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復讐の狼煙を上げろ ◆KKid85tGwY



男の外見を強いて例えるなら、人間のシルエットをした巨大な甲虫。
男の名はネオ・ゼクトール。
秘密結社クロノス最高の頭脳と云われる、ドクター・バルカスに
現在望みうる最高の技術で調整された損種実験体(ロストナンバーズ)。
着用する衣服を持たない現在のゼクトールは、変身した状態で居る。
もし誰かに遭遇した場合、全裸の男と怪物の外見ではどちらが警戒されるかは微妙な問題だが
変身した状態の方が急襲を受けても、より素早い対応を取れると踏んで
衣服を手に入れるまでは、そのままでいる事とした。

只1つの目的の為に、ゼクトールは1人闇を走り続ける。
目指すものは1つ。想うものもまた1つ。
かつて超獣化兵であった頃、共に五人衆として肩を並べて戦った同胞
エレゲンを、ダーゼルブを、ガスターを喰い殺したアプトムを倒す事。
その為、超獣化兵から損種実験体に変える再調整をさえその身に受けた。
それは生殖能力を失い、即ち来るべき新時代を担う新人類としての栄光を全て失う事を意味していた。
しかも過度の急調整の負担によって、極端に寿命が短くなっている。
栄光も未来も失くした。否、目的の為に自分の意思でそれを捨てる道を選んだ。
だから何としても自分の手で、アプトムを討たなければならない。
そしてその為には、手段を選んで等いられない。

突如ゼクトールは足を止め振り返り、深い森の中を自分が無理矢理通って作った道に視線を走らせる。
アプトムを誘き寄せるのに効果的と思われる手段、それを思い付いたのだ。
「……………………」
しかしその手段には、或る犠牲が伴う。
(…………迷っているのか俺は?)
ゼクトールは、しばしその場に直立したまま動かない。

(……………………迷う? 馬鹿馬鹿しい。俺にはもう、そんな時間も資格も無い!!)
ゼクトールは背中から巨大な昆虫の羽が2枚、左右に展開して飛翔し
自分が作った道をなぞる様に、引き返していった。


    ◇     ◇     ◇

見通しの悪い森の中を木々を縫うように走り抜ける事も、ノーヴェにとってはそれほど難しい事ではなかった。
戦闘機人の感覚と運動能力は、野獣より優れている為だ。
何より、元来立ち止まって物事を考え込むのが性に合わないノーヴェには
当座のものとは言え明確な行動指針が出来た事で、自然と足取りが軽くなっていた。
(アプトムとかいう奴の情報を集めるには、とりあえず動いて誰かと接触しないとな。
 あたしが向かってる先に、誰かいりゃぁ良いんだが…………そう言や地図も見てなかったな)
今の今まで1度も地理的な確認をしていなかった事に思い至り、ノーヴェはその場に立ち止まりデイパックから地図とコンパスを取り出す。
「今あたしが居るのが多分地図の真ん中の森だから、目指すとしたら市街地のある北か」
素早く目標とする方角を定めると、地図とコンパスをデイパックを押し込み出発した。



「ノーヴェ!!! 何処に居る!!? 俺の声が聞こえているなら、姿を見せろ!!!!」

空から響き渡る声に、進み出したばかりの足が止まる。
声の主が誰かはすぐに分かった。自分がつい先刻、別れたばかりの者だからだ。
「ゼクトール!?」
ネオ・ゼクトールは、その後もしきりにノーヴェの名を呼びながら周囲を旋回しながら飛んでいる。
「何考えてるんだ、あの馬鹿!!」
ゼクトールの思惑は分からないが、あれでは危険人物を呼び寄せているも同然だ。
無視して離れようかとも思ったが、流石に命の恩人を見捨てて行くのは気が引けるし
何より殺し合いに巻き込まれて間もない状況でも、沈着に見えたあのゼクトールが
ああやって危険――まさか承知していない筈が無い――を犯してまで、自分に呼び掛ける理由が知りたくなった。

「……くそっ、しょうがねぇな」
ノーヴェは周囲に木の無い、少し開けた草むらに出る。
「馬鹿、何やってんだ!! さっさと降りて来い!」
憮然とした口調で、ノーヴェは上空に向け怒鳴った。
その声を聞き、ゼクトールはノーヴェに向き直りながら徐々に降下していく。
「……で、何の用だ? まさか用も無く、あたしを呼んだんじゃないんだろ」
腰に手を当て憮然とした態度のまま、降下してくるゼクトールに話し掛ける。
「いや、おまえに用は無い。用が有るのは…………ガイバーだ!!」
ゼクトールが言い終えるか終えないかの内に、ノーヴェはショルダータックルを喰らい地面に叩き付けられる。
ノーヴェがそう認識出来たのは、徐々に降下していた筈のゼクトールが突如目前に迫り
その後急激に遠ざかっていったからだ。
20m程地面を削り、ようやく止まった身体をノーヴェはゆっくり起こす。
たったそれだけの動作だが、常人より遥かに頑丈な機械で出来たノーヴェの全身が悲鳴を上げる。
ゼクトールの一撃は、戦闘機人にすら多大なダメージを与えた。

「…………てめぇ、何の真似だ!!」
「ガイバーに殖装しろ」
「あ!?」
「ガイバーと呼べ!! そうすれば、おまえはガイバーになれる!」
「さっきから何、訳の分かんない事言ってんだ!!」

ゼクトールの前頭部から伸びる角が途中から折れ、ビームの砲門が開孔する。
「殖装しないというのならば、その姿のまま俺に殺されるだけだ」
ギュオーとの戦いを見てゼクトールのビームの威力を知るノーヴェは、思わず息を飲む。
(こいつ、本気であたしを殺すつもりか!?)
固有武装も無いノーヴェの現状では、ゼクトール相手に勝算は無い。
「……………………上等だ、お望み通りガイバーの力でぶっ潰してやる!!!」
痛む身体で直立し、ノーヴェは有らん限りの力で叫んだ。
「ガイバー!!!!」
ノーヴェの周囲に衝撃波が発生。
同時にノーヴェの背後に人間型の強殖装甲が現出する。
強殖装甲はノーヴェを包み込む様に装着され、前頭部のコントロールメタルが強い輝きを放った。
「そうだ、それでいい。……いくぞっ、ガイバー!」


ガイバーに殖装したノーヴェは、先程までと違い余裕を取り戻していた。
殖装によって、全快とまで言わないまでも体力は回復している。
それにノーヴェが殖装したガイバーの出力は、ゼクトールをも上回っている筈だ。
一足飛びに20m以上有ったゼクトールとの間合いを詰め、その勢いを乗せ拳を繰り出す。
閃光と空気の破裂音。
同時に角から放たれた電撃で、全身毎迎撃され
ノーヴェは力無く撃墜した。
「このネオ・ゼクトールを見くびるな!! 幾ら高機動力(パワー)が有ろうと、真っ向から来るのであればどうとでも対応出来る!」
(くっ……あんだけの威力を、ほとんどモーションも無く出せるのか!)
ベルカ式やミッドチルダ式の魔法と違い、呪文の詠唱や魔法陣の形成等も無く発動するゼクトールの攻撃は
ノーヴェにとって、対処し辛いものであった。

うつ伏せに地に伏したまま動かないノーヴェをしばらく静観していたゼクトールだが、やがて右手のビーム発射孔を向ける。
「死んだ振りのつもりなら無駄だぞ。ガイバーがその程度で死なないのは、良く分かっている」
やがて両手をついて起き上がるノーヴェの胸部は、装甲の内側から淡い光と熱が漏れている。
次の瞬間ゼクトールは右手のビーム発射孔を、自身の直下に向け発射。
「こいつにも、対応とやらをしてみろってんだ!!」
ノーヴェが胸部装甲を左右に展開し、中から莫大なエネルギーの凝縮された光線が放射される。
ガイバー最大最強の兵器、胸部粒子砲(メガスマッシャー)。
ノーヴェの前方約200mのあらゆる物質が、その高出力に消失させられた。

「ハァハァ…………やったか?」
ガイバーと言えどもそのエネルギーは無尽蔵ではなく、殖装者の体力に依存している。
そしてノーヴェの体力は、殖装前に喰らったゼクトールの一撃によるダメージで大きく削られていた。
更にダメージを受けた後メガスマッシャーまで放った、ノーヴェの疲労は大きい。
だから地中を進み迫るゼクトールにも、すぐには対処出来なかった。

ノーヴェ直下の地中から、姿を現したゼクトールは角でその胴体を貫き更に電撃を放つ。
声にならない絶叫を上げるノーヴェを刺したまま、角から電撃を放ち続け
ノーヴェの身体から周囲の木々へ、体当たりを繰り返していく。
(このままじゃマジで殺される!!!)
残った体力を振り絞って、右肘をゼクトールの頭に叩き付けるべく振り上げる。
その右肘から、ノーヴェの闘争心に呼応するように刃――高周波ソードが伸びた。
お構い無しに叩き付けようとした右肘に、小型のミサイルが被弾。高周波ソードが根元から折れた。
見ればゼクトールの両肩から、ミサイルの斉射が行われている。
至近距離からノーヴェの全身に被弾。爆発。
爆発の余波は、ゼクトールも受けているが
獣化兵の中でも取り分け強靭だったゼクトールの装甲を、より強化したネオ・ゼクトールの装甲には大した被害は無い。
そしてミサイル攻撃の間もノーヴェの身体は木々に打ち付けられ、電撃を受ける。
地獄の苦痛の中、次第にノーヴェの意識は薄れていった。

    ◇     ◇     ◇

全身が焼け焦げ大小無数の傷を作り微動だにしないノーヴェを、ゼクトールは角から引き抜く。
「もう意識を失っている様だが、念のためにな……」
ノーヴェの頭を無造作に鷲掴みにし――
――そして躊躇に手が止まる。
先程森を1人駆けていた時と、同じ迷いに止まった。
ノーヴェは1度だけとは言え、共に命を預け戦った仲間。
そうゼクトールは、ノーヴェを仲間として見ていた。
その仲間を失くす。しかも自分の手で。
ゼクトールは明らかに、その事への恐怖を感じていた。
かつてエレゲンを、ダーゼルブを、ガスターを、ザンクルスを失くした痛みを思い出すが故に
もう同じ痛みを覚えたくないと。

(…………同じ痛み? さっき会ったばかりのこいつと
 エレゲンの、ダーゼルブの、ガスターの、ザンクルスの痛みが同じである筈が無い!!
 俺には感傷に浸り、手段を選んでいる時間等有りはしないのだ!!)
アプトムを討つという目的は、ゼクトールにとって只の復讐ではない。
仲間をアプトムの糧のままに終わらせない為、かつての超獣化兵(ハイパーゾアロイド)五人衆の意地と誇りを賭けた戦いなのだ。
(超獣化兵五人衆の無念と、天秤に賭けられる物はもう俺には残されていない。
 だからこそ俺は全てを捨て、損種実験体になった!)

「おまえに恨みは無い。だが、俺には何としても果たさねばならん使命が有る!!」
躊躇を振り払う様に、全力で脳髄毎頭部を握り潰した。
ノーヴェからデイパックを奪い
そしてノーヴェを遠方の、しかし自分の知覚範囲内の森に放り投げる。 
(これで餌の仕込みは大方終わった……。後は獲物がかかるかだ)
ゼクトールの狙い、それはガイバーから過剰防衛行動を引き出す事。
強殖装甲システムは、殖装者が一定の時間意識を失った場合
殖装者の命を守る為、過剰防衛行動に出る。
つまりノーヴェに襲い掛かる者が居れば、ガイバーは全力で反撃に出る。
ガイバーが全力で暴れれば、直接視認するにしろ伝聞で聞くにしろ注目を集めざるを得ない。


(誰もノーヴェを襲う者が居ないようなら、俺が適当に遠隔攻撃で突いて過剰防衛行動を引き出せばいい
 要はガイバーが暴れれば、事は足りるんだ……………………アプトムの餌としてな!)

ゼクトールはアプトムの狙いが、損種実験体の同胞だったソムルムとダイムの仇である深町晶であると踏んでいた。
(きさまが東京に居たのも、その為だろ? 今の俺なら分かる。きさまと同じく同胞の仇を追う、今の俺ならな)
ガイバーの存在を感知すれば、アプトムは必ず接触を取ろうとする。
例え深町晶に拠る殖装体で無いと分かってもである。
何故ならアプトムにとっても、ガイバーは深町晶を誘き寄せる餌になるからだ。
深町晶の性格なら、ガイバーは無視出来ない筈だ。
(ノーヴェは事によっては、アプトムを殺す邪魔になると言っていた。
 そんな者に頼るよりは、よっぽど確実な手段の筈だ)

周囲への警戒も怠らず、徐々に復元していくガイバーをその鋭敏な感覚器官で観察する。
どうやら制限によって復元能力は落ちている様だが、そう時間を置かずに戦闘可能な状態に復元するだろう。
(奴はきっと来る! ガイバーの存在は、必ずアプトムを誘き出す餌になる!!!)

【E-07 森/一日目・明け方】
【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】ガイバー殖装中、全身打撲、胴体貫通、全身に重度の火傷、頭部が大きく欠損、負傷が復元中、気絶。
【持ち物】無し
【思考】
1:(気絶中)
2:???????????????
3:仲間を集め主催者を蹴っ飛ばす。
【備考】
※未だに名簿すら見てません。
※ガイバーに殖装することが可能になりました。使える能力はガイバーⅢと同一です。
※過剰防衛行動に出るかは後の書き手さんに任せます。

【ネオ・ゼクトール@強殖装甲ガイバー】
【状態】全身に打撲 ミサイル消費(中) 疲労(中) 
【持ち物】デイパック×2不明支給品(1~5)&支給品一式×2
【思考】
1:アプトムを倒す。
2:ノーヴェの殖装したガイバーに過剰防衛行動を取らせ、アプトムを誘き寄せる餌にする。
【備考】
※名簿は一応見ています。
※服を探す際にノーヴェに渡した支給品の姿形は把握しています。



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月夜の森での出会いと別れ ノーヴェ 追撃への序曲
ネオ・ゼクトール






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