「ハレ晴レフユカイ」(2008/10/29 (水) 21:53:50) の最新版変更点
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** ハレ晴レフユカイ◆mk2mfhdVi2
――涼宮ハルヒは、普通の人間では無い。
三年前のある日、突然起こった情報爆発。
有機生命体の自律進化の可能性を秘めたそれは情報統合思念体に観測され、
閉塞状態に陥っていた自らの進化を望む情報統合思念体は、情報爆発を引き起こした張本人、
涼宮ハルヒの観測の為、複数名の対有機生命体コンタクト用インターフェースを誕生させた。
その際造られた内の一人が、私、朝倉涼子である。
だから、私が生まれたきっかけは涼宮ハルヒにあると言ってもいいのかもしれない。
その涼宮ハルヒが死んだと、クサカベタツオは実に楽しげに告げた。
(涼宮ハルヒが――死んだ)
実際に彼女と接触したのは、彼女が高校に入学してからの数ヵ月。
私は彼女のクラスの委員長として、すぐそばで彼女を観察し続けた。
――東中出身涼宮ハルヒ。この中に宇宙人・未来人・異世界人・超能力者がいたら、あたしのところへ来なさい、以上!
彼女が高校生活初日にした宣言は、今も一字一句違わず私の脳裏に刻まれている。
結果として彼女は私の観測下にて、実際に自らの望みを叶えた。
残念ながら、追い求めるものは既にすぐ近くに存在していることも知らずに逝ってしまったようだが。
(……長門さんは何を考えているの?)
涼宮ハルヒは、情報統合思念体にとって替えがきかない、何物よりも優先すべき存在である。
それは情報統合思念体によって造られた長門さんにとっても同じ。
私を含む涼宮ハルヒ以外の参加者48名はともかく、彼女だけは決して殺してはいけなかったハズ。
彼女が死ねば、自律進化の可能性は永遠に失われる。
(……それが解っていて、何故?)
何が起こっているのか、さっぱり解らない。
私は溜息を吐き、近くの木にもたれかかる。
(一度、最初から考えてみるべきかしら)
まず、長門さんがこの狂った殺し合いを開催した理由。
長門さんの上に情報統合思念体がついているのであれば、それは簡単に説明がつく。
あれは、涼宮ハルヒの高校生活が開始して一ヶ月程が経過した頃。
私は、キョン君を殺そうとした。
涼宮ハルヒに選ばれた彼を殺し、涼宮ハルヒが起こすだろう情報爆発を観測しようとした。
まあ、結局それは失敗に終わり、私の行動を察知した長門さんの手によって私は消されたのだけど。
情報統合思念体は、その時の私と同じことを実行しているのではないか?
随分と大袈裟で過激な手段ではあるものの、急進派ならばこの程度のことはやってのけるだろう。
属する派閥は違えど情報統合思念体の命令である以上、長門さんが逆らえる道理も無い。
彼らの命令に逆らえば処分されるのは、過去の私で証明済みだ。
(主導権を握った急進派が、涼宮ハルヒにとってのイレギュラーを発生させ、大きな情報爆発を発生させようとした……?)
決して有り得ないことではない。
が、実際に急進派が黒幕であるとすれば、決して起こるハズがないことが起きてしまっている。
(そう……あくまで涼宮ハルヒの起こすアクションが目的である以上、涼宮ハルヒだけは殺してはならない。
急進派がそんな重大なミスを犯すとも思えないし、情報統合思念体はこの件には絡んでいない……?)
ならば、一般人にしか見えないあの男、クサカベタツオが、長門さんを操っているのか?
しかし、正直に言ってただの人間が、インターフェースを操ることなどが出来るとは思えない。
多少得体の知れない所はあったものの、流石に情報統合思念体以上の力をあの男が持っているなんてことは無いだろう。
よって、クサカベタツオが黒幕である可能性はゼロに近い。
(急進派、クサカベタツオ、共に黒幕で無いのなら――)
最後に残された唯一の可能性、それは、
(長門さんの、暴走……)
私と同じく涼宮ハルヒの観測の為に造られた対有機生命体コンタクト用インターフェース。
私は、彼女のバックアップとして三年間過ごしてきた。
だから、一応彼女の人格は理解している。
不満を外へ出さず、内へ内へと溜め込む――それが、長門有希だ。
涼宮ハルヒの性格からして、観測している内に長門さんの精神に負荷が蓄積されていってもおかしくは無い。
多少離れた所で彼女と付き合っていた私と違い、長門さんは極めて近い所で彼女と交流していた。
それはそれで楽しいかもしれない。――ストレスを解消する方法を、知ってさえいれば。
涼宮ハルヒや他の人間に振り回されたり、インターフェースとしての任務をする中で、長門さんの中に発生した精神的負荷。
始めはほんの僅かであっただろうそれは、月日の流れと共に少しずつ蓄積していく。
――そして、ついにその負荷が限界を超えてしまった結果が、この殺し合いなのだ。
その可能性は、極めて高い。
この孤島内で私が情報統合思念体とコンタクト出来ない理由も、
長門さんがこの空間を情報統制下に置いているのであれば納得出来る。
もっとも長門さんが本気で情報統制下に置いているのであれば、
それは所詮バックアップの私には脱出出来ないことを意味するのだが。
「うーん、脱出は不可能で、長門さんが殺し合いを望んでいるのなら、バックアップの私がするべき行動は一つよね」
既に鬼娘専用変身銃の効果は切れている為、普段通りの口調で私は呟く。
恐らく何らかの方法で参加者を監視しているだろう、長門さんに向けて。
「私のすべきことは、出来るだけ多くの参加者を殺すこと。そうよね?長門さん」
「――うん、それ無理」
「普段のあなたならともかく、今のあなたになんて従う理由は無いもの。
そこで待ってなさい。必ずあなたの暴走を止めるから。最後に一つだけ言わせて」
一呼吸置いて、私は続ける。
「――バックアップを舐めるな、根暗娘」
最後にそう吐き捨てて、私は歩き出した。
何処へ?決まっている。脱出の為に一番必要なのは情報。
私が消されていた間の長門さんの行動に不審な点は無かったか、彼女を知る人物に聞かなければならない。
SOS団のメンバー、古泉一樹、朝比奈みくる、キョン君を最優先で捜索。キョン君の妹は……まあ一応候補に入れておこう。
あとは優先すべきはクサカベタツオを知っている可能性のある草壁姉妹か。
(そういえばメイちゃんは無事かしら……?いや、放送で呼ばれなかったから生きているのは知ってるけど、乙女的な意味で)
心の隅で少女の無事を祈りながら、ひとまず人が集まりそうな市街地へと歩を進める。
道中脳裏に浮かぶのは、既にこの世にいない涼宮ハルヒのこと。
情報統合思念体がいかに万能といえど、彼女を生き返らせることは出来ないだろう。
彼女に秘められた力は、情報統合思念体にすら把握出来ていない。
把握出来ていないものを、どうして生き返らせることができようか。
だから、例え長門さんの暴走を止められても、今後SOS団に涼宮ハルヒの姿が戻ることはないのだろう。
教室で、キョン君の後ろの席に陣取る涼宮ハルヒ。そんな光景ももう二度と見ることは出来ない。
「………………」
決して彼に情が移っている訳じゃないけれど。
涼宮ハルヒを殺した人物だけは、一片の容赦も無く殺そうと思った。
「……しかし、この格好じゃサマにならないわね……恨むわよ、長門さん」
時間切れによって虎柄ビキニが消えたことにより、身に付けている物がメイド服のみという
益々微妙な状態に陥っている自分の衣服事情を嘆きながら、私はただただ歩き続けた。
「街になら、まともな服もあるわよね……?」
【E-5/森林/一日目・朝】
【名前】 朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】 健康
【持ち物】ボウイナイフ、鬼娘専用変身銃@ケロロ軍曹、不明支給品1~2(武器では無い)
メイド服@涼宮ハルヒの憂鬱、デイパック(支給品一式)
【思考】
1:長門有希を止める
2:キョン、古泉、みくる、キョンの妹、草壁姉妹を探すため北の市街地へ向かう
3:基本的に殺し合いには乗らない。ただし涼宮ハルヒを殺した人物は容赦無く殺す
4:まともな服が欲しい
※長門有希が暴走していると考えています
※鬼娘専用変身銃で消えたセーラー服他は戻って来ませんでした。
*時系列順で読む
Back:[[模倣より生まれ来る創造]] Next:[[ぼうず戦線異状なし]]
*投下順で読む
Back:[[模倣より生まれ来る創造]] Next:[[ぼうず戦線異状なし]]
|[[犯罪! 拉致監禁○辱摩訶不思議ADV!]]|朝倉涼子|[[]]|
** ハレ晴レフユカイ◆mk2mfhdVi2
――涼宮ハルヒは、普通の人間では無い。
三年前のある日、突然起こった情報爆発。
有機生命体の自律進化の可能性を秘めたそれは情報統合思念体に観測され、
閉塞状態に陥っていた自らの進化を望む情報統合思念体は、情報爆発を引き起こした張本人、
涼宮ハルヒの観測の為、複数名の対有機生命体コンタクト用インターフェースを誕生させた。
その際造られた内の一人が、私、朝倉涼子である。
だから、私が生まれたきっかけは涼宮ハルヒにあると言ってもいいのかもしれない。
その涼宮ハルヒが死んだと、クサカベタツオは実に楽しげに告げた。
(涼宮ハルヒが――死んだ)
実際に彼女と接触したのは、彼女が高校に入学してからの数ヵ月。
私は彼女のクラスの委員長として、すぐそばで彼女を観察し続けた。
――東中出身涼宮ハルヒ。この中に宇宙人・未来人・異世界人・超能力者がいたら、あたしのところへ来なさい、以上!
彼女が高校生活初日にした宣言は、今も一字一句違わず私の脳裏に刻まれている。
結果として彼女は私の観測下にて、実際に自らの望みを叶えた。
残念ながら、追い求めるものは既にすぐ近くに存在していることも知らずに逝ってしまったようだが。
(……長門さんは何を考えているの?)
涼宮ハルヒは、情報統合思念体にとって替えがきかない、何物よりも優先すべき存在である。
それは情報統合思念体によって造られた長門さんにとっても同じ。
私を含む涼宮ハルヒ以外の参加者48名はともかく、彼女だけは決して殺してはいけなかったハズ。
彼女が死ねば、自律進化の可能性は永遠に失われる。
(……それが解っていて、何故?)
何が起こっているのか、さっぱり解らない。
私は溜息を吐き、近くの木にもたれかかる。
(一度、最初から考えてみるべきかしら)
まず、長門さんがこの狂った殺し合いを開催した理由。
長門さんの上に情報統合思念体がついているのであれば、それは簡単に説明がつく。
あれは、涼宮ハルヒの高校生活が開始して一ヶ月程が経過した頃。
私は、キョン君を殺そうとした。
涼宮ハルヒに選ばれた彼を殺し、涼宮ハルヒが起こすだろう情報爆発を観測しようとした。
まあ、結局それは失敗に終わり、私の行動を察知した長門さんの手によって私は消されたのだけど。
情報統合思念体は、その時の私と同じことを実行しているのではないか?
随分と大袈裟で過激な手段ではあるものの、急進派ならばこの程度のことはやってのけるだろう。
属する派閥は違えど情報統合思念体の命令である以上、長門さんが逆らえる道理も無い。
彼らの命令に逆らえば処分されるのは、過去の私で証明済みだ。
(主導権を握った急進派が、涼宮ハルヒにとってのイレギュラーを発生させ、大きな情報爆発を発生させようとした……?)
決して有り得ないことではない。
が、実際に急進派が黒幕であるとすれば、決して起こるハズがないことが起きてしまっている。
(そう……あくまで涼宮ハルヒの起こすアクションが目的である以上、涼宮ハルヒだけは殺してはならない。
急進派がそんな重大なミスを犯すとも思えないし、情報統合思念体はこの件には絡んでいない……?)
ならば、一般人にしか見えないあの男、クサカベタツオが、長門さんを操っているのか?
しかし、正直に言ってただの人間が、インターフェースを操ることなどが出来るとは思えない。
多少得体の知れない所はあったものの、流石に情報統合思念体以上の力をあの男が持っているなんてことは無いだろう。
よって、クサカベタツオが黒幕である可能性はゼロに近い。
(急進派、クサカベタツオ、共に黒幕で無いのなら――)
最後に残された唯一の可能性、それは、
(長門さんの、暴走……)
私と同じく涼宮ハルヒの観測の為に造られた対有機生命体コンタクト用インターフェース。
私は、彼女のバックアップとして三年間過ごしてきた。
だから、一応彼女の人格は理解している。
不満を外へ出さず、内へ内へと溜め込む――それが、長門有希だ。
涼宮ハルヒの性格からして、観測している内に長門さんの精神に負荷が蓄積されていってもおかしくは無い。
多少離れた所で彼女と付き合っていた私と違い、長門さんは極めて近い所で彼女と交流していた。
それはそれで楽しいかもしれない。――ストレスを解消する方法を、知ってさえいれば。
涼宮ハルヒや他の人間に振り回されたり、インターフェースとしての任務をする中で、長門さんの中に発生した精神的負荷。
始めはほんの僅かであっただろうそれは、月日の流れと共に少しずつ蓄積していく。
――そして、ついにその負荷が限界を超えてしまった結果が、この殺し合いなのだ。
その可能性は、極めて高い。
この孤島内で私が情報統合思念体とコンタクト出来ない理由も、
長門さんがこの空間を情報統制下に置いているのであれば納得出来る。
もっとも長門さんが本気で情報統制下に置いているのであれば、
それは所詮バックアップの私には脱出出来ないことを意味するのだが。
「うーん、脱出は不可能で、長門さんが殺し合いを望んでいるのなら、バックアップの私がするべき行動は一つよね」
既に鬼娘専用変身銃の効果は切れている為、普段通りの口調で私は呟く。
恐らく何らかの方法で参加者を監視しているだろう、長門さんに向けて。
「私のすべきことは、出来るだけ多くの参加者を殺すこと。そうよね?長門さん」
「――うん、それ無理」
「普段のあなたならともかく、今のあなたになんて従う理由は無いもの。
そこで待ってなさい。必ずあなたの暴走を止めるから。最後に一つだけ言わせて」
一呼吸置いて、私は続ける。
「――バックアップを舐めるな、根暗娘」
最後にそう吐き捨てて、私は歩き出した。
何処へ?決まっている。脱出の為に一番必要なのは情報。
私が消されていた間の長門さんの行動に不審な点は無かったか、彼女を知る人物に聞かなければならない。
SOS団のメンバー、古泉一樹、朝比奈みくる、キョン君を最優先で捜索。キョン君の妹は……まあ一応候補に入れておこう。
あとは優先すべきはクサカベタツオを知っている可能性のある草壁姉妹か。
(そういえばメイちゃんは無事かしら……?いや、放送で呼ばれなかったから生きているのは知ってるけど、乙女的な意味で)
心の隅で少女の無事を祈りながら、ひとまず人が集まりそうな市街地へと歩を進める。
道中脳裏に浮かぶのは、既にこの世にいない涼宮ハルヒのこと。
情報統合思念体がいかに万能といえど、彼女を生き返らせることは出来ないだろう。
彼女に秘められた力は、情報統合思念体にすら把握出来ていない。
把握出来ていないものを、どうして生き返らせることができようか。
だから、例え長門さんの暴走を止められても、今後SOS団に涼宮ハルヒの姿が戻ることはないのだろう。
教室で、キョン君の後ろの席に陣取る涼宮ハルヒ。そんな光景ももう二度と見ることは出来ない。
「………………」
決して彼に情が移っている訳じゃないけれど。
涼宮ハルヒを殺した人物だけは、一片の容赦も無く殺そうと思った。
「……しかし、この格好じゃサマにならないわね……恨むわよ、長門さん」
時間切れによって虎柄ビキニが消えたことにより、身に付けている物がメイド服のみという
益々微妙な状態に陥っている自分の衣服事情を嘆きながら、私はただただ歩き続けた。
「街になら、まともな服もあるわよね……?」
【E-5/森林/一日目・朝】
【名前】 朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】 健康
【持ち物】ボウイナイフ、鬼娘専用変身銃@ケロロ軍曹、不明支給品1~2(武器では無い)
メイド服@涼宮ハルヒの憂鬱、デイパック(支給品一式)
【思考】
1:長門有希を止める
2:キョン、古泉、みくる、キョンの妹、草壁姉妹を探すため北の市街地へ向かう
3:基本的に殺し合いには乗らない。ただし涼宮ハルヒを殺した人物は容赦無く殺す
4:まともな服が欲しい
※長門有希が暴走していると考えています
※鬼娘専用変身銃で消えたセーラー服他は戻って来ませんでした。
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