※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

黒は一人でたくさんだ!(後編) ◆2XEqsKa.CM





「起きたか」

「ここ、は」


俺は、ゆっくりと目を開ける。
確かタママに暴行を受け、死に掛けていたはずだが……ここはあの世か?
それとも、引き続いての二度目のチャンス、か。
はぁ……。
中年の男が、振り向いて俺に名乗る。

「私はリヒャルト・ギュオー。貴様の恩人だ」

「いきなり何を言ってるんだ、あんたは……」

タバコを探るが、やはり見つからない。
あの世ならサービスしてくれてたっていいだろう。
それに、リヒャルト何たらって名前は、名簿で見覚えがある。
となると、こりゃあ……何と言えばいいんだろうな、うん。
はぁ……。

「貴様の心臓を精密な重力弾で一瞬止め、すぐに重力波で心臓マッサージを続けて蘇生させてやった。ありがたく思え」

「本当に何を言ってるんだあんたは」

助けられた、ということらしい。
タママの元から逃げられたのは、そうとしか言いようが無い。
どうも少しおかしいような奴に、だが。っていうかおんぶされてるぞ、俺。
はぁ……。

俺は深く溜息をつき、自分の体の状態を確認。
足が無事なのはよかったが、全身が酷く痛む。
全治……いや、到底完治しそうも無いな。
最悪脊髄でも傷ついてれば、車椅子生活も余儀なくされる。
リヒャルトの背中で揺らされながら、周りを見渡す。
まだ、森だ。
あの場からそう離れていないのかもしれない。
はぁ……。

「礼を……言った方がいいのかな? 」

「お前を助けたのは、お前に私の役に立ってもらう為だ。まあ誰でもよかったのだが……」


この口ぶりからすると、善意で助けたのではないらしい……当然か。
どうやって助けられたのかは覚えていないが、あのタママから俺を掠め取ったんだ、相当の実力者だろう。
一体こんな満身創痍の俺をどう使おうってんだか……。
まあ、わざわざ助け出してまで俺を必要としているって事は、しばらくは殺されることもなさそうだ。
適当に体が治るまで付き合っておさらばするか……副指令たちを見捨ててこの男に付くのも悪くないかもな。
はぁ……。


「……この辺でいいだろう。降りろ」

「っとっと、乱暴にしないで下さいよ」


降ろされ、なんとか自分の足で立つ。
見ればそこは、別荘とコテージ群を見下ろす、森の切れ目の崖だ。
崖の下には、更に森が広がっている。
リヒャルトは崖の先まで俺と一緒に歩き、絶景を眺めながら俺の背後で言った。

「少し上を向いてくれないか? 」

「上? 」

言われた通りに、上を向く。
そうするしかないって、分かり切ってるからな。

「獣神変……! 」

疲れているのか、視点は止まることなく倒れこむように、90℃をゆうに越えて加速。
頭がやけに重い。
あ、真後ろにいたはずのリヒャルト……? の顔が見えた、笑っている。
落ちている。まずいなぁ。
下に。          ....
ごつんっ、と頭を俺の靴先にぶつけた。
痛くは、ない。

はぁ……。
ったく、わかってましたよ。
現実なんてこんなもんだ。
流石に、二回目のコンテニューはないだろうな。
しかしあの時もそうだったが、案外冷静なもんだ。
感慨なんて全くないしなぁ。

でも、

……死にたくは、なかったなぁ。





【加持リョウジ@新世紀エヴァンゲリオン 死亡確認】
【残り 36人】




(見えた……! )

加持の首の付け根……首輪の真下を手刀で刎ね、首と離れた体を崖から突き落としてリヒャルト・ギュオーは笑った。
支えをなくした首輪が滑り落ち、先程まで体があった場所を通って地面に落ちる、その一瞬。
ギュオーは、確かに見た。
首輪と密着していた加持の首から植物のような物が現れ、首輪の内側に吸い込まれながら、枯死していくのを。
首にも、首輪の内側にも、ギュオーが見た植物のような物を通せる穴は開いていない。
なにか理解し難い超原理によって起こった、不自然。ギュオーはそう感じた。

(今見た植物が我々の体を液状化させ得る物だとすれば、あれは首輪を付けている人間の死を確認し次第死に絶え、
 引いては首輪の効力もなくなるということか……? まさか殖装生物の新種ではなかろうな……)

ギュオーは身を震わせながら、崖に落ちていく加持の体の後を追わせる様に、加持の頭部を蹴り落とす。
踵を返し、実験の結果に満足しながら、ギュオーは歩く。

(計画通り……生きた人間のサンプルを入手できたお陰で、また首輪を外すのに一歩近づいたというわけだ……。
 次は、あの植物を生きたまま手に入れたいところだな……凍らせるか、培養液を探すか。その為にも、科学者はいる)


