「war war! stop it」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「war war! stop it」(2010/04/05 (月) 23:30:22) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*war war! stop it ◆igHRJuEN0s
森の中を前進していく、ふくよかな毛皮に包まれた巨躯なケモノ・トトロと、妖精型モンスター・ピクシーに小さな竜のフリードリヒ、
宝石の姿をしたデバイス・ケリュケイオンを含めたケモノたち一行。
危険人物だったキョンを、トトロの意思によっていずこへ逃がした後、高町なのはたちがいる温泉へ戻るハズであった・・・・・・
だが、彼らは真っ直ぐ温泉へ向かっているわけではないようだ。
『Mr,troll、どうしたのですか?
温泉はそちらではありませんよ?』
温泉へ戻るコースから外れていることに関してケリュケイオンは持ち主に忠告を述べる。
しかし、持ち主であるトトロは「ヴォウ」と短い返事だけをして、前進を続ける。
人の言葉ではないトトロの返事の内容はさっぱりだが、前進を続けている様子からして、
忠告は聞き入れてもらってないようだとケリュケイオンは理解した。
『帰還が遅いとMs,高町たちが心配します。
あなたが彼女らに心配をかけたくないのでしたら、寄り道はせずに早めの帰還を推奨します』
今度は先の言葉に仲間の事情などを付け加えて発言するが、これも聞き入れては貰えず、獣たちは前進を続ける。
温泉のある西ではなく、北へ、北へと前進していく。
ケリュケイオンもだんだん、獣たちの意図に気づき始める。
トトロは気まぐれで北へ向かうのではなく、足跡を辿ってどこかへ行こうとしている。
その根拠に、ケモノたちはなんとなく進んでいるわけではなく、一点を目指して前進している。
前進した先にあるモノをケリュケイオンは、少なくともまだ、捉えていない。
しかし、獣は人や機械では感じとれない臭いや異音・大地の微妙な揺れもわかるものだ。
時にその探索能力は、精密機械を越える。
そしてケモノたちは、ケリュケイオンにとって索敵外の先にある何かを感じ取り、彼はそこを目指して突き進んでいるように見える。
向かう先に何かがあるのは確かだろう。
先にあるのが死体ならば、トトロに温泉まで運んでもらい、ゲーム脱出のために不可欠と思われる、
首輪を解除するための分析に役立ててもらおう。支給品があるなら、拾って役立てる。
神殿のような隠れた施設があるなら、よく調べた上で温泉の仲間たちに報告などをする。
そして、殺し合いに乗っていない参加者と合流できたのなら僥倖である。
参加者自身の安全の確保でき、実力や技術があるならば脱出のための協力を頼みこめる。
だが、殺し合いに乗った危険人物がいるケースも考えうる。
もしそうならば、接触は避けるべきであり、斥候のように温泉にいる仲間に注意を呼びかけなくてはならない。
また、キョン(及びスバル)を拾ったのもこの辺りである。
当事者と言えるレイジングハート・リインフォースと情報を交換できないほど、状況が急に急を重ねたため、詳しい事情はよくわかっていない。
キョンがスバルから逃げていたとも考えられるが、早々安易に決めつけられるものではない。
二人とも危険人物に襲われ、逃げてきた可能性もあるのだ。
そんな危険人物との接触には断然、注意を払うべきだろう。
・・・・・・と、ケリュケイオンは思考を働かせつつ、いつ何が起きても良いように警戒レベルを最大限に引き上げる。
やがてケリュケイオンも、索敵範囲内に一人の人物を捉えた。
現在地はG-4を越えたばかりのF-4、深い森の中においてトトロたちは参加者を発見する。
しかし、その者はケリュケイオンが求めていた人物ではなかった。
赤いプロテクトスーツのようなものを纏うその怪人は--
-----------
--リヒャルト・ギュオー。
覇道を歩むべく、ガイバーユニットを求め、邁進する者。
だが、その道程は本人が想像しているよりも遥かに険しいようだ。
「どこだ・・・・・・どこへ行ったんだあの小僧は!」
ガイバーユニットを持ったキョンが神社から西側へ出ていったのを知っているため、
彼を追うために禁止エリアになったF-5から西のF-4の森へと移った。
しかし、西側へ出たはよかったがキョンの詳しい行き先は掴めないでいる。
足跡でも見つければ、いずれキョンの居所へ辿りつけるだろうが、その足跡すら見つかってない。
ちなみに禁止エリア脱出の時は、下を見ている余裕などなかったため、足跡は見ていない。
今はどうにかキョンの足どりを掴むために森をさ迷っている。
ギュオーに降り懸かる障害はそれだけではない。
「くそぅ、動くのも億劫だぞ。
先の戦いで消耗し過ぎたか?」
神社のリングマッチではウォーズマンに勝利し、結果的に死に至らしめた。
だが、その勝利は易々と手に入れたものにあらず。
ギュオーは戦闘の中で多大なダメージと疲労を被り、損耗を強いられることになる。
それは常人の何倍もの強化が施された肉体が軋みを上げ、ゼェゼェと息は上がるほどだ。
禁止エリアになる神社からの脱出の際には猛ダッシュを見せたが、
それは首輪が発動しかけるギリギリの状況下によって発揮された興奮状態による火事場の馬鹿力であり、あくまで一時的なものである。
興奮が冷めた今となっては、忘れていた傷の痛みと疲労を身体に思い出させ、
おまけに首輪の発動寸前において味わった気味の悪い出来事・それによって生まれた焦りが加算され、ズッシリとギュオーにのしかかっている。
「おのれぇ~、あのポンコツのガラクタめ」
思うように進まない足、怪我の痛みにギュオーは苛立ちを覚え、その原因を作ったウォーズマンに対して侮蔑の言葉を叩き付ける。
「待っていろよ!
おまえが守ろうとしたガキを墓場に、サイボーグの小娘はスクラップ置場に送ってやろう!
そしてユニットを手に入れ、私は神への道を踏み出すのだ! フハハハハハハ!!」
続けてギュオーの口から吐き出されたのは、なんともヒールチックなスローガン。
少年少女を殺し、ガイバーユニットを手に入れ、自分は勝者になると声高々に宣言するのだった。
これは苛立ちを戦意に変えるためのパフォーマンスでもある。
「・・・・・・ぬぅ」
だが、いかに戦意を高ぶらせようとも、それ以上に消耗は大きい。
今もまた、足がグラついた所だ。
「しばし休むべきか・・・・・・いいや、ダメだ」
獣神将である以上、怪我は時間が経てば再生し、休憩をとれば疲労も取り除かれるだろう。
されど、今のギュオーに休む暇は無い。
時間の都合から考えてキョンが『足の早い者に運ばれない限り』、そう遠くへは行ってないだろう。
しかし、休んでる間に目的のガイバーユニットを持ったキョンはどんどん逃げていく。
その上でユニットが他者に奪われたり、合流されたりすると事態がややこしくなってしまう。
ギュオーが神になるには、誰よりもいち早く手に入れる必要があるのだ。
せっかく目前まで迫ったチャンスを手放す気はギュオーにない。
今こそが、多少の無理は承知の上で走り続ければならぬ踏ん張り時なのである。
「しかし・・・・・・」
そこで、ギュオーの脳裏に懸念材料が浮かぶ。
もしも他の参加者と出会い、戦闘になってしまったら?
戦闘の心得が無いキョンや満身創痍のスバルなら、疲弊した今でも殺せる自信が己にはある。
しかし、ウォーズマンクラスの実力者と出会い、それでまかり間違えれば命が危うい。
詳細参加者名簿の内容をかなり把握しているため、参加者ごとの対処法はそれなりに心得ているが、その対処法を実行できる余力が少ない。
「・・・・・・何か良いものはないか?」
そこでギュオーは、支給品の中に傷や体力をいち早く回復できるものは無いかとディパックを漁り始める。
回復に纏わる支給品は元は持ち合わせてなかったが、ウォーズマンから奪った支給品の中にはあるかもしれないと期待してのことである。
ディパックを探った結果、加持リョウジの詳細の書かれた紙切れ・どこかで見た黒い布・謎の宝石・玩具の銃・スナック菓子、などを見つけた。
上から順に支給品を分析する。
加持リョウジの詳細が書かれた紙切れは、ギュオーが加持に関する情報を隠蔽するために捨てたものを、ウォーズマンが拾ったものだろう。
回復には役立ないが、紙切れ一つで嘘がバレることに繋がることはわかったので、
今後から証拠の隠滅は徹底的にやろうと肝に銘じ、ディパックにしまう。
黒い布は、ウォーズマンが『真っ黒クロエ』に変身するために使ってたものだ。
ならば、自分もクロエの姿に化けて他の参加者を欺けるのではないかと、自分の身体に布を巻き付けたが、変身はできなかった。
おそらく、ウォーズマン以外では変身できない代物なのだろう。
変身できないならただの布切れなので、捨てた。
次は青い宝石・ジュエルシード。
説明書が無くなってるため、ギュオーはこの宝石の名前すらわからない。
持てばエネルギーらしきものを感じ取れるが、肝心の使用用途がさっぱりだ。
エネルギーの塊ということだけはわかるので、そのうち何かに使えるかもしれないと思い、いちおうは所持しておくことにする。
次は玩具の銃・・・・・・否、デザインこそオモチャのようだが、決してオモチャでは無い。
『ケロロ小隊の光線銃』という立派な武器である。
ケロロ小隊と名前がついている所から、ケロロ軍曹やタママ二等兵と繋がりがありそうだが、ギュオーに取ってはそんなことはどうでも良い。
トリガーを引けば丸い銃口から実弾の代わりにビームが飛び出す。
格闘主体のウォーズマンにはそぐわない武器だからか、それともデザインから本当に玩具だと思い込んでしまったのか、
どっちにしろ、未使用の状態でギュオーの手に渡ることになった。
「これは使えるな」とギュオーは評する。
この光線銃が重力指弾程度の代わりにはなりそうであり、体力の節約はできる。
体力に自信がない今はこの銃に頼ることにする。
最後にスナック菓子。
「これは奴に支給された食料のようだな」
一見、何の変哲も無い菓子だが、正体は『日向ママDNAスナック』。
食べたものを巨乳にしてしまう、つぶれアンパンの人には喉から手が出るほど欲しい一品である(理由はお察しください)。
だが、このスナックにはまだとてつもない秘密があるが--これはまだ伏せておこう。
ギュオーはこれをただの食料と思い込んでいる。
説明書はディパックの中にまだ入っているが、ギュオーは主催から支給された食料と思い込んでいる故に確認しない。
そして、ギュオーはその中から一袋を開ける。
「こんなものでも、食せば少しは足しにはなるだろう」
栄養摂取--食べることで、体力の回復に繋げる。
今は僅かでも体力にプラスになることをしたかった。
そしてギュオーは、そのスナックの真の価値と恐ろしさを理解せぬまま口に入れた。
パリパリサクサク・・・・・・
「味はまあまあだな、少なくとも喰えないレベルではない。
だが物足りん。もう一袋、食してみるか」
食べた物への感想を漏らしつつ、ギュオーはスナック菓子の袋をもう一つ開ける。
その一方でギュオーの二つの胸に変化が現れ--
だがしかし、胸の異変に気づくより早く、ギュオーは何者かの気配を感じ、スナックを口に詰める作業を中断する。
あまりに突然だったため、ギュオーの額に冷や汗が流れる。
現状の自分でもキョンやスバル程度ならまだ良いが、リナ・インバースのような強者と鉢合わせになるのはマズイ--とギュオーは危機感を抱く。
この目で見るまで気配の正体はわからないが、ギュオーの卓越した感覚と戦闘経験からして、確実にわかることは一つ。
(・・・・・・いる!
それも一人ではなく、二人もしくは三人以上!)
自分の近くにいる参加者は複数。
これで囲まれたり、正体がわからぬまま後手に回るのは面白くない。
ギュオーは素早く菓子袋をディパックにしまい、光線銃を構えながら周囲に気を配るなどの索敵行動に移る。
あくまで冷静に対処すべし、と心中で自分に言い聞かせ、神経を研ぎ澄ます。
ガサリッと草村が揺れる音と共に、標的は向こうから現れた。
「コイツらは・・・・・・!」
ギュオーの前に現れたのは巨大な毛むくじゃらの生き物、両端には有翼ゾアノイドのような女。
ギュオーは一定の距離を保って、それらの正体を探りはじめる。
女は首輪を付けてないので参加者ではなく、支給品か何かだろう。こちらはとりあえず後回し。
問題なのは巨大な生物の方だ。
特徴は、熊のような巨体・肉食獣を思わせる鋭い爪・大きな瞳に人を飲み込めそうな大きな口・ふくよかな毛皮・・
詳細参加者名簿の中に、それらの特徴に一致する参加者がいたことを、ギュオーは思い出す。
--トトロ。
ギュオーの記憶が正しければ、見ようによっては恐ろしげな姿をしているが、心優しく無垢で温厚な生物。
かなりの巨体に反して俊敏で身軽。
通常は一定の年齢以下の子供にしか見えないようだが、この殺し合いにおいては大人も見れるように制限されたらしい。
自身は喋れないが、人の言葉をある程度なら理解できる高い知能を持ち合わせている。
他にも植物の成長を促す魔法の如き力があったりするが、こちらも制限を受けているらしい。
以上の情報を持って、ギュオーはトトロについて思案する。
(色々厄介な能力を持っていたらしいが、そのほとんどが封じられたようだな。
こいつ一匹だけなら取るにたらない相手だ)
カタログスペック上では、このトトロと戦っても勝てるとギュオーは見込む。
だが、同時に疑念も過ぎる。
(そう言えば、神社のリングでレフェリーをしていたのも『トトロ』だったな。
アレは主催者からの使者でもあった、つまり同種であるこの『トトロ』も主催者の差し金とも考えられるか?)
トトロと主催者とは、なんらかの関連性があるかもしれない。
そう睨んだギュオーはトトロに悟られないように、心の中で邪悪な笑みを浮かべる。
(仮に主催者の手先だとしても、それでも都合が良い。
どうせ喋れないのなら情報の取りようが無い。
尋問もでき無いだろうが、死体にすれば色々物語ってくれそうだ。
また、主催者との関わりは無くとも、奴の支給品が奪えるだけでも儲けものだ)
トトロを殺害する意思と打算が強まる。
それと反対にトトロは、敵意も殺意も警戒心も持たず、三日月のような口を作りながらこちらに近づいてくる。
トトロはギュオーを敵と見なしてないのだ。
だが、ギュオーに相手からの害意のありなしは関係ない。
あるのは、殺すメリットと殺さぬメリットのみ。
喋れぬトトロに生かすメリットは無いので、殺すメリットをギュオーは選ぶ。
(゛温厚で心優しい゛か・・・・・・私にとっては調度いいカモだな。
知能を高くても所詮は疑うことも知らぬ野生動物だ。
さて、そろそろ・・・・・・)
考えがまとまった所で、いざギュオーが光線銃でトトロに向け撃とうとした瞬間。
『Mr.troII、迂闊です! その人が危険人物である可能性も--』
ビシューン バスッ
女性の警告が聞こえたのと同時に丸い銃口から一筋の閃光が放たれる。
しかし、それよりも早くトトロの背後に隠れていたフリードリヒが飛び出して、ギュオーの手に噛み付き、照準を逸らした。
光線はトトロの頬を掠めて、体毛を焦がす程度ですんだ。
「離せ、このぉ!」
「キュゥゥゥ!?」
手を噛まれたギュオーは、素手でフリードリヒを振り払う。
フリードリヒは、運よく弾かれた先にいたトトロがキャッチしたため、大きなダメージを受けることはなかった。
しかし、トトロに直に触れているフリードリヒとケリュケイオンには、トトロの毛が逆立っているとわかる。
流石のトトロも、撃たれかけて肝を冷やしたということか。
(小癪な! まさか陰にもう一匹トカゲが隠れていたとは!
そして、抜かった・・・・・・奴自身は喋れずとも付属品が喋れる可能性を忘れていた・・・・・・
声を発したあの宝石は、スバル・ナカジマが持っていた杖と同種の物か?)
失敗とそれによる苛立ちを抱えながらも、相手を分析するギュオー。
トトロの側にいる羽付きの女-ピクシーとトカゲ-フリードリヒはギャアギャアと威嚇している。
トトロ自身は他の二匹ほど、ギュオーへの敵意を向けてはいないが、先程の友好的な雰囲気も感じとれない。
その中で、目の前の人物・ギュオーが危険だと知ったケリュケイオンは提案を出す。
『相手は話しあいの余地もなく撃ってきました!
彼は間違いなく危険です、逃げてください!』
ケリュケイオンのその言葉を聞くと、トトロたちは逃走を開始した。
トトロは踵を返し、二足の足で素早く逃げる。
ピクシーとフリードリヒは羽根を動かして、トトロの背中を追うようについていく。
「逃がすか!」
ギュオーは逃げるケモノたちに光線を数発撃ち込むが、トトロたちの素早さに加えて木々に光線を阻まれ、当たることはなかった。
ギュオーはケモノたちを追いかけながら思考する。
(私が殺し合いに乗っていることを言い触らされるのを黙って見過ごしたくは無い。
しかし、ユニットも捜さねばならん・・・・・・どうする?)
トトロを殺すか?
ガイバーユニットを手に入れるのが先か?
悩んでいる間に一つの事象が、ギュオーの脳裏を過ぎる。
自分がウォーズマンと戦っている間に、キョン・スバルもしくは両方と出会っていたとしたら?
(--有り得る。
小僧と小娘がこの辺りへ逃げ込んだのは確かだし、出会っていてもおかしくはない。
もしそうならば、ケモノを殺して喋る宝石を奪い、居場所を聞き出す必要がある。
ちょうど小僧がどこへ行ったかわからずに困っていたところだしな。
一石二鳥か一石一鳥の違いだが、それに賭けてみるか)
改めてトトロを殺すことに決めたギュオーは走る加速度をあげる。
元々、人間どころかゾアノイドの何倍もパワーやスピードを強化された獣化兵。
その足の速さは人間や動物とは比較にならず、トトロたちと離された距離がぐんぐんと縮まっていく。
そのさなかでギュオーは違和感を感じていた。
(肩が重い、胸に妙な苦しさを感じる、おまけに低い声が出ずらい・・・・・・
私が思っていた以上に怪我と疲労は大きいのか、死んでも足を引っ張るウォーズマンめ!)
身体の違和感の正体をウォーズマン戦での消耗が原因だと決めつけるギュオー。
違和感は拭えないが、ギュオーはそれでも構わずに走り続ける。
(ええい、些細な事などいちいち気にしてられん! 今は耐えるべきなのだ!
そして、どんな相手でも全力で殺すと決めた以上、このギュオーは容赦せん!)
些細な違和感は無視する方針を固め、ただただ獲物を正面に見つめ、全力で追いかける。
例え、さっきまで求めていたガイバーの足跡がすぐそこにあることも知らないまま--今は目の前の獲物に集中する。
「逃がさんよぉ!」
邪悪なスマイルと共に、トトロとの相対距離が大分埋まってきた所で、ギュオーは光線銃のトリガーを引いた・・・・・・
-----------
『Mr.troII・・・・・・あなたは自分で何をやっていたか理解しているのですか?』
ギュオーから逃げる獣の一行。
そのグループの中心であるトトロは森を走りつつ、ケリュケイオンからの嗜めを受けていた。
『フリードリヒがいち早く行動してくれたおかげで最悪の結果--あなたの死亡は免れました。
ですが、その結果を招きかけたのは、他ならぬあなたなのです』
トトロの行動は人を見かけると隠れたり、様子を伺ったり、相手を確かめることもしないまま、自分から踊り出て笑顔を振る舞った。
これでは殺戮者相手には、殺してくれと頼んだようなものだ。
トトロ自身も攻撃されてから、ようやく相手が危ないと気がついたのか、逃げる事を選んだらしい。
だが、ケリュケイオンは持ち主の不可解すぎる行動に、人間で言うところの『呆れた』『ご立腹な』様子である。
『今までの行動よりMr.troIIがとても優しい気性なのはわかりました。
Ms.高町たちと協調して瀕死状態のMs.ナカジマを助け、Mr.キョンのような危険人物にすら身を案じる方ですしね。
・・・・・・ですが、今回に至っては危機感と慎重さに欠き過ぎています。
その結果が、あの怪人物に追われているこの状況です』
あくまで持ち主の行動を分析しつつ、トトロへ注意を促すケリュケイオン。
言葉を喋れない動物なので、意味を理解しているかは謎だが、とにかく持ち主のパートナーであるデバイスとして、
必要事項はどうしても言わなくてはならないと思考回路が判断したのだ。
ところがケリュケイオンの注意に対し、トトロの反応は無言。
理解していての無言か、その逆か、最初から聞き耳を立ててないのか、イマイチわからない。
ちなみにピクシーはケリュケイオンに向けて「キュイキュイ!」と騒がしく鳴き声をあげている・・・・・・主人が蔑まされたと怒っているのか?
とりあえず、ケリュケイオンは反応が無い持ち主に続けて忠告する。
『次からはもっとよく考えて行動してください。
でなければ--』
--自分で自分の身を滅ぼすことになります、と言葉を紡ごうとする寸前で、それを打ち切る。
その理由は、内蔵された索敵機能が異様な動きを捉え、即座にそれを報告するためである。
『--目標急接近!!』
「ヴォウ」
「ギャア!」
「?」
テバイスの報告から、ケモノたちが首を振り向かせると、そこにいたのは怪人・ギュオー。
それも、先程までそれなりの距離を稼いでいたハズが、いつまにか10mほどまで距離を詰められていた。
そして、銃から四度目の光線が放たれる。
『Mr.troII、右へ回避を!』
ケリュケイオンからの指示通り、トトロは近距離からの射撃を右に避けることで光線の直撃を回避する。
完全な回避は叶わずに、ディパックに当たって大穴を開けるが、それが幸をもたらした。
ディパックが支給品を溜め込む機能を失い、欠損部分から中身が吐き出される。
そして--
--濡れた紙類やスイカを含んだ大量の水が、鉄砲水のようにギュオーへ襲いかかる!!
「どわあああああああ!?」
水の勢いは強く、後ろへと押し流されるギュオー。
さらに追い撃ちをかけるように濡れた名簿やスイカが体に当たり、極めつけは円盤石がギュオーの顔面にクリーンヒットする。
ガツンッ
「うわらばッ」
水の勢いと、頭に飛んできた円盤石に負けたギュオーは仰向けに倒れる。
『これは・・・・・・温泉の水?』
ディパックから飛び出した水はオレンジ色、温泉のお湯だ。
おそらく以前に温泉に入った時に、ディパックに入りこんだものだと、ケリュケイオンは理解する。
何はともあれ、ディパックが水を吐き出しきった頃にはギュオーはだいぶ後方へと流されていた。
しかし、すぐに起き上がってケモノたちを追跡してくるだろう。
油断はできない。
『チャンスです! 今の内に退却すべきです!』
「ヴォウ・・・・・・」
トトロはディパックから水と同時に出ていった三つ目の円盤石を見つめる。
だが、当の円盤石はギュオーのすぐ側に落ちている。
当然、取りに行くのは危険だ。
それでもトトロは、その円盤石を取り戻そうと一歩、足を動かすが・・
『戻っては駄目です!
諦めてください!』
「ヴォ・・・・・・」
『あなたはもちろん、フリードリヒたちまで巻き込む気ですか?』
「・・・・・・」
ケリュケイオンに注意され一度は静止を振り切れうとするが、仲間たちまで危険に曝せないとわかったのだろう。
トトロは淋しそうな表情を浮かべつつも、南へと向き直る。
デバイスに促されてトトロとケモノたちは逃走を再開する。
F-4からG-4、北から南へ、南へと駆けていく。
ずぶ濡れのギュオーがムクリと起き上がり、沸々と怒りを覚える。
「この私に舐めた真似を・・・・・・!
絶対に殺して、あの宝石から小僧の居場所を吐かせるぞ!!」
距離を大きく離されたが、見失うほど離れてはいない。
まずは自分の顔に一撃を食らわした円盤石を腹いせに踏み付ける。
普通なら円盤石が割れてもおかしくないギュオーの力だったが、水でぬかるんでいるため、やわい地面にめり込む程度で済んだ。
そして、ギュオーは追跡を再開する。
後に残ったのは、ぐちゃぐちゃに濡れた紙類・割れたスイカがいくつか・円盤石、そして水溜まりだけである。
-----------
追撃戦の過程で、ケモノたちは森の深くにある滝に連なる川の前までさしかかる。
『こうなっては仕方ありません。
早く温泉へ向かい、Ms.高町たちと合流しましょう』
トトロではあの怪人には敵わない(そもそも戦う意思が無い)。
このままでは命が危ないと判断したケリュケイオンは、温泉にいる仲間たちとの合流を提案する。
またしてもトトロからの返事は無いが、理解してくれるのならそれで良いとケリュケイオンは思っていた。
トトロはジャンプ、他の二匹は飛行して、川を越える。
そして針路を東へ、東へと・・・・・・
『待ってください、そちらは反対の方角です!』
温泉が西側にあるのに、東側へと走り込むトトロにケリュケイオンは警告を出す。
それでもトトロは警告を無視するように、ひたすら東へ走る。
(『どういうことなのでしょう・・・・・・?』)
単純に考えれば彼らが東へ行けば行くほど、仲間のいる温泉から遠退き、自分の都合が悪くなる。
それがわかってると仮定すると、デメリットしか背負わないのに東へ向かう意味をケリュケイオンが理解するのは、しばらく経ってからである。
(『もしや、Mr.troIIは仲間のために、わざと東へと怪人を誘導している?』)
ケリュケイオンが読んだトトロの意図は以下の通りだ。
トトロが温泉へ到着して仲間と合流できたと仮定する。
その場合は怪人も確実に追跡してくるだろう。
その際に、温泉にいるのは芯まで疲弊したエース・死に体から復活したばかりの魔導士・戦いには不向きな老人・特別な能力は感じられない異星の軍人・・・・・・
総合ポテンシャルで考えるなら、真っ当に戦えたものでは無い。
ギュオーを撃退できたとしても、死人が出かねない被害を覚悟しなければならない。
だから、ギュオーを温泉から引き離すために東へ向かうのだ。
トトロがそこまで深く考えてないにしろ、東へ誘導することで時間稼ぎはできる。
時間を稼いだ分だけ、温泉の仲間たちは失った体力・魔力を取り戻せる。
ついでに南方向へライガーと共に去ったキョンから注意を逸らすこともあり、キョンの安全はもちろん、ギュオーにガイバーユニットが渡ることを避けられる。
だが、それは自分が怪人を撒くまで追われ続けなければいけない。
命掛けのリスクを背負っても、トトロはその道を選んでいるというのか?
(『--自分から囮となるつもりですか、下手をすれば命を失うというのに、それでも構わないのでしょうか?』)
思い返せば、トトロはただ争いを好まないだけでなく、自分から率先して人を助け、争いや暴力を良しとはせず、他人が傷つけ合うことを嫌う。
そして誰とも優しく振る舞い仲良くしようとする姿は、まるで無垢な子供のようだ。
無垢ゆえに危険人物というレッテルは意味を成さず、トトロは公平に誰であろうと助けようとする。
複数人の人間を危めたキョンも怖れずに(具体的な解決はできてないが)手助けした。
ついさっき、恐ろしげな怪人・ギュオーと自分から接触しようとしたのも、手を差し延べて仲良くなりたかっただけかもしれない。
されど、その優しさが必ずしも良い方向に傾くとは限らず、今こうして怪物に追われているのも、悪い結果の一つと言える。
相手が何者だろうと公平に優しく、非暴力主義なのは素晴らしいことではあるが、それは同時に危うさを秘めている。
誰しもがその優しさに応えるとは限らず、呼吸と人殺しが同義の人物にはまず通用しない。
殺人を厭わない人物が多くいるこの殺し合いでは、強い優しさは己の身を滅ぼしかねない両刃の剣でもあるのだ。
しかし、自身の危険を省みず怖れない姿勢は、一種の献身さを感じ取れる。
ゆえに、ただの他者に甘いだけの偽善者とは言い切れない。
(『--これは考え過ぎでしょうか?
でも、この考えが全て当て嵌まるなら、Mr.troIIは素晴らしい動物なのでしょう。
ただし、この殺し合いの過酷な環境では長生きできないタイプでもあります』)
それが、ケリュケイオンのトトロの行動に関する考察と、人物像(動物像?)の評価である。
ケリュケイオンが思考している内に、ギュオーもまた川を越えて追いかけてきた。
『目標、再接近!』
「待てぃ! 黙って私に殺されるがいい!!」
ギュオーに追われながら、尚も東へ向かうケモノたち。
(『東側にも殺し合いに乗ってない者や、逆に殺し合いに乗った人物もいるでしょう。
そうなった場合は、臨機応変に対応するしかありませんが、人の言葉を喋れないMr.troIIだけでは心もとないですね。
私が全力でカバーしなければならないようです』)
東側へ向かうほど、温泉から離れていく。
これではしばらく仲間と合流するのは無理だろう。
きっと仲間たちは帰りが遅いトトロたちを心配する。
それでも--
(『--いつかは、Mr.trollたちをMs.高町たちと無事に合流させるために力を尽くします』)
そのように、ケリュケイオンは思考回路に書き込む・・・・・・人間の言葉で置き換えるならば゛心に誓った゛のだった。
--デバイスが思考をしている裏で、トトロは悲しそうな表情を浮かべている。
その表情を知るのは、側にいるフリードリヒとピクシーのみ。
二者は悲しむトトロを労うように鳴く。
「キュックル~」
「キュイ・・・・・・」
トトロが悲しんでいるのは
追跡者に追われる恐怖からか?
好意をギュオーに裏切られたことか?
蛮獣の如く、コミュニケーションの余地も無く襲いかかったギュオーへの哀れみか?
仲良くしたいのに、思い通りにいかなかったからか?
その表情の正しい意味を知るのは、本人とケモノたちくらいだろう。
誰でもわかるのは、夜明けと争いの終焉はまだ先だということ、のみ・・・・・・
【G-4 森(川周辺)/一日目・夜】
【トトロ@となりのトトロ】
【状態】腹部に小ダメージ
【持ち物】ディパック(損壊)、ピクシー(疲労・大)@モンスターファーム~円盤石の秘密~
フリードリヒ(ダメージ・小)魔法少女リリカルなのはStrikerS、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
1、自然の破壊に深い悲しみ
2、誰にも傷ついてほしくない
3、?????????????????
【備考】
※ケリュケイオンは古泉の手紙を読みました。
※東へ向かっています。
ケリュケイオンの読みでは、怪人(ギュオー)を仲間から引き離すために東側へ誘導していると思っています。
トトロが本当にそう考えているかは、次の書き手さんにお任せします。
【リヒャルト・ギュオー@強殖装甲ガイバー】
【状態】全身軽い打撲、左肩負傷、頭部にダメージ(小)、ダメージ(大)、疲労(大)、巨乳、低い声が出づらい
【持ち物】支給品一式×4(一つ水損失)、参加者詳細名簿、首輪(草壁メイ)、首輪(加持リョウジ)、
E:アスカのプラグスーツ@新世紀エヴァンゲリオン、ガイバーの指3本、
空のビール缶(大量・全て水入り)@新世紀エヴァンゲリヲン、毒入りカプセル×4@現実
博物館のパンフ、ネルフの制服@新世紀エヴァンゲリオン、北高の男子制服@涼宮ハルヒの憂鬱、
クロノス戦闘員の制服@強殖装甲ガイバー 詳細参加者名簿・加持リョウジのページ、日向ママDNAスナック×11@ケロロ軍曹
ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS、E:ケロロ小隊の光線銃(16/20)@ケロロ軍曹
【思考】
0、トトロを殺し宝石からキョンの行方を聞き出す。
キョンの行方を知らなくとも、自分の情報の漏洩を防ぐためにトトロは殺す。
1、優勝し、別の世界に行く。そのさい、主催者も殺す。
2、キョンを殺してガイバーを手に入れる。
3、自分で戦闘する際は油断なしで全力で全て殺す。
4、首輪を解除できる参加者を探す。
5、ある程度大人数のチームに紛れ込み、食事時に毒を使って皆殺しにする。
6、タママを気に入っているが、時が来れば殺す。
7、疲労とダメージのせいか身体に違和感を感じる・・・・・・しかし、今は耐える!
【備考】
※詳細名簿の「リヒャルト・ギュオー」「深町晶」「アプトム」「ネオ・ゼクトール」「ノーヴェ」
「リナ・インバース」「ドロロ兵長」に関する記述部分を破棄されました。
※首輪の内側に彫られた『Mei』『Ryouji』の文字には気付いていません。
※擬似ブラックホールは、力の制限下では制御する自信がないので撃つつもりはないようです。
※ガイバーユニットが多数支給されている可能性に思い至りました。
※名簿の裏側に博物館で調べた事がメモされています。
※詳細名簿の「加持リョウジ」に関するページは破り取られていてありません。
※詳細名簿の内容をかなり詳しく把握しています
※一度ギュオーをLCL化させかけた影響で首輪に変化があるかもしれません。
※F-4のどこかに、クロエ変身用黒い布、濡れた支給品一式、スイカ×5(いくつか割れてる)、
円盤石(1/3)+αセット@モンスターファーム~円盤石の秘密~が放置されています。
【ケロロ小隊の光線銃@ケロロ軍曹】
ケロロ小隊が劇中でよく使う光線銃。
光線(ビーム)を放って攻撃できる。最大発射数は20。
銃口が丸いのを除けば、デザインが『機動戦士ガンダム』のビームライフルにそっくり。
調べてもこの武器の正式名称がわからないので、この名前で載せました。
-----------
~ お ま け ~
(『あの危険人物・・・・・・怪人と言うべきでしょうか?
とにかく、あのような怪人がいることを伝えなくてはいけませんね』)
ケモノたちは、名前のわからぬ怪人・ギュオーに現在進行形で襲われている。
ケリュケイオンは彼の者の特徴を、殺し合いに乗っていない参加者のために、より正確に伝えなければならない。
(『見た目は鬼のようにおどろおどろしいですが、胸部が大きく、声が女性に近いものに聞こえます。
この怪物は女性なのでしょう』)
怪物を女性と判断するケリュケイオン。
この判断は半分正解で半分間違いと言える。
なぜなら、今のギュオーのDNAは゛とある女性゛にある程度まで書き換わっているのだから。
ここでギュオーの身体に何が起こっているかを解説しよう!
鍵となるのは、ギュオーはトトロと接触する直前まで食べていた゛日向ママのDNAスナック゛。
日向ママとは参加者の一人・日向冬樹の母親・日向秋のことである。
日向秋の特徴を簡潔に答えるなら、二児の母親とは思えぬナイスバディなスーパーウーマンと言っておこう。
以前に彼女のDNA入りスナックを食べたリインフォースは、日向ママの如く、格段に胸が大きくなった。
ドラマタの人には、このスナックの存在は感涙ものである。
某妖怪がビーストモードにトランスフォームするほどの、豊乳の持ち主を量産できるとお思いの方もいることでしょう。
と こ ろ が ギ ッ チ ョ ン
このスナックの本当の効果は胸が大きくなるのではなく、食べれば食べるほどDNAが゛日向ママ゛に書き換えられていくことである。
すなわち、リインの胸が大きくなったのは、彼女のDNAが日向ママに近づいた効果の過程なのだ。
胸が大きくなったのは、スナックの効果の鱗片に過ぎない。
食べ過ぎれば、身体がより日向ママに近いものへと変化していき、最終的には身体は日向ママそのものと化す。
ギュオーはこのスナックを一袋丸々たいらげている。
そして、確認できる効果は豊乳化と低い声が出づらい=女性のような高い声が出る。
DNAの日向ママ化は、リイン以上に進んでいるものと思われる。
これ以上、ギュオーがスナックを食べると、身体の日向ママ化が加速度的に進行する恐れがある。
・・・・・・すでに手遅れかもしれないが。
ギュオー本人はこの異変を、怪我と疲労のせいだと決めつけ、獲物を狩るのに集中するために、今はろくに確かめようとしない。
着ている人間の体型にがっちりフィット、つまり密着するプラグスーツを着ているのも、ギュオーが気づけない要因の一つである。
彼に善意や友愛の心はなくとも羞恥心はあるだろうし、いずれ彼が肉体の変化を知った時は何を思うだろうか・・・・・・
ケリュケイオンはそんな事情など知らない。
ただありのままに、外見などのわかりうる情報を受け止めるだけである。
そして、なるべく情報を的確に伝えるのだ。
(『怪人の特徴は、大柄・鬼のような顔・額に宝石のようなもの・赤いプロテクトスーツ・女声・豊乳・・・・・・おそらく女性。
現状でわかることはこのぐらいでしょう。
とにかく、殺し合いに乗っていない人物に出会い次第、このことを伝えなくては』)
決して、誤報ではない。
相手が女性かどうかはケリュケイオンの推測だが、それ以外はまごうことなき事実である。
最後に付け加えると、支給品の力で老いたスグルや若返った冬月は、放送とともに元の身体に戻った。
しかし、リインの胸は放送の時刻になっても、まったく戻ることはなかった。
リインと同じスナックを食べたギュオーは、何か特別な要因でもない限り、二度と同じ身体に戻ることはないだろう。
どうなるギュオー!?
こうして獣神将リヒャルト・ギュオーは、゛ボインちゃん゛の仲間入りを見事に果たしたのだった。
ギャフン。
※ギュオーは日向ママのDNAスナックを一袋食べました。
確認できる変化は巨乳化・低い声が出にくい=高い声が出るなど、いずれも本人は気づいてません。
まだ他にも肉体に変化があるかもしれません。
※ケリュケイオンは怪物(ギュオー)を、身体的特徴から女性だと推測しています。
*時系列順で読む
Back:[[寸善尺魔~善と悪の狭間、あるいは慮外にて~]] Next:[[どうしてこうなった]]
*投下順で読む
Back:[[僕はここにいる、今を生きていく]] Next:[[魑魅魍魎~草の根分けるは鬼にあらず~]]
|[[鎧袖一触~鎧の端の心に触れろ~]]|トトロ|[[]]|
|[[『4分33秒』]]|リヒャルト・ギュオー|[[]]|
*war war! stop it ◆igHRJuEN0s
森の中を前進していく、ふくよかな毛皮に包まれた巨躯なケモノ・トトロと、妖精型モンスター・ピクシーに小さな竜のフリードリヒ、
宝石の姿をしたデバイス・ケリュケイオンを含めたケモノたち一行。
危険人物だったキョンを、トトロの意思によっていずこへ逃がした後、高町なのはたちがいる温泉へ戻るハズであった・・・・・・
だが、彼らは真っ直ぐ温泉へ向かっているわけではないようだ。
『Mr,troll、どうしたのですか?
温泉はそちらではありませんよ?』
温泉へ戻るコースから外れていることに関してケリュケイオンは持ち主に忠告を述べる。
しかし、持ち主であるトトロは「ヴォウ」と短い返事だけをして、前進を続ける。
人の言葉ではないトトロの返事の内容はさっぱりだが、前進を続けている様子からして、
忠告は聞き入れてもらってないようだとケリュケイオンは理解した。
『帰還が遅いとMs,高町たちが心配します。
あなたが彼女らに心配をかけたくないのでしたら、寄り道はせずに早めの帰還を推奨します』
今度は先の言葉に仲間の事情などを付け加えて発言するが、これも聞き入れては貰えず、獣たちは前進を続ける。
温泉のある西ではなく、北へ、北へと前進していく。
ケリュケイオンもだんだん、獣たちの意図に気づき始める。
トトロは気まぐれで北へ向かうのではなく、足跡を辿ってどこかへ行こうとしている。
その根拠に、ケモノたちはなんとなく進んでいるわけではなく、一点を目指して前進している。
前進した先にあるモノをケリュケイオンは、少なくともまだ、捉えていない。
しかし、獣は人や機械では感じとれない臭いや異音・大地の微妙な揺れもわかるものだ。
時にその探索能力は、精密機械を越える。
そしてケモノたちは、ケリュケイオンにとって索敵外の先にある何かを感じ取り、彼はそこを目指して突き進んでいるように見える。
向かう先に何かがあるのは確かだろう。
先にあるのが死体ならば、トトロに温泉まで運んでもらい、ゲーム脱出のために不可欠と思われる、
首輪を解除するための分析に役立ててもらおう。支給品があるなら、拾って役立てる。
神殿のような隠れた施設があるなら、よく調べた上で温泉の仲間たちに報告などをする。
そして、殺し合いに乗っていない参加者と合流できたのなら僥倖である。
参加者自身の安全の確保でき、実力や技術があるならば脱出のための協力を頼みこめる。
だが、殺し合いに乗った危険人物がいるケースも考えうる。
もしそうならば、接触は避けるべきであり、斥候のように温泉にいる仲間に注意を呼びかけなくてはならない。
また、キョン(及びスバル)を拾ったのもこの辺りである。
当事者と言えるレイジングハート・リインフォースと情報を交換できないほど、状況が急に急を重ねたため、詳しい事情はよくわかっていない。
キョンがスバルから逃げていたとも考えられるが、早々安易に決めつけられるものではない。
二人とも危険人物に襲われ、逃げてきた可能性もあるのだ。
そんな危険人物との接触には断然、注意を払うべきだろう。
・・・・・・と、ケリュケイオンは思考を働かせつつ、いつ何が起きても良いように警戒レベルを最大限に引き上げる。
やがてケリュケイオンも、索敵範囲内に一人の人物を捉えた。
現在地はG-4を越えたばかりのF-4、深い森の中においてトトロたちは参加者を発見する。
しかし、その者はケリュケイオンが求めていた人物ではなかった。
赤いプロテクトスーツのようなものを纏うその怪人は--
-----------
--リヒャルト・ギュオー。
覇道を歩むべく、ガイバーユニットを求め、邁進する者。
だが、その道程は本人が想像しているよりも遥かに険しいようだ。
「どこだ・・・・・・どこへ行ったんだあの小僧は!」
ガイバーユニットを持ったキョンが神社から西側へ出ていったのを知っているため、
彼を追うために禁止エリアになったF-5から西のF-4の森へと移った。
しかし、西側へ出たはよかったがキョンの詳しい行き先は掴めないでいる。
足跡でも見つければ、いずれキョンの居所へ辿りつけるだろうが、その足跡すら見つかってない。
ちなみに禁止エリア脱出の時は、下を見ている余裕などなかったため、足跡は見ていない。
今はどうにかキョンの足どりを掴むために森をさ迷っている。
ギュオーに降り懸かる障害はそれだけではない。
「くそぅ、動くのも億劫だぞ。
先の戦いで消耗し過ぎたか?」
神社のリングマッチではウォーズマンに勝利し、結果的に死に至らしめた。
だが、その勝利は易々と手に入れたものにあらず。
ギュオーは戦闘の中で多大なダメージと疲労を被り、損耗を強いられることになる。
それは常人の何倍もの強化が施された肉体が軋みを上げ、ゼェゼェと息は上がるほどだ。
禁止エリアになる神社からの脱出の際には猛ダッシュを見せたが、
それは首輪が発動しかけるギリギリの状況下によって発揮された興奮状態による火事場の馬鹿力であり、あくまで一時的なものである。
興奮が冷めた今となっては、忘れていた傷の痛みと疲労を身体に思い出させ、
おまけに首輪の発動寸前において味わった気味の悪い出来事・それによって生まれた焦りが加算され、ズッシリとギュオーにのしかかっている。
「おのれぇ~、あのポンコツのガラクタめ」
思うように進まない足、怪我の痛みにギュオーは苛立ちを覚え、その原因を作ったウォーズマンに対して侮蔑の言葉を叩き付ける。
「待っていろよ!
おまえが守ろうとしたガキを墓場に、サイボーグの小娘はスクラップ置場に送ってやろう!
そしてユニットを手に入れ、私は神への道を踏み出すのだ! フハハハハハハ!!」
続けてギュオーの口から吐き出されたのは、なんともヒールチックなスローガン。
少年少女を殺し、ガイバーユニットを手に入れ、自分は勝者になると声高々に宣言するのだった。
これは苛立ちを戦意に変えるためのパフォーマンスでもある。
「・・・・・・ぬぅ」
だが、いかに戦意を高ぶらせようとも、それ以上に消耗は大きい。
今もまた、足がグラついた所だ。
「しばし休むべきか・・・・・・いいや、ダメだ」
獣神将である以上、怪我は時間が経てば再生し、休憩をとれば疲労も取り除かれるだろう。
されど、今のギュオーに休む暇は無い。
時間の都合から考えてキョンが『足の早い者に運ばれない限り』、そう遠くへは行ってないだろう。
しかし、休んでる間に目的のガイバーユニットを持ったキョンはどんどん逃げていく。
その上でユニットが他者に奪われたり、合流されたりすると事態がややこしくなってしまう。
ギュオーが神になるには、誰よりもいち早く手に入れる必要があるのだ。
せっかく目前まで迫ったチャンスを手放す気はギュオーにない。
今こそが、多少の無理は承知の上で走り続ければならぬ踏ん張り時なのである。
「しかし・・・・・・」
そこで、ギュオーの脳裏に懸念材料が浮かぶ。
もしも他の参加者と出会い、戦闘になってしまったら?
戦闘の心得が無いキョンや満身創痍のスバルなら、疲弊した今でも殺せる自信が己にはある。
しかし、ウォーズマンクラスの実力者と出会い、それでまかり間違えれば命が危うい。
詳細参加者名簿の内容をかなり把握しているため、参加者ごとの対処法はそれなりに心得ているが、その対処法を実行できる余力が少ない。
「・・・・・・何か良いものはないか?」
そこでギュオーは、支給品の中に傷や体力をいち早く回復できるものは無いかとディパックを漁り始める。
回復に纏わる支給品は元は持ち合わせてなかったが、ウォーズマンから奪った支給品の中にはあるかもしれないと期待してのことである。
ディパックを探った結果、加持リョウジの詳細の書かれた紙切れ・どこかで見た黒い布・謎の宝石・玩具の銃・スナック菓子、などを見つけた。
上から順に支給品を分析する。
加持リョウジの詳細が書かれた紙切れは、ギュオーが加持に関する情報を隠蔽するために捨てたものを、ウォーズマンが拾ったものだろう。
回復には役立ないが、紙切れ一つで嘘がバレることに繋がることはわかったので、
今後から証拠の隠滅は徹底的にやろうと肝に銘じ、ディパックにしまう。
黒い布は、ウォーズマンが『真っ黒クロエ』に変身するために使ってたものだ。
ならば、自分もクロエの姿に化けて他の参加者を欺けるのではないかと、自分の身体に布を巻き付けたが、変身はできなかった。
おそらく、ウォーズマン以外では変身できない代物なのだろう。
変身できないならただの布切れなので、捨てた。
次は青い宝石・ジュエルシード。
説明書が無くなってるため、ギュオーはこの宝石の名前すらわからない。
持てばエネルギーらしきものを感じ取れるが、肝心の使用用途がさっぱりだ。
エネルギーの塊ということだけはわかるので、そのうち何かに使えるかもしれないと思い、いちおうは所持しておくことにする。
次は玩具の銃・・・・・・否、デザインこそオモチャのようだが、決してオモチャでは無い。
『ケロロ小隊の光線銃』という立派な武器である。
ケロロ小隊と名前がついている所から、ケロロ軍曹やタママ二等兵と繋がりがありそうだが、ギュオーに取ってはそんなことはどうでも良い。
トリガーを引けば丸い銃口から実弾の代わりにビームが飛び出す。
格闘主体のウォーズマンにはそぐわない武器だからか、それともデザインから本当に玩具だと思い込んでしまったのか、
どっちにしろ、未使用の状態でギュオーの手に渡ることになった。
「これは使えるな」とギュオーは評する。
この光線銃が重力指弾程度の代わりにはなりそうであり、体力の節約はできる。
体力に自信がない今はこの銃に頼ることにする。
最後にスナック菓子。
「これは奴に支給された食料のようだな」
一見、何の変哲も無い菓子だが、正体は『日向ママDNAスナック』。
食べたものを巨乳にしてしまう、つぶれアンパンの人には喉から手が出るほど欲しい一品である(理由はお察しください)。
だが、このスナックにはまだとてつもない秘密があるが--これはまだ伏せておこう。
ギュオーはこれをただの食料と思い込んでいる。
説明書はディパックの中にまだ入っているが、ギュオーは主催から支給された食料と思い込んでいる故に確認しない。
そして、ギュオーはその中から一袋を開ける。
「こんなものでも、食せば少しは足しにはなるだろう」
栄養摂取--食べることで、体力の回復に繋げる。
今は僅かでも体力にプラスになることをしたかった。
そしてギュオーは、そのスナックの真の価値と恐ろしさを理解せぬまま口に入れた。
パリパリサクサク・・・・・・
「味はまあまあだな、少なくとも喰えないレベルではない。
だが物足りん。もう一袋、食してみるか」
食べた物への感想を漏らしつつ、ギュオーはスナック菓子の袋をもう一つ開ける。
その一方でギュオーの二つの胸に変化が現れ--
だがしかし、胸の異変に気づくより早く、ギュオーは何者かの気配を感じ、スナックを口に詰める作業を中断する。
あまりに突然だったため、ギュオーの額に冷や汗が流れる。
現状の自分でもキョンやスバル程度ならまだ良いが、リナ・インバースのような強者と鉢合わせになるのはマズイ--とギュオーは危機感を抱く。
この目で見るまで気配の正体はわからないが、ギュオーの卓越した感覚と戦闘経験からして、確実にわかることは一つ。
(・・・・・・いる!
