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詐欺師兎は奇妙なパソコンを前に頭を捻る ◆qYuVhwC7l.



走る、走る。
炎に燃える街の中で、焼け落ちる建物や足もとの瓦礫を避けながら、正義超人キン肉マンは走り続ける。
途中、なんども躓き、危うく炎の中に飛び込みそうになっても、その足は止まろうとせずにただ前へ進もうと動く。

「おーい!! ケロロ軍曹とやらー!! いないのかー!?」

片手を口元にあて、少しでも声を遠くに届くようにしながら、声を枯らして叫ぶ。
帰ってくる声が無い事に、徐々に自分の胸の内に絶望が湧いてくるのを感じながらも、強引にそれを叩き潰してなおも叫ぶ。

一人の殺人者を止めるために。
これ以上、無駄な血をこの島で流させないために。
もう二度と、あんな悲劇をおこさせないために。

『少年の死』という呪縛に囚われたまま、セイギノミカタはその身が焼かれるのも厭わずに無心に一匹のカエルの姿を探す。

やがて、正義超人は炎の地獄の中で一人の姿を見つけ出した。
最も、大きな爆発が起こったと感じさせる、無残に崩れ落ちた美容院らしき建物の傍にいた……いや、『あった』それは、幸か不幸か彼が探しているものでは無かったが。

それは、おそらくその『少女だったモノ』は、恐ろしくグロテスクな姿をしていた。
ここで起きたと思われる大爆発に巻き込まれたのだろう。全身は焼けただれ、片足などは炭化して真っ黒に染まっていた。
グズグズに崩れてしまっている顔からは、元々の面影は欠片も感じられない。ただ、その体に僅かながら纏わりついていた衣服によって、その死体が少女だったのであろうと見当がついた。
そして、何よりも悲惨だったのが少女の頭部。
ぱっくりと二つに裂け、中身すら見えそうなその傷は、紛れもなく彼女の命を奪い去った原因となったのだろう。

「お……おおぉぉぉ……!」

ともすれば、碇シンジ以上に無残な姿となっている少女の死体を目の当たりにして、スグルはその場にヘナヘナとへたり込んだ。
それはもちろん恐怖による物では無い。彼が今感じているのは、紛れもない『怒り』であり、『悔しさ』だ。
自分の与り知らぬ所で、自分が何も出来ぬままに、一人の人間の命が何者かに奪われてしまった事を、正義超人キン肉マンは何よりも悲しんだ。
よくよく見てみれば、この少女の背格好もあの碇シンジとそう変わらない。未来ある一人の少女が、この忌まわしいゲーム会場の中でその輝かしい『未来』を奪われてしまったのだ。
一度だけ地面に拳を叩きつけると、スグルは立ち上がり少女の死体に近づこうとした。
ただでさえ無残な姿の屍を、これ以上炎の中に曝しておきたくはなかったのだ。

だが、その手が少女の体を掴みかけた瞬間に、崩れかけていた美容院らしき建物が崩壊し、彼女は瓦礫の下敷きとなった。
まるで、正義超人の優しさをあざ笑うかのように。
瓦礫の雪崩から飛びのいたスグルは、歯を食いしばりながらそれを見つめ、しばらくすると傍に落ちていた少女の物らしきディパックを手に取った。

「すまん、名も知らぬ少女よ…!! 私は、君に何もしてやる事が出来なかった……!! せめて、せめて君の道具を、この殺し合いの打倒に役立てる事を誓おう!!
 …今はそれだけしか出来ない私を、許してくれ……!!」

流れ出る涙をごしごしと拭い、僅かな間を少女の冥福を祈る事に使った後で、スグルは自分の物と少女の物、二つのディパックを抱えて再び炎の街へと走り出す。
その胸の中に、より一層の『決意』を燃やしながら、正義超人は人探しを続ける。
この行動が、一人でも多くの人間を救えると信じて。