拳を握ったり開いたりしながら、ギュオーは歩く。
獣神将形態を解き、全裸の中年男性へ戻る。
すっかり堂に入ったプラグスーツの着替えも、歩きながら余裕綽々である。

(そして……タママ二等兵。奴は……ククク。名前は忘れたし、詳細名簿のページも捨てたから思い出せんが、
 あのなんとかかんとか兵長よりもずっとやりやすいケロン人だ……! 更に! )


ギュオーが加持の持っていたディバッグから、4つのカプセルを取り出す。

(加持……貴様が企んでいたであろう事……この私が遂行してやろう! これを使えば、体力を消耗せずに殺しが可能!)

「ク……ククククク……グァッハッハーッハッハッハッハッハッハ!!!!」

思考は途中から笑い声に変わり、森の中に響いた。
中身を全てギュオーのディバッグに移し変えられた加持のディバッグが、崖から投げ捨てられ、風に舞う。






……俺は、ウォーズマン。
この島に来た時、その名で通す、そう決めた。
正義超人として、一人でも多くの人間を救う為に。
しかし、結果はどうだった。
草壁メイ、ホリィ。
人間達は、皆俺の目の前から消え、あるいは目の前で、殺された。
彼女等以外にも、幾人もの人々が命を落としている。
俺は、まだ誰も救えていない。
視線を、忙しなく話題を振ってくるカエルに向ける。
彼は、間違いなく闘士だ。雰囲気でわかる。
しかし、まだ未熟。精神的にも、肉体的にも。
彼も、悪魔将軍や紫の髪の男のような強者に襲われれば、生きてはいられまい。

ただ人間を守る、それが本当に正しいのだろうか?


一度は仲間になった朝倉も、俺の元から去っていった。
放送が終わっても戻ってこないということは、とっくにこんなふがいない俺を見限っているのだろう。
……いや、人間を守るのは確かに正しいことだ。

だが。
だが!
正しいだけでは、ダメなのだ!
正しいだけでは、正義足りえない。

俺がすべきことは、正義超人としてただ人々を救うことだけだと思っていた。
人々が、弱いという事実を黙認して。
だがそれだけでは、俺がいなくなれば弱いままの人々は死んでしまうだろう。
それでいいのか。
こんな状況で、弱い人々を背負い切る実力も自信もなく背負う。
それは、正義の所業か。
否。

真の正義超人とは、次の世代へ超人魂を繋げていくもの。
草壁メイも、ホリィも、強い心を持っていた。
ただ、体が弱かった。
ならば……俺が、他にすべきことは……?
考えろ、ウォーズマン。

そのとき。

草壁メイの言葉が、なぜか思い浮かんだ。


『まっくろくろすけでておいでー!』


……!





「うーん……ウォッチ? ズマオー? ぬうう……なかなか決まらないですぅ」

「……」

タママは、ウォーズマンのあだ名を考えていた。
彼にとって、他人をあだ名で呼ぶのは一種の習慣。
ギュオーの帰ってくるのを待つ時間潰しとしては、最適の行動である。
一方のウォーズマンは、考え事をしているようで、微動だにしない。

「オズマー……いやいや……ウォーズマンさんは、どんなのがいいですぅ? 」

「……まっくろクロエ」

「ん? 」

ウォーズマンがディバッグの中から支給品の一つを覆っていた黒い布を取り出し、凄い勢いで顔にグルグルと巻きつける。
タママは、ポカーンとその光景を見守ることしか出来なかった。
布を巻き終えたウォーズマンは、眼光だけを布から覗かせ、叫ぶ。

「超人トレーナー、まっくろクロエ! これが俺のもう一つの姿だ! 」

「……」

唖然とするタママ。
ちょっと恥ずかしそうなウォーズマン。
二人とも、一言も言葉を発しない。

そこへ、ギュオーが帰ってきた。

「待たせ……何者だ!? 」

「まっくろクロエ! 」

「どういうことだ……」

「今のボクには理解できないですぅ」

困惑する二人。
そこで、ウォーズマンの懇切丁寧な説明が入る。
人間を守るだけでは正義超人としてダメだ、だから場合によっては超人ではない人間でも鍛える……。
タママはスポ根を出して激しく同意したが、ギュオーは余りいい顔をしなかった。
ウォー……まっくろクロエはギュオーの渋い顔にまるで気付かず、新たに燃える正義の炎を、機械の心臓に注いでいた。


数分してからようやく、今後の展望の話し合いが始まった(ウォーズマンは変身を解いた)。



「ギュオー。タママ君は、市街地にいる仲間……ケロロ軍曹、草壁サツキ、冬月コウゾウを……」

「助けに戻るのか? 彼が見たワープの紋章とやらには興味があるが……」

「いや、砂丘のとこからあっちへはワープできなかったし、どうせすぐには帰れんですぅ。
 コサッチもそろそろ合流してるかもしれないし……だったら……」

タママが、ギリギリと歯を噛み締め、怒りに身を震わす。

「メイちゃんの仇を、取ってから帰るですぅ! 」

「俺たちも、あの男を倒した後は、とりあえずタママ君の仲間のところに向かおう。なるべく早くな」

「ふむ、賛成だ。晩飯までには再会したいところだな」

「あと……フッキー達に会ったら、カジオーはメイちゃんを殺した奴に殺されたってことにして欲しいですぅ」

「何故だ? 」

「ウォーズマン、貴様は鈍感だな……仲間に裏切られたなど、知らなくて済むならその方がいいだろう」

「そうか……それにしても草壁サツキに、なんと言って詫びればいいのか……」

「しっかりするですぅ、クロエ! 悪いのはメイちゃんを殺した奴! さっさと片して、サッキーを少しでも慰めるですぅ! 」

とりあえずの目的が決まり、メイを殺害したとされる男の向かった方向……南へ進む一行。
一体、彼等の行く先には、何が待ち構えているのだろうか。
……少なくとも、碌なものではないことだけは、確かである。


【H-5/森/一日目・昼過ぎ】

【名前】ウォーズマン @キン肉マンシリーズ
【状態】全身に中度のダメージ ゼロスに対しての憎しみ サツキへの罪悪感
【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品1〜3) ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS
      クロエ変身用黒い布、詳細参加者名簿・加持リョウジのページ
【思考】
1:草壁メイの仇を探し出し、倒す。
2:1を終えたらタママの仲間、特にサツキと合流したい。
3:ゲンキとスエゾーとハムを見つけ次第保護。
4:正義超人ウォーズマンとして、一人でも多くの人間を守り、悪行超人とそれに類する輩を打倒する。
5:超人トレーナーまっくろクロエとして、場合によっては超人でない者も鍛え、力を付けさせる。
6:加持が主催者の手下だったことは他言しない。
7:紫の髪の男だけは許さない。
8:最終的には殺し合いの首謀者たちも打倒、日本に帰りケビンマスク対キン肉万太郎の試合を見届ける。

【備考】
※ゲンキとスエゾーとハムの情報(名前のみ)を知りました
※サツキ、ケロロ、冬月、小砂、アスカの情報を知りました
※ゼロス(容姿のみ記憶)を危険視しています
※ギュオーのことは基本的に信用していますが、彼の発言を鵜呑みにはしていません
※加持リョウジを主催者側のスパイだったと思っています。
※状況に応じてまっくろクロエに変身できるようになりました(制限時間なし)。

【まっくろクロエについて】
メイの言葉とウォーズマンの新たな使命感によって誕生した超人セコンド兼トレーナー。
残虐超人時代に培った冷酷・的確な判断力で、ビシバシ鍛えたり指示したりするぞ。
元ネタはキン肉マン?世に登場したクロエ@ウォーズマン。





(……よぉぉぉぉぉ、上手くいきましたかぁ? )

(何のことかな……ククク……)

トボトボと先に進むウォーズマンの後を、凄まじい形相で笑う二人が歩いていた。
二人は小声……ウォーズマンにすら聞こえない、同属性の者だからこそできるとしか言いようのない小声で話していた。

(ギュギュッチの目がチラチラカジオーの首輪に行ってるのは気付いてたですぅ……死体を自分で埋めたがってたのは、
 ……そういうことですよねぇぇ? げひゃひゃひゃひゃ……)

(フ……)

ギュオーが、チラリ、と自分のディバッグの中身を示す。
そこには、首輪があった。

(っひょー! カジオーもこれで少しは役に立つかもしれませんねえ……カレーの人がいれば分析できたんですがぁ……)

(カレー? ……ケロン人の仲間か。後で、ゆっくり話を聞きたいな。是非)

(いいですともぉ! しかし、さっきからビンビン感じてるんですが、あんたもクロエも強いっすねぇ。色々教えてもらいますぅ)

(そして、いつか後ろから……か? )

(そりゃ、ギュギュッチ次第ですぅ……それと、この辺に……いやがるぜぇ……)

