偶然かもしれないがもう一人の主催者と同じ苗字を冠する二人。何かしら草壁タツオの情報を持ってる可能性は高い。
彼女達は名前しか知らないが接触する価値はあるだろうと。
(もしかすると草壁サツキ、草壁メイが長門さん達と同じ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースかも知れませんね……)
そして草壁タツオが情報思念体に属するのなら彼女達も長門達と同じではないかと推測する。
だからといって何かが変わるわけではないが警戒する必要はあるだろうと。
(何れにせよ……接触を試みたいですね。後は―――)
その後さらに古泉は思案を加速していく。
それでも周りの警戒だけは怠っていなかった。
だがしかしそれでも気付かなかった。
あまりに唐突に。
あまりに普通に。
あまりに自然に。
隣に居た古泉をゆうに越す巨体の生物には。
その生物は鼠色の毛皮を持ちただ古泉の隣に聳え立っている。
大きさは古泉の2倍以上もあり耳をピンと立てただ静かに古泉の傍にいた。
そして
(それと―――え?)
やっと古泉は気付く。
隣に自然といたその生き物――トトロ――に。
そっと古泉は思索をやめとなりに振り向く。
そこにはニーーと怪しい笑みを浮かべ古泉をじっと見つめる鼠色の化け物。
あまりに普通に自然に唐突だった。
「…………っ!?」
古泉の顔が驚愕に染まり即座に退避を考えトトロから逃げ始めた。
これには流石の古泉も驚いた。
流石に人ではない化け物の参加者が居る事は想定はしていなかったのである。
しかもそれが人とかけ離れた鼠色で巨躯の化け物である。
故に退避。
古泉も情報交換する気が起きなくてまた交換できるかさえ不明であるのだ。
それにいつの間にか隣に居たのだ。不気味で仕方がない。
攻撃するにするにしろこの不可解で明らかに地球に存在しない生物に果たして銃撃が効果があるかさえも分からない。
そう判断した古泉は退避を選び取りすかさず駆け出す。
瞬く間にトトロの元から離れる古泉。
それをトトロはただ見守っているだけだった。
あの口が裂けんばかりの笑みで。
ずっと。
ずっと笑っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……はぁはぁ。ここまで逃げれば大丈夫でしょう」
古泉は暫く走って逃げていた。
そして辺りを見回すとトトロはいなく唯草原が広がってるだけ。
どうやら撒いたようだ。
ふうと古泉は溜め息をつき先ほどの化け物について考えを巡らす。
あんな化け物がいるとは思わなかったと。
しかし他にも人い外の参加者がいるかもしれないと考えた時。
ふととなりを見てみる。
「…………………………はい?」
そこには先ほどと同じようにとなりに立っているトトロ。
あまりに唐突に。
あまりに普通に。
あまりに自然に。
となりに立っていた。
ニンマリと同じ笑みで古泉を見下ろした。
古泉はただ戦慄するだけ。
気配が全く無かった。
むしろほんの数秒前まで周囲に居なかった筈だ。
なのに何故もう隣に居る。
ただ、ただ恐怖した。
「…………っ」
古泉はその恐怖のまま逃げ出した。
こんな規格外な化け物相手にできないと言う判断の元に。
瞬く間にトトロの元から離れる古泉。
それをトトロはただ見守っているだけだった。
あの口が裂けんばかりの笑みで。
ずっと。
ずっと笑っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……はぁはぁ……流石にもう走れませんね」
あれからまた逃げ出し体力のある限りただ走っていた。
そして辿り着いたのはあたりを一望できる砂丘。
古泉はもう体力の限界が着ており服に砂が纏わりつくのを厭わずそのままに寝転がった。
空には星が耀き、ただ古泉はそれを眺めていた。
それを行っている内に古泉の心に安堵が宿り始める。
あの化け物を撒く事ができたのだ。
ふうと溜め息をつきふととなりを見ると。
「…………………………やっぱりですか…………………………」
そこには先ほどと同じようにとなりに立っているトトロ。
あまりに唐突に。
あまりに普通に。
あまりに自然に。
となりに立っていた。
ニンマリと同じ笑みで古泉を見下ろした。
古泉の心に諦観のようなものが襲ってくる。
もう体力の限界であり逃げる事はできない。
例え逃げ出してまた同じ様に隣に居るだろう。
この化け物がこんなに自分を追ってくるのは殺し合いに乗ってるのではないかと思い。
ここで命の終わりかと思ってしまった。
どちらにしろ体力がそこをつき動けない。
その時トトロが笑い動き始めた。
古泉は終わりかと思い寝転がったまま星を見続ける。
やがて来る死を待って。
「え……?」
だが死は訪れなかった。
トトロはそのまま古泉と同じ様に寝転がったのだ。
大の字になって星を見ていた。
古泉と同じ様にずっと星を見ている。
古泉はただ唖然としたまま考える。
この化け物は殺し合いになど乗っていない。
ならば何故自分を追ってきたのかと。
一つ答えが浮かんだ。
それは古泉が人と会ったら恐らくやるだろう事に。
そうそれは
「……貴方は人と交流したいのですか? 僕と?」
人との交流。
その古泉の言葉にトトロの笑みがさらに広がっていく。
とても単純な事だった。
それをトトロは行おうとしただけだったのだ。
はあと古泉は溜め息をつく。
何故こんなに必死に自分は逃げたんだろうと。
あほらしくさえ思ってきた。
そしてトトロと同じ様に星を見ながらただこう思う。
満更でもない。だがしかし。
これは
「……やれやれ困ったものです……」
そう思いいつものように苦笑いをして星を見続けた。
トトロのとなりで一緒に笑いながら。
ただ星を見ていた。
【J-8 砂丘/一日目・未明】
【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】疲労(大)
【持ち物】 H&K XM8(30/30)、5.56mm NATO弾x90、不明支給品0~2 デイパック(支給品一式入り)
【思考】
1:涼宮ハルヒとキョンの保護。
2:SOS団メンバー、キョンの妹と合流。朝倉涼子は警戒。
3:他の参加者は利用。使えないのなら切り捨てる。
【トトロ@となりのトトロ】
【状態】健康
【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品1~3)
【思考】
1:???????????????
【備考】
※人間と交流したいようです。
*時系列順で読む
Back:[[対有機生命体コンタクト用インターフェースは電気娘の夢を見るか?]] Next:[[ドロロ死す!? であります]]
*投下順で読む
Back:[[対有機生命体コンタクト用インターフェースは電気娘の夢を見るか?]] Next:[[ドロロ死す!? であります]]
|&color(cyan){GAME START}|古泉一樹|[[闘将(たたかえ)!古泉仮面]]|
|&color(cyan){GAME START}|トトロ|[[闘将(たたかえ)!古泉仮面]]|
**超能力少年、そしてとなりのストーカー ◆m0TQE.IDWQ
「………………ふぅ」
四方を絶海に囲まれた地獄の島。
その島に唯一つの短い溜め息が響く、それは心底からの溜め息だった。
溜め息をついたのは何の変哲も無い言ってしまえば平凡な少年。
これまた普遍的な青いブレザーとズボンといった制服を纏い顎に手を当てて何かを思案しているようだった。
茶髪とそれなりの長身で端整な容姿だが、それでも何処でもいるような少年のようである。
だが彼は平凡な少年ではない。
「……不覚ですね」
彼はただ不覚と思った、自分が気が付かない内に殺し合いに参加させられてしまった事に。
そして自身が保護しなければ存在まで巻き込んでしまった事に。
彼の正体は古泉一樹、一種の超能力少年である。
その持ちゆる超能力故に「機関」に属していた。「機関」とは彼のような能力者の集まりである。
その「機関」から彼が託された使命、世界に多大な影響及ばすと言われる涼宮ハルヒの保護。
それはこの島でも行われなければなら無い義務であった。
(…………さてSOS団内で見せてる演技はどうしましょうか?)
そこで古泉は彼が涼宮ハルヒ達の前で振舞っている演じている云わば仮の「古泉一樹」の姿のことを考える。
涼宮ハルヒが古泉に望む願望である、敬語を使い微笑を浮かべて温和な性格。
それをこの島でも演じ続けるのだろうかという事。
今、古泉の周りにはSOS団の面子は居ない。
だが
(……いえ、そのまま続けましょう。僕の周りには居ませんが……何処かできっと長門さんが見てるでしょうし)
彼は演技を続ける事に決めた。
理由の一つとして上げられるのは何故か主催者である長門有希の存在。
長門は情報思念体に造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースで主流派に属す者である。
彼女の役割は涼宮ハルヒの観察であり彼女を死の危険に晒す事は有り得ないはずだった。
それは兎も角長門もハルヒが立ち上げたSOS団の団員である。
主催である彼女ならこの島で起きていることを常に把握していてもおかしくは無いだろう。
ならば常に見られていると言う可能性もあると古泉は判断した。
それにもしこれから別の参加者と遭遇した場合、その参加者がSOS団に関わりある人物と情報交換していたなら別の人格だったら疑われる危険性だってある。
総合的に判断して演技をしないデメリットの方が高い。
そう古泉は結論付けて改めて考える。
(まず……僕がすべき事は早期の涼宮ハルヒ及び彼の保護。こういう非常時ならなおさら急がなくては)
そして古泉がこの孤高の島で自らがすべき方針を考える。
とはいえそれ例え殺し合いの舞台に上がろうとも大きな事は変わらない。
機関から託された使命でもある涼宮ハルヒの保護、そして涼宮ハルヒの大きなキーになる人物でもあるキョン。彼の保護。
これが古泉の大きな役割であり殺し合いでも変わらないことであった。
次に古泉が考えたのは自分たちの知り合いである。
まずは朝比奈みくる、SOS団の仲間であり未来人でも彼女。おっとりとしてるが謎な所もある彼女だが取り敢えず合流できるのならしたい。
何せ彼女もきっと涼宮ハルヒとキョンの保護は方針として香がげるであろうと言う判断からである。
次はキョンの妹。そのまんまキョンの妹である。取り敢えずは保護でしょうと古泉は思う。
キョンは心配するだろうしキョンのことを考えるなら保護しない理由はない。とはいえ積極的に探し人物でもないと判断。
最後に朝倉涼子。長門有希と同じ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。違う点は彼女が急進派に属してると言う点。
しかし古泉にとって不可解な点がひとつだけ存在する。
それは彼女がもう消滅はずである存在であった事だ。なのに名簿に書かれていた。余りにも不自然だった。
が、考えても答えは出せない。よって保留と判断した。最も危険人物だという認識はしていたが。
(とりあえずこんな感じでしょうか。後はこちらが知らない他の参加者はどうしましょうか?)
古泉は知り合いに対する方針に一旦目処をつけ次に他の参加者について考え始めた。
まずは他の参加者と接触した場合優先すべきは涼宮ハルヒ及びキョンの情報である。
それを確実に聞き出し集める。それが涼宮ハルヒに繋がるのだから。
そして利用できる参加者はできるだけ利用する事を決めた。
如何せん他の参加者の情報は未だに不足している。古泉自身より強い者は確実にいるだろう。
ならばそれを盾にし、己が身を守ることを優先。
そして利用できない参加者については見捨てるかもしくは切り捨てる。
取り敢えず優先すべきは涼宮ハルヒとキョンなのだ。
他の参加者の事などは後でいい。
そう古泉は判断した。
(さて僕自身の身の振り方はこんなものでしょう。細かい事は適宜決めるとして……後は支給品を確認しましょう。何か有効になる物は無いでしょうか?)
そしてまず彼が見つけたのは銃器、それもかなり大型の。
それはH&K XM8と言う光学サイト付きアサルトライフルだった。
身体能力は並みの古泉としては大きな武器であり当たりに属す物である。
その銃は数あるアサルトライフルの中でも最近に開発されたものでアサルトライフルの革命さえ言われてるものである。
その他にも支給されたものを確認し古泉は一息をつく。
(さて大まかな事は全て終えました……少し考えて見ましょうか。この殺し合いについてを……)
まず考えるは主催者の位置に居座っている長門有希の存在である。
本来彼女は涼宮ハルヒの観察が目的だったはず。
なのにふざけた殺し合いの主催者になっていた。
これが涼宮ハルヒやキョンが参加して無いならまだ解る、それなら恐らくだが情報思念体に役目を与えられたとかそんな感じであろう。
しかし彼女達が参加しているのだ、故に理由が分からない。
考えられる推論としては情報思念体そのものが考えを変えたと言う点。
情報思念体は涼宮ハルヒの処遇について主流派、急進派、穏健派に分かれている。
これが何かを切っ掛けにバランスを崩して考えが急速に変わったという事だ。
それ故にこんな殺し合いを開いて且つ彼女達も巻き込んでいると言う推論。
だがしかし古泉では立てられるのはあくまで推論である。
彼は推論は立てはする事はできたとしてもこれを信じる気にはあまりなれなかった。
そこで一旦古泉は長門についての推論を止めもう一人の主催者ついて思考をめぐらす。
もう一人の主催者の男の名前は草壁タツオという壮年の親父であった。
まず考えられるとしたら長門と同じく情報思念体によって作られた存在であろうと言う事。
というより今古泉が持ちゆる情報だけではそう判断するしか他無かった。
兎も角長門がいることから確実に裏に情報思念体が絡んでいる事は確実であろう。
この殺し合いがどういった経緯で開かれた理由が分からない現状調べるしかない。
そこで古泉が思い浮かぶのは3人の人物。
一人は長門と同じ存在である朝倉涼子。長門と同じく情報思念体に属する彼女ならなにかしら情報を知っているだろうと。
最も接触するには最大限の注意が必要だが。危険人物である事は変わりないのだから。
そして残り二人は草壁サツキ、草壁メイ。
偶然かもしれないがもう一人の主催者と同じ苗字を冠する二人。何かしら草壁タツオの情報を持ってる可能性は高い。
彼女達は名前しか知らないが接触する価値はあるだろうと。
(もしかすると草壁サツキ、草壁メイが長門さん達と同じ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースかも知れませんね……)
そして草壁タツオが情報思念体に属するのなら彼女達も長門達と同じではないかと推測する。
だからといって何かが変わるわけではないが警戒する必要はあるだろうと。
(何れにせよ……接触を試みたいですね。後は―――)
その後さらに古泉は思案を加速していく。
それでも周りの警戒だけは怠っていなかった。
だがしかしそれでも気付かなかった。
あまりに唐突に。
あまりに普通に。
あまりに自然に。
隣に居た古泉をゆうに越す巨体の生物には。
その生物は鼠色の毛皮を持ちただ古泉の隣に聳え立っている。
大きさは古泉の2倍以上もあり耳をピンと立てただ静かに古泉の傍にいた。
そして
(それと―――え?)
やっと古泉は気付く。
隣に自然といたその生き物――トトロ――に。
そっと古泉は思索をやめとなりに振り向く。
そこにはニーーと怪しい笑みを浮かべ古泉をじっと見つめる鼠色の化け物。
あまりに普通に自然に唐突だった。
「…………っ!?」
古泉の顔が驚愕に染まり即座に退避を考えトトロから逃げ始めた。
これには流石の古泉も驚いた。
流石に人ではない化け物の参加者が居る事は想定はしていなかったのである。
しかもそれが人とかけ離れた鼠色で巨躯の化け物である。
故に退避。
古泉も情報交換する気が起きなくてまた交換できるかさえ不明であるのだ。
それにいつの間にか隣に居たのだ。不気味で仕方がない。
攻撃するにするにしろこの不可解で明らかに地球に存在しない生物に果たして銃撃が効果があるかさえも分からない。
そう判断した古泉は退避を選び取りすかさず駆け出す。
瞬く間にトトロの元から離れる古泉。
それをトトロはただ見守っているだけだった。
あの口が裂けんばかりの笑みで。
ずっと。
ずっと笑っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……はぁはぁ。ここまで逃げれば大丈夫でしょう」
古泉は暫く走って逃げていた。
そして辺りを見回すとトトロはいなく唯草原が広がってるだけ。
どうやら撒いたようだ。
ふうと古泉は溜め息をつき先ほどの化け物について考えを巡らす。
あんな化け物がいるとは思わなかったと。
しかし他にも人い外の参加者がいるかもしれないと考えた時。
ふととなりを見てみる。
「…………………………はい?」
そこには先ほどと同じようにとなりに立っているトトロ。
あまりに唐突に。
あまりに普通に。
あまりに自然に。
となりに立っていた。
ニンマリと同じ笑みで古泉を見下ろした。
古泉はただ戦慄するだけ。
気配が全く無かった。
むしろほんの数秒前まで周囲に居なかった筈だ。
なのに何故もう隣に居る。
ただ、ただ恐怖した。
「…………っ」
古泉はその恐怖のまま逃げ出した。
こんな規格外な化け物相手にできないと言う判断の元に。
瞬く間にトトロの元から離れる古泉。
それをトトロはただ見守っているだけだった。
あの口が裂けんばかりの笑みで。
ずっと。
ずっと笑っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……はぁはぁ……流石にもう走れませんね」
あれからまた逃げ出し体力のある限りただ走っていた。
そして辿り着いたのはあたりを一望できる砂丘。
古泉はもう体力の限界が着ており服に砂が纏わりつくのを厭わずそのままに寝転がった。
空には星が耀き、ただ古泉はそれを眺めていた。
それを行っている内に古泉の心に安堵が宿り始める。
あの化け物を撒く事ができたのだ。
ふうと溜め息をつきふととなりを見ると。
「…………………………やっぱりですか…………………………」
そこには先ほどと同じようにとなりに立っているトトロ。
あまりに唐突に。
あまりに普通に。
あまりに自然に。
となりに立っていた。
ニンマリと同じ笑みで古泉を見下ろした。
古泉の心に諦観のようなものが襲ってくる。
もう体力の限界であり逃げる事はできない。
例え逃げ出してまた同じ様に隣に居るだろう。
この化け物がこんなに自分を追ってくるのは殺し合いに乗ってるのではないかと思い。
ここで命の終わりかと思ってしまった。
どちらにしろ体力がそこをつき動けない。
その時トトロが笑い動き始めた。
古泉は終わりかと思い寝転がったまま星を見続ける。
やがて来る死を待って。
「え……?」
だが死は訪れなかった。
トトロはそのまま古泉と同じ様に寝転がったのだ。
大の字になって星を見ていた。
古泉と同じ様にずっと星を見ている。
古泉はただ唖然としたまま考える。
この化け物は殺し合いになど乗っていない。
ならば何故自分を追ってきたのかと。
一つ答えが浮かんだ。
それは古泉が人と会ったら恐らくやるだろう事に。
そうそれは
「……貴方は人と交流したいのですか? 僕と?」
人との交流。
その古泉の言葉にトトロの笑みがさらに広がっていく。
とても単純な事だった。
それをトトロは行おうとしただけだったのだ。
はあと古泉は溜め息をつく。
何故こんなに必死に自分は逃げたんだろうと。
あほらしくさえ思ってきた。
そしてトトロと同じ様に星を見ながらただこう思う。
満更でもない。だがしかし。
これは
「……やれやれ困ったものです……」
そう思いいつものように苦笑いをして星を見続けた。
トトロのとなりで一緒に笑いながら。
ただ星を見ていた。
【J-8 砂丘/一日目・未明】
【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】疲労(大)
【持ち物】 H&K XM8(30/30)、5.56mm NATO弾x90、不明支給品0~2 デイパック(支給品一式入り)
【思考】
1:涼宮ハルヒとキョンの保護。
2:SOS団メンバー、キョンの妹と合流。朝倉涼子は警戒。
3:他の参加者は利用。使えないのなら切り捨てる。
【トトロ@となりのトトロ】
【状態】健康
【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品1~3)
【思考】
1:???????????????
【備考】
※人間と交流したいようです。
*時系列順で読む
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表示オプション
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