扇動・搾取・虎の巻 ◆NIKUcB1AGw
F-5、神社。
とある変態の襲撃による傷跡が残るこの場所に、二人の人外がいた。
一人は正義に生きるロボ超人、ウォーズマン。
もう一人は邪悪な野望に生きる獣神将、リヒャルト・ギュオー。
二人は今、神社の中で向かい合って座っている。
とある変態の襲撃による傷跡が残るこの場所に、二人の人外がいた。
一人は正義に生きるロボ超人、ウォーズマン。
もう一人は邪悪な野望に生きる獣神将、リヒャルト・ギュオー。
二人は今、神社の中で向かい合って座っている。
「さて……まずは自己紹介をしておこうか。俺はロシアの超人、ウォーズマンだ」
「私はリヒャルト・ギュオーだ。助けてもらったこと、感謝する」
「私はリヒャルト・ギュオーだ。助けてもらったこと、感謝する」
律儀に名乗るウォーズマンに対し、ギュオーも名乗り返す。
「そのことか。気にするな。傷ついたものを助けるのは、正義超人として当然の義務だ」
(なるほど……。思った以上のお人好しだ。上手く使いこなせそうになかったら、情報だけ引き出して殺すことも考えていたが……。
これならばいい駒になってくれそうだ)
「何を笑っている?」
「いや、なんでもない」
(なるほど……。思った以上のお人好しだ。上手く使いこなせそうになかったら、情報だけ引き出して殺すことも考えていたが……。
これならばいい駒になってくれそうだ)
「何を笑っている?」
「いや、なんでもない」
ギュオーの顔に浮かんだ笑みを不審に思うウォーズマンだったが、ギュオーはさらりとそれをごまかす。
「それでギュオー、なぜお前はあそこまで傷ついて倒れていた? 返答次第では、俺もお前と戦わなければならなくなるが……」
「そうはやるな、ウォーズマン。私は殺し合いには乗っていない。ダメージを受けていたのは、殺し合いに乗った参加者に襲われたからだ」
「何!? それはどんな奴だ! まさか紫の髪の……」
「いや、栗色の髪の女と、水色の肌のカエルのような生物だ。苦戦の末に何とか撃退したが、私も力尽きて倒れてしまったというわけだ。
たしか女が『リナ』、カエルが『ドロロ』と名乗っていたが……。放送でその名は呼ばれたか?」
「いや、呼ばれていないな。放送で死者として名前が呼ばれたのは涼宮ハルヒ、モッチー、フェイト・T・ハラオウン、日向冬樹、ゼルガディス・グレイワーズの5人だ」
「そうはやるな、ウォーズマン。私は殺し合いには乗っていない。ダメージを受けていたのは、殺し合いに乗った参加者に襲われたからだ」
「何!? それはどんな奴だ! まさか紫の髪の……」
「いや、栗色の髪の女と、水色の肌のカエルのような生物だ。苦戦の末に何とか撃退したが、私も力尽きて倒れてしまったというわけだ。
たしか女が『リナ』、カエルが『ドロロ』と名乗っていたが……。放送でその名は呼ばれたか?」
「いや、呼ばれていないな。放送で死者として名前が呼ばれたのは涼宮ハルヒ、モッチー、フェイト・T・ハラオウン、日向冬樹、ゼルガディス・グレイワーズの5人だ」
ウォーズマンはその優秀な頭脳に叩き込んだ死者の名前を、一人の過ちもなく読み上げてみせる。
「そうか、死んでいなかったか……。気を付けろ、あいつらはかなり手強いぞ。二人とも妙な術を使う」
リナたちが死んでいなかったことに内心舌打ちしつつ、あくまで平静を装ってギュオーは言う。
ちなみに情報をぼやかして伝えているのは、自分が詳細名簿を持っているのを気づかれないようにするためだ。
あれを見られては、自分の本性があっさりとばれてしまう。
ちなみに情報をぼやかして伝えているのは、自分が詳細名簿を持っているのを気づかれないようにするためだ。
あれを見られては、自分の本性があっさりとばれてしまう。
「むう、殺し合いに乗った実力者の二人組か……。やっかいな存在だな……」
