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師匠と、弟子 ◆YsjGn8smIk


強風に煽られながらズーマは海を見つめていた。
太陽はその輝きを強め、何も見えなかった黒い世界を青色へと変化させていた。
水平線の果てまで続く青い海。
ズーマがいくら目を凝らしても陸地を見つけることは出来なかった。
ビュウと吹き抜ける一際強い海風がズーマの体を揺らす。
『HOTEL KSK』
ズーマはその外壁、地上数十メートルの場所に居た。

風に体を揺らしながらズーマは視線を地上へと移す。
わざわざこんな場所に登ったのは、別に海を見る為ではなかった。
ただ標的を見つける為、その為だけにこんな場所に登ったのだ。

(む……?)

そして彼の目的はあっさりと果たされる。
朝日に照らされる建物の間を、縫うように飛ぶ人影が一つ。

ザッ!

見つけたと思った次の瞬間、ズーマは飛び降りていた。
地上数十メートル、確実に死ぬであろう高さから……あっさりと。
見る見る地面が迫るが―――ズーマは慌てない。

「浮遊(レビテーション)」

地面に激突する寸前、魔法を発動させ、ふわりと着地する。
そして何事も無かったかのように走り出す。

――― みんなおはよう、今日は天気の気持ちいい朝だね、いまはどんな気分かな? ―――

何処からか依頼者の声が響くがズーマは意に介さない。
死亡者と禁止地区だけをしっかりと頭に刻みながら、ズーマは駆け続ける。
標的の殲滅、ただそれだけを求めて。


★ ★ ★ ★ ★


――― みんなおはよう ―――

「うわ、何!?」

突然響いた声に小砂は思わず声をあげる。

『放送が始まったようだな。小砂君、下りるぞ』

頭の上のネコミミ―――ネブラは冷静にそう言い、ゆっくりと翼を羽ばたかせながら徐々に高度を下げていく。
当然小砂の体もゆっくりと地面に近づき、すたっと着地する。
久々の地面に―――揺れないっていいなぁ、などと思いながらもては動き、ディパックからペンとメモを取り出す。
そして草壁タツオが発表している禁止エリアと死者を黙々と書き始めた。

―――  日向冬樹 ―――

そしてその名前が呼ばれた。
小砂は弾かれたように顔を上げ、頭の上のネブラも愕然と呻く。

『なん……だと……!?』

それきり何も言えないのか沈黙するネブラ。
小砂は死亡者の名前をしっかりと書きながら頭を振る。

(あっちゃー……やっぱ、パンピーじゃこうなっちゃうか)

憂鬱な気分で内心嘆息する。結局ネブラから頼まれた人探しは失敗に終った。
呆然とたたずむ二人。辺りには草壁タツオの声だけが空しく響いていた。

――― それじゃあ、また六時間後に。 君達のがんばり、期待しているからね? ―――

そして、それを最後に草壁タツオの声は途切れる。

(悪趣味な奴)

放送を聴いた小砂の感想はそんなものだった。
仲良しの友達に殺されたとか言ってるところを見ると、草壁タツオは何処からでこちらの様子を見ているのだろう。
それを楽しそうに語るのだから、悪趣味としか言いようがなかった。
その場には風が吹く音だけが響く。朝の心地よいはずの風が何処となく寒々と感じた。
沈黙に耐え切れずに小砂は口を開く。

「……ごめん、ネブラ」
『いや、君のせいではない』

ネブラはそう即答するが、やはり声に力がない。

『あの子をニンゲンにする為の希望だった……なんとか守りたかったが……どうやら我々は遅すぎたようだ』
「ごめん!」

大口を叩いただけに小砂は謝る事しか出来なかった。

『仕方あるまい。……しかしこうなったからには、力を貸す条件として君にダークレイス狩りの手伝いをしてもらうぞ』
「って事はつまり……あのタママやその仲間を狩れって事?」
『そうなるな』

小砂は思わず顔をしかめる。
一応手を組んでる相手を殺すというのは後味が悪すぎた。
それに敵対するならするで、せめて情報を交換してから敵対したいと言う打算もある。

「こんな事言える立場じゃないけど……ちょっと考えさせてくんない?」
『いいだろう、決心したらいってくれ。それまで私は黙ってる事にしよう』

小砂はほっと胸を撫で下ろす。
だが、ネブラは声を潜めて更に続ける。

『……それと、これはサービスだが。左前方に何者かが潜んでいるぞ』

どくん、と心臓が鳴る。
内心の動揺を抑えながら、小砂は視線だけ動かして左前方を見る。
そこには建物と路地があり、その影に紛れ……確かに何かがいた。
一呼吸でウージーを抜き放ち小砂は叫んだ。

「そこに居るのはわかってるんだ! 出て来い!」

銃口を向けて数秒、路地の影から一人の男が出てくる。
全身黒ずくめのツンツン頭の男。小砂は何故か鳥肌が立つのを感じた。

「あんた誰? あたしになんか用?」

聞いても無駄だとは思いながらも小砂は一応聞いてみる。
しかし意外にも男はあっさりと答えてきた。

「ズーマ。依頼を果たしに来た」
「とりあえず名乗るって事は殺し合う気は無いってこと?」

銃口を向けながら更に問う。
依頼というのが何のことかは判らなかったが、嫌な予感がした。

「依頼人と、死にゆく者には―――名乗ることにしている」

小砂はひらめく。
ズーマがいう依頼とはつまり―――

「あたしを殺せって誰かから依頼されたってこと?」
「知る必要はあるまい―――これから死にゆく者には」

ズーマは言葉と同時に右に跳ぶと数本のナイフを投げつけてきた。
同時にこちらも左に跳び、トリガーを引く。

ズダン!

辛うじてナイフを避けるがこちらの銃弾もまた避けられてしまう。
路地へ飛び込んだズーマを追撃しようと足を踏み出しかけて……思いとどまる。
迂闊に飛びこめば、ヤバイ。
直感に従い小砂は真逆、後ろへと跳んだ。

ダダダ!

と、同時に今まで居た地面を銃弾が抉る。

(この射撃音、ウージー!?)

聞きなれた射撃音に顔を上げると、路地にはウージーを構えるズーマがいた。
慌ててこちらも別の路地へと飛びこみ、撃ち返す。
が、既にズーマは移動したのかその姿は消えていた。

(うげっ、速いっ!)

内心悲鳴をあげながら小砂もまた走りだした。
命がけの鬼ごっこが始まった。


★ ★ ★ ★ ★


ズダダ!
銃弾が小砂の腕を掠める。

(くそ、アイツ段々射撃が正確になってる)

ズダダダ!
痛みに顔をしかめながらも反撃するが、ズーマは即座に影に消え、牽制以上の効果を与えられない。
最初の遭遇から大分経ったというのに小砂はズーマを捉えられないでいた。

(まっずいなー、あいつプロだ)

ズーマは気配を消すのが異常にうまかった。
せめてこちらに砂漠スーツがあればもう少し何とかなったのだが、無いのだから仕方無い。
あちらはどういう手段かは判らないが、こちらの位置をほぼ完璧に捉えているというのに、こっちは接近されるまで判らない。
はっきり言って追い詰められてた。

『……どうする小砂君。力を貸そうか?』

見かねてか、ネブラが聞いて来る。

「あー、正直借りたいところなんだけど……後々面倒になりそうだし」

ネブラは実際役に立ってくれるだろう。
だが、ネブラの力を借りるという事はタママたち宇宙人と敵対すると言う事でもあった。

(もうしばらくは友好的に……ってダメだ! 今は余計な事を考えてる場合じゃない!)

小砂は頭を振って、余計な考えを切り離す。
仕事中に無駄な事を考えてるようでは、生き残れる訳がない。
そして生き残るために今必要なことは、迷うことではなかった。

「……わかった。ネブラ、力を貸して」

低い声で小砂は告げた。
自分が生き残ることを。そしてタママ達を切り捨てる事を。

『いいのか?』

静かに……ネブラが聞いて来る。

「いい。後のことを考えてる余裕はないし」

こちらも静かにそう答える。
実際こんな事を話してる時間すらもったいなかった。

『ならば、力を貸そう……便利屋小砂!』

バサッ!

そう言うとネブラは翼をはためかせ、小砂の体を空へと持ち上げる。
そして一気に加速し、上空へと飛び上がる。

「ネブラ、距離を開けたいから、とにかく突っ切って!」
『いいだろう!』

そう言うや否や、ネブラは翼をはためかせ風を切る。
凄い勢いで後ろへと流れていく景色を見ながら、小砂は尋ねる。

「どう、距離開いた?」

流石にこの速度にはついて来れないだろうと思って聞いたのだが、ネブラの答えは予想外のものだった。

『いや……後ろにいるぞ』
「うそっ!?」

慌てて後ろを振り返るが、ズーマの姿は何処にも見えない。

『君の視界に入らないように走っているようだな。どうする、全力で飛べば振りきれるかもしれないが』
「……振りきれるとは限らないんだろ? いい、ここで倒す!」

意思を込めて宣言する。

「ネブラ、あいつに向かって急旋回して急降下! 出来る?」
『当然だ』

こちらの指示通りネブラはぐるりと急旋回すると、落下するような勢いで地上に向かって急降下する。
加速に体が軋むがそれを無理やり無視して、ウージーを構え、撃つ。

ズダダ!

ズーマが驚いたように地面を転がるが、流石に上空からの銃撃を完璧にはかわせない。
弾丸が当たった手ごたえを感じ、小砂は叫ぶ。

「ネブラ、もう一度! 次は倒すよ!」
『了解だ』

ぐん、と再度体が持ち上げられる。
上空から再び急降下銃撃をしかけようとした―――その瞬間。

「黒霧炎(ダークミスト)」

ヴァッ!

ズーマを包むように突如、黒い霧が現れた。
霧は完璧に光を遮り、ズーマとその周辺を完全に覆う。

「な、なにこれ!?」

声をあげながら急降下していた小砂は霧へと突っ込んでしまった。
霧の中は暗く、昏い、完璧な黒に包まれていた。

『これは……人間が闇を操ったのか!』
「闇ぃ? ようは目潰しってことか……ネブラ、上昇!」

驚愕の声を上げるネブラに指示を出す。
だがネブラも叫び返す。

『小砂君、上だ!』
「!? ……この!」

ネブラが何を言いたいか理解し、咄嗟に上空に向かってウージーを撃つが、手応えはない。

『させん!』

次の瞬間、こちらの頭を掴もうと伸びてくる腕をネブラが膨張して受け止める―――が。

「黒魔波動(ブラスト・ウェイブ)」
『グアアアアアアッ!!』

その両手に掴まれた瞬間、ネブラは粉々に吹き飛んだ。
とたん体は重力に引かれて落下する。

「ネブラ!?」

なんとか受身を取って着地したが、名前を呼んでもネブラは答えない。
慌ててネコミミを取ると、ネブラはその体積は半分に減らしプスプスと煙を上げていた。

「おい、ネブラ! 死んじゃったの!?」

左手でネブラを揺さぶりながら、この闇の出口を探して走る。
数秒ほどで闇の終りはあっさりと見えた。
そして、闇から抜けたその瞬間―――

目の前にズーマが居た。

「ぐ、は!」

ズーマは爪の一薙ぎでネブラを貫くと、あっさりとこちらの手からネブラを奪う。
更に残った左手でこちらの喉を掴むと、そのまま吊しあげた。
ギシギシと首の骨が軋み、呼吸ができない。
体から力が抜けていく。

(死ぬ、こんな所で、あたしは死ぬの!?)

死の恐怖と、それを凌駕する生きたいという思いが錯綜する。
気力を振り絞り、なんとか腕に力を込め、ウージーを動かす。
が、その動きは致命的に……遅い。

ゴギュ

喉の辺りから何かが潰れた音がした。
一瞬後に襲い掛かる激痛。

(ガッ……死んで、たまる……か!)
「シュート!」

光弾が闇を切り裂いて、ズーマへと迫る。
ズーマは咄嗟に小砂を盾にし、それを防ごうとする。
しかし光弾は意思があるかのように空間を滑り、器用に小砂を避けそれを掴むズーマの左腕へと着弾する。

「っ……!」

爆発と衝撃にたまらず小砂を放し、後へと飛び退くズーマ。
光弾の射手を睨みながら、ナイフを構えた。

「げほ、げほ……」

小砂も咳き込みながら、光弾が飛んできたほうを見やる。
涙でハッキリしない視界には……見覚えのある女が映っていた。

(こいつ……人を殺して……埋めてた奴じゃん……最悪……)

そこには白い服を血で真っ赤に染めた女が、横に数個の光弾を従え立っていた。
状況は絶体絶命のままだった。
右手に暗殺者、左手には殺人者……どっちにしろこのままでは殺される。
逃げたい所だが、あいにく足に力が入らなかった。
銃もズーマと女のちょうど真中に転がっている。

(でも……それでも)

最悪の状況だったが小砂は銃に向かって這いずり始めた。
このままじゃどっちにしろ殺される、なら二人が争ってる間に銃を手に入れ、両方とも返り討ちにする。
生き残るにはそれしかなかった。

「こちらは時空管理局所属、高町なのは一等空尉です。戦闘を止めて話を聞いてください」

それを見てか、女―――高町なのはがそんな事を言う。
問答無用で攻撃しといて戦闘を止めろとか……やっぱり殺す気だな、と小砂は確信する。

「ズーマだ」

ナイフを構えながら静かに名乗り返すズーマ。
会話が成立してほっとした様に高町なのはが更に続ける。

「ズーマさん? あなたはこの殺し合い―――」
「既に依頼を受けている、故に殺す」

だがズーマは高町なのはの言葉を遮ると、ナイフを投擲してきた。
こちらに向かって。

(くっ……そ!)

気付かれない筈がないことは判っていた。
それでもあと少しでウージーに手が届くのに……小砂は悔しさで歯軋りした。
そしてこの体勢ではナイフを避ける事など到底出来ない。

「アクセルシューター……シュート!」

その瞬間、高町なのはが動く。
周辺に浮いてた数個の光の弾が小砂に向かったナイフを悉く撃ち落とした。

(な、なんで!?)

何が何だか判らなかったが、考えるより早くウージーを手に取り、ズーマに向かって撃つ。

ズダダ!

涙で視界はかすみ、腕の力もろくに入らない、最悪の状態で撃ったそれは当然のように外れる。
だがこれは牽制。
小砂は光弾がズーマの後ろへと回り込んでいたのを見ていた。
大きく飛び退いたズーマの背中からその光弾が襲い掛かる。
このタイミングでは避けられない。だが―――

「虚霊障界(グームエオン)」

ズーマの呟きと共に闇が広がる。
その闇に触れた瞬間、光弾があっさりと掻き消える。

「!?」

高町なのはの動揺する気配がする。
つまり光弾は消えたのではなく、消されてしまったのだろう。
そして闇が消えると、そこににズーマはいなかった。
不利になった瞬間、あっさりと退く。まさにプロの鏡のような行動だった。

「逃げられちゃった、かな」

高町なのはがぽつりと呟く。

「……でもよかった、今度は間に合った」

そして、こちらへとゆっくりと近づいてくる。
小砂は震える腕でウージーを構えて叫ぶ。

近寄るな!
「……げほっ!」

そう叫んだつもりだったがマトモに声は出なかった。
しかも情けない事に余りの痛さにうずくまってしまう。

「ぐっ……がはっ」
「ダメだよ、無理に声を出しちゃ……ちょっと待ってね」

喉を押さえ、ただうずくまる小砂の喉に女が手を当てる。

「は……なせ……! ……ってあれ?」

多少掠れていたけど今度は声が出た。
そして徐々にだが、喉の痛みがやわらいでいく。

「……へ?」
「これで大丈夫。どうかな声、出る?」

そういうと高町なのはは手を放した。

「あー、あー……うそ、治った!?」

声を出しても痛まなかった。
というより潰れた事の方が嘘だったかのように喉の激痛が消えていた。

「……ど、どういうつもり? あっ……ま、まさか泣き叫ぶ悲鳴を聞きたいとか!?」

治療した理由に思い当たり、おもいっきり後ずさる。
治して痛めつける、とんでもない外道なのかもしれない。

「落ち着いて、そんな事しないから」

ゆっくりと高町なのはが近づく。

「恐い目にあったんだね。でも、もう大丈夫だよ……私はこんな殺し合いには乗ってないから」

無言でいる以外何も出来ずにいると、いつのまにか小砂はその腕に抱きしめられていた。

(あ、え……う?)

あまりの無防備なその姿に、ぽかんと見てる事しか出来なかった。
無防備すぎた。多分、今なら簡単に殺せる。

(でも、殺す必要があるのかな?)

思わずそんな考えが浮かぶ。
殺人者にしては、あまりに無防備なその姿に、つい警戒を解いてしまう。

「乗って無いって、だってその血……誰か殺したんだろ?」

さっと、高町なのはの腕から抜け出し、小砂はその白い服にべったりとついた返り血を指差す。
しかし高町なのははあっさりと答える。

「ああ、そうか勘違いさせちゃったんだね。この血は……お墓を作るときにちょっとね」
「お墓って、お墓? ……知り合いでも死んだの?」

知り合いという言葉を聞いて高町なのはの表情に陰りが生まれる。
が、すぐにそんな表情を消すと恐るべき事を言った。

「……違うよ。でもさ、例え知り合いじゃなくったって放って置くなんて事、出来ないじゃない」
「ゲエッ―――!」

思わず叫ぶ。
まさかこんな状況で、こんな変なセリフを聞く事になるとは小砂は思いもしなかった。
海堂勝みたいなこのセリフ―――

(先生が聞いたら嫌そうな顔するだろうなぁ……それとも胸みて喜ぶかな?)

じーっと高町なのは胸を見る。

「な、なに?」

その視線に戸惑ったように高町なのはが聞いて来る。
それには答えず小砂はじっと見ていた。
結論、でかい。
ボインなその胸を見て確信した。

(先生は喜ぶほうだな、これは)

そして気付く。
なんとなくこの女が殺し合いに乗ってないって事を信じている自分に。
言ってる事は変態的だが……その実力といい、颯爽とした姿といい、なんとなく胸がドキドキした。

「と、ところさ……あたしの喉、どうやって治してたの?」

なんとなく話題を変えようと小砂は気になってた事を聞いてみた。
だが―――

「言わなきゃ……ダメかな?」

何故か言葉を濁す高町なのはに、あたしははっきりと言う。

「ダメ」
「……その、驚かないでね?」

躊躇いながら高町なのはが言う。
妙なものばかりを見てきただけに小砂も驚かない自信はあった。

「大丈夫だから、なんなのさ?」
「魔法、なの」

そんな小砂の自信はあっさりと弾けとんだ。
衝撃が小砂の体を突き抜ける。

「ま、ま、魔法っ!? マホーってあれ? 変身したり空を飛んだりできる、あの魔法!?」
「まあ、そんな感じかな」

あっさり告げる高町なのはの声を聞いて意識が吹き飛びそうになる。

(ま、魔法……ってマジ?)

いや、マジなのだろう。
ここに来てからダークレイスや宇宙人、暗黒時代の遺物などの信じられないものをばかり見てきたのだ。
口から閃光を吐き出すカエルがいるくらいだ、魔法使いがいても不思議じゃない。
魔法、魔法……魔法少女……。
小砂の脳内にぐるぐるとその言葉が回る。

「それで私もちょっと聞きたいんだけど、小さな女の子を見なかったかな、名前はヴィ―――」

土 下 座 して言った。

「弟子にしてください!」
「―――ヴィオ……って、ええっ!?」

頭を地面にこすり付けながら小砂は頼み込む。
一人前の便利屋としてのプライドがキリキリと痛むが……魔法。
また誰かの弟子になるなんてちょっと嫌だけど……魔法。
空を飛び、傷を治し、怪光線で敵を撃つ……魔法。

この魅力は凄すぎた。
この力をモノに出来たら『関東大砂漠一の凄腕美人』にぐっと近づくかもしれない、いや近づくに違いない。
だからこんなプライドは捨てるべき……というか捨てた。

「私に魔法を教えてください! 師匠っ!」

全身全霊でお願いした。
それを見て師匠は慌てたように手を振る。

「ちょ、ちょっと待って。……少し頭冷やそ、ね?」
「あたしは冷静です! どうしても凄腕魔法少女になりたいんです!」
「いや、あのね……それにそんな事を言ってる場合じゃ」
「お願いです! 弟子にしてくれるまで、あたしここを動きません!」
「こ、困ったな」

渋る師匠に小砂は最大のアピールをする。

「あたし、役に立ちますよ! 特に人探しなんか得意です!」
「……え」

その言葉を聞いて師匠は迷ったように動きを止めた。



【B-4 市街地/一日目・朝】

【小泉太湖(小砂)@砂ぼうず】
【状態】腕に銃弾が掠り僅かな痛み、疲労(中)
【持ち物】IMIミニウージー(9mm口径短機関銃)(18/32)@現実
      ディパック、基本セット
【思考】
0. 生き残る
1.「高町なのは」に弟子入りして魔法を教わる
2.「川口夏子」と合流する
3. B-7の『ksk喫茶店』に戻り、危険人物のことなどを報告する
4.「碇シンジ」、「惣流・アスカ・ラングレー」、「加持リョウジ」、「ケロロ軍曹」、「ガルル中尉」を探して接触する
5.「水野灌太」、「雨蜘蛛」には会いたくない。「水野灌太」の存在だけはきちんと確認したい
6. ネブラと合流出来た場合のみ、ネブラとの約束を守るため"闇の者"達を討伐する 
※「高町なのは」を魔法使いと認識しました
※「ズーマ」を危険人物と認識しました。ただし本名は知りません


【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(中)、強い悲しみと決意と困惑と動揺 、制服が血まみれ
【持ち物】基本セット(名簿紛失) ディパック 
     ハンティングナイフ@現実 コマ@となりのトトロ
【思考】
0.ヴィヴィオをはじめとしたみんなを守りたい。誰にもこれ以上死んでほしくない
1.ど、どうしよう?
2. ホテルに向かい加持と合流する
3.ホテル、デパート方面に向かい仲間を増やし、ヴィヴィオやほかのひとの情報を得る
※「ズーマ」を危険人物と認識しました。ただし本名は知りません
※小砂を10歳ぐらいの子供だと思ってます


★ ★ ★ ★ ★


ズーマは影に潜んでいた。
あの女の放った光弾を受けた左腕に傷はなかった。
―――ただし肉体には、だが。
あれは精神系の精霊魔術だったのだろう。
光弾を受けた直後魔力が削られるのを感じていた。
故に今は体勢を立て直す時期なのだろう。
それに―――

『こ、こは?』

気絶していたらしい爪に刺さったままの黒いソレが呻く。
コレが何なのか、確かめる必要があった。

「答えろ―――お前はなんだ?」

尋ねながらも、その正体に見当はついていた。
魔法生物やキメラ……あるいは魔族。
なんであれ、参加者であるなら殺すだけだが―――生憎ソレには首輪がついていなかった。

『どうやら捕まったらしいな……まさか私がこれほどのダメージを負わされるとはな』
「質問に答えろ。答えないと言うのならば―――滅ぼす」

静かに呪文を唱る。
黒魔波動(ブラスト・ウェイブ)で吹き飛んだところを見ると術が効くのは確かだった。
ならば相手が何者であろうと―――そう例え魔族であろうとも滅ぼせる。
その意思を視線から読み取ったのか、ソレは観念したように答えた。

『私は"闇の者"(ダークレイス)を狩るもの、"闇の狩人"(ダークハンター)だ』
「―――何だそれは? 首輪が無いところを見ると参加者では無さそうだが」

呪文を中断して、聞き返す。

『このゲームにおいてはただの支給品だ』
「支給品? ほう―――」

ならばコレは武器という事なのだろう。

「では―――」
『あいにく人間同士の殺し合いに関わるつもりはない。先約もあるしな』

こちらの声を遮りソレはあっさりと宣言する。

「ふむ―――ならば相手がそのダークレイスだった場合は?」
『そうだな、"闇の者"(ダークレイス)が相手ならば力を貸してもいい』
「"闇の者"(ダークレイス)の定義を教えろ」
『闇に潜む者達……簡単に言えば人間ではない存在だ」

人間以外に効果がある武器―――暗殺者はネブラをそう理解した。

「十分だ。ならば"闇の者"(ダークレイス)が相手の場合は役に立ってもらうぞ」
『いいだろう、その場合私を頭に乗せたまえ』

ネコミミを見て僅かに顔をしかめるズーマ。

「…………頭、か」

出きれば避けたい事態だが、必要ならば躊躇わずつけなければならないだろう。
この依頼を完遂するために。
その為ならばネコミミだろうが―――つける。
ズーマはソレをディパックに仕舞いながら、静かに決意した。



【B-5 市街地/一日目・朝】

【ラドック=ランザード(ズーマ)@スレイヤーズREVOLUTION】
【持ち物】ベアークロー(右)(刃先がひとつ欠けている)@キン肉マンシリーズ、金貨1万枚@スレイヤーズREVOLUTION、
      MINI UZI(2/20)@砂ぼうず、ネブラ=サザンクロス(ダメージ(中))@ケロロ軍曹、ナイフ×4、包丁×3、ディパック、基本セット(食糧と水が一日分増加)
【状態】腕に銃弾が掠り僅かな痛み 疲労(小)魔力消耗(中)
【思考】
0.参加者を全て殺す
1.市街地の名前のある施設をめぐり、参加者を探して殺す。一通りめぐり終わったら南へ向かうか検討する
2.リナ=インバースを必ず殺す
3.ゲームの関係者を全て殺す
※魔法や身体能力の制限に気づきました。自分だけでなく異能者全員にかかっているのではと思っています
※【B-6】の民家の寝室の箪笥の中に、以下のものが破棄されています
 デイパック×2、基本セット×2(一部食糧不足)、地球動物兵士化銃@ケロロ軍曹、どんぐり五個@となりのトト
※ネブラは相手が"闇の者"(ダークレイス)ならば力を貸してくれます




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君が残した光 高町なのは マジカル小砂たん第5話「土下座モードで頼み込め!」
上と、下(前編) 小泉太湖(小砂)
白く還りし刻 ラドック=ランザード 新たなる戦いの予感







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