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マジカル小砂たん第1話「ネコミミモードで空を飛べ!」 ◆qYuVhwC7l.



いつも通りに自分の家で寝ていたハズなのに、目が覚めたら見覚えの無い奇妙な場所にいた。
しかもそこには見たことのない奇妙な化け物が大量にいた。(何アレ、新種の虫?そりゃ美味そうなのも何体かいたけど)
極めつけには、どっか頭の大切なネジが二、三本吹っ飛んでるんじゃないかってイカれた眼鏡のおっさんと、
妙に暗そうで常軌を逸したナインボディ(……人の事言えないか)のオッサンの愛人っぽい少女が爆弾発言と来た。

『これから、あなた達には殺し合いをしてもらう』

…………なによそれ?
無限屋の依頼でも、こんな常軌を逸した物は………無いと言い切れないのが恐ろしい。
貝塚社長並の大富豪が、目玉が飛び出るぐらいの優勝賞金をエサに募集を掛けたら、絶対何人か受けるバカがいるだろうし。
まぁ、幾らなんでも私はそんな物受ける気はサラサラ無いけど。
ところが、残念な事に私には拒否権が無いらしい。あのキ●ガイなオッサンとそれとは別の意味でヤバそうな少女に逆らったらその場で…ドロリ。
身体が良く分からない妙な色水に変化して、それっきり。果たしてどんな手品か、それとも暗黒時代の超兵器を持ちだしたんだか知らないけれど…少なくともあの少年は生きてないだろう。
正体不明の怪攻撃。だからこそ逆に不気味で不安を掻き立てられる…ああ、もうしばらくはオレンジの色水飲めないな…。
ともかくあたし達の命は完全に手玉に取られているわけだ。
………ふざけんな! せめて依頼するんなら無限屋通して、しっかり依頼書にサインしてからにしてよ!!
優勝賞品? いきなり口約束でそんな事を言われて、誰が信じられるのか。
例えば『クズどもが殺しあう姿を見たい!』という欲望を持って、わざわざ自力で人手を集めて、十分に殺し合いの映像を楽しんだ後で優勝者が『賞金をくれ!』とやってきて…
もしもそいつに首輪がハマったままだったら? その場で首輪を爆発させるね。幾ら十分な働きをしたからって、自分の財産を擦り減らさずに済むんならそうする。
誰だってそうするし、あたしだってそうする。しかもこれは『依頼』じゃなくて命を握った『強制命令』だ。命令する側がされる側の言う事を聞いてやる道理なんて無い。
っつーか『死者蘇生』ってありえな……

そこまで考えた時に、あたしの頭は真っ白になった。
何故か?理由は簡単。自分の目と鼻の先に……まさしく『死者』がいたからだ。

「先っ――――――!」

そう口に出そうとした瞬間、突然視界が黒く塗りつぶされて………気が付くとあたし――――小泉太湖こと便利屋小砂は、は再び見知らぬ建物の中にいた。



ついさっきまで周りにいた大量の人間や化け物達(もしかしてアレって現地到達の食糧?)も全員いなくなっていて、あたしは一人になっている。
けど、そんな事を気にするよりも先に、あたしはある事で頭が一杯になっていた。
足もとに転がってたディパックを引き寄せると、必死で中を探す。
…………………あった! 参加者名簿!!
パッとそれを開くと、一つの名前を探し出そうと全力で目を動かして…………あたしはペタンと床に座り込んだ。

「………は………ははは……あはははははは……」

口からは見慣れた砂漠みたいな乾いた笑いしか出てこない。ああ、笑うしかない状況ってこういう事を言うんだ………。
水野灌太。その名前は、確かにはっきりと名簿の中に記されていた。

「なんだ、やっぱり生きてたんじゃないですか………先生……!」

そりゃ、そうですよね。『砂漠の妖怪』と恐れられて、卑怯で姑息で外道な男で、
「ボインちゃんをゲットするまで、命を掛けて突っ走る!!」とまで吼えていた、ドス黒い欲望にまみれた先生が……あんな爆発ぐらいでそうそう死んだりしないですよね。

一瞬あのオッサンが言っていた『死者蘇生』という言葉が本当なのかと思ったけど、幾らなんでもそれは無い。
ただ、先生はその並外れた生命力と姑息な作戦で、上手い事あのロボット兵達の襲撃から逃げのびてた。それだけの事だろう。

「にしても、一番弟子のあたしに連絡の一つぐらいも入れてくださいよ……」

わざわざ自分の金で墓まで建てて、ちょくちょく先生の好物だった虫ダンゴを備えに行って、その度に毎回あらゆる落書きがされてる墓を掃除して……。
冷静に考えたらもの凄い出費だ。少し腹が立ってきた。

「出費はきちんと先生に請求するとして……さっさと先生に合流して文句言ってやらないと」

そう言ってよっこらせっと立ち上がり、行動を開始しようとしたところで…………あたしはふとある事に気づいた。

今の状況って、『たった一人になるまで殺しあわないと自分が死ぬ』って事だよね?
だとしたら………………



※想像中
「わー先生ー生きててくれたんですねーよかったー」
「おー小砂かー久しぶりだなーあばよ」

 ず が ん !

「うぎゃー。いきなり何をするんですか先生ー」
「うるせー。一人しか生き残れないんだったら、弟子のお前が師匠の為に死ねー」
「そんなーひどいー」
「あばよ小砂ー。次があったらボインちゃんに生まれ変われよー」
「うう、こんな所で死んじゃうなんてー。凄腕美人になりたかったーがくっ」

【こすな@砂ぼうず しぼー】
※想像終わり



……………なる。絶対こうなる。あの外道な先生の事だから絶対にこれぐらいの事はする!
というかあたしだってこの状況で満なんかと再会したらその場で殺………しはしないけど、絶対盾に使うし!!

「せ、先生との再会は後回しにしよう!! うん、それがいい!!」

そりゃ先生には会いたいけど、幾らなんでもそれよりは遥かに自分の命の方が大事だ。
とりあえず先生の事は置いておいて、もう一度目を通して自分の知り合いがいないかを探す。
そしてあたしは、二つの見知った名前を見つけた。

「川口夏子……夏子さん!? 夏子さんもこの殺し合いに……と、後は……ゲ、雨蜘蛛って……」

あたしの憧れの人である砂漠の凄腕美人と、商売敵でもある妙に濃い声の変態を思い浮かべる。
夏子さんだったら…たぶん、冷静に状況を見極めて、もう既に何かしらの行動を取り始めてるはずだ。
出来れば合流して一緒に行動したい所だけど……でも夏子さんもちょっと冷たい部分あるからなぁ…。
ちょっとは私の腕も認めてくれてるから、先生みたいに殺される危険は無いだろうけど…それでも何かの捨て駒にされる可能性も無きにしも非ず…。
けど夏子さんぐらいしか頼れる人もいないし……やっぱり一番に合流するなら夏子さんかな。
雨蜘蛛の方は……うん、問題外。多分、この男だったら自分が生き残るために他の参加者を殺しまわるだろうし、場合によってはちょめちょめしてる事もありうる。
もしかしたら宿敵でもある先生を探して、決着を付けようとするかも………あたしの事は敵とも見てないんだろうなぁ。目を付けられてないのはいいけど、ちょっと悔しい。

もう一度、全体的に名簿を見る。私の知ってる名前は、先生と夏子さんと雨蜘蛛以外にはいないみたいだ。
………にしても何これ?「ゼルガディス」?「キョン」?「アプトム」だの「ヴィヴィオ」だの…これ本当に人間の名前?
他にも人名とは思えない妙な物は大量に載ってる。最初にいた化け物達の名前かな…? よくわかんないけど、気持ちわる。

ともかく、これで大体の行動方針は決まった。優先すべきは夏子さんとの合流で、先生と雨蜘蛛との遭遇は出来るだけ避ける。
………でも、先生の姿ぐらいははっきり確認しておきたいかな。ここまで来て同姓同名の別人でした、ってなったら洒落にならない。

わたしは名簿を置くと、もう一度ディパックの中をあさり始める。
あのおっさんの言っていた言葉が本当なら、この中に何個か武器になる物が入ってるらしい。
あたしが愛用してる砂漠スーツももちろん手元にないし…あるとしたらこの中だ。

「何があるかな……砂漠スーツ…いや、武器だから銃かな? グレネードランチャーとか…FM FAL…だったらちょっと困るか。もしかして先生のウィンチェスターだったりして…」

少しワクワクしながらごそごそと手を動かす。なんか、抽選会をやってるみたい。
………………。
………………。
………………?
…………ない?

「ちょ、ちょっ、何それ!? 銃も何もないじゃん!?」

どれぐらい手を動かしても、触りなれた硬い銃の感触は手を触れない。もちろん砂漠スーツもある筈がない。

「冗談じゃないって!! 銃も無いのにどうやって殺し合いを………あ!」

ディパックをのぞき込むと、何か黒い物が入ってる。これだ!!

「もう銃だったら何でもいいから…えい!!」

あたしはその黒い物をひっつかむと、一気に引きずり出した!
………………。
………………。
………………。
………この、黒くて、半円状の棒に二つの山がぴょこんと出ている物は……まさしく……。

「……………ネコ……ミミ……?」

……………あたしは地面に向かってそれを思いっきり叩きつけた。

「おいこら責任者の変態メガネェ!!! 何これ!? 砂漠スーツの代わりにコレ付けて戦えっていうの!?」

幾らなんでもこれはない!というか女の子にネコミミ付けて殺し合わせるってどんな変態性癖よ!?
まぁ砂漠にはそれぐらいの変態だったらいても可笑しくないかも知れないけど……。

「ああぁ…もうダメ、お終い……幾らなんでも銃も無い丸腰で殺しあうなんて無理だって……ああ、あたしここで死んじゃうのか…」
『そこの少女』

へなへなとその場に座り込む。絶望的だ…こんな事なら丸腰でも戦えるように、夏子さんから何か教わっておくんだった…。

『そこの少女…私の声が聞こえるかね?』

なんかもう変な幻聴まで聞こえてきた………本格的にもうダメかも知れない。

『頼む、気づいてくれ。このままでは手を伸ばす事も出来ない』
「うるさい…気づくも何もどこにも何もいないっつの……」
『床の上だ。下を見てくれればいい』
「はぁ?」

のたのたと視線を彷徨わせて、床を見る。そこにあるのはディパックと、広げたままの名簿と、その上に乗っているネコミミ……?

『やっと気づいてくれたか』

ギョロンと、ネコミミから目玉が浮かび上がった。

「………………………」
『お初にお目にかかる。私の名はネブラ=サザンクロス。君とは違う"闇の世界"(ダークゾーン)の住人だ』
「………………………」
『本来ならばこんな姿ではなく、本来の姿で君と話をすべきだろうが…今の私の力は著しく制限されている。自分でこの身を動かす事も出来ない。こうして喋るのがやっとだ』
「………………………」
『おそらく、あの眼鏡の男…いや、隣にいた少女の物だな。彼女はどうやら"闇の者"(ダークレイス)だったようだ。このような能力は見た事もないが…』
「………………………」
『…どうかしたのかね? 酷く震えているが』
「………………ぎっ……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ネコミミから目玉が生えて普通に言葉を喋っている。
そりゃ、そんなあんまりにもあんまりな状況に身を置かれたら誰だって震えるし叫ぶっての!!

「何!? 何よあんた!? やっぱりアレ、犬女岩の関係者!?」
『私の名はネブラ=サザンクロスだ。犬女岩という物はよく分からないが』
「ああああああ、アレは仕方なかったんです!! というかあたしは何もしてないし、岩を壊したのは先生の煩悩が暴走したからであたしは見てただけで本当に無関係ですってばぁぁぁ!!」
『何の話をしているのだ? ともかく落ち着いて話を聞いてくれないだろうか』
「イヤァァァァァァーーーーーー!!! 犯さないでぇぇぇええええーーーーーーー!!!!」
『こちらから君に手を出すつもりはない。元より手を出す事も不可能ではあるが』


………………とにもかくにも、それからあたしが冷静さを取り戻してそのネコミミ? とまともに話が出来るようになるまでは、あと三十分程の時間が必要だった。




『落ち着いたかね?』
「……な、なんとか…」

関東大砂漠広しとはいえ、ネコミミに心配された人間はあたしが初めてだろう。
とりあえずこのネブラとかいう妙な名前のネコミミは、だーくれいす? とかいう化け物達を自分の娘(ネコミミの娘って何よ?)と一緒に退治する事を生業としているらしい。
話してみると、どうやら私と先生が昔破壊した犬女岩も、凶悪なだーくれいす? であったようだ。
ともかく、こいつもあたしと同じように、突然あの不思議な場所に呼び出されていたらしい。

「じゃあ、アンタも参加者ってわけ?」
『いや、そうではないだろう。先程も言ったように、私は単体では攻撃はおろか自分の体を動かす事も出来ない。おそらく…支給品として集められたのだろう』
「支給品ねぇ……」

確かに喋るネコミミとなれば、見世物にしたり好事家に売ったりといい金づ…ゴホン。けど、殺し合いの中で役に立つとは思えないんだけど。

『……そうだな……私を君の頭に装着してもらえないだろうか』
「え”」

思わずカエルを潰したような声が漏れた。
ここまで話している上では、あまり悪い人間……もとい、ネコミミには見えないけれど、流石に頭に付けるとなると色々と抵抗がある。
……ついでにネコミミだしなぁ。

『安心したまえ。私には相手の精神に干渉する力は使えない』
「はぁ……まぁ、いいけど……」

恐る恐るネブラを掴んで、頭の上に被る。………何故か脳裏に『ネコミミモード♪』という謎の歌が浮かんだ。
被ってみたところで、特に違和感はない。ちょっと大きさにしては重いかな?といった程度だ。

『ふむ……ここはデパートの、家具売り場と言った所か。ちょうどいい、そこのテーブルの近くに寄ってくれ』

ネブラに言われて、初めてあたしは周りの景色をまともに見た。
なるほどネブラの言うとおり、あちこちのスペースには所狭しとタンスやちゃぶ台、ベッドやテーブル何かといった家具の類が並べられている。
にしても…妙に綺麗な部屋だ。なんか裏便が最初に使ってた隠れ家みたい。全然砂っぽくなくて掃除が隅々までされてて…
衛生レベルがマイナスな関東大砂漠で育った身としては、清潔すぎて逆に気持悪いぐらいだ。
ともかく、あたしは適当に手頃なテーブルに目を付けると、その傍まで近寄った。

「これぐらいでいい?」
『ああ、十分だ……そのまま動かないでいてくれ』

そうネブラが言い終わった瞬間に、あたしの頭の上で異変が起きた。
グネグネと何かが蠢いているような感覚…そして…何かが膨れ上がっていく?

「な、何!?何やってんのよアンタ!?」
『ジッとしていなさい、危険だ』
「危険って、だから何を……!」

頭上にあるだけあって、あたしからはネブラの様子は全く見えない。それでもせめて何が起こってるかわずかでも確認できればと、精一杯上に目を向けてみたら……。

あたしの頭から何本もの黒い触手が飛び出し、テーブルに突き刺さるのが見えた。

「ギャーーーーーーーーー!?」
『む……こんな物か……ならばこれは……』

ネブラの呟き声とともに、触手がうねうねと蠢いて固まり始めて…今度は巨大な爪のある二本の黒い腕へと変化した。
そのまま二本の腕は空中を舞いテーブルに次々と攻撃を加え、あっけなく高級そうなテーブルはただの高級そうな木の破片になった。

「え、え、えええええええええぇぇぇ!?」
『ふむ……やはり全力は出せんか』

ネブラの確認するような声を聞きながら、あたしは口をパクパクと開けてる事しか出来なかった。
っつーか何よコレ……銃や夏子さんが使う拳法って奴以外に、こんな攻撃があったなんて……よくよく思い出してみたら、私が犬女岩で見た呪いの攻撃に少し似ているかも知れない。

「あ、アンタ……武器になるの?」
『うむ。本来ならば、私個人でも移動や戦闘は行えるのだが…どうやらこの会場では【誰かに装着されている】状態ではないと攻撃ができないらしい』
「はぁ………」

もう呆れたような声しか出ない。大外れだと思っていたネコミミは、実はかなりの当りアイテムだったようだ。
……何はともあれ、超ラッキー! キキキキキキッ!!

『………ああ、小砂君と言ったな。すまないが…私は君に無条件で協力するつもりはない』
「ってはぁ!?何よそれ!?」

突然のネブラの言葉に思わず抗議する。というか、【誰かに装着されて】いなきゃ攻撃が出来ないんだったら協力するしかないんじゃないの!?

『もちろん、君に対して力を貸す事はやぶさかではない。その代り、私の頼みを聞いてほしい。……そこにある名簿を取ってくれ』

ついさっきからずっと放置しっぱなしだった名簿を拾い上げ、中を開く。

「で、これがどうしたのよ?」
『その中に【日向冬樹】という名前は無いか?』

ネブラに言われて、何度か眼を動かして探してみると……ああ、確かにいた。地味な名前だから気付かなかったよ。

「いたけど…こいつがどうかした訳?」
『この会場にて彼を探し、保護する事をお願いしたい』
「へっ………なんで?」

思わず首を傾げる。男の名前みたいだし、幾らなんでもこれがついさっき話に出てきた娘って事は無いだろう。

『彼は必要なのだ。私の娘が……アリサ=サザンクロスが【人間】になる為に』
「娘さんを人間に?……………うーん……」

少し想像してみる。こいつの娘と言うからには同じくネコミミだろう。それが人間に……ネコミミ人間?
うわ、引く……一部の変態は喜びそうだけど…。

「ともかく、分かった。この日向冬樹ってのを探せばいいって訳だ……けど、もしも見つける前にこいつが死んじゃったらもう協力してくれないって事?」
『いや……そうだな……この会場の中には、数多くの"闇の者"が蠢いている。彼らの討伐に協力してくれるというなら、私も継続して力を貸そう』
「またダークレイス? ったくそればっか…確かになんかでっかい毛むくじゃらとか一つ目とか、妙なのは一杯いたけどさ」

はぁ、と深いため息をつく。あの奇妙な化け物どもを討伐する……考えただけでもうんざりだ。
蛙一家のような分かりやすい盗賊たちならともかく、あんな妙なのなんて相手をしたことが無い。犬女岩の時だって本当に見てただけだったし……。

けど。逆に言えばそいつらと渡り合えるだけ強くなれれば、あたしの夢である『関東大砂漠一の凄腕美人』にまた一歩近づけるかもしれない。
…………まぁあの変態メガネの言う通りに動いてるみたいで腹が立つっちゃ腹がたつけど。流石にあたしだって死にたくないし。

「わかった。その日向冬樹って奴を探す。けど、あたしも探したい人がいるからそっちも探させてもらうから。もちろん優先度は日向冬樹の方が高いからね」

夏子さんとの合流は先送りにしても構わないだろう。夏子さんはもの凄く強い人だし、あたしもこのネブラが入れば何とかなりそうだ。

『協力、感謝する。では………屋上に向かってくれないだろうか』
「はっ?」



屋上へと続く、重い鉄扉を押しあける。そのまま、広い屋上へと足を進めて…吹いてきた夜風に向かって、思わずあたしは声を出していた。

「暑っ!? 何これ!?」
『涼しい風に快適な温度の夜だと思うが…?』
「い、いや確かに凄い快適な温度で涼しいんだけど……」

涼しすぎる。だって、関東大砂漠の夜は昼の暑さが嘘のような、極寒の世界が待っているはずなのに……今この肌に感じる風は、肌を刺すような凍てつく砂漠の風じゃない。
ありえない…砂漠スーツも無しでこんな温度なんて……もしかしてここ、関東大砂漠じゃないの?

『何か考え事をしている時に済まないが、先を急ぎたい。構わないだろうか?』
「あ、うん、大丈夫。…けどこんな場所で何すんの? 先を行くんだったら下の出口から外に出なきゃ意味ないし」
『ああ、飛んで移動する』
「へー、飛んで………………飛んで?」

あたしの疑問には答えずに、再び頭の上であの奇妙な感覚。次の瞬間には、巨大な黒い翼が発生して………あたしは硬い地面とお別れした。

「うぇぇえええええええええええええええええええ!?」
『どこへ向かうかは小砂君が指示してくれ。私はその通りに移動しよう』
「い、いや指示ってちょ、ちょっと待ってよ!?」

今、確かにあたしは空を飛んでる。空を飛ぶ事は初めてじゃない。先生仕込みのワイヤーウィンチでの空中移動は、あたしだって得意技だ。
だけど今はあたしは、ワイヤーなんかを使わない、本当に何もない状態で空を飛んでる!

「……こんな感じなんだ…ロケットで飛ぶ時も、こういう感じなのかな」

ふと、昔先生がボコボコにしたって言うロケット使い、江戸川組の事を思い出す。
背負い式のロケットで空を飛んで、四人組で襲いかかるっていう盗賊団だ。先生は松波ウィンチだけでそれと渡り合って、なおかつ勝利したって聞くけど…。

『小砂君。早くどちらへ向かうか決めてくれ』
「え、あ、わ、わかった!」

初めて聞くネブラの少し苛立った声に思わず驚く。
基本的にずっとローテンションのままで話す奴だと思ってたのに。

『…………すまない。だが、何があっても日向冬樹を失いたくはないのだ』
「それって、娘さんの為?」
『そうだ……何も分からぬ私に、目的と言う【生きがい】を与えてくれた。なんとしても、私はアリサを【人間】にしてやりたい』

親子の愛情、って奴だろうか。
なんとなくあたしは、『ガキども六人を食わせてかなきゃいけない』って言ってちょっと照れくさそうに笑ってる松波さんの顔を思い出していた。

『だから、何としても日向冬樹を……』
「ねぇネブラ。あんた、誰にそれを頼んでると思ってるわけ?」
『……どういう事だ?』

ネブラの言葉に、あたしはニヤリと笑ってやった。(頭上のネブラにはあたしの顔なんて見えないだろうけど)
「あたしは便利屋小砂!あの悪名高き砂漠の妖怪『砂ぼうず』の一番弟子で、その技術を余すところなく受け継いでる!!
 あんたの『依頼』、砂漠の便利屋として引き受けて見事にこなしてやるよ!」

ぐいっと顔を上げて、夜空の星と月を見上げる。なんだか今は、とても気分がいい。

「キキキキキキキキーーーーーッ!!!」

そいつらを馬鹿にするみたいに、思いっきり笑ってやった。
地にもぐり、空を飛び、人を惑わしバカにしてまんまと仕事終わらせる……それが『砂ぼうず』流のやり方だ。

『…頼りにしているぞ、小砂君…いや、便利屋小砂』

ネブラの少しだけ、ほんの少しだけ安心したような声がちょっとだけくすぐったく感じられた。


先生………私だって、もう便利屋として一人前にやっていってるんです。
成長しきったあたしを見て、驚いても知りませんからね!




「…………って………うわぁあああ何向こうの方!? なんであんなに緑色してんのー!? キモッ!!」
『普通の森だろう? どこにおかしな点があるのだ』
「いやおかしいって! 緑色の時点で凄いおかしい!! あああああ、なんか見てたら本格的に気持ち悪くなった!! よりによってなんで緑色なの!?」
『……君が何を言っているのか、私にはわからないよ』

ほ、本当に成長してますってばーーー!!



【名前】小泉太湖(小砂)@砂ぼうず
【時間帯】未明
【場所】B-07 デパート上空
【持ち物】ネブラ=サザンクロス@ケロロ軍曹、ディパック(名簿などの支給品一式入り)

【思考】
1、「日向冬樹」を探して保護する。
2、「川口夏子」と合流する。
3、「水野灌太」、「雨蜘蛛」には会いたくない。「水野灌太」の存在だけはきちんと確認したい。
4、「日向冬樹」が死亡した場合には、ネブラの協力を得るために"闇の者"達を討伐する。

※参戦時期は第21話「師匠と、弟子PartII」終了後からです。



支給品解説
【ネブラ=サザンクロス@ケロロ軍曹】
ヒロインの一人、アリサ=サザンクロスの父親。
その正体は『暗黒星雲人』と呼ばれる存在で、星になりきれなかったもしくは星だった場所に出来る宇宙の暗闇の中に住む住人。
姿形は不定形で、基本的にはアリサの付けているネコミミの姿で彼女と共にいるが、基本的な形態は丸いスライム上の体に二本の触手が生えた物。
身体のあちこちから何本もの触手を生やして敵の攻撃を受け止めたり、巨大な腕を作り出して攻撃する事も可能。
また、翼の姿になる事で空を飛ぶ事も出来る。

なお、当ロワ内では制限の為にネコミミ以外の姿を取る事も、身動きを取る事も出来なくなっている。(喋る事は自由に可能)
攻撃も【誰かに装着されている状態】ではないと使用不可である。
参戦時期は本編133話にて、アリサが冬樹に微笑みかけた直後。ケロロ達との面識はない。


【"闇の者"(ダークレイス)について】
海の深く底、森の奥の奥、大地の裏の裏……その他もろもろの闇の中に潜む住人達。
早い話が幽霊や妖怪、物の怪、UMAなどのヒトならざる超常現象的な存在たちの事である。
その範囲はかなり広く、ケロロ達の様な宇宙人も"闇の者"に分類されている。(ネブラ曰く、外来種)



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