それも一人ではなく、二人もしくは三人以上!)
自分の近くにいる参加者は複数。
これで囲まれたり、正体がわからぬまま後手に回るのは面白くない。
ギュオーは素早く菓子袋をディパックにしまい、光線銃を構えながら周囲に気を配るなどの索敵行動に移る。
あくまで冷静に対処すべし、と心中で自分に言い聞かせ、神経を研ぎ澄ます。
ガサリッと草村が揺れる音と共に、標的は向こうから現れた。
「コイツらは・・・・・・!」
ギュオーの前に現れたのは巨大な毛むくじゃらの生き物、両端には有翼ゾアノイドのような女。
ギュオーは一定の距離を保って、それらの正体を探りはじめる。
女は首輪を付けてないので参加者ではなく、支給品か何かだろう。こちらはとりあえず後回し。
問題なのは巨大な生物の方だ。
特徴は、熊のような巨体・肉食獣を思わせる鋭い爪・大きな瞳に人を飲み込めそうな大きな口・ふくよかな毛皮・・
詳細参加者名簿の中に、それらの特徴に一致する参加者がいたことを、ギュオーは思い出す。
--トトロ。
ギュオーの記憶が正しければ、見ようによっては恐ろしげな姿をしているが、心優しく無垢で温厚な生物。
かなりの巨体に反して俊敏で身軽。
通常は一定の年齢以下の子供にしか見えないようだが、この殺し合いにおいては大人も見れるように制限されたらしい。
自身は喋れないが、人の言葉をある程度なら理解できる高い知能を持ち合わせている。
他にも植物の成長を促す魔法の如き力があったりするが、こちらも制限を受けているらしい。
以上の情報を持って、ギュオーはトトロについて思案する。
(色々厄介な能力を持っていたらしいが、そのほとんどが封じられたようだな。
こいつ一匹だけなら取るにたらない相手だ)
カタログスペック上では、このトトロと戦っても勝てるとギュオーは見込む。
だが、同時に疑念も過ぎる。
(そう言えば、神社のリングでレフェリーをしていたのも『トトロ』だったな。
アレは主催者からの使者でもあった、つまり同種であるこの『トトロ』も主催者の差し金とも考えられるか?)
トトロと主催者とは、なんらかの関連性があるかもしれない。
そう睨んだギュオーはトトロに悟られないように、心の中で邪悪な笑みを浮かべる。
(仮に主催者の手先だとしても、それでも都合が良い。
どうせ喋れないのなら情報の取りようが無い。
尋問もでき無いだろうが、死体にすれば色々物語ってくれそうだ。
また、主催者との関わりは無くとも、奴の支給品が奪えるだけでも儲けものだ)
トトロを殺害する意思と打算が強まる。
それと反対にトトロは、敵意も殺意も警戒心も持たず、三日月のような口を作りながらこちらに近づいてくる。
トトロはギュオーを敵と見なしてないのだ。
だが、ギュオーに相手からの害意のありなしは関係ない。
あるのは、殺すメリットと殺さぬメリットのみ。
喋れぬトトロに生かすメリットは無いので、殺すメリットをギュオーは選ぶ。
(゛温厚で心優しい゛か・・・・・・私にとっては調度いいカモだな。
知能を高くても所詮は疑うことも知らぬ野生動物だ。
さて、そろそろ・・・・・・)
考えがまとまった所で、いざギュオーが光線銃でトトロに向け撃とうとした瞬間。
『Mr.troII、迂闊です! その人が危険人物である可能性も--』
ビシューン バスッ
女性の警告が聞こえたのと同時に丸い銃口から一筋の閃光が放たれる。
しかし、それよりも早くトトロの背後に隠れていたフリードリヒが飛び出して、ギュオーの手に噛み付き、照準を逸らした。
光線はトトロの頬を掠めて、体毛を焦がす程度ですんだ。
「離せ、このぉ!」
「キュゥゥゥ!?」
手を噛まれたギュオーは、素手でフリードリヒを振り払う。
フリードリヒは、運よく弾かれた先にいたトトロがキャッチしたため、大きなダメージを受けることはなかった。
しかし、トトロに直に触れているフリードリヒとケリュケイオンには、トトロの毛が逆立っているとわかる。
流石のトトロも、撃たれかけて肝を冷やしたということか。
(小癪な! まさか陰にもう一匹トカゲが隠れていたとは!
そして、抜かった・・・・・・奴自身は喋れずとも付属品が喋れる可能性を忘れていた・・・・・・
声を発したあの宝石は、スバル・ナカジマが持っていた杖と同種の物か?)
失敗とそれによる苛立ちを抱えながらも、相手を分析するギュオー。
トトロの側にいる羽付きの女-ピクシーとトカゲ-フリードリヒはギャアギャアと威嚇している。
トトロ自身は他の二匹ほど、ギュオーへの敵意を向けてはいないが、先程の友好的な雰囲気も感じとれない。
その中で、目の前の人物・ギュオーが危険だと知ったケリュケイオンは提案を出す。
『相手は話しあいの余地もなく撃ってきました!
彼は間違いなく危険です、逃げてください!』
ケリュケイオンのその言葉を聞くと、トトロたちは逃走を開始した。
トトロは踵を返し、二足の足で素早く逃げる。
ピクシーとフリードリヒは羽根を動かして、トトロの背中を追うようについていく。
「逃がすか!」
ギュオーは逃げるケモノたちに光線を数発撃ち込むが、トトロたちの素早さに加えて木々に光線を阻まれ、当たることはなかった。
ギュオーはケモノたちを追いかけながら思考する。
(私が殺し合いに乗っていることを言い触らされるのを黙って見過ごしたくは無い。
しかし、ユニットも捜さねばならん・・・・・・どうする?)
トトロを殺すか?
ガイバーユニットを手に入れるのが先か?
悩んでいる間に一つの事象が、ギュオーの脳裏を過ぎる。
自分がウォーズマンと戦っている間に、キョン・スバルもしくは両方と出会っていたとしたら?
(--有り得る。
小僧と小娘がこの辺りへ逃げ込んだのは確かだし、出会っていてもおかしくはない。
もしそうならば、ケモノを殺して喋る宝石を奪い、居場所を聞き出す必要がある。
ちょうど小僧がどこへ行ったかわからずに困っていたところだしな。
一石二鳥か一石一鳥の違いだが、それに賭けてみるか)
改めてトトロを殺すことに決めたギュオーは走る加速度をあげる。
元々、人間どころかゾアノイドの何倍もパワーやスピードを強化された獣化兵。
その足の速さは人間や動物とは比較にならず、トトロたちと離された距離がぐんぐんと縮まっていく。
そのさなかでギュオーは違和感を感じていた。
(肩が重い、胸に妙な苦しさを感じる、おまけに低い声が出ずらい・・・・・・
私が思っていた以上に怪我と疲労は大きいのか、死んでも足を引っ張るウォーズマンめ!)
身体の違和感の正体をウォーズマン戦での消耗が原因だと決めつけるギュオー。
違和感は拭えないが、ギュオーはそれでも構わずに走り続ける。
(ええい、些細な事などいちいち気にしてられん! 今は耐えるべきなのだ!
そして、どんな相手でも全力で殺すと決めた以上、このギュオーは容赦せん!)
些細な違和感は無視する方針を固め、ただただ獲物を正面に見つめ、全力で追いかける。
例え、さっきまで求めていたガイバーの足跡がすぐそこにあることも知らないまま--今は目の前の獲物に集中する。
「逃がさんよぉ!」
邪悪なスマイルと共に、トトロとの相対距離が大分埋まってきた所で、ギュオーは光線銃のトリガーを引いた・・・・・・
-----------
『Mr.troII・・・・・・あなたは自分で何をやっていたか理解しているのですか?』
ギュオーから逃げる獣の一行。
そのグループの中心であるトトロは森を走りつつ、ケリュケイオンからの嗜めを受けていた。
『フリードリヒがいち早く行動してくれたおかげで最悪の結果--あなたの死亡は免れました。
ですが、その結果を招きかけたのは、他ならぬあなたなのです』
トトロの行動は人を見かけると隠れたり、様子を伺ったり、相手を確かめることもしないまま、自分から踊り出て笑顔を振る舞った。
これでは殺戮者相手には、殺してくれと頼んだようなものだ。
トトロ自身も攻撃されてから、ようやく相手が危ないと気がついたのか、逃げる事を選んだらしい。
だが、ケリュケイオンは持ち主の不可解すぎる行動に、人間で言うところの『呆れた』『ご立腹な』様子である。
『今までの行動よりMr.troIIがとても優しい気性なのはわかりました。
Ms.高町たちと協調して瀕死状態のMs.ナカジマを助け、Mr.キョンのような危険人物にすら身を案じる方ですしね。
・・・・・・ですが、今回に至っては危機感と慎重さに欠き過ぎています。
その結果が、あの怪人物に追われているこの状況です』
あくまで持ち主の行動を分析しつつ、トトロへ注意を促すケリュケイオン。
言葉を喋れない動物なので、意味を理解しているかは謎だが、とにかく持ち主のパートナーであるデバイスとして、
必要事項はどうしても言わなくてはならないと思考回路が判断したのだ。
ところがケリュケイオンの注意に対し、トトロの反応は無言。
理解していての無言か、その逆か、最初から聞き耳を立ててないのか、イマイチわからない。
ちなみにピクシーはケリュケイオンに向けて「キュイキュイ!」と騒がしく鳴き声をあげている・・・・・・主人が蔑まされたと怒っているのか?
とりあえず、ケリュケイオンは反応が無い持ち主に続けて忠告する。
『次からはもっとよく考えて行動してください。
でなければ--』
--自分で自分の身を滅ぼすことになります、と言葉を紡ごうとする寸前で、それを打ち切る。
その理由は、内蔵された索敵機能が異様な動きを捉え、即座にそれを報告するためである。
『--目標急接近!!』
「ヴォウ」
「ギャア!」
「?」
テバイスの報告から、ケモノたちが首を振り向かせると、そこにいたのは怪人・ギュオー。
それも、先程までそれなりの距離を稼いでいたハズが、いつまにか10mほどまで距離を詰められていた。
そして、銃から四度目の光線が放たれる。
『Mr.troII、右へ回避を!』
ケリュケイオンからの指示通り、トトロは近距離からの射撃を右に避けることで光線の直撃を回避する。
完全な回避は叶わずに、ディパックに当たって大穴を開けるが、それが幸をもたらした。
ディパックが支給品を溜め込む機能を失い、欠損部分から中身が吐き出される。
そして--
--濡れた紙類やスイカを含んだ大量の水が、鉄砲水のようにギュオーへ襲いかかる!!
「どわあああああああ!?」
水の勢いは強く、後ろへと押し流されるギュオー。
さらに追い撃ちをかけるように濡れた名簿やスイカが体に当たり、極めつけは円盤石がギュオーの顔面にクリーンヒットする。
ガツンッ
「うわらばッ」
水の勢いと、頭に飛んできた円盤石に負けたギュオーは仰向けに倒れる。
『これは・・・・・・温泉の水?』
ディパックから飛び出した水はオレンジ色、温泉のお湯だ。
おそらく以前に温泉に入った時に、ディパックに入りこんだものだと、ケリュケイオンは理解する。
何はともあれ、ディパックが水を吐き出しきった頃にはギュオーはだいぶ後方へと流されていた。
しかし、すぐに起き上がってケモノたちを追跡してくるだろう。
油断はできない。
『チャンスです! 今の内に退却すべきです!』
「ヴォウ・・・・・・」
トトロはディパックから水と同時に出ていった三つ目の円盤石を見つめる。
だが、当の円盤石はギュオーのすぐ側に落ちている。
当然、取りに行くのは危険だ。
それでもトトロは、その円盤石を取り戻そうと一歩、足を動かすが・・
『戻っては駄目です!
諦めてください!』
「ヴォ・・・・・・」
『あなたはもちろん、フリードリヒたちまで巻き込む気ですか?』
「・・・・・・」
ケリュケイオンに注意され一度は静止を振り切れうとするが、仲間たちまで危険に曝せないとわかったのだろう。
トトロは淋しそうな表情を浮かべつつも、南へと向き直る。
デバイスに促されてトトロとケモノたちは逃走を再開する。
F-4からG-4、北から南へ、南へと駆けていく。
ずぶ濡れのギュオーがムクリと起き上がり、沸々と怒りを覚える。
「この私に舐めた真似を・・・・・・!
絶対に殺して、あの宝石から小僧の居場所を吐かせるぞ!!」
距離を大きく離されたが、見失うほど離れてはいない。
まずは自分の顔に一撃を食らわした円盤石を腹いせに踏み付ける。
普通なら円盤石が割れてもおかしくないギュオーの力だったが、水でぬかるんでいるため、やわい地面にめり込む程度で済んだ。
そして、ギュオーは追跡を再開する。
後に残ったのは、ぐちゃぐちゃに濡れた紙類・割れたスイカがいくつか・円盤石、そして水溜まりだけである。
-----------
追撃戦の過程で、ケモノたちは森の深くにある滝に連なる川の前までさしかかる。
『こうなっては仕方ありません。
早く温泉へ向かい、Ms.高町たちと合流しましょう』
トトロではあの怪人には敵わない(そもそも戦う意思が無い)。
このままでは命が危ないと判断したケリュケイオンは、温泉にいる仲間たちとの合流を提案する。
またしてもトトロからの返事は無いが、理解してくれるのならそれで良いとケリュケイオンは思っていた。
トトロはジャンプ、他の二匹は飛行して、川を越える。
そして針路を東へ、東へと・・・・・・
『待ってください、そちらは反対の方角です!』
温泉が西側にあるのに、東側へと走り込むトトロにケリュケイオンは警告を出す。
それでもトトロは警告を無視するように、ひたすら東へ走る。
(『どういうことなのでしょう・・・・・・?』)
単純に考えれば彼らが東へ行けば行くほど、仲間のいる温泉から遠退き、自分の都合が悪くなる。
それがわかってると仮定すると、デメリットしか背負わないのに東へ向かう意味をケリュケイオンが理解するのは、しばらく経ってからである。
(『もしや、Mr.troIIは仲間のために、わざと東へと怪人を誘導している?』)
ケリュケイオンが読んだトトロの意図は以下の通りだ。
トトロが温泉へ到着して仲間と合流できたと仮定する。
その場合は怪人も確実に追跡してくるだろう。
その際に、温泉にいるのは芯まで疲弊したエース・死に体から復活したばかりの魔導士・戦いには不向きな老人・特別な能力は感じられない異星の軍人・・・・・・
総合ポテンシャルで考えるなら、真っ当に戦えたものでは無い。
ギュオーを撃退できたとしても、死人が出かねない被害を覚悟しなければならない。
だから、ギュオーを温泉から引き離すために東へ向かうのだ。
トトロがそこまで深く考えてないにしろ、東へ誘導することで時間稼ぎはできる。
時間を稼いだ分だけ、温泉の仲間たちは失った体力・魔力を取り戻せる。
ついでに南方向へライガーと共に去ったキョンから注意を逸らすこともあり、キョンの安全はもちろん、ギュオーにガイバーユニットが渡ることを避けられる。
だが、それは自分が怪人を撒くまで追われ続けなければいけない。
命掛けのリスクを背負っても、トトロはその道を選んでいるというのか?
(『--自分から囮となるつもりですか、下手をすれば命を失うというのに、それでも構わないのでしょうか?』)
思い返せば、トトロはただ争いを好まないだけでなく、自分から率先して人を助け、争いや暴力を良しとはせず、他人が傷つけ合うことを嫌う。
そして誰とも優しく振る舞い仲良くしようとする姿は、まるで無垢な子供のようだ。
無垢ゆえに危険人物というレッテルは意味を成さず、トトロは公平に誰であろうと助けようとする。
複数人の人間を危めたキョンも怖れずに(具体的な解決はできてないが)手助けした。
ついさっき、恐ろしげな怪人・ギュオーと自分から接触しようとしたのも、手を差し延べて仲良くなりたかっただけかもしれない。
されど、その優しさが必ずしも良い方向に傾くとは限らず、今こうして怪物に追われているのも、悪い結果の一つと言える。
相手が何者だろうと公平に優しく、非暴力主義なのは素晴らしいことではあるが、それは同時に危うさを秘めている。
誰しもがその優しさに応えるとは限らず、呼吸と人殺しが同義の人物にはまず通用しない。
殺人を厭わない人物が多くいるこの殺し合いでは、強い優しさは己の身を滅ぼしかねない両刃の剣でもあるのだ。
しかし、自身の危険を省みず怖れない姿勢は、一種の献身さを感じ取れる。
ゆえに、ただの他者に甘いだけの偽善者とは言い切れない。
(『--これは考え過ぎでしょうか?
でも、この考えが全て当て嵌まるなら、Mr.troIIは素晴らしい動物なのでしょう。
ただし、この殺し合いの過酷な環境では長生きできないタイプでもあります』)
それが、ケリュケイオンのトトロの行動に関する考察と、人物像(動物像?)の評価である。
ケリュケイオンが思考している内に、ギュオーもまた川を越えて追いかけてきた。
『目標、再接近!』
「待てぃ! 黙って私に殺されるがいい!!」
ギュオーに追われながら、尚も東へ向かうケモノたち。
(『東側にも殺し合いに乗ってない者や、逆に殺し合いに乗った人物もいるでしょう。
そうなった場合は、臨機応変に対応するしかありませんが、人の言葉を喋れないMr.troIIだけでは心もとないですね。
私が全力でカバーしなければならないようです』)
東側へ向かうほど、温泉から離れていく。
これではしばらく仲間と合流するのは無理だろう。
きっと仲間たちは帰りが遅いトトロたちを心配する。
それでも--
(『--いつかは、Mr.trollたちをMs.高町たちと無事に合流させるために力を尽くします』)
そのように、ケリュケイオンは思考回路に書き込む・・・・・・人間の言葉で置き換えるならば゛心に誓った゛のだった。
--デバイスが思考をしている裏で、トトロは悲しそうな表情を浮かべている。
その表情を知るのは、側にいるフリードリヒとピクシーのみ。
二者は悲しむトトロを労うように鳴く。
「キュックル~」
「キュイ・・・・・・」
トトロが悲しんでいるのは
追跡者に追われる恐怖からか?
好意をギュオーに裏切られたことか?
蛮獣の如く、コミュニケーションの余地も無く襲いかかったギュオーへの哀れみか?
仲良くしたいのに、思い通りにいかなかったからか?
その表情の正しい意味を知るのは、本人とケモノたちくらいだろう。
誰でもわかるのは、夜明けと争いの終焉はまだ先だということ、のみ・・・・・・
【G-4 森(川周辺)/一日目・夜】
【トトロ@となりのトトロ】
【状態】腹部に小ダメージ
【持ち物】ディパック(損壊)、ピクシー(疲労・大)@モンスターファーム~円盤石の秘密~
フリードリヒ(ダメージ・小)魔法少女リリカルなのはStrikerS、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
1、自然の破壊に深い悲しみ
2、誰にも傷ついてほしくない
3、?????????????????
【備考】
※ケリュケイオンは古泉の手紙を読みました。
※東へ向かっています。
ケリュケイオンの読みでは、怪人(ギュオー)を仲間から引き離すために東側へ誘導していると思っています。
トトロが本当にそう考えているかは、次の書き手さんにお任せします。
【リヒャルト・ギュオー@強殖装甲ガイバー】
【状態】全身軽い打撲、左肩負傷、頭部にダメージ(小)、ダメージ(大)、疲労(大)、巨乳、低い声が出づらい
【持ち物】支給品一式×4(一つ水損失)、参加者詳細名簿、首輪(草壁メイ)、首輪(加持リョウジ)、
E:アスカのプラグスーツ@新世紀エヴァンゲリオン、ガイバーの指3本、
空のビール缶(大量・全て水入り)@新世紀エヴァンゲリヲン、毒入りカプセル×4@現実
博物館のパンフ、ネルフの制服@新世紀エヴァンゲリオン、北高の男子制服@涼宮ハルヒの憂鬱、
クロノス戦闘員の制服@強殖装甲ガイバー 詳細参加者名簿・加持リョウジのページ、日向ママDNAスナック×11@ケロロ軍曹
ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS、E:ケロロ小隊の光線銃(16/20)@ケロロ軍曹
【思考】
0、トトロを殺し宝石からキョンの行方を聞き出す。
キョンの行方を知らなくとも、自分の情報の漏洩を防ぐためにトトロは殺す。
1、優勝し、別の世界に行く。そのさい、主催者も殺す。
2、キョンを殺してガイバーを手に入れる。
3、自分で戦闘する際は油断なしで全力で全て殺す。
4、首輪を解除できる参加者を探す。
5、ある程度大人数のチームに紛れ込み、食事時に毒を使って皆殺しにする。
6、タママを気に入っているが、時が来れば殺す。
7、疲労とダメージのせいか身体に違和感を感じる・・・・・・しかし、今は耐える!
【備考】
※詳細名簿の「リヒャルト・ギュオー」「深町晶」「アプトム」「ネオ・ゼクトール」「ノーヴェ」
「リナ・インバース」「ドロロ兵長」に関する記述部分を破棄されました。
※首輪の内側に彫られた『Mei』『Ryouji』の文字には気付いていません。
※擬似ブラックホールは、力の制限下では制御する自信がないので撃つつもりはないようです。
※ガイバーユニットが多数支給されている可能性に思い至りました。
※名簿の裏側に博物館で調べた事がメモされています。
※詳細名簿の「加持リョウジ」に関するページは破り取られていてありません。
※詳細名簿の内容をかなり詳しく把握しています
※一度ギュオーをLCL化させかけた影響で首輪に変化があるかもしれません。
※F-4のどこかに、クロエ変身用黒い布、濡れた支給品一式、スイカ×5(いくつか割れてる)、
円盤石(1/3)+αセット@モンスターファーム~円盤石の秘密~が放置されています。
【ケロロ小隊の光線銃@ケロロ軍曹】
ケロロ小隊が劇中でよく使う光線銃。
光線(ビーム)を放って攻撃できる。最大発射数は20。
銃口が丸いのを除けば、デザインが『機動戦士ガンダム』のビームライフルにそっくり。
調べてもこの武器の正式名称がわからないので、この名前で載せました。
-----------
~ お ま け ~
(『あの危険人物・・・・・・怪人と言うべきでしょうか?
とにかく、あのような怪人がいることを伝えなくてはいけませんね』)
ケモノたちは、名前のわからぬ怪人・ギュオーに現在進行形で襲われている。
ケリュケイオンは彼の者の特徴を、殺し合いに乗っていない参加者のために、より正確に伝えなければならない。
(『見た目は鬼のようにおどろおどろしいですが、胸部が大きく、声が女性に近いものに聞こえます。
この怪物は女性なのでしょう』)
怪物を女性と判断するケリュケイオン。
この判断は半分正解で半分間違いと言える。
なぜなら、今のギュオーのDNAは゛とある女性゛にある程度まで書き換わっているのだから。
ここでギュオーの身体に何が起こっているかを解説しよう!
鍵となるのは、ギュオーはトトロと接触する直前まで食べていた゛日向ママのDNAスナック゛。
日向ママとは参加者の一人・日向冬樹の母親・日向秋のことである。
日向秋の特徴を簡潔に答えるなら、二児の母親とは思えぬナイスバディなスーパーウーマンと言っておこう。
以前に彼女のDNA入りスナックを食べたリインフォースは、日向ママの如く、格段に胸が大きくなった。
ドラマタの人には、このスナックの存在は感涙ものである。
某妖怪がビーストモードにトランスフォームするほどの、豊乳の持ち主を量産できるとお思いの方もいることでしょう。
と こ ろ が ギ ッ チ ョ ン
このスナックの本当の効果は胸が大きくなるのではなく、食べれば食べるほどDNAが゛日向ママ゛に書き換えられていくことである。
すなわち、リインの胸が大きくなったのは、彼女のDNAが日向ママに近づいた効果の過程なのだ。
胸が大きくなったのは、スナックの効果の鱗片に過ぎない。
食べ過ぎれば、身体がより日向ママに近いものへと変化していき、最終的には身体は日向ママそのものと化す。
ギュオーはこのスナックを一袋丸々たいらげている。
そして、確認できる効果は豊乳化と低い声が出づらい=女性のような高い声が出る。
DNAの日向ママ化は、リイン以上に進んでいるものと思われる。
これ以上、ギュオーがスナックを食べると、身体の日向ママ化が加速度的に進行する恐れがある。
・・・・・・すでに手遅れかもしれないが。
ギュオー本人はこの異変を、怪我と疲労のせいだと決めつけ、獲物を狩るのに集中するために、今はろくに確かめようとしない。
着ている人間の体型にがっちりフィット、つまり密着するプラグスーツを着ているのも、ギュオーが気づけない要因の一つである。
彼に善意や友愛の心はなくとも羞恥心はあるだろうし、いずれ彼が肉体の変化を知った時は何を思うだろうか・・・・・・
ケリュケイオンはそんな事情など知らない。
ただありのままに、外見などのわかりうる情報を受け止めるだけである。
そして、なるべく情報を的確に伝えるのだ。
(『怪人の特徴は、大柄・鬼のような顔・額に宝石のようなもの・赤いプロテクトスーツ・女声・豊乳・・・・・・おそらく女性。
現状でわかることはこのぐらいでしょう。
とにかく、殺し合いに乗っていない人物に出会い次第、このことを伝えなくては』)
決して、誤報ではない。
相手が女性かどうかはケリュケイオンの推測だが、それ以外はまごうことなき事実である。
最後に付け加えると、支給品の力で老いたスグルや若返った冬月は、放送とともに元の身体に戻った。
しかし、リインの胸は放送の時刻になっても、まったく戻ることはなかった。
リインと同じスナックを食べたギュオーは、何か特別な要因でもない限り、二度と同じ身体に戻ることはないだろう。
どうなるギュオー!?
こうして獣神将リヒャルト・ギュオーは、゛ボインちゃん゛の仲間入りを見事に果たしたのだった。
ギャフン。
※ギュオーは日向ママのDNAスナックを一袋食べました。
確認できる変化は巨乳化・低い声が出にくい=高い声が出るなど、いずれも本人は気づいてません。
まだ他にも肉体に変化があるかもしれません。
※ケリュケイオンは怪物(ギュオー)を、身体的特徴から女性だと推測しています。
*時系列順で読む
Back:[[寸善尺魔~善と悪の狭間、あるいは慮外にて~]] Next:[[どうしてこうなった]]
*投下順で読む
Back:[[僕はここにいる、今を生きていく]] Next:[[魑魅魍魎~草の根分けるは鬼にあらず~]]
|[[鎧袖一触~鎧の端の心に触れろ~]]|トトロ|[[闇夜の森の隠れ鬼]]|
|[[『4分33秒』]]|リヒャルト・ギュオー|~|
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: