※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

OPコンペ第6案


……それはきっと、メイの何気ない一言からだったのだと思います。

「ねえおねーちゃん、これ誰が一番強いの~?」

どういう事情だったのかよく覚えてませんけど……
カンタ君の家にメイが少しの間だけ預けられて、私が――草壁サツキが迎えにいった時。
メイが唐突に言ったのが、その一言でした。
見るとそこにはカンタ君の趣味なのか何なのか、プロレスラーの写真が並んだ雑誌がありました。
どういう経緯でそうなったのかは分かりませんけど、メイはそれをずっと見ていたようです。

「おばあちゃんごめんなさい、こんな遅くまで。ほらメイ、帰るよ」
「ねえおねーちゃん、誰が強いのー? こたえてよぉ~」

とりあえずその場は夜も更けてきていたこともあって、おばあちゃんやおばさんにお礼を言って。
メイを引き摺って帰ろうとしたのですが……あんまりにもメイがしつこくて。
私は思わず、こう言っちゃったんです。

「知らないわよ。トトロにでも聞いたら?」


    ☆   ☆   ☆


それから……数日後。私がすっかりその日の会話を忘れた頃。
意味も分からずメイに引っ張られ、緑のトンネルを抜けて裏山に至った私は……驚きました。
そこに、トトロが待っていたのです。
巨大な体格の、不思議ないきもの。
それが、メイと待ち合わせでもしていたかのように、巨木の前に立ち尽くしていたのです。
今までも何度か会ったことはありましたが、こうして彼(?)が「待っていた」のは初めてでした。

「え、えーっと……トトロ?」
「おねーちゃん連れてきたよー!」
「 (ゴォッ) 」

いったい以前にどういう会話(?)があったのか、はしゃぐ妹に、頷くトトロ。
トトロの表情はいつも通りの笑ったような形のままで、口から漏れる吐息も言葉になってません。
だけど、なんか嫌な予感がする……。
1歩退きかけた私の前に、トトロはそして、つぅ、と何かを差し出しました。
巨大な鉤爪の先にそっと摘まれていた、それは。

「……ブレスレッド? それとも……」
「 (クイッ、クイッ) 」
「あ、首輪なんだ。……これを、着ければいいの?」

一瞬腕輪のようにも見えたそれは、どうやら首につけるものだったようです。
パッと見には毛に隠れて分かりませんでしたが、どうやらトトロも同じものをつけているようです。
(それを「首輪」と呼んでいいのかどうか、少し躊躇いはしましたが)
トトロの身振りに促され、私とメイは、それぞれ1つずつ身につけました。

それを確認すると、トトロは大きく息を吸い込みました。
どんどん膨らむ、巨大な風船。前にも見た光景に、私は咄嗟に耳を塞ぎます。

「~~~~~~~~~~ッ!!」

空気と大地を揺るがすような、トトロの絶叫。耳を塞いでいても肌がビリビリと震えます。
そうしてトトロが息を吐ききって、その余韻が空の彼方に消え去った頃……
馴染みのある突風が、駆け抜けました。
突風と共に駆けてきたのは、これももう馴染んできたネコバス。
それは私たちの前で急停止して、でも止まりきれずに少し滑って、チョコチョコとバックして……
ニヤリ、と大きく裂けた口で笑いました。

カシャン、カシャン。ネコバスの頭の上、行き先表示が1つずつズレて行きます。

七国山病院。
『めい』。
そして……カシャッ、と音を立てて止まったのは。

「……『バトル』……『ロワイアノレ』?」

たぶん、最後の「ノレ」は、「ル」の表示の間違いだったんでしょうけど。

行き先、『バトルロワイアル』。
それが私たちがこれから体験することになる、地獄の名前でした。


    ☆   ☆   ☆



ネコバスが走ります。風になって走り抜けます。
いったいどこまで行くのでしょう。山を越え谷を渡り、さらには海まで越えて。
なんだか良く分からない砂漠のような場所や、どこまで続くのか分からないトンネルとかも通って。
私にはもう、自分たちが今どの辺にいるのかも分からなくなってしまいました。
もしかしたら、時間や星まで飛び越えていたのかも……そんな突飛な考えさえ浮かんできてしまいました。

途中、何度かネコバスは停止しました。
降りようとしかけた私を、隣に座ったトトロが手で制します。
そして、降りるわけでもないのにネコバスの入り口が開いて、新しい『乗客』が乗ってきたのです。

高校生くらいのお兄さんお姉さんの集団もいました。
外国人のような、不思議な髪と目の色をした団体さんもいました。
プロレスラーのような筋骨隆々とした、覆面を被った人たちもいました。
トトロやネコバスみたいなものなのか、明らかに人間じゃない「いきもの」たちもいました。

みんな、私たちと同じような首輪をしているようでした。
みんな、どこか死んだような目をしていました。
みんな、一言も喋りませんでした。
今思うと、催眠術か何かにかかってたのかな? とも思うんですけど……。

そしてメイは、普段はあんなに騒がしいメイは、目をキラキラさせてみんなを見ているだけでした。
傍目にもワクワクしてるのが分かる様子で、次から次へと入ってくる『乗客』を見守るだけでした。
……このメイの態度も、私の不安の一因だったんですけど。

ともかく、そうして次々に乗客を乗せていって……大体、50人くらいは乗ったのでしょうか。
ネコバスの中の座席を詰めてもいっぱいいっぱいで、立ってる人もいるような状況で。
流石のネコバスも重たいのか、走る速度が目に見えて遅くなって……
そうして最後に、海の上を風のように駆け抜けて、どこか島のような場所に辿り着きました。


    ☆   ☆   ☆



「ねえ、メイ……これ、何なの?」
「え? 何って?」
「とぼけないでよ! 何か知ってるんでしょ!?」

その島についてからも、不可解な状況は終わりませんでした。
ネコバスがしばらく走って、その入り口を開く。夢遊病者のような足取りで誰かが1人降りる。
またすぐに走り出して、また止まって、また1人降りる。
どうやらネコバスは山も森も川も街も関係なく、島を縦横無尽に走り回っているようでした。
島のあちこちに、載せていたヒト(と、人間じゃないいきもの)をバラバラに降ろしていきます。
最初の数人は覚えていようかとも思いましたけど、すぐに諦めました。
どうやらネコバスは相当にムチャクチャに走り回っているようです。

「ん~、どうしよっかな~、うふふ~♪」
「もったいぶらないでよ!」

数の減ってきた乗客のみなさんは相変わらず黙ったまま、死んだような目をしたままです。
隣に座るトトロも何を考えてるのか分からない表情で、ボーッとしているだけ。
なので、声を潜めつつ、事情を知っているらしい妹のメイを詰問したのですが……
メイったら、何か企んでるような表情でクスクス笑うばかり。
いい加減本気で怒ろうと思ったその時に、ようやく口にしたのは。

「実はね、トトロが『いちばん強い人』を教えてくれるんだって!」
「……え?」
「おねーちゃん覚えてない? トトロに聞きなさい、って言ったじゃん。
 だから、トトロに聞いたの。そしたらね、『任せろ』だって」
「…………?」

意味が分からず、私はニコニコしているメイと、泰然とした様子のトトロとを見比べます。
トトロは無言でどん、と自分の胸を叩いて見せた。意味が分からない。
意味が分からないまま、ネコバスがまた止まる。また1人降りる。また走り出す。

ようやくその意味が分かったのは――
ネコバスに残ったお客さんが、私と、メイと、トトロだけになって。
扉が開いて、トトロに押されるようにして私が降りた、その後になってからでした。


    ☆   ☆   ☆


ここは、どこなんだろう――。
これから、何が始まるんだろう――。

見知らぬ光景の中、キョロキョロと周囲を見回していた私は、そして見慣れた存在に気付きました。
青い毛色をした、中くらいのサイズのトトロ。
それが普段の袋ではなく、人間サイズのデイパックを背負い、こっちにヨタヨタとやって来ました。

「えーっと、これ、私に……ってこと?」
「…………」
「えっと、よく分かんないけど……ありがと」

お礼を言う必要があったのかどうか分からないけど、私は青いトトロから荷物を受け取ります。
どうやらこれは、私が持つべきもののようです。
押し付けるように荷物を置いて、青いトトロは一目散に走り去ります。
ついて来い、という意味でもないようだし……それより何より、押し付けられた荷物が気になって。
私は呆然とその後姿を見送るしかありませんでした。

ネコバスはメイとトトロを乗せたまま行っちゃったし、これからどうするべきなんだろう。
天を仰いで呆然としていた私は、だから、唐突に響き渡った声にびっくりした。

『あーあー、マイクのテスト中。みんな、聞こえておるかね?
 そろそろ正気に戻っておる頃じゃと思うが』
「な、何!?」

聞こえてきたのは、スピーカーを通しているらしい中年の男の人の声だった。
たぶんこれ、島中に響き渡ってるんじゃないだろうか。
混乱する私を待つことなく、その男の人は喋り続ける。

『えー、ワシの名前は、ハラボテ・マッスル。今回のイベントのメイン司会じゃ。
 諸君にはこれより、『もっとも強いもの』を決めるために戦って貰う。
 それも島全体をリングとした、文字通りの『デスマッチ』……『バトルロワイアル』じゃ!
 『最後の1人』が決まるまで、諸君らは』

デスマッチ。バトルロワイアル。
私は女の子だから、そう詳しくないけれど……でも、その2つの単語くらいは知っている。
プロレス好きの男子の会話を、聞くともなしに聞いて、知っていた。
『デスマッチ』ってのは確か、死にそうなくらい危険なルールでやるプロレスの試合のこと。
『バトルロワイアル』ってのは……何人もの選手が最後の1人になるまで乱戦を続けること。
詳しいことは分からないけど、大筋ではこんなところだったと思う。

『まあ、詳しいことは諸君に渡っておるはずのデイパックの中に、ルールのメモが入っておる。
 首輪の説明やら、禁止事項やら、定期放送やら、支給品やら、優勝者へのご褒美やらの。
 ぶっちゃけ、いちいち説明すんのも面倒じゃ。各人ちゃんと読んで理解しておくように。
 読まずに死んでも、わしゃ知らんぞい。
 ではまた、6時間後の放送で――生きておったら、じゃがな』



……なんだか凄く投げやりな、勝手な言い草と共に放送が終わりました。
まだまだ分からないことだらけです。
まだデイパックの中にあるというメモも見てないし、状況の把握は追いついてません。
けれど、分かってしまったことがいくつかありました。

これは――大変なことになっちゃった。そう思いました。
メイの馬鹿が、トトロに尋ねた素直な質問……『誰が一番強いの?』。
これに答える形で、きっと、あのネコバスに乗ってたみんなが殺し合いをさせられるんでしょう。

トトロがどうやって? とか、何を基準に参加者を集めたの? とか、色々疑問はありました。
あのハラボテって人みたいに、協力してくれた人が他にもいるのかもしれません。
けれど、それ以上に大事なのは……。

「ひょっとして、これって……。
 私や、メイや、トトロも……『参加者』なの?」

呟いてみても誰も答えてくれません。首輪の冷たさが今になって妙に強く感じられます。
……お母さん。
なんだか、大変なことになってしまったようです。


【残り48名】

【kskアニメキャラバトルロワイヤル 開始】




| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー