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「さらば! オメガマンの巻」(2008/11/14 (金) 16:31:33) の最新版変更点
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**さらば! オメガマンの巻 ◆MUwCM75A2U (元◆/PADlWx/sE)
オメガマンは静かに怒りの炎を燃やしていた。
絶対に負けるはずがないと思っていたのに、デカイ目玉で一本足の訳の分からない奴に負けたこと。
しかもそいつの攻撃方法が「舐める」「よだれまみれにする」という下品極まりないこと。
自身のプライドをずたずたにされ、見る影もなく地に伏していた。
だが。
「く…………そ…………………………!」
唾液が嫌な音を立てながらも、オメガマンは立ち上がった。
足腰はまだ重い。
加えてガッツは回復しきっていないが、この暗闇の中、無防備に無様な姿で横たわっていると誰かに襲われるかもしれない。
戦意はまだ消えていない。むしろ燃えさかっているぐらいだ。
さっきのはウォーミングアップに過ぎない――と自分に言い聞かせるオメガマン。
「先ほどは余りのショックに少し涙が出そうになったが……あいつは必ずこのオメガマンが仕留めるぜー!」
拳を握りしめ宣言する。
さっきからは余り時間が経っていない。獲物はそう遠くに行っていないはずだと考えた。
だが、必殺技を封じられた今、立ち向かうのは難しい。下手に近接戦闘に持ち込むと文字通り舐められるのがオチだった。
格闘を封じられて相手を倒すというのは無理難題だ。ならば武器があれば……。
そこまでの考えに至りついて、オメガマンは自分の支給品を漁り始める。
ある支給品を手にして、説明書を読み始めた。
そして、ニヤリ、とオメガマンは笑った――――。
※ ※ ※
「ほんまに危なかったな~。危うく死ぬところやったわ」
数分前。
スエゾーは跳ねながらオメガマンがいる位置から遠ざかっていった。ちょうど一エリア分移動したところで立ち止まる。
支給品を確認して、ついでに名簿も確認して、ゲンキ達を探そうと思った矢先に笑い声が聞こえてきたのだ。
怪しい奴と思い草むらに隠れていたら一発で位置を当てられ、頭にチョップを食らってしまった。
だけど、相手の下半身に密着していたおかげで窮地を脱することができたのだ。
「(これを使えばもっと簡単に逃げられたかもしれんな)」
ちらり、とディパックから覗く支給品を眺める。
それはスエゾーに支給された武器だった。武器と言っても直接相手を攻撃する物ではない。
相手の状態を変化させる特殊な物だったが、その効果はまだ確認出来ていなかった。
確認出来ていない物をすぐに使うのは躊躇われるし、奇襲を受けたからこれを使う暇は無かった。
もう一つの支給品はタムタムの木という物の種らしいが、使い道が分からない。
……結果的に襲撃者から逃れられたからそれでも良しとする。
安全な所へ着いたら支給品の確認を改めて行おうとスエゾーは思った。
「どないすっかなぁ……」
また変にうろついたら襲われるかもしれない。
おまけにまだ辺りは暗く、このような深い森にいること事態が危険なことだった。
せめて、周りの状況が分かればいいが…………。
「そや! 上から見れば何かが見えるかもしれん!」
スエゾーは抜群の視力を持っている。
ゴーレムはこの殺し合いに参加していないが、一緒に旅をしていた時は、よく上に放り投げてもらって、周りの状況を確認していた。
ゴーレムがいなくても、木の上に登ればある程度は見渡せる。
ディパックを下に置き、えっちらおっちらと木に登り始めた。
舌を足を駆使しながら木のてっぺんまでたどり着く。
落ちない程度に体を伸ばし――あるいは飛び跳ねて――辺りを見渡した。
東には人影が二つ。少年らしき人影と、女性の影だ。
西には先ほどの襲撃者。
北には誰もいない。
南にも誰もいない。
北西と北東にそれぞれ人影が見えた。
北西の人影はやばそうな外見で、北東の人影は何かをまじまじと眺めている。
南東と南西には誰もいない。
「う~~ん……よく見えへんなぁ……」
暗いのもあるせいか、ぼんやりとした姿しか捉えられない。
もうちょっと遠くまで見えるはずなのに、何故か自分の周りだけしか見えないようだ。
夜だから周りが見えにくいのだろうとスエゾーは納得する。
「北は危なそうだし……東におる二人の人はゲンキじゃないみたいやな。西に戻るわけにはいかんし……南か?」
だけど、一人でいるのも危険だ。
ならば安全そうな東にいる人と合流するしか――――。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
突如、閃光が巻き起こる。
木から落ちそうになりながら、スエゾーは下の方を確認する。
「フォッフォッフォッフォッフォッフォ! これさえあれば私は無敵だ!」
スエゾーには分からないが、オメガマンが手にしているのはRPG-7。
対戦車用なので威力は十分にある。
勝ち誇った笑みを浮かべるオメガマン。
「(げ! あいつまだガッツ回復しとらんのに……しつこい奴や!)」
さっさと逃げようと、木から木へと飛び移るスエゾー。
オメガマンは弾を装填し、再び放つ。木がメリメリと音を立てて倒れた。
ぎゃっと叫んで、バランスを崩しかけ、慌てて舌を枝に絡ませぶら下がる。
スエゾーは胆が凍る思いをした。
しかし、叫んでしまったせいで自分の居場所を相手に伝えてしまった。
「そこか!」
「(しまった!)」
オメガマンが木に駆け寄ってくる。スエゾーはなかなか元の体制に戻れない。
弾を節約する為か、身近にある木をオメガマンは蹴飛ばす。
ぐらり、と木が大きく揺れ、スエゾーはなすすべもなく落下した。
体制を整える前にオメガマンの追撃が来る。
スエゾーの足を引っつかんで振り回し投げ飛ばす。木にぶつかり、またもや地面に落下した。
「貴様の攻撃手段は分かっている。同じ手は二度と食らわないぞ」
笑いながらオメガマンが近づいてくる。スエゾーは痛む体に鞭打って体を起こした。
「(ア……アカン! コイツほんまはめっちゃ強いと違うんか?)」
くらくらとする頭で必死に考える。
こんな奴を放っておいたらゲンキやホリィ達が危ない。倒すまではいかなくても、どうにかして食い止めないと――。
ある程度まで近づいた所で、オメガマンは加速した。
横に必死で転がり、相手に噛みついてやろうとスエゾーは大きく口を開け突進する。
だがオメガマンは軽くかわしてスエゾーの背後に回った。
そのまま腕でスエゾーを拘束する。勿論、スエゾーの口はしっかりと塞いだまま。
スエゾーは逃れようとじたばたと暴れるがそれはかなわない。
オメガマンはまたあざ笑う。
背中に生えている指のような物がゆっくりと巨大化しているようにスエゾーには見えた。
そして、その指の先にそれぞれ顔が浮かび上がる。
ある物はドラゴンの様で、ある物はネジの様であった。
「な、何やコレ!」
それらの顔が一斉に口を開く。そこには鋭い牙が生えていた。
五つの顔がスエゾーに向かって殺到する。そしてがぶりと噛みついた。
痛みに悲鳴を上げるが、スエゾーもお返しにとばかりオメガマンに噛みつく。
意外なほど、オメガマンはあっさりとスエゾーを解放した。
じりじりと距離を取るスエゾー。それを見て、再度オメガマンが笑った。
「さっきからフォッフォッフォッフォッ笑いよって、何がそんなにおかしいんや!」
「私を少しだけ楽しませてくれたようだが、これで終わりだ。見ろ!」
五つの顔が口を開く。
先ほどまであった鋭い牙が、どの顔にも“無かった”。
「牙が……無い!?」
驚愕するスエゾー。
オメガマンは高らかに必殺技の名前を叫ぶ。
「オメガ血煙り牙!」
スエゾーの体の至る所に刺さっていた牙が飛び出し、血煙を上げる。
叫び声をあげるスエゾーを見て、オメガマンは勝利を確信した。
スエゾーはそれでも諦めない。
ガッツも減り、体のダメージも大きい。まともに戦える状態では無かった。
他の仲間に比べると、スエゾーは戦いが苦手だった。
それに比べてオメガマンは超人でもあり一流の超人ハンターである。とても勝てそうな相手ではない。
けれど、ここで諦めたらゲンキ達が危ない。
ナーガもこの“殺し合い”に参加しているのだから、ホリィを守らないと――!
幸いなことに、近くにスエゾーのディパックがあった。
オメガマンに投げ飛ばされた時に偶然ここの近くに落ちたらしい。
這いながらもディパックに近寄り、使うかどうか迷っていたあの銃を取り出し構える。
オメガマンは回避しようとしたが、スエゾーの方が一瞬早かった。
※ ※ ※
自分の勝利だと確信していた。
だけど思いも寄らぬ反撃にオメガマンは驚いた。
銃に撃たれた瞬間、周りの木々はみるみるうちに巨大化し、目の前の出来損ないの超人も自身より大きくなっていったのだ。
草は先ほどまでの木々と同じぐらいの大きさになり、石は岩のようになっていく。
まるで世界そのものが巨大化したような感覚。
自分だけを巨大化する技ならあるが、周りまで巨大化させるとは――。
そしてスエゾーがオメガマンに迫る。
二倍も三倍もある大きさにオメガマンはまたもや驚愕する。このままでは押しつぶされてしまう。
逃げようと走るが、同じく巨大化した草や石ころが邪魔で走りにくい。
周りが巨大化したのでは無く、自分が小さくなったことに気づいたのは、スエゾーに飲み込まれてからだった。
スエゾーの超必殺技「食う」。
今度は、スエゾーの歯がオメガマンの体に食い込む番だった。
※ ※ ※
「何とか…………乗り切った、な」
窮地を脱することが出来たスエゾー。
だが満身創痍でガッツも消費し、ふらふらだった。
念のために相手の武器を奪う。
それの本来の所有者は小さくなって地面に転がっていた。
オメガマンは勝利を興奮状態にあり、かつガッツを消費していて、力の制限を受けていた。
ここまで戦い抜いたのは根性としか呼べない。
スエゾーの技を食らったことがきっかけて、目を回して気絶していた。オメガマンにとっては二度目の敗北となったのだ。
「とりあえず……コイツが意識取り戻して時間が経って元の大きさに戻る前に逃げへんと…………」
おぼつかない足取りで、スエゾーはその場を離れた。
【I-6 森/一日目・未明】
【スエゾー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
【持ち物】
RPG-7@現実(残弾三発)/大キナ物カラ小サナ物マデ銃(残り9回)@ケロロ軍曹/タムタムの木の種@キン肉マン
ディパック(支給品一式入り)
【状態】
疲労(大)全身に傷 ガッツ消費 出血多量でふらふら
【思考】
0.とりあえず逃げるか。
1.一人で行動すると危ないので、東の人影(碇シンジ、川口夏子)と合流してみる?
2.ゲンキ、ホリィたちを探す。
【備考】
※スエゾーの舐める、キッス、唾にはガッツダウンの効果があるようです。
※ガッツダウン技はくらえばくらうほど、相手は疲れます。スエゾーも疲れます。
※ガッツがダウンしましたが、しばらくすればまた元気になります。
※スエゾーが見える範囲は周囲一エリアが限界です。日が昇れば人影がはっきり見えるかも知れません。
※とりあえず南に逃げましたが、東の人影と合流するかどうかは未定です。
【H-6 森/一日目・未明】
【オメガマン@キン肉マンシリーズ】
【持ち物】
不明支給品(一つ)/ディパック(支給品一式入り)
【状態】
気絶中 疲労(大)全身に傷 ガッツ消費 体が小さくなっている 全身よだれでベタベタ
【思考】
0.……………………。
1.全員皆殺し。
2.スエゾーを必ず殺す。
【備考】
※バトルロワイアルを、自分にきた依頼と勘違いしています。
※皆殺しをしたあとは報酬をもらうつもりでいます。
※ガッツがダウンしましたが、しばらくすればまた元気になります。
※一~二時間程で元の大きさに戻ります。
※H-6付近に爆音が響きました。
【支給品解説】
大キナ物カラ小サナ物マデ銃@ケロロ軍曹
クルル曹長の発明品。ものの大きさを変えることができる銃。
その名の通り、大きくしたり小さくしたりすることが出来る。
強力すぎるため、使用出来る回数に制限がある。
タムタムの木の種@キン肉マン
ジェロニモの故郷にあるらしい木の種。
水さえあればぐんぐん成長する。
*時系列順で読む
Back:[[伝説への道は始まらない]] Next:[[闘将(たたかえ)!古泉仮面]]