(……何が? )

(百虫の王……アイツや、アイツを超えるオーラを垂れ流している……まあ、こっちから会いにいくつもりはないですがねぇ)

(物騒な話だな。争いごとは避けて行こうじゃないか、タママ君)

(よく言うぜえ……ボク達、気が合うかもしれませんねぇ……)

(私も、君とは友達になれそうだと思っていたよ……グフフ……)

(タマタマタマタマタマタマタマタマ……)

(グァハハハハ……)

タママは、コソコソと隠れながら腹黒行為を行う、加持が大嫌いだった。
加持の腹黒行為は、タママの自己嫌悪を激しく刺激する、負の腹黒。
だが、新たに出会った腹黒……ギュオーは、それとは正反対。
バレても構わない、と大胆に勢いで行動する、タママの目にも目映く光る腹黒。

タママはそんなギュオーとの出会いで、加持を殺したという事に対する罪悪感を押しのけているのか。
タママは、サツキが復讐を喜ぶと思っている。
しかし、それは本当にサツキの望むことだろうか。

一方のギュオーは、未だ首輪に掘られた名前に気付いていない。
単に手に入れた順番で、ディバッグの奥のほうにメイの首輪を、手前に加持の首輪を入れている。


ギュオーとタママ、この二人の関係がどうなっていくのか……。
……少なくとも、碌な事にはならないことだけは、確かである。



【H-5/森/一日目・昼過ぎ】


【リヒャルト・ギュオー@強殖装甲ガイバー】
【状態】 全身打撲、中ダメージ、回復中
【持ち物】参加者詳細名簿&基本セット×2(片方水損失)、首輪(草壁メイ) 首輪(加持リョウジ)
     E:アスカのプラグスーツ@新世紀エヴァンゲリオン
     空のビール缶(大量・全て水入り)@新世紀エヴァンゲリオン
     毒入りカプセル×4@現実
【思考】
1 優勝し、別の世界に行く。そのさい、主催者も殺す。
2 ウォーズマンを利用し消耗を抑える。今のところは彼に協力しておく。
3 メイの仇を殺して夕食までにはタママの知り合いたちと合流したい。
4 自分で戦闘する際は油断なしで全力で全て殺す。
5 タママに降臨者との関係を問いただす。
6 首輪を解除できる参加者を探す。
7 ある程度大人数のチームに紛れ込み、食事時に毒を使って皆殺しにする。
8 タママを気に入っているが、時が来れば殺す。

※詳細名簿の「リヒャルト・ギュオー」「深町晶」「アプトム」「ネオ・ゼクトール」「ノーヴェ」「リナ・インバース」「ドロロ兵長」に関する記述部分が破棄されました。
※首輪の内側に彫られた『Mei』『Ryouji』の文字には気付いていません。
※H-4まで、草壁メイの死体を投げ飛ばしました(首切断済み)。
※H-4に、加持リョウジの死体(首切断済み)を捨てました。
※擬似ブラックホールは、力の制限下では制御する自信がないので撃つつもりはないようです。

【首輪について】
※生存している参加者に、首輪を介して植物のような物が埋め込まれているようです。
※この物体が液状化、参加者の能力制限などを行っているのかは、今のところ不明。
※この物体が長門の創造物なのか、別の何かを改造した物なのかは不明。


【タママ二等兵@ケロロ軍曹】
【状態】 全身裂傷(処置済み)、肩に引っ掻き傷、頬に擦り傷、使命を果たした満足感でやや高揚
【持ち物】ディパック、基本セット、グロック26(残弾0/11)と予備マガジン2つ@現実
【思考】
0.草壁メイの仇を探し出し、殺す。
1.0が済んだら、市街地に戻って皆と合流。
2.軍曹さん、サッキーを守り、ゲームを止める。妨害者は排除。
3.次にアスカに会ったら絶対に逃がさない。
4.サツキ、ケロロ、冬月が心配。
5.ウォーズマン、ギュオーに一目置く。
6.ギュオーを気に入っているが、警戒は怠らない

※マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStS がB-06の民家に残されています。
※色々あってドロロの存在をすっかり忘れています(色々なくても忘れたかもしれません)。
※カナブンのオーラを敏感に感じ取っています(ゼクトールのオーラではありません)
※加持がサツキから盗んだものをグロック26だと思っています


時系列順で読む


投下順で読む


それが俺のジャスティス ウォーズマン 巨人と、小人
第一印象がいい奴にロクな奴はいない リヒャルト・ギュオー
のこされるもの タママ二等兵
加持リョウジ GAME OVER








| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー