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誰がために ◆mk2mfhdVi2



「あの男が――ズーマがもう一度襲ってくる、ってことはないよね」
『慎重そうな男でしたから、その可能性は低いでしょう。――それよりも』
「うん、わかってる」

バリアジャケットを解除して、未だ地面に倒れたままのケロロに駆け寄る。
急がないと、まずい。
ズーマとの戦闘のせいで、余計な時間を食ってしまった。
刺されてから経過した時間を考えると、最早一刻の猶予もない。

「マッハキャリバー、この辺りに治療に適した場所はあった?」

とにかく、清潔な場所に運ぼう。
マッハキャリバーに問いながら、意識を失っているケロロを抱え上げる。
制服が血で染まっていくけど、そんなの知ったことじゃない。
どうせすでに結構汚れているし、これ以上汚れたところで大して違わないだろう。
まあ、代わりの服は欲しいといえば欲しいけれど。

『Mr.ケロロの状態を考慮すると、そう遠くへは運べません。
 医療施設を探すのには時間が足りませんし、近くの民家へ運ぶのはどうでしょうか』

たしかに、今から薬局や病院を探すのは無謀だろう。
ケロロの容態を見れば、それが無理なのは一目瞭然だ。

「それが一番だね。 それじゃ、急ぐよマッハキャリバー!」
『All right』



駆け出そうとして――、一瞬だけ踏みとどまって、サツキちゃんの死体を見る。
草壁サツキ。

正確な年齢はわからないけれど、小学校の中学年ぐらいだろうか?
私が、ユーノ君やフェイトちゃん達と出会ったのと同じぐらい。
そんな若さで、彼女は死んでしまった。

まだまだ、したいこともあっただろう。
きっと、将来の夢だってあっただろう。
好きな男の子も、もしかしたらいただろう。

少なくとも、こんな所で死にたくなんてなかっただろう。

でも、彼女は死んでしまった。

私の力が、足りなかったから。
目の前に広がっていた輝かしい未来も夢も何もかも、失ってしまった。

「――ごめん」

謝ったからといって、許されることじゃない。
何をしたところで、許されることではないだろう。
だから、これはただ私が満足したいだけの言葉。

なんて――卑怯なんだろう。

「助けられなくて、ごめん」

その言葉を最後に、私は走り出す。

必ずケロロと一緒に、ここに戻ってくることを胸に誓って。



今だけは私に話しかけようとしないマッハキャリバーの気遣いが嬉しくて、少しだけ苦しかった。






    ■    ■





「どうして――どうして治らないの!?」

あの後、民家に侵入した私達は、清潔なベッドの上にケロロを寝かせ、治癒魔法を使い始めた。
傷は多いものの、その内のどれも魔法で治せないほどに深いものでは無い。
だから、十分治せる。
そう、思っていたのに。

冬月さんに使用した時と比べても、明らかに傷の治りが遅い。
すでに老年の域の冬月さんには、魔法の効きが悪かったのはわかる。
けど、ケロロはどう考えても老年とは呼べないはずなのに――

『落ち着いてください、Ms.高町』

焦燥していた私の耳に、マッハキャリバーの声が届く。
落ち着けるわけないよ、こんな状況で――

『魔法はそのままで聞いてください。 今、私達が陥ってる状況について、私なりの見解をお話します』
「!?」

前置きもそこそこに、マッハキャリバーは淡々と彼女なりの考察を述べていく。
彼女の見解を要約すると、こうだ。

第一の理由として、ズーマとの戦闘で、私が少なからず消耗していること。
第二の理由として、私の魔法になんらかの制限がかけられていること。

この二つは、私もある程度感付いてはいた。
明け方の飛行の際にも、つい先程のズーマとの戦闘の際にも、妙な違和感はあったから。
普段より魔力の減りは激しいし、威力も若干抑えられている気がする。
けれど、それだけでここまで効き目が悪くなるものだろうか?
アスカや冬月さんに使った時は、問題無く効いたというのに。

そんな私の疑問は、次の見解で消し飛んだ。




第三の理由として――ケロロが宇宙人であること――すなわち、人間ではないこと。

――盲点、だった。

私達の使う治癒魔法は、基本的に人間を対象としたものだ。
無論人間以外の生物にだって効果はあるけれど、人間と体の作りが違う以上、どうしても効果の差は生まれてしまう。

ケロン人――宇宙人を人間でないと言ってしまうのには抵抗があるけれど。
蛙を人に近付けたような外見の彼の体が、果たして人間と同様の作りをしているのだろうか――?

心臓はどうなっているのだろうか?
肺はどうなっているだろうか?
脊髄は?神経は?骨格は?

そもそも、それらはケロン人にもあるのか?

血液は赤いけれど、その血液を構成する成分は人間と同じなのか?

それ以前に、このケロロの体から流れ出ているものは血液なのだろうか?

「――ッ!」

まずい。
だとしたら――だとしたら――

「――ケロロを、助けられない?」
『…………』

私の問いに、沈黙するマッハキャリバー。
否定しないということは――やはり、そうなのだろうか?
私は、また救えない――?サツキちゃんに続いて、ケロロも?

いや、その二人だけじゃない。




私の大切な親友だったフェイトちゃん。

これから新しい人生を歩んでいくはずだったセイン。

ケロロの親友だった、日向冬樹くん。

最初に殺された、不思議な雰囲気を纏った少年。

放送で名前が呼ばれた、顔も知らない他の参加者達。

皆、死んでしまった。

私が、しっかりしていなかったから。

そして、その中にケロロも?

「……嫌だ」
『……Mr.高町?』

嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

これ以上、人が死ぬのも。
これ以上、守れないのも。
これ以上、救えないのも。
これ以上、何もできないのも。

そんなのは、絶対に――

「嫌だあああぁぁぁあああああああああぁぁぁぁああああ!!」

『!?』

狂ったように――いや、事実狂ってしまっていたのかもしれない。
マッハキャリバーの制止の声も無視して、私は全力全開でケロロの傷を治し続けた。
このまま魔力を使い続けると危険、そんなマッハキャリバーの忠告はもう耳に入らない。
後の事なんてどうなってもいい――私は、ケロロを救うんだ。
これ以上、誰も死なせない!

「これ以上…………誰も…………!」







    ■    ■





――どうしよう、頭がぼうっとしてきたや。

――もう少し、もう少しだけ持って私の体。

――もうほとんど、傷は治せたんだから。あとちょっとなんだから。

――あれ?なんだろう今の音。

――硝子が割れたような音がしたけど、冬月さんかな?

――ああ、でも冬月さんなら硝子を割る必要なんてない、か。

――敵だとしたら、まずいかな。今の私じゃ戦えないもの。

――せっかくもう少しでケロロを助けられたのに。

――マッハキャリバーの忠告を素直に聞いておけばよかったのかな。

――でも、そしたら多分私は後悔してた。

――だから、これでいいんだ。

――あれ?

――死ぬ時に迎えにくるのは天使さんだよね?

――カナブンがくるなんて、おかしいなあ……?






    ■    ■





『……信じられません』

ベッドの上には、二つの体がある。
Mr.ケロロと、Ms.高町。
Mr.ケロロはベッドで、Ms.高町は彼に覆い被さるようにして、規則正しい寝息を立てている。
傷はあらかた治り、ひとまず生命の危機は脱したようだが――さっぱりわけがわからない。

『貴方は一体、何者なのですか?』

私は、彼――彼女かもしれないが――に問う。
Ms.高町が力尽き、Ms.高町の魔法で辛うじて繋ぎ留められていたMr.ケロロのついに命が尽きようとした、その瞬間。
彼はこの部屋の窓を割って突入し、脇目も振らずケロロの傷を治し始めた。
首輪が付いていない以上、参加者で無いのはたしかだが――。

『………………』

そんな私の問いに、彼は答えない。
ひょっとしたら、答える術を持ち合わせていないのかもしれない。
ひょっとしたら、答えないのでは無く、答えられないのかもしれない。
だから、私は追求するのをを止めた。
それよりも、私は彼に言うべきことがある。

『Mr.scarab beetle……Mr.ケロロの命を救って頂いたこと、感謝します』

その、私の心からの礼に。
今まで私の言葉に対してノーリアクションだった彼が、少しだけ笑ったように見えた。

やがて、羽を広げ、彼は窓から飛び立とうとする。

『御武運を』

私が発したその言葉が、彼に届いたかどうかは解らない。
二度とこちらを振り向くことも無く、彼は風に乗って大空に舞い上がって行く。
段々と小さくなっていく彼の姿を、私はいつまでも見続けていた。






【B-6 民家/一日目・昼過ぎ】


【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(特大)、魔力消費(特大)、気絶
【持ち物】基本セット(名簿紛失) ディパック マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikers 
     ハンティングナイフ@現実 コマ@となりのトトロ、白い厚手のカーテン、ハサミ
【思考】
0.気絶中。
1.冬月と合流する。
2.一人の大人として、ゲームを止めるために動く。
3.アスカと小砂を探す。
4.それが済んだら高校にヴィヴィオを探しに行く。
5.アスカと小砂を守る。
※「ズーマ」「深町晶」を危険人物と認識しました。ただしズーマの本名は知りません。
※マッハキャリバーから、タママと加持の顛末についてある程度聞きました。


【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】気絶 傷はほぼ治ったものの、まだ残っています
【持ち物】なし
【思考】
0.(気絶中)
1.サツキを何があっても守る。
2.加持、なのはに対し強い信頼と感謝。何かあったら絶対に助けたい。
3.冬樹とメイの仇は、必ず探しだして償わせる。
4.協力者を探す。
5.ゲームに乗った者、企画した者には容赦しない。
6.で、結局トトロって誰よ?

※漫画等の知識に制限がかかっています。自分の見たことのある作品の知識は曖昧になっているようです
※ジェロニモのナイフ×1@キン肉マン が、公民館の傍に落ちています。
※ケロロのデイバック(支給品一式、北高女子の制服@涼宮ハルヒの憂鬱、自転車@現実)、サツキのディパック(支給品一式、拡声器@現実)はB-6の公民館に残されています。







そして、彼の姿が小さな黒点と化してすぐに。



彼が、爆発した。





    ■    ■    





「よし、命中したか」

発射した生体ミサイルが照準通りにカナブンに命中したのを見て、俺は歓喜の声を上げる。

カナブン。
先程空中で俺を撥ね飛ばした、憎き相手。
この島特有の生物かとも思ったが、考えてみればそんなはずは無い。
あんな危険生物が、果たして殺し合いに必要だろうか? 勿論答えはノーだ。
ならば何故ここにいるかといえば――もしかしたらあの虫も、参加者の一人なのではないだろうか。

今まで俺が出会った参加者の二人、もふもふと悪魔将軍、そして俺を含む獣化兵。
そのどれもが、人間とはかけ離れた姿をしている参加者だ。
ならば、同じく人間とかけ離れた姿のあの巨大カナブンが参加者である可能性も、あるのではないだろうか。

そんな事を考えていたところに都合よくカナブンが現れたため、先程のお返しとして、
先手必勝とばかりに生体ミサイルを撃ち込んで仕掛けてみれば、呆気ないほど容易に命中して、奴は森に墜落していった。

ふむ、折角市街地に出たところだが、スコアを稼ぐいい機会だ。
アプトムを探し出すための一人目の生け贄として、役に立ってもらうとするか。

そう判断して、俺は再び森へと入っていった。






    ■    ■   





と言うのが、俺がこの状況に至った経緯なのだが。

「痛そうだねえ、その傷。まあ、これからもっと痛い思いをするんだけどね」

人間は、あまりにも不可解な状況に陥ると思考を止めてしまうと聞いたことがあるが。
幸いにも獣化兵である俺は、そんな事はないらしい。

「長門くんの情報改変で、一時的に君に言葉を与えた」

だが、一体何が起こっているのか。
木陰に身を隠した俺の視線の先にある、二つの影。

「いい銃だろう、これ」

一方は、カナブン。
俺のミサイルを受けたせいか、その羽根は見るも無惨に焼け焦げている。
そして、もう一方は――

「これで撃たれたくなければ、正直に僕の質問に答えてくれ、カナブンくん」

この殺し合いの主催者が――草壁タツオが、カナブンに銃口を向けていた。

「いやはや、君を補足するのには苦労したよ。首輪を付けていないから位置は掴みづらいし、移動速度はやたら速いし。
 島全体を監視するのは流石に無理だから、参加者48名の監視にかかりっきりだった結果がこれだよ……」

草壁は、そう自重気味に吐き捨てながら、カナブンに見せびらかすように銃を前に突き出す。

「ま、それは次回以降の反省点だね。あるかどうかは未定だけど。
 それはそうと、どうだいこの銃。弾丸は無限で、さらにホーミング仕様。
 長門君の情報改変は素晴らしいねえ……流石は、情報統合思念体の科学の結晶だ。
 威力だってほら、」

そこで言葉を止めたかと思うと、草壁はおもむろに引金を引き。

「――――――――ッ!」
「この通りさ」

カナブンの六本の足の一本、その間接から先を吹き飛ばした。
声にならない叫びを発しながら、カナブンは地面をのたうち回る。。

「たかが足を一本失ったぐらいで大袈裟だなあ。君にはまだ五本も残っているじゃないか
 さて、この銃の恐ろしさが見に染みたところで、本題に入ろうか」

ふざけた事を笑顔で言いながら、草壁は言葉を続ける。





「さて――彼等は今、バトルロワイアルをしている。
 バトルロワイアルの円滑進行に、勝手に動き回って勝手に傷を癒す君は害悪以外の何者でもない。
 だから僕は支給品から君を除外したのに――なんで君はここにいるんだい?」

二度目の銃声とともに、再びカナブンの足が一本吹き飛ばされる。
三分の一の足を失って最早立っていられるはずもなく、カナブンの巨体は地面に沈む。

「おかしいよねえ?」

三発目の弾丸が、三本目の足を。。
足を一本失う毎にカナブンが呻き声を上げるものの、草壁は相変わらず笑顔で銃を構えている。

「こんな事は考えたくないけど――」

四発目の弾丸が、四本目の足を。
コンスタントに、カナブンの足が減っていく。

「僕達の中に裏切り者が、いるのかな?」

五発目。
吹き飛んだカナブンの足が、俺が隠れている木陰まで飛んできた。

「だから僕は君に聞きたいんだ」

六発目が、今にも放たれようとしている。

「君をディパックに入れたのは――いや、」

最後まで残った、一本に向けて。

「裏切り者は、誰だい?」

最後の一本も、吹き飛んだ。

「中トトロ君かい?」

草壁タツオが、歩を進める。

「長門君かい?」

一歩一歩、足を失ったカナブンに向けて。

「それとも――」

カナブンの前で、足を止める。

「―――――かい?」

銃口が、カナブンの頭部へと当てられ。
刹那の沈黙の後――カナブンの頭部が、吹き飛んだ。

吹き飛んだカナブンの頭部は少しの間だけ宙を舞い。
やがて嫌な音を立てて、地面に墜落した。



「ああ、ついやってしまった。まいったなあ……また長門くんに怒られる。彼女、無表情で怒るから怖いんだよ」

そう言って、銃を懐にしまう。
結局の所、最後まで俺は動けなかった。
動かなかったのではなく、動けなかったのだ。超獣化兵の、この俺が。

「はあ……やっぱり長門君に任せるべきだったかな。でも彼女、イマイチ何考えてるのか解らないんだよなあ……」

そんなことを言いながら、草壁は森の奥へと消えていく。
何処にあるかは知らないが、奴らの本拠地に戻るのだろう。
奴を追えば、主催に関する何かを得られるかもしれない。
それは重々承知だったが、とてもじゃないがそんなことはできなかった。

「恐怖……していただと……? この俺が、あんな冴えない男相手に……?」

有り得ない。有り得ないが――この俺が今抱いている感情は、恐怖以外の何物でも無かった。
俺は感じとっていたのだ――ギュオーとも、アプトムとも、あの悪魔将軍とも全く異なる、あの男から発せられた悪意を。

「くそ……もういい!あんな男の事などどうでもいい!俺の目的は、アプトムだけだ!」

自ら鼓舞するように叫んでみたものの、効果は薄く。
苛立ちを隠そうともせず、俺はそそくさとその場を後にした。




【カナブン@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】

※カナブンの死体は、D-5に放置されています。



【C-6 森/一日目・昼過ぎ】 

【ネオ・ゼクトール@強殖装甲ガイバー】
【状態】万全
【持ち物】デイパック(支給品一式)、黄金のマスク型プロジェクター@キン肉マン、
      不明支給品0~1、ストラーダ(修復中)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
0.アプトムを探し出して殺す。
1.ホテル・デパートなど人の集まりそうな場所を回り、殺せそうな参加者を“確実に”殺して褒美をもらう。
2.正義超人、高町なのはと出会ったら悪魔将軍が湖のリング待っているとの伝言を伝える。ただし無理はしない。
3.機会があれば服を手に入れる(可能なら検討する程度) 。
4.ヴィヴィオに会っても手出ししない?
5.アプトムを倒した後は悪魔将軍ともう一度会ってみる?

【備考】
※キン肉スグル、ウォーズマン、高町なのはの特徴を聞きました。(強者と認識)
※ストラーダの修復がいつ終わるかは次以降の書き手さんにまかせます。


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不屈の心は… 高町なのは Another Age
ケロロ軍曹
心と口と行いと生きざまもて(後編) ネオ・ゼクトール
第二回放送 草壁タツオ 勝者と敗者






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