一方のウォーズマンはそんなギュオーの思惑には気づかず、その言葉を信用してしまっていた。
「放送といえば、禁止エリアとかいうやつはどうなった?」
「ああ、それか。それなら……」
「ああ、それか。それなら……」
死者を教えた時のように、ウォーズマンは口頭で禁止エリアの位置をギュオーに伝えていく。
「なるほど……。この近くが禁止エリアに指定されなかったのは幸いというべきか」
教わった禁止エリアを自分の地図に書き込みながら、ギュオーは言う。
「ところでギュオー。すまないが、俺に協力してくれないか?」
「どういうことだ。言ってみろ」
「どういうことだ。言ってみろ」
唐突に話題を切り替えたウォーズマンに対し、ギュオーは続きを促した。
「俺には捜している人間が二人いる。一人は怪しい人物に拉致された、草壁メイという少女。
もう一人は俺の目の前で他の人間を殺した、紫の髪の男だ。この二人の捜索を手伝ってもらいたい」
「ふむ……」
もう一人は俺の目の前で他の人間を殺した、紫の髪の男だ。この二人の捜索を手伝ってもらいたい」
「ふむ……」
ウォーズマンの申し入れに、ギュオーは顎に手を当てて考え込む。
「どうしてもいやだというのなら、俺に強制する権利はないが……。俺には仲間が必要なんだ、どうか協力してほしい」
「わかった、いいだろう」
「本当か!?」
「わかった、いいだろう」
「本当か!?」
ギュオーの返答に、ウォーズマンの声にも喜びの色が混じる。
「ただ、条件がある。私の目的にも協力してほしい」
「お前の目的? それは何だ?」
「お前の目的? それは何だ?」
「まずは、私の身の上から話さなければならないのだが……。私は元々、クロノスという闇の組織の一員だった。
しかしクロノスのやり方についていけず、裏切った。クロノスとしては私を始末したいはずだ。
この殺し合いにも、クロノスの構成員が参加している。ネオ・ゼクトール、それにアプトム、そして深町晶。こいつらは私の命を狙ってくるだろう。
現にこの殺し合いが始まった直後、ネオ・ゼクトールは私を襲撃してきた。何とか逃げ延びたがな」
しかしクロノスのやり方についていけず、裏切った。クロノスとしては私を始末したいはずだ。
この殺し合いにも、クロノスの構成員が参加している。ネオ・ゼクトール、それにアプトム、そして深町晶。こいつらは私の命を狙ってくるだろう。
現にこの殺し合いが始まった直後、ネオ・ゼクトールは私を襲撃してきた。何とか逃げ延びたがな」
嘘は言っていない。欠けている部分を補うと
「しかし(自分が頂点に立ちたいので)クロノスのやり方についていけず、裏切った。クロノスとしては私を始末したいはずだ。
この殺し合いにも、クロノスの構成員が参加している。ネオ・ゼクトール、それに(もうクロノスを抜けたが)アプトム、そして(クロノスと対立しているが私にとっても敵の)深町晶。こいつらは私の命を狙ってくるだろう」
となるわけだが。
「しかし(自分が頂点に立ちたいので)クロノスのやり方についていけず、裏切った。クロノスとしては私を始末したいはずだ。
この殺し合いにも、クロノスの構成員が参加している。ネオ・ゼクトール、それに(もうクロノスを抜けたが)アプトム、そして(クロノスと対立しているが私にとっても敵の)深町晶。こいつらは私の命を狙ってくるだろう」
となるわけだが。
「私としては、襲い来る火の粉は払いのけなければならない。今言った三人に加え、ゼクトールと手を組んだらしいノーヴェという女。
こいつらを倒すのに協力してくれるというのなら、私も君に手を貸そうじゃないか」
「闇の組織の構成員か……。確かに野放しにしておくのは危険かも知れないな……。
了解した。どこまで力になれるかはわからないが、そいつらと戦う時には力を貸そう」
「同盟成立だな」
こいつらを倒すのに協力してくれるというのなら、私も君に手を貸そうじゃないか」
