心に愛が無ければ、スーパーヒーローじゃないのさ ◆qYuVhwC7l.
一先ずの目的地は、図書館のすぐ南に位置する施設である、元々の目標地点―――『中・高等学校』だ。
既に何度も見直して半ば以上頭に叩き込んである地図を思い出しながら、スグルは目的地の『中・高等学校』へと向けてその足を速める。
不本意な事態だったとは言え、十分な睡眠を取ったために体力は有り余っている為、かなりの速度で走り込んでいてもまだ余裕がある。
大小様々な建物を抜き去っていく内に、徐々に特徴的な白い校舎が目に入ってくる。
既に何度も見直して半ば以上頭に叩き込んである地図を思い出しながら、スグルは目的地の『中・高等学校』へと向けてその足を速める。
不本意な事態だったとは言え、十分な睡眠を取ったために体力は有り余っている為、かなりの速度で走り込んでいてもまだ余裕がある。
大小様々な建物を抜き去っていく内に、徐々に特徴的な白い校舎が目に入ってくる。
「あれか…………良し!!」
肉眼で目的地が確認できた事により、さらに足に力を込めて走るスピードを上げ、ようやく正門へと到着するかと思われた瞬間―――――
――――――――ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!
「ぬおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
「ぬおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
突然、スグルの目の前で轟音とともに校舎の壁の一部が吹き飛んだ。
思わず叫び声を上げながら両足に必死でブレーキを掛けて、スグルの体が急停止する。
思わず叫び声を上げながら両足に必死でブレーキを掛けて、スグルの体が急停止する。
「何だ!? 何があったと言うのだーっ!?」
いきなりすぎる事態に混乱したような叫びを上げるも、それに応えるものは誰もいない。
もしや中で爆弾でも爆発したのか!?
ともかく何が起きたのかをこの目で確かめようと、スグルが一歩踏み出したのと、壁に開いた穴から奇妙な甲冑を着けた人物が飛び出してきたのは、ほぼ同時だった。
もしや中で爆弾でも爆発したのか!?
ともかく何が起きたのかをこの目で確かめようと、スグルが一歩踏み出したのと、壁に開いた穴から奇妙な甲冑を着けた人物が飛び出してきたのは、ほぼ同時だった。
「ゲェー!? 新手の悪魔超人かーっ!?」
「………………………っ……!!」
「………………………っ……!!」
硬い、奇妙な外骨格に覆われた見慣れぬ超人? は、すぐ傍で喚いているスグルには目もくれずに、自分の手を見つめてワナワナと震えている。
釣られるようにスグルも超人? の手へと視線を向けてみれば……その手は真紅の液体に染まっていた。
息を飲み、更に目の前の存在を確認してみれば、腕どころか全身が血まみれだ。だと言うのに、この超人? 本人に傷があるようには見えない。
と言う事は、まさか――――!?
釣られるようにスグルも超人? の手へと視線を向けてみれば……その手は真紅の液体に染まっていた。
息を飲み、更に目の前の存在を確認してみれば、腕どころか全身が血まみれだ。だと言うのに、この超人? 本人に傷があるようには見えない。
と言う事は、まさか――――!?
「おい、お前!! まさか、中で人を―――――――」
「―――――おおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!!」
「―――――おおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!!」
スグルの問いかけは、超人? が突然あげた叫び声にかき消され、そのまま目の前の超人? は絶叫と共に森の中へと向かっていく。
「待て、待たんかーっ!! クソッなんちゅースピードをしとるんじゃ! というか、私の存在に気づいてすらいないのか……!?」
ともかくこのまま見過ごす訳にもいかない。
自分の予想が完全に外れている事を祈りながら、スグルが謎の超人を追いかけようと走り出す。
だが、その移動はわずか数メートルほどで中断させられる事になった。
自分の予想が完全に外れている事を祈りながら、スグルが謎の超人を追いかけようと走り出す。
だが、その移動はわずか数メートルほどで中断させられる事になった。
『おねえちゃあああああああああああああああああん! ママああああああああああああああああ!!』
「なっ……子供の悲鳴!?」
「なっ……子供の悲鳴!?」
慌てて、今しがた背を向けて立ち去ろうとした中・高等学校へと振り向く。
ほとんど絶叫のような子供の泣き声は、断続的に先ほど開いた大穴の奥から聞こえてくる。
ほとんど絶叫のような子供の泣き声は、断続的に先ほど開いた大穴の奥から聞こえてくる。
「グ、グムー……っ!!」
あたふたと体の向きをあちこちに変えながら、スグルは必死で頭の中を整理しようとする。
前方には明らかに危険人物に見える、返り血にまみれた謎の超人。
後方には明らかに無力な人物であろう、悲痛な叫び声を上げる子供。
殺し合いに乗っているであろう悪党と、率先して保護すべきであろう一般人。
正義超人キン肉マンとして、今優先すべき存在は――――――
前方には明らかに危険人物に見える、返り血にまみれた謎の超人。
後方には明らかに無力な人物であろう、悲痛な叫び声を上げる子供。
殺し合いに乗っているであろう悪党と、率先して保護すべきであろう一般人。
正義超人キン肉マンとして、今優先すべき存在は――――――
「ええい、今は一般人の保護が先じゃーーーーっ!!!」
逡巡の末に選んだのは、無力な存在をこの手で守ること。
「待っていてくれ、今行くぞーーーっ!!」
聞こえるかどうかはわからないが、ともかく校舎へ向かって一声あげた後に、先ほど開いた大穴から校舎内へと一気に侵入する。
さっきまで聞こえていた絶叫はもう既に聞こえていない。その事に不安を募らせながらも、とにかく声のした方角を思い出しながら手当たり次第に教室を覗き込む。
ここでもない。ここでもない。ここでもない。ここでも―――
さっきまで聞こえていた絶叫はもう既に聞こえていない。その事に不安を募らせながらも、とにかく声のした方角を思い出しながら手当たり次第に教室を覗き込む。
ここでもない。ここでもない。ここでもない。ここでも―――
「っ…人の気配!」
超人として様々な修羅場をくぐりぬけてきた故か、それこそ超人的な勘で感じた人の動く気配に、ようやく一つの教室に目を向ける。
ここだ、おそらくここにいる!
ここだ、おそらくここにいる!
「どうした、何があったーっ!?」
スグルが絶叫と共にその教室のドアを開いたその刹那、
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
幼い少女の絶叫と、金色に輝く斬撃がスグルを襲った。
※
時は、ほんの少しだけ遡る。
「おねえちゃあああああああああああああああああん!」
ぼろぼろと、美しいオッドアイから大粒の涙を零して、その整った可愛らしい顔立ちを痛々しく歪めながら、
幼い少女――ヴィヴィオは必死で目の前の物言わぬ体をゆする。
しかし、どれだけ揺すろうとも、目の前で寝ている人物は――涼宮ハルヒは目を開けない。
起きて。お願い、起きて。もう一度優しい声を聞かせて。もう一回明るい笑顔を見せて。
少女のそんな悲痛な願いをあざ笑うかのように、ハルヒの体からは赤い液体がどんどん零れ落ちていき、彼女から温もりを奪っていく。
幼い少女――ヴィヴィオは必死で目の前の物言わぬ体をゆする。
しかし、どれだけ揺すろうとも、目の前で寝ている人物は――涼宮ハルヒは目を開けない。
起きて。お願い、起きて。もう一度優しい声を聞かせて。もう一回明るい笑顔を見せて。
少女のそんな悲痛な願いをあざ笑うかのように、ハルヒの体からは赤い液体がどんどん零れ落ちていき、彼女から温もりを奪っていく。
「ママああああああああああああああああ!!」
ハルヒを揺すりながら、ヴィヴィオは今度は天を仰いで自分の一番好きな母親に助けを求める。
お願い、早く来て。ヴィヴィオを……ううん、ハルヒお姉ちゃんを助けて。なのはママ、フェイトママ――――!
お願い、早く来て。ヴィヴィオを……ううん、ハルヒお姉ちゃんを助けて。なのはママ、フェイトママ――――!
それでも、少女の願いは何一つ叶う事は無い。
「やだ、やだよぉ!! こんなのやだぁぁぁぁぁ!!!」
ついさっきまで、ヴィヴィオはまだ幸せだった。
少し怖いけど、本当は優しいアスカとも、可愛くて無邪気なモッチーともはぐれてしまったけれど、明るく元気なハルヒはずっと自分を励ましてくれていて。
それで、今度はそのハルヒがずっと探していたというキョンという人と出会って。
ゴツゴツの外見は、最初は凄く怖かったけど……でも、ハルヒの探している……ハルヒの大事な人であるのなら、きっと優しい人だと思って。
そう思ったらその外見も凄く強そうで頼れそうに見えてきて……きっと、強いなのはママや優しいフェイトママがいなくても、
ハルヒお姉ちゃんやキョンお兄ちゃんと一緒にいられたら、自分も泣き虫なヴィヴィオじゃ無くなる気がしていたのに。
その結果は。
『ヴィヴィオ、早くこの場を離れましょう。先ほどの騒ぎで誰かがこちらへとやってくる恐れがあります』
『同意。32秒前に衝撃及び振動を感知。原因はMr.キョンと思われる。第三者がこちらの存在を認識する可能性・大』
「やだ!! ハルヒお姉ちゃんを置いていくなんてやだぁ!! どこへも行かない!!」
少し怖いけど、本当は優しいアスカとも、可愛くて無邪気なモッチーともはぐれてしまったけれど、明るく元気なハルヒはずっと自分を励ましてくれていて。
それで、今度はそのハルヒがずっと探していたというキョンという人と出会って。
ゴツゴツの外見は、最初は凄く怖かったけど……でも、ハルヒの探している……ハルヒの大事な人であるのなら、きっと優しい人だと思って。
そう思ったらその外見も凄く強そうで頼れそうに見えてきて……きっと、強いなのはママや優しいフェイトママがいなくても、
ハルヒお姉ちゃんやキョンお兄ちゃんと一緒にいられたら、自分も泣き虫なヴィヴィオじゃ無くなる気がしていたのに。
その結果は。
『ヴィヴィオ、早くこの場を離れましょう。先ほどの騒ぎで誰かがこちらへとやってくる恐れがあります』
『同意。32秒前に衝撃及び振動を感知。原因はMr.キョンと思われる。第三者がこちらの存在を認識する可能性・大』
「やだ!! ハルヒお姉ちゃんを置いていくなんてやだぁ!! どこへも行かない!!」
傍らに落ちているデバイス二つがヴィヴィオに進言する物の、けんもほろろだ。
ただでさえ幼いヴィヴィオには、今の状況を理解して、的確な判断を下せるはずもない。
ただでさえ幼いヴィヴィオには、今の状況を理解して、的確な判断を下せるはずもない。
『ヴィヴィオ…もうMs.ハルヒは―――』
「死なないもん!! ハルヒお姉ちゃんは……死なないもん!!」
「死なないもん!! ハルヒお姉ちゃんは……死なないもん!!」
根拠も確証もない子供の幼稚な考えは、だからこそ強固で崩しがたい。
これで傍にいるのが肉体を持った人間であればまだ無理やりに連れていく等の対処法もあっただろうが、
今ここにいるのは自分で動く術を持たないただのデバイスが二つきり。
口だけの説得では、理論ではなく感情で動く子供相手では余りにも無力すぎた。
それでも二つのデバイスは、決してあきらめようとせずにヴィヴィオへと語り掛け続ける。
その命が消える間際までヴィヴィオの事を案じていたハルヒの感情を、無駄にしない為にも。
これで傍にいるのが肉体を持った人間であればまだ無理やりに連れていく等の対処法もあっただろうが、
今ここにいるのは自分で動く術を持たないただのデバイスが二つきり。
口だけの説得では、理論ではなく感情で動く子供相手では余りにも無力すぎた。
それでも二つのデバイスは、決してあきらめようとせずにヴィヴィオへと語り掛け続ける。
その命が消える間際までヴィヴィオの事を案じていたハルヒの感情を、無駄にしない為にも。
『ヴィヴィオ!』
『ヴィヴィオ………』
「………………っ!!!」
『ヴィヴィオ………』
「………………っ!!!」
これ以上の言葉を拒絶しようと、ヴィヴィオは両手で耳を塞ぎながら全力で首を振る。
認めたくなかった。目の前で、こんなに近くで、自分の大切な人が消えて行ってしまうのを、認めたくなかった。
突然襲ってきた残酷すぎる運命の前では、少女は余りにも無力だった。
だからこそ彼女は、自分を助けてくれる存在に向かってただ助けを求める。
認めたくなかった。目の前で、こんなに近くで、自分の大切な人が消えて行ってしまうのを、認めたくなかった。
突然襲ってきた残酷すぎる運命の前では、少女は余りにも無力だった。
だからこそ彼女は、自分を助けてくれる存在に向かってただ助けを求める。
「来て……来てよぉ………なのはママ、フェイトママぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『――――――生命反応を感知。こちらへと進行中』
「えっ………………」
「えっ………………」
手元に落ちていたバルディッシュが告げた言葉に、泣く事も忘れてヴィヴィオが反応する。
誰かが来てくれた………………ママ!?
誰かが来てくれた………………ママ!?
しかし、少女の僅かな希望はあっさりと打ち砕かれる。
『女性――ではありませんね。男性です』
「男の人………」
「男の人………」
まさか――――
脳裏に浮かぶのは、先ほどその手で、自分を愛していたであろう少女の命を奪い去ったあの人。
脳裏に浮かぶのは、先ほどその手で、自分を愛していたであろう少女の命を奪い去ったあの人。
『声紋認識。Mr.キョンとは別人と判断。未遭遇の人物と予測』
―――違う………じゃあ、誰が………なんで……?
『こちらに向かって呼びかけています。間違いなく我々の存在に気づいているでしょう』
『対象の危険度・不明。一時撤退を進言』
『いえ、今からではあまり時間がありません。幸いヴィヴィオの体は小さいですから、適当な場所に隠れてやり過ごした方がいいでしょう』
『…………同意』
二つのデバイスが交わしている言葉も今のヴィヴィオの耳には入らなかった。
その頭に渦巻いてるのはたった一つの疑問だけ。
『対象の危険度・不明。一時撤退を進言』
『いえ、今からではあまり時間がありません。幸いヴィヴィオの体は小さいですから、適当な場所に隠れてやり過ごした方がいいでしょう』
『…………同意』
二つのデバイスが交わしている言葉も今のヴィヴィオの耳には入らなかった。
その頭に渦巻いてるのはたった一つの疑問だけ。
―――何をしに来るの?
―――ハルヒお姉ちゃんみたいに、ヴィヴィオを守ってくれるの?
―――キョンお兄ちゃんみたいに、ヴィヴィオを殺しにくるの?
―――ハルヒお姉ちゃんみたいに、ヴィヴィオを守ってくれるの?
―――キョンお兄ちゃんみたいに、ヴィヴィオを殺しにくるの?
カチカチカチカチと、何か硬い物をぶつけ合っているような音が聞こえてくる。
それが自分の歯から鳴っている事に気づくまで、ほんの少し時間が掛った。
それが自分の歯から鳴っている事に気づくまで、ほんの少し時間が掛った。
怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
自分の目の前に倒れている、ハルヒの顔を見つめる。ついさっきまでは健康的な肌色であったその顔は、青白く染まった死相をしていた。
自分も、こうなってしまうのだろうか。ママ達にも会えないまま、恐怖に怯えきったままで。
自分も、こうなってしまうのだろうか。ママ達にも会えないまま、恐怖に怯えきったままで。
―――そんなの……そんなのは……
『…………? ヴィヴィオ?』
『ヴィヴィオ? どうしたのですか?』
『ヴィヴィオ? どうしたのですか?』
クロスミラージュと、突然『掴みあげられたバルディッシュ』がヴィヴィオに対して疑問の声を上げるが、ヴィヴィオは何も答えない。
いや、彼らの問いかけ自体を、今のヴィヴィオは認識していなかった。
いや、彼らの問いかけ自体を、今のヴィヴィオは認識していなかった。
ヴィヴィオは元々、ロストロギアである超兵器『聖王のゆりかご』を起動させるためのキー、『鍵の聖王』として用いられるために、
かつて古代ベルカを支配していた聖王の遺伝子を元にして作られた人造生命体である。
一定の条件さえ満たせれば、強大な魔力を持つ魔導士として覚醒し、『エースオブエース』高町なのはと互角以上の戦いを繰り広げられるだけの実力を発揮する。
だが、それはあくまで条件が満たされた時のみ。いまの彼女には、平均以上とは言え普通の子供の域は出ない程度の魔力しか持っていない。
かつて古代ベルカを支配していた聖王の遺伝子を元にして作られた人造生命体である。
一定の条件さえ満たせれば、強大な魔力を持つ魔導士として覚醒し、『エースオブエース』高町なのはと互角以上の戦いを繰り広げられるだけの実力を発揮する。
だが、それはあくまで条件が満たされた時のみ。いまの彼女には、平均以上とは言え普通の子供の域は出ない程度の魔力しか持っていない。
そしてそれは逆を言えば、普通の子供としての魔力は十分にあるという事。
「…………バルディッシュ……セット、アップ…」
『!?』
『ヴィヴィオ!?』
『!?』
『ヴィヴィオ!?』
『デバイスの基本中の基本である、待機状態から戦闘形態へのセットアップ』を可能とするだけの魔力は、十分に存在しているという事。
震える声で紡がれたヴィヴィオのコマンドワードに反応して、バルディッシュが金色の光と共にその姿を変える。
光が消えると共に現れたのは『閃光の戦斧』の二つ名が表わす通りの、漆黒に包まれた斧……通称、『アサルトフォーム』と呼ばれる形態。
その大きさに違わないだけのズシリとした重さに少しふらつきながらも、ヴィヴィオはゆっくりと教室のドアへと歩いていく。
光が消えると共に現れたのは『閃光の戦斧』の二つ名が表わす通りの、漆黒に包まれた斧……通称、『アサルトフォーム』と呼ばれる形態。
その大きさに違わないだけのズシリとした重さに少しふらつきながらも、ヴィヴィオはゆっくりと教室のドアへと歩いていく。
『ヴィヴィオ!? どうしたのですか!?』
『警告、戦闘によりヴィヴィオに及ぶ危険度・大。早急な退避を進言』
『警告、戦闘によりヴィヴィオに及ぶ危険度・大。早急な退避を進言』
緊迫した二つのデバイスの声は、ここでは何の意味をなさない。
ヴィヴィオはただ、その震える体を引きずるようにして進む。
その胸の中に渦巻いているのは、目の前でまざまざと見せつけられた、今まで自分に縁の無かった『死』という概念への恐怖だ。
ヴィヴィオはただ、その震える体を引きずるようにして進む。
その胸の中に渦巻いているのは、目の前でまざまざと見せつけられた、今まで自分に縁の無かった『死』という概念への恐怖だ。
ガタガタと体が震える。
死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。
考えている事はそれだけだ。彼女を死なせまいとする二つのデバイスの必死の呼びかけも、聞こえない。
死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。
考えている事はそれだけだ。彼女を死なせまいとする二つのデバイスの必死の呼びかけも、聞こえない。
そして、ヴィヴィオの中で極限まで膨れ上がっていた恐怖は――――――
「どうした、何があったーっ!?」
――――――――――――っっっっ!!!!
「どうした、何があったーっ!?」
――――――――――――っっっっ!!!!
突然教室のドアを開けて侵入してきた見知らぬ筋肉質な男を見た瞬間に、一気に爆発した。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バチバチとバルディッシュの刃に走る金色の閃光が眩しくて―――否、自分がこの手で誰かを傷つける瞬間を見たくないからか…………
ヴィヴィオは、硬く目を瞑ったままで手に持った戦斧を横薙ぎに振りぬけた。
ヴィヴィオは、硬く目を瞑ったままで手に持った戦斧を横薙ぎに振りぬけた。
斧の先から、表面上はやわらかく、その芯は固い『何か』の感触がまざまざと伝わってくる。
狙ったのは自分の背より遥かに上の部分、つまりは人体の急所でもある、『首』だ。
自分が死にたくないから、そして後ろにいるハルヒにも何もされたくないから、ヴィヴィオは恐怖のままに使いなれぬ力を振るった。
敵か味方かも分からない目の前の男を『殺す』ために。
狙ったのは自分の背より遥かに上の部分、つまりは人体の急所でもある、『首』だ。
自分が死にたくないから、そして後ろにいるハルヒにも何もされたくないから、ヴィヴィオは恐怖のままに使いなれぬ力を振るった。
敵か味方かも分からない目の前の男を『殺す』ために。
「………っ…」
殺そうとした。自分は今、人を『殺そう』としたんだ。自分が殺されないために人を殺そうとしたんだ。
その事実をはっきりと認識した時、ヴィヴィオの体の震えがより一層大きくなる。
それでも、目の前の男の肉体に食い込んだバルディッシュは離せない。
そして、目を開けて自分の手で作り出した『死体』を見る事も出来ない。
未だ絶え間なく襲い来る恐怖の感情に加えて、幼い少女が抱くには大きすぎる自己嫌悪までもがヴィヴィオの心を犯し始める。
もう泣き声も、『助けて、ママ』という叫び声さえも出す事が出来ないままに、少女は拷問の様な時間を過ごした。
その事実をはっきりと認識した時、ヴィヴィオの体の震えがより一層大きくなる。
それでも、目の前の男の肉体に食い込んだバルディッシュは離せない。
そして、目を開けて自分の手で作り出した『死体』を見る事も出来ない。
未だ絶え間なく襲い来る恐怖の感情に加えて、幼い少女が抱くには大きすぎる自己嫌悪までもがヴィヴィオの心を犯し始める。
もう泣き声も、『助けて、ママ』という叫び声さえも出す事が出来ないままに、少女は拷問の様な時間を過ごした。
「…………………私は」
ビクンと体が震えた。
嘘。だって、本当に首を狙ったのに。確かに、斧からは体の何処かに当たってる感触がするのに。だって、だって――――
嘘。だって、本当に首を狙ったのに。確かに、斧からは体の何処かに当たってる感触がするのに。だって、だって――――
「……聞いてくれ、私は………」
声が聞こえる。ヴィヴィオの声じゃない、男の人の声が聞こえる。
聞き間違いじゃない、囁くように喋ってる。本当に、聞こえる。
聞き間違いじゃない、囁くように喋ってる。本当に、聞こえる。
恐る恐る、硬くつむっていた目を開けていく。まず見えたのは、堂々と地面を踏みしめて立っている、とても太く引き締まった二本の足。
そこからゆっくりと、視線を上へと上げていく。体を襲う震えはまだ止まらない。
足から腰。腰から腹。腹から胸。胸から……………一度だけ硬く唾を飲みこんで、そのさらに上を見上げる。
そこからゆっくりと、視線を上へと上げていく。体を襲う震えはまだ止まらない。
足から腰。腰から腹。腹から胸。胸から……………一度だけ硬く唾を飲みこんで、そのさらに上を見上げる。
そこには、まるで壁の様に組み合わされた、二本の太い腕があった。
右腕部分に、漆黒の斧を食いこませ、電撃によってとその皮膚を痛々しく焼かれながらも、二本の腕は顔や『首』を守る様に微動だにしない。
右腕部分に、漆黒の斧を食いこませ、電撃によってとその皮膚を痛々しく焼かれながらも、二本の腕は顔や『首』を守る様に微動だにしない。
これこそが、キン肉族の始祖、キン肉タツノリが考案した『キン肉族の至宝』とも呼ばれる伝説の防御技、『キン肉ガード』である。
一部では『肉のカーテン』とも呼ばれるそれは、鋼鉄と同じ硬さを誇り、数々の悪行超人達からキン肉族の戦士の命を救っていた。
そして今もまた脈々と受け継がれてきたキン肉一族の秘技は、この男を………キン肉星第58代目王位継承者・キン肉スグルをしっかりと守り切っていた。
一部では『肉のカーテン』とも呼ばれるそれは、鋼鉄と同じ硬さを誇り、数々の悪行超人達からキン肉族の戦士の命を救っていた。
そして今もまた脈々と受け継がれてきたキン肉一族の秘技は、この男を………キン肉星第58代目王位継承者・キン肉スグルをしっかりと守り切っていた。
「あ、あ、あ、あ…………」
ヴィヴィオの口からは呆けたような声しか出てこない。
心の隅のどこかでは、目の前の男が生きていた事を喜んでいる自分がいる。しかし、大部分を締める自分はそうではなかった。
心の隅のどこかでは、目の前の男が生きていた事を喜んでいる自分がいる。しかし、大部分を締める自分はそうではなかった。
二つに組まれた腕の隙間から見えるスグルの目は、今の今まで閉じられていた。
それが今まさにゆっくりと開き始めて、ヴィヴィオの赤と緑の瞳をしっかりと捕える。
目が、合った。
その時、それまでは鳴りを潜めていた心の中のざわつきが、突如復活した。
「私は、君の――――――」
「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
それが今まさにゆっくりと開き始めて、ヴィヴィオの赤と緑の瞳をしっかりと捕える。
目が、合った。
その時、それまでは鳴りを潜めていた心の中のざわつきが、突如復活した。
「私は、君の――――――」
「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
バルディッシュを強引に振り戻し、再度斬りかかる。
一度だけではなく、二度、三度、四度、もっと、もっと、もっと!
そうしなきゃ、この男の人を倒さなきゃ、今度はヴィヴィオがハルヒお姉ちゃんみたいに!!
一度だけではなく、二度、三度、四度、もっと、もっと、もっと!
そうしなきゃ、この男の人を倒さなきゃ、今度はヴィヴィオがハルヒお姉ちゃんみたいに!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
だだっこの様に泣きわめきながら、とにかく無茶苦茶に目の前の体を斬りつける。
その目は再び固く閉じられて、すでに自分でもどこを狙っているのかもわからない。
例え目を開けて見ても、絶え間なくこぼれ落ちる涙の所為で視界はぼやけきったままだ。
それでも、時折聞こえてくる呻くような男の声が、ヴィヴィオの攻撃が一定の効果を上げている事を示していた。
その目は再び固く閉じられて、すでに自分でもどこを狙っているのかもわからない。
例え目を開けて見ても、絶え間なくこぼれ落ちる涙の所為で視界はぼやけきったままだ。
それでも、時折聞こえてくる呻くような男の声が、ヴィヴィオの攻撃が一定の効果を上げている事を示していた。
そして―――――
唯一、クリアな感覚が残っていた耳に響いた、力強く残酷な鈍い音。
続いて聞こえてきたのは、苦痛に呻くような低い声。
目を開けて前を向けば、涙でぼやけた視界によって輪郭しか見えなくても、はっきりと先ほどまで組まれていた二本の腕が崩されているのがわかった。
自分の手から伸びたバルデュッシュは、スグルの脇腹へと力強く突き刺さっていた。
続いて聞こえてきたのは、苦痛に呻くような低い声。
目を開けて前を向けば、涙でぼやけた視界によって輪郭しか見えなくても、はっきりと先ほどまで組まれていた二本の腕が崩されているのがわかった。
自分の手から伸びたバルデュッシュは、スグルの脇腹へと力強く突き刺さっていた。
「………ぐうっ……」
再度呻き声をあげた後に、スグルの体がゆっくりと崩れ落ちていくのが見える。
ズシンと予想以上に大きい音を立てて、その片膝が地面へ突き立てられる。
ズシンと予想以上に大きい音を立てて、その片膝が地面へ突き立てられる。
――――――終わった?
僅かな喜びと大きな絶望と、さらには虚無感すらも生みだしていたその予想は、しかしあっさりと打ち砕かれる。
「……………!!!」
ゆっくりと。スグルの大きな腕が、自分の『首』へと伸ばされてくる。
「……!!………!!!!」
叫びそうになっていたのに、いや実際に叫ぼうとしていたのに、声が出ない。
それでも体だけはしっかりと動き、その腕をバルディッシュで振り払おうと必死で自分の腕に力を込めるが、びくともしない。
それでも体だけはしっかりと動き、その腕をバルディッシュで振り払おうと必死で自分の腕に力を込めるが、びくともしない。
スグルの片腕が、自らの脇腹に突き刺さっていたバルディッシュを抑え込んでいた。
両手を離して、この場から逃げようとする。しかし、ヴィヴィオの小さな手は丸で磁石にでもなってしまったかのように、黒い取っ手から離れない。
そうしている間にも、水の中の様な最悪の視界の中でもはっきりとその太さが見て取れるほどにまでスグルの腕が近付いていた。
そうしている間にも、水の中の様な最悪の視界の中でもはっきりとその太さが見て取れるほどにまでスグルの腕が近付いていた。
殺される。
その腕で、首を絞められて。
ううん、そんな事しなくても、きっと力を少し入れるだけで首の骨が折られちゃう。
やだ。
やだ。やだ。やだ。やだ。やだ。やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだややだ!!!!
死にたくない!! ヴィヴィオ、まだ死にたくない!!
折角、怖い事件も終わって、ママ達と一緒に幸せに暮らせると思ったのに!!
ママ達と………大好きなママ達と………!!!
その腕で、首を絞められて。
ううん、そんな事しなくても、きっと力を少し入れるだけで首の骨が折られちゃう。
やだ。
やだ。やだ。やだ。やだ。やだ。やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだややだ!!!!
死にたくない!! ヴィヴィオ、まだ死にたくない!!
折角、怖い事件も終わって、ママ達と一緒に幸せに暮らせると思ったのに!!
ママ達と………大好きなママ達と………!!!
(なのはママぁっ………………!!!)
声にならない叫びと共に、痛みと恐怖に耐えるために身をこわばらせ、今までで一番強く目をつぶる。
そして、ヴィヴィオの体を衝撃が襲ったのは、その刹那。
そして、ヴィヴィオの体を衝撃が襲ったのは、その刹那。
ぽふんっ。
分厚くて、ゴツゴツとしてて、太くて、硬くて、大きくて――――温かくて。
今まで、ヴィヴィオが触れ合った事のないような大人の男の手が、優しく少女の『頭』へと乗せられた。
今まで、ヴィヴィオが触れ合った事のないような大人の男の手が、優しく少女の『頭』へと乗せられた。
「え……………………」
目を開けて、片膝を付いている所為でヴィヴィオと同じ高さにあるスグルの顔を見ようとする。
それでも、消えない涙に邪魔されて、輪郭こそ見える物の肝心な目の前の表情は全く確認できない。
それでも、消えない涙に邪魔されて、輪郭こそ見える物の肝心な目の前の表情は全く確認できない。
「大丈夫だ、私は君の敵じゃない」
低くて、ほんの少しダミ声だけれど、穏やかさも感じさせる不思議な声がヴィヴィオに話しかける。
カランカランと硬い物が落ちる音がした。スグルがもう片方の手を離して、バルディッシュを解放したのだ。
あれほど強引に吸いついていたヴィヴィオの手のひらも、いつの間にやら漆黒の斧から離れていた。
そして、自由になったスグルのもう一つの腕がヴィヴィオの顔に伸び、少しだけ強引に目の辺りをゴシゴシと拭う。
涙の霧はほんの少しを残して消えていき、ようやくヴィヴィオはスグルの顔をまともに見つめた。
カランカランと硬い物が落ちる音がした。スグルがもう片方の手を離して、バルディッシュを解放したのだ。
あれほど強引に吸いついていたヴィヴィオの手のひらも、いつの間にやら漆黒の斧から離れていた。
そして、自由になったスグルのもう一つの腕がヴィヴィオの顔に伸び、少しだけ強引に目の辺りをゴシゴシと拭う。
涙の霧はほんの少しを残して消えていき、ようやくヴィヴィオはスグルの顔をまともに見つめた。
豚さんの様にでかい鼻に、鱈子みたいに太い唇。変なトサカみたいな物を頭に生やして、額には……たしか、なのはママの世界の言葉…『おにく』、だっけ。
決して、普段ヴィヴィオの周りにいるカッコイイ男の人たちと一緒とは思えない、どちらかと言えばブサイクな顔のつくり。
だけども、その表情は凄く優しく微笑んでいた。
決して、普段ヴィヴィオの周りにいるカッコイイ男の人たちと一緒とは思えない、どちらかと言えばブサイクな顔のつくり。
だけども、その表情は凄く優しく微笑んでいた。
「私は、キン肉星第58代目王位継承者……正義のために働き、弱い物を助けて悪をこの手で倒す者………
名前はキン肉スグル。またの名を…………正義超人、キン肉マン!」
名前はキン肉スグル。またの名を…………正義超人、キン肉マン!」
そこまで言い終わった瞬間、浮かんでいた微笑みは太陽の様な笑顔へと変わった。
だけどそれは、やっぱり綺麗な笑顔とは言えない。
きっと、ついさっきの攻撃の痛みが残っているのだろう。その眼尻には涙が微妙に浮かんでいる。よくよく見れば鼻水さえも垂れている。
それでも――――
だけどそれは、やっぱり綺麗な笑顔とは言えない。
きっと、ついさっきの攻撃の痛みが残っているのだろう。その眼尻には涙が微妙に浮かんでいる。よくよく見れば鼻水さえも垂れている。
それでも――――
『大丈夫よ、ヴィヴィオちゃん』
優しい声が聞こえた気がした。ついさっきまで何度も自分を励ましてくれた、優しくて明るいお姉ちゃんの声。
『だって………こんなアホ面したオッサンが、悪人な訳ないじゃない! 私が言うんだから間違いないわよ!!』
これは気のせいだ。だって、もうお姉ちゃんはいないから。
でも、それでも……凄く、凄く安心出来る声を聞けた事は素直に嬉しかった。
でも、それでも……凄く、凄く安心出来る声を聞けた事は素直に嬉しかった。
多分、それで今まで張りつめていた緊張の糸が切れたのだろう。
段々と自分の意識が薄れて、体に力が入らなくなっていくのが分かる。
でも、ここで眠っちゃう前にもう一つだけ………最後にこれだけは言わなくちゃ。
段々と自分の意識が薄れて、体に力が入らなくなっていくのが分かる。
でも、ここで眠っちゃう前にもう一つだけ………最後にこれだけは言わなくちゃ。
「…………ごめん……なさ………ぃ…………」
※
「おおっと………!!」
突然、自分へと倒れ掛ってきたヴィヴィオの体を慌てて支える。
まだまだ小さなその体を支えるのはちっとも苦では無かったが、先ほどまでの騒動で傷ついた腕がほんの少しだけ悲鳴をあげた。
まだまだ小さなその体を支えるのはちっとも苦では無かったが、先ほどまでの騒動で傷ついた腕がほんの少しだけ悲鳴をあげた。
「いちちちち……やれやれ、こんなに小さな女の子だというのに元気だのう」
そんな冗談を呟いて、意識を失った少女をゆっくりと床へと横たえてやる。
倒れる直前に少女が掠れる声で言ってくれた言葉を思い出しながら。
倒れる直前に少女が掠れる声で言ってくれた言葉を思い出しながら。
「謝る事など何もないさ…………私は正義超人として、当たり前のことをしたまでだ」
しばらく優しくヴィヴィオの事を見つめた後に、表情を引き締めてスグルは教室の状況を確認する。
幾つかの砕け散った机やイスから見て、ここで戦闘が行われた事は間違いないだろう。
そしてその犯人は先ほどニアミスした未知の超人らしき人物であり、その被害者は教室の中央で腹部から血を流して倒れている高校生ぐらいの少女。
現場の状況から見てそれだけは予測できる物の……それでも尚不明な点は幾つも存在する。
何故、自分を襲ってきたこの少女は無傷のままでいたのか?
あの超人のような男は、なぜこの少女を襲わずにこの場から逃走したのか?
幾つかの砕け散った机やイスから見て、ここで戦闘が行われた事は間違いないだろう。
そしてその犯人は先ほどニアミスした未知の超人らしき人物であり、その被害者は教室の中央で腹部から血を流して倒れている高校生ぐらいの少女。
現場の状況から見てそれだけは予測できる物の……それでも尚不明な点は幾つも存在する。
何故、自分を襲ってきたこの少女は無傷のままでいたのか?
あの超人のような男は、なぜこの少女を襲わずにこの場から逃走したのか?
「むぅ、さっぱりわからん……ただでさえ頭を使うのは苦手なんじゃがなぁ……」
『ならば、その説明は我々がしましょう』
「!?」
『ならば、その説明は我々がしましょう』
「!?」
突然、その場に響いてきた第三者の声。慌ててスグルが辺りを見回しても、その声の主と思える人物は発見できない。
ただ、床に転がっている板きれが妙にチカチカと光っているが………?
ただ、床に転がっている板きれが妙にチカチカと光っているが………?
『こちらです。ヴィヴィオを助けてくださった事、心から感謝します』
『同意。Thanks,Mr.Muscle』
「んなぁっ………!?」
『同意。Thanks,Mr.Muscle』
「んなぁっ………!?」
板きれと、床に転がっていた斧が、今確かに同時に――――――
「ゲェー!? 板きれと斧がペラペラと喋りだしたぁー!?」
時刻は午前五時五十五分。運命の第一放送まで、後―――――五分。
【C-3 高校・教室内/放送直前】
【名前】キン肉スグル@キン肉マン
【状態】両方の二の腕に火傷跡と切り傷、脇腹に中度の裂傷
【持ち物】タリスマン@スレイヤーズREVOLUTION、ディパック(支給品一式)
【思考】
0:ゲェー!?
1:ひとまずこの二つのアイテムから話を聞く。
2:少女(ヴィヴィオ)は保護する。
3:先ほどすれ違った超人?(キョン)の事が気になる。
4:キン肉万太郎を探し出してとっちめる。
5:一般人を守り、悪魔将軍を倒す。
【状態】両方の二の腕に火傷跡と切り傷、脇腹に中度の裂傷
【持ち物】タリスマン@スレイヤーズREVOLUTION、ディパック(支給品一式)
【思考】
0:ゲェー!?
1:ひとまずこの二つのアイテムから話を聞く。
2:少女(ヴィヴィオ)は保護する。
3:先ほどすれ違った超人?(キョン)の事が気になる。
4:キン肉万太郎を探し出してとっちめる。
5:一般人を守り、悪魔将軍を倒す。
【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、疲労(特大)、気絶
【持ち物】バルディッシュ・アサルト(6/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
0.(気絶中)
【備考】
※ヴィヴィオの力の詳細は、次回以降の書き手にお任せします。
【状態】健康、疲労(特大)、気絶
【持ち物】バルディッシュ・アサルト(6/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
0.(気絶中)
【備考】
※ヴィヴィオの力の詳細は、次回以降の書き手にお任せします。
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