*投下順で読む
Back:[[伝説への道は始まらない]] Next:[[闘将(たたかえ)!古泉仮面]]
|[[○ッ○全開! ハートばっくばくだぜ~っ!!]]|オメガマン|[[月下の狩猟者]]|
|[[○ッ○全開! ハートばっくばくだぜ~っ!!]]|スエゾー|[[規格外品と規格外生命体達]]|
**さらば! オメガマンの巻 ◆MUwCM75A2U (元◆/PADlWx/sE)
オメガマンは静かに怒りの炎を燃やしていた。
絶対に負けるはずがないと思っていたのに、デカイ目玉で一本足の訳の分からない奴に負けたこと。
しかもそいつの攻撃方法が「舐める」「よだれまみれにする」という下品極まりないこと。
自身のプライドをずたずたにされ、見る影もなく地に伏していた。
だが。
「く…………そ…………………………!」
唾液が嫌な音を立てながらも、オメガマンは立ち上がった。
足腰はまだ重い。
加えてガッツは回復しきっていないが、この暗闇の中、無防備に無様な姿で横たわっていると誰かに襲われるかもしれない。
戦意はまだ消えていない。むしろ燃えさかっているぐらいだ。
さっきのはウォーミングアップに過ぎない――と自分に言い聞かせるオメガマン。
「先ほどは余りのショックに少し涙が出そうになったが……あいつは必ずこのオメガマンが仕留めるぜー!」
拳を握りしめ宣言する。
さっきからは余り時間が経っていない。獲物はそう遠くに行っていないはずだと考えた。
だが、必殺技を封じられた今、立ち向かうのは難しい。下手に近接戦闘に持ち込むと文字通り舐められるのがオチだった。
格闘を封じられて相手を倒すというのは無理難題だ。ならば武器があれば……。
そこまでの考えに至りついて、オメガマンは自分の支給品を漁り始める。
ある支給品を手にして、説明書を読み始めた。
そして、ニヤリ、とオメガマンは笑った――――。
※ ※ ※
「ほんまに危なかったな~。危うく死ぬところやったわ」
数分前。
スエゾーは跳ねながらオメガマンがいる位置から遠ざかっていった。ちょうど一エリア分移動したところで立ち止まる。
支給品を確認して、ついでに名簿も確認して、ゲンキ達を探そうと思った矢先に笑い声が聞こえてきたのだ。
怪しい奴と思い草むらに隠れていたら一発で位置を当てられ、頭にチョップを食らってしまった。
だけど、相手の下半身に密着していたおかげで窮地を脱することができたのだ。
「(これを使えばもっと簡単に逃げられたかもしれんな)」
ちらり、とディパックから覗く支給品を眺める。
それはスエゾーに支給された武器だった。武器と言っても直接相手を攻撃する物ではない。
相手の状態を変化させる特殊な物だったが、その効果はまだ確認出来ていなかった。
確認出来ていない物をすぐに使うのは躊躇われるし、奇襲を受けたからこれを使う暇は無かった。
もう一つの支給品はタムタムの木という物の種らしいが、使い道が分からない。
……結果的に襲撃者から逃れられたからそれでも良しとする。
安全な所へ着いたら支給品の確認を改めて行おうとスエゾーは思った。
「どないすっかなぁ……」
また変にうろついたら襲われるかもしれない。
おまけにまだ辺りは暗く、このような深い森にいること事態が危険なことだった。
せめて、周りの状況が分かればいいが…………。
「そや! 上から見れば何かが見えるかもしれん!」
スエゾーは抜群の視力を持っている。
ゴーレムはこの殺し合いに参加していないが、一緒に旅をしていた時は、よく上に放り投げてもらって、周りの状況を確認していた。
ゴーレムがいなくても、木の上に登ればある程度は見渡せる。
ディパックを下に置き、えっちらおっちらと木に登り始めた。
舌を足を駆使しながら木のてっぺんまでたどり着く。
落ちない程度に体を伸ばし――あるいは飛び跳ねて――辺りを見渡した。
東には人影が二つ。少年らしき人影と、女性の影だ。
西には先ほどの襲撃者。
北には誰もいない。
南にも誰もいない。
北西と北東にそれぞれ人影が見えた。
北西の人影はやばそうな外見で、北東の人影は何かをまじまじと眺めている。
南東と南西には誰もいない。
「う~~ん……よく見えへんなぁ……」
暗いのもあるせいか、ぼんやりとした姿しか捉えられない。
もうちょっと遠くまで見えるはずなのに、何故か自分の周りだけしか見えないようだ。
夜だから周りが見えにくいのだろうとスエゾーは納得する。
「北は危なそうだし……東におる二人の人はゲンキじゃないみたいやな。西に戻るわけにはいかんし……南か?」
だけど、一人でいるのも危険だ。
ならば安全そうな東にいる人と合流するしか――――。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
突如、閃光が巻き起こる。
木から落ちそうになりながら、スエゾーは下の方を確認する。
「フォッフォッフォッフォッフォッフォ! これさえあれば私は無敵だ!」
スエゾーには分からないが、オメガマンが手にしているのはRPG-7。
対戦車用なので威力は十分にある。
勝ち誇った笑みを浮かべるオメガマン。
「(げ! あいつまだガッツ回復しとらんのに……しつこい奴や!)」
さっさと逃げようと、木から木へと飛び移るスエゾー。
オメガマンは弾を装填し、再び放つ。木がメリメリと音を立てて倒れた。
ぎゃっと叫んで、バランスを崩しかけ、慌てて舌を枝に絡ませぶら下がる。
スエゾーは胆が凍る思いをした。
しかし、叫んでしまったせいで自分の居場所を相手に伝えてしまった。
「そこか!」
「(しまった!)」
オメガマンが木に駆け寄ってくる。スエゾーはなかなか元の体制に戻れない。
弾を節約する為か、身近にある木をオメガマンは蹴飛ばす。
ぐらり、と木が大きく揺れ、スエゾーはなすすべもなく落下した。
体制を整える前にオメガマンの追撃が来る。
スエゾーの足を引っつかんで振り回し投げ飛ばす。木にぶつかり、またもや地面に落下した。
「貴様の攻撃手段は分かっている。同じ手は二度と食らわないぞ」
笑いながらオメガマンが近づいてくる。スエゾーは痛む体に鞭打って体を起こした。
「(ア……アカン! コイツほんまはめっちゃ強いと違うんか?)」
くらくらとする頭で必死に考える。
こんな奴を放っておいたらゲンキやホリィ達が危ない。倒すまではいかなくても、どうにかして食い止めないと――。
ある程度まで近づいた所で、オメガマンは加速した。
横に必死で転がり、相手に噛みついてやろうとスエゾーは大きく口を開け突進する。
だがオメガマンは軽くかわしてスエゾーの背後に回った。
そのまま腕でスエゾーを拘束する。勿論、スエゾーの口はしっかりと塞いだまま。
スエゾーは逃れようとじたばたと暴れるがそれはかなわない。
オメガマンはまたあざ笑う。
背中に生えている指のような物がゆっくりと巨大化しているようにスエゾーには見えた。
そして、その指の先にそれぞれ顔が浮かび上がる。
ある物はドラゴンの様で、ある物はネジの様であった。
「な、何やコレ!」
それらの顔が一斉に口を開く。そこには鋭い牙が生えていた。
五つの顔がスエゾーに向かって殺到する。そしてがぶりと噛みついた。
痛みに悲鳴を上げるが、スエゾーもお返しにとばかりオメガマンに噛みつく。
意外なほど、オメガマンはあっさりとスエゾーを解放した。
じりじりと距離を取るスエゾー。それを見て、再度オメガマンが笑った。
「さっきからフォッフォッフォッフォッ笑いよって、何がそんなにおかしいんや!」
「私を少しだけ楽しませてくれたようだが、これで終わりだ。見ろ!」
五つの顔が口を開く。
先ほどまであった鋭い牙が、どの顔にも“無かった”。
「牙が……無い!?」
驚愕するスエゾー。
オメガマンは高らかに必殺技の名前を叫ぶ。
「オメガ血煙り牙!」
スエゾーの体の至る所に刺さっていた牙が飛び出し、血煙を上げる。
叫び声をあげるスエゾーを見て、オメガマンは勝利を確信した。
スエゾーはそれでも諦めない。
ガッツも減り、体のダメージも大きい。まともに戦える状態では無かった。
他の仲間に比べると、スエゾーは戦いが苦手だった。
それに比べてオメガマンは超人でもあり一流の超人ハンターである。とても勝てそうな相手ではない。
けれど、ここで諦めたらゲンキ達が危ない。
ナーガもこの“殺し合い”に参加しているのだから、ホリィを守らないと――!
幸いなことに、近くにスエゾーのディパックがあった。
オメガマンに投げ飛ばされた時に偶然ここの近くに落ちたらしい。
這いながらもディパックに近寄り、使うかどうか迷っていたあの銃を取り出し構える。
オメガマンは回避しようとしたが、スエゾーの方が一瞬早かった。
※ ※ ※
自分の勝利だと確信していた。
だけど思いも寄らぬ反撃にオメガマンは驚いた。
銃に撃たれた瞬間、周りの木々はみるみるうちに巨大化し、目の前の出来損ないの超人も自身より大きくなっていったのだ。
草は先ほどまでの木々と同じぐらいの大きさになり、石は岩のようになっていく。
まるで世界そのものが巨大化したような感覚。
自分だけを巨大化する技ならあるが、周りまで巨大化させるとは――。
そしてスエゾーがオメガマンに迫る。
二倍も三倍もある大きさにオメガマンはまたもや驚愕する。このままでは押しつぶされてしまう。
逃げようと走るが、同じく巨大化した草や石ころが邪魔で走りにくい。
周りが巨大化したのでは無く、自分が小さくなったことに気づいたのは、スエゾーに飲み込まれてからだった。
スエゾーの超必殺技「食う」。
今度は、スエゾーの歯がオメガマンの体に食い込む番だった。
※ ※ ※
「何とか…………乗り切った、な」
窮地を脱することが出来たスエゾー。
だが満身創痍でガッツも消費し、ふらふらだった。
念のために相手の武器を奪う。
それの本来の所有者は小さくなって地面に転がっていた。
オメガマンは勝利を興奮状態にあり、かつガッツを消費していて、力の制限を受けていた。
ここまで戦い抜いたのは根性としか呼べない。
スエゾーの技を食らったことがきっかけて、目を回して気絶していた。オメガマンにとっては二度目の敗北となったのだ。
「とりあえず……コイツが意識取り戻して時間が経って元の大きさに戻る前に逃げへんと…………」
おぼつかない足取りで、スエゾーはその場を離れた。
【I-6 森/一日目・未明】
【スエゾー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
【持ち物】
RPG-7@現実(残弾三発)/大キナ物カラ小サナ物マデ銃(残り9回)@ケロロ軍曹/タムタムの木の種@キン肉マン
ディパック(支給品一式入り)
【状態】
疲労(大)全身に傷 ガッツ消費 出血多量でふらふら
【思考】
0.とりあえず逃げるか。
1.一人で行動すると危ないので、東の人影(碇シンジ、川口夏子)と合流してみる?
2.ゲンキ、ホリィたちを探す。
【備考】
※スエゾーの舐める、キッス、唾にはガッツダウンの効果があるようです。
※ガッツダウン技はくらえばくらうほど、相手は疲れます。スエゾーも疲れます。
※ガッツがダウンしましたが、しばらくすればまた元気になります。
※スエゾーが見える範囲は周囲一エリアが限界です。日が昇れば人影がはっきり見えるかも知れません。
※とりあえず南に逃げましたが、東の人影と合流するかどうかは未定です。
【H-6 森/一日目・未明】
【オメガマン@キン肉マンシリーズ】
【持ち物】
不明支給品(一つ)/ディパック(支給品一式入り)
【状態】
気絶中 疲労(大)全身に傷 ガッツ消費 体が小さくなっている 全身よだれでベタベタ
【思考】
0.……………………。
1.全員皆殺し。
2.スエゾーを必ず殺す。
【備考】
※バトルロワイアルを、自分にきた依頼と勘違いしています。
※皆殺しをしたあとは報酬をもらうつもりでいます。
※ガッツがダウンしましたが、しばらくすればまた元気になります。
※一~二時間程で元の大きさに戻ります。
※H-6付近に爆音が響きました。
【支給品解説】
大キナ物カラ小サナ物マデ銃@ケロロ軍曹
クルル曹長の発明品。ものの大きさを変えることができる銃。
その名の通り、大きくしたり小さくしたりすることが出来る。
強力すぎるため、使用出来る回数に制限がある。
タムタムの木の種@キン肉マン
ジェロニモの故郷にあるらしい木の種。
水さえあればぐんぐん成長する。
*時系列順で読む
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