「闇の組織の構成員か……。確かに野放しにしておくのは危険かも知れないな……。
了解した。どこまで力になれるかはわからないが、そいつらと戦う時には力を貸そう」
「同盟成立だな」
ギュオーが、手を差し出す。ウォーズマンは、その手を握った。
「さて……。話がまとまったところで、私はちょっと用を足してくる。悪いがその間に、具体的な今後の方針を考えておいてくれ」
「わかった」
「わかった」
ウォーズマンに背を向け、ギュオーはトイレを捜して神社の奥に消える。
なぜか、デイパックを背負って。
なぜか、デイパックを背負って。
◇ ◇ ◇
「上手くいったな……」
「タバコの吸い殻・ガム・パンツを便器に流さないでください byベンキーマン」と書かれた扉を開け、ギュオーはトイレの個室に入った。
もちろん、本当に用を足しに来たわけではない。彼がここに来たのは、ウォーズマンに気づかれずにあるものを処分するためだ。
もちろん、本当に用を足しに来たわけではない。彼がここに来たのは、ウォーズマンに気づかれずにあるものを処分するためだ。
「情報は便利だが、他人に渡れば自分の足を引っ張るかも知れん。どのみち、もう覚えた分は必要がないしな」
ギュオーが取り出したのは、参加者詳細名簿。彼はそこからいくつかのページを抜き取り、ビリビリに破く。
そして、その紙片をトイレに投げ込んで水を流した。
そして、その紙片をトイレに投げ込んで水を流した。
「これで万が一ウォーズマンに詳細名簿の存在を気づかれても、私の正体がばれることはない……。
光栄に思え、ウォーズマン。このリヒャルト・ギュオーが、貴様を思う存分利用してやるぞ!
ハーハッハッハッハッハ!」
光栄に思え、ウォーズマン。このリヒャルト・ギュオーが、貴様を思う存分利用してやるぞ!
ハーハッハッハッハッハ!」
リヒャルト・ギュオーは高らかに笑う。トイレの中で。
◇ ◇ ◇
(あの男、何か隠しているな……)
適当に神社の中をぶらつきながら、ウォーズマンはそんなことを考えていた。
彼はお人好しであるが、馬鹿ではない。長年の経験に基づく直感が、ギュオーには何か裏があると彼に告げていた。
ちなみにぶらついているのは、話が一段落したところでようやく朝倉の姿がないことに気づき、彼女を捜しているからだ。
彼はお人好しであるが、馬鹿ではない。長年の経験に基づく直感が、ギュオーには何か裏があると彼に告げていた。
ちなみにぶらついているのは、話が一段落したところでようやく朝倉の姿がないことに気づき、彼女を捜しているからだ。
(まあ、こんな殺し合いの中だ。そう簡単に他人を信じることは出来ないだろう。
あまり重大でない隠し事であることを祈ろう)
あまり重大でない隠し事であることを祈ろう)
ひとまずの結論を出し、そのまま歩き続けるウォーズマン。その彼の視界に、妙なものが飛び込んでくる。
(これは……仏像?)
そう、彼が目にしたのは、部屋の隅にひっそりと安置された仏像だった。
(仏像があるのは寺ではないのか? なぜ神社にこんなものが……)
旧ソビエト出身とはいえ、ウォーズマンは現役時代の多くの時間を日本で過ごしてきた。
それ故、日本の文化についてもある程度知っている。だからこそ、神社に安置された仏像……阿修羅如来像を見て首をかしげざるをえなかった。
それ故、日本の文化についてもある程度知っている。だからこそ、神社に安置された仏像……阿修羅如来像を見て首をかしげざるをえなかった。
(そういえば、アシュラマンのやつはどうしているのか……。この殺し合いの場で、かつての悪魔超人の心が蘇っていたりしなければいいんだが……)
阿修羅如来の姿に、かつての友の姿を重ね合わせるウォーズマン。その時。
「なにっ!?」
ウォーズマンが何もしていないのにもかかわらず、阿修羅如来の首にヒビが入り、その頭が落ちた。
(これは……まさか、アシュラマンの身に何かが!)
冷たい肉体の中の熱い心を悪寒に振るわせながら、ウォーズマンはただ立ちすくむしかなかった。
【F-05/神社/一日目・昼前】
【名前】ウォーズマン @キン肉マンシリーズ
【状態】全身に中度のダメージ ゼロスに対しての憎しみ
【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品1~3) ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
1:ギュオーと共にメイ達を捜索。朝倉とも合流したい。
2:草壁メイとゲンキとスエゾーとハムを見つけ次第保護。
3:正義超人ウォーズマンとして、一人でも多くの人間を守り、悪行超人とそれに類する輩を打倒する。
4:紫の髪の男だけは許さない
5:アシュラマンの安否が気になる。
6:最終的には殺し合いの首謀者たちも打倒、日本に帰りケビンマスク対キン肉万太郎の試合を見届ける。
【状態】全身に中度のダメージ ゼロスに対しての憎しみ
【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品1~3) ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
1:ギュオーと共にメイ達を捜索。朝倉とも合流したい。
2:草壁メイとゲンキとスエゾーとハムを見つけ次第保護。
3:正義超人ウォーズマンとして、一人でも多くの人間を守り、悪行超人とそれに類する輩を打倒する。
4:紫の髪の男だけは許さない
5:アシュラマンの安否が気になる。
6:最終的には殺し合いの首謀者たちも打倒、日本に帰りケビンマスク対キン肉万太郎の試合を見届ける。
【備考】
※ゲンキとスエゾーとハムの情報(名前のみ)を知りました
※ゼロス(容姿のみ記憶)を危険視しています
※ギュオーのことは基本的に信用していますが、彼の発言を鵜呑みにはしていません
※ゲンキとスエゾーとハムの情報(名前のみ)を知りました
※ゼロス(容姿のみ記憶)を危険視しています
※ギュオーのことは基本的に信用していますが、彼の発言を鵜呑みにはしていません
【リヒャルト・ギュオー@強殖装甲ガイバー】
【状態】 全身打撲、大ダメージ、疲労小、回復中
【持ち物】参加者詳細名簿&基本セット(水損失)
E:アスカのプラグスーツ@新世紀エヴァンゲリオン
空のビール缶(大量・全て水入り)@新世紀エヴァンゲリオン
【思考】
1 優勝し、別の世界に行く。そのさい、主催者も殺す。
2 ウォーズマンを利用し消耗を抑える。今のところは彼に協力しておく。
3 自分で戦闘する際は油断なしで全力で全て殺す。
4 ケロン人に会ったら降臨者との関係を問いただす。
【状態】 全身打撲、大ダメージ、疲労小、回復中
【持ち物】参加者詳細名簿&基本セット(水損失)
E:アスカのプラグスーツ@新世紀エヴァンゲリオン
空のビール缶(大量・全て水入り)@新世紀エヴァンゲリオン
【思考】
1 優勝し、別の世界に行く。そのさい、主催者も殺す。
2 ウォーズマンを利用し消耗を抑える。今のところは彼に協力しておく。
3 自分で戦闘する際は油断なしで全力で全て殺す。
4 ケロン人に会ったら降臨者との関係を問いただす。
※詳細名簿の「リヒャルト・ギュオー」「深町晶」「アプトム」「ネオ・ゼクトール」「ノーヴェ」「リナ・インバース」「ドロロ兵長」に関する記述部分が破棄されました。
時系列順で読む
Back:魔物の群れはいなくなった Next:道化は踊り蜘蛛は笑う
投下順で読む
Back:魔物の群れはいなくなった Next:道化は踊り蜘蛛は笑う
迷える人形 | ウォーズマン | 第一印象がいい奴にロクな奴はいない |
リヒャルト・ギュオー |