「おーーーい!! ケロロ軍曹ーー!! 私の名はキン肉スグル!! 怪しい者では無-い!! いたら返事をしてくれーーー!!」

そして、少女の最期を見届けてから、更に北へ北へと向かった先で。
スグルは遂に、その耳に自分の呼びかけに応える声を聞きつけた。

「ムハーーーっ!! 誰か、誰か助けてくださいーーー!! 我輩まだ死にたくありませんぞーーー!!」
「……………っ!!」

正義の味方の耳に届いた、助けを求める悲痛な叫び。
その声の持ち主が探し人である『ケロロ軍曹』なのか、そうでないのか…その事実はこの瞬間だけスグルに取ってはどうでも良かった。
助けを求める声がする。
自分は、ようやく人を助ける事が出来るかも知れない。
やっと、正義超人として命を救う事が出来るかもしれない。
喜びを胸に、そしてまた何があってもこの声の主を助けねばならないという決意が、スグルの足を速める。

「助けに来たぞーーー!! もう少しだけ頑張るんだーーー!! どこにいるのかを教えてくれーーーー!!」
「海ー!! 海ですーー!! そこの、砂浜、………ホッ、……ガッ……」
「………っ!! わかった!! もう無理に叫ばなくてもいい!! 今すぐそこに行くからなーー!!」

突然途切れた叫び声を聞き、スグルの表情が強張り冷汗が流れる。
無理もないだろう、これだけの火事が起きているのだ。砂浜という事は周囲に火の手が上がっている事はないだろうが、それに付随して発生する大量の煙がそこを襲っている可能性が大いにあり得る。
そんな場所で大声を叫べば、喉にダメージが行き体力を激しく消耗するのは自明の理だ。
こんな簡単な事にも気付けなかった自分の頭に一撃を加えた後で、スグルは一直線に北、海のある方向を目指す。
多少の障害物、そして炎の障壁すらも強引にくぐり抜ける。正義超人として鍛え抜かれた肉体を持つスグルだからこそ出来る荒技だ。
幾重もの赤い壁を超えるたびにスグルを襲う痛みや熱さも、そのスピードを緩める原因にはなりはしない。
そして、何枚目かの炎をくぐり抜けた先の地面に違和感が生じる。
それまで硬かった物が、柔らかく。足の裏から伝わるのは、間違い無く砂の感触だ。さらに、鼻を付くのは特徴的な潮の香り。目の前に広がっているのは、巨大な水たまり。
ついに目的地へと到着した事を実感したスグルは、盛んに首を動かして周囲を確認し、要救助者の姿を探す。
自分のいる場所から10Mほど先に、何故か驚いたような表情でへたり込んでいるウサギ超人の姿を見つけるのには、それほど長い時間は掛からなかった。

そしてその姿を見た瞬間、正義超人キン肉マンの心に冷たい衝撃が走った。




これから語られるのは、彼等が出会う前と、彼等が出会った後の物語。
その時刻は18時35分。その場所は、未だ炎に囲まれていた診療所の駐車場、救急車の中から。

川口夏子は、診療所の事務所の中から見つけ出したキーを差し込み、祈るような気持ちでそれを回した。
程なくして、救急車の心臓部が唸りを上げる。それを聞いた夏子は思わず安堵して息を吐くが、すぐにその表情は厳しい物へと変わった。

(もう一度確認するわよ、川口夏子。私とハムはこれから二手に別れて別行動を取る)

数分前に、自分たちの頭上を飛び去って行った謎のロケット。それを前にして夏子達が下した判断は、『二手に分かれて一つでも多くの物を手に入れる』という物であった。
今は、どんな物だろうと貪欲に手に入れたい。ただでさえ物資・情報・その他もろもろが足りないのだ、ここは欲望に忠実に行動する。
そしてまた、あのロケットを目撃して動くのは自分たちだけでは無いだろうと夏子達は予想した。積極的に他の参加者と接触を図ろうとしている夏子達には願ってもないチャンスだ。
もちろんそこにはこの殺し合いに乗っている『出来れば接触したくない参加者』もいるだろうが、今は贅沢を言っていられる場合では無い。
二手に分かれて単独行動となる事もかなりのリスクにはなるだろうが、リスクなくしてリターンは得られない状況だ。背に腹は代えられない。

(ハムとの待ち合わせ時刻は19時半を目安に。場所は、深町晶とチャットをしたゴルフ場の事務室。
ただし、20時までに相手が現れない場合は……そのまま単独行動を敢行する。………そうはなってほしくないわね、本当に)

何も、それなりに長い付き合いとなっているウサギの事を気にかけている訳ではない。
殺し合いに乗っている訳ではない以上、単独行動のリスクは何を持っても避けたいだけだ。
もしも単独行動になった場合、参加者と接触するのと主催と接触と図るのとどちらが有効的なのかしら、というゾッとしない考えが思い浮かび、苦笑する。
そんな事は、そうなった時に考えればいい。今は今の事だけを考えろ、川口夏子。
自分にそう言い聞かせながら、夏子はアクセルを踏み込むと速度を上げて駐車場から脱出する。
ふと、自分たちがさっきまでいた診療所の方を見てみれば、入口の辺りから相棒が固い表情でこちらを見ていた。
目が合ったのは一瞬。すぐに人型のウサギの姿は自分の遥か後方へと移動していった。彼には、はたして自分がどんな表情をしているように見えたのだろうか。
不敵に笑おうと心掛けたが、はたして上手く出来たかどうか。
――――あの最低な幼馴染だったら、どんな表情をしただろう。
そんな夏子の夢想は、ある叫びに一瞬で打ち砕かれた。

「ふぉぉぉぉぉぉぉぉーー!?」

素っ頓狂な叫び声が、前方から右へと移動していく。
慌ててサイドミラーを確認してみれば、小さな黒い影が横っとびで歩道に突っ込むのが見えた。

「不味い、轢きかけた!?」

原因は煙によって前が見えづらかった事、そしてまた考え事をしていた事だろう。
思わずアクセルから足を外しかけたが、一瞬の逡巡の末に夏子は再びそれを踏み込んだ。
今の黒い影、サイズと聞こえた声から言って間違いなく子供だ。車道の真ん中から歩道まで一気に飛ぶ跳躍力は大した物だが、力無い参加者である事に間違いはないだろう。
単独行動をしている子供が生き残れているのは不思議ではあったが、ただ単にはぐれていただけかもしれない。
ともかく、今はそんな足手まといに構っている暇は無い。そう結論づけた夏子は、ただ前方を、徐々にその姿を消しつつあるロケットを見つめる。

「てぇんめぇぇ~~!! どこ見て運転してやがる!! 僕を轢いてたらどうする気だったてんだゴラァァァ!!!」

口汚い罵りの声は、既に砂漠の女軍曹には届いていなかった。
彼女が見つめているのはただ一つ、自分に何かをもたらしてくれるであろう空飛ぶディパックだけ。
ただ一心に夜空を見つめ続ける彼女が行く先に待ち受けるもの、それは砂漠のような地獄が、はたまた水辺のような天国か。

行先はただ、ロケットのみぞ知る。



【B-08 南東部/一日目・夜】

【川口夏子@砂ぼうず】
【状態】顔にダメージ、強い決意。
【持ち物】ディパック、基本セット(水、食料を2食分消費)、ビニール紐@現実(少し消費)、
 コルトSAA(5/6)@現実、45ACL弾(18/18)、夏子とみくるのメモ、チャットに関する夏子のメモ
 各種医療道具、医薬品、医学書
【思考】
0、何をしてでも生き残る。終盤までは徒党を組みたい。
1、救急車を使って光跡を追う。
2、19時半を目安に、ゴルフ場の事務室でハムと待ち合わせ。20時までに来なければ、単独行動を行う。
3、キン肉スグル、ウォーズマン、深町晶、キョン、朝倉涼子を探してみる。
4、万太郎と合流したいが難しいと思っている。
5、ハムは油断ならないと思っているが今は自分を見放せないとも判っている。
6、生き残る為に邪魔となる存在は始末する。
7、水野灌太と会ったら――――


【備考】
※主催者が監視している事に気がつきました。
※みくるの持っている情報を教えられましたが、全て理解できてはいません。
※悪魔将軍、古泉、ノーヴェ、ゼロス、オメガマン、ギュオー、0号ガイバー、怪物(ゼクトール、アプトム)を危険人物と認識しています。
※深町晶を味方になりうる人物と認識しました。
※トトロ(名前は知らない)は主催と繋がりがあるかもしれないと疑いを持っています。
※診療所の外に救急車が停まっているのを発見しました。






「ムハ~、行きましたな……夏子さん、そちらの事は貴女に任せましたからね」

診療所の前にて、猛スピードで走り去っていく救急車を見送った後でハムが呟く。
コキコキと首を流して診療所の中へと戻りながら、ハムは川口夏子について僅かに考えを巡らす。
彼女は、とてもタフな女性だ。逆境であってもそれにへこたれずに、何くそと歯を食いしばれる強さを持っている。
そんな彼女であれば、一時的に単独行動をしたとしても不安は無いとは思うが、この会場では何が起こるかわからないのも事実。
貴重な『仲間』(敢えてこう呼称する)を無くしたくないのはハムも同じ事だ。彼女の無事を強く祈った後で、ハムは思考を切り替え自分のなすべき事を考える。

「『貴女の事が心配で調査も手に付きませんでした~』でもいい訳にもならないでしょうなぁ…やれやれ、気の強い女性は苦手ですぞ」

そんな事を云いながらも、ハムの表情からは不敵な笑みが消えてはいなかった。
仮にも詐欺師としてその生計を立ててきたこのウサギだ。実質、世界を支配しているワルモン達相手に一杯食わせたのも一度や二度では無い。
度胸がなくて、詐欺師が務まる物か。と言っても、度胸試しの為だけに鬼軍曹に喧嘩を売る気など毛頭ない。

「実際、あのパソコンに関しては我輩も気になる事だらけですからな…」

何の変哲もない診察室の中に設置されていた、一台のパソコン。
パソコンなる機械に触れたのはこの会場で初めてだが、一度だけしか見た事がないそれと比べてみても、この診療所のそれは異質であった。
サイケデリックに彩られ、奇妙に歪んだSOSのマーク。それが意味するものは一体何なのか。
ゴルフ場にてパソコンを操作している時も思ったが、どうもこの殺し合いの主催者は自分たち参加者に情報を残すのが好きらしい。
それが彼等の気まぐれである物なのか、殺し合いの促進の為であるのかはハムの知る由もないが、利用できる物は利用させてもらうだけだ。
診療所の周りを覆う炎の海も、徐々にその範囲を広げている。
急がなくてはそれこそ冗談でなく『ムハ~何も出来ませんでした~』と言うオチが待っているだろう。それでGAME OVERなどとは考えたくもない。
そうならない為にも、急いでパソコンの調査を――――――ハムが僅かに足を速めた、その時だった。

「てめぇぇ~~…あんまり調子ブッこいてんじゃねぇぞぉぉぉぉーーーー!!」
「ムハーーーーッ!?」

突如外から聞こえてきた怒声、そしてその直後に室内を襲った衝撃をまともに受け、ハムの体は診療所の床の上に転がった。
衝撃により、デパートの爆発の余波からもかろうじて生き残っていた窓ガラス達が次々と脱落していく音を聞きながら、ハムは慌てて立ち上がって窓の外を窺う。

「ターマタマタマタマタマ!! ざまぁみやがれですぅ! 思い知ったかよこの赤ダルマがぁ!! アンタの時代はもう終わったんだよぉ!!」

診療所の目と鼻の先、元の世界でも見覚えのない、カエルともオタマジャクシともつかないモンスターが狂笑を挙げている。
意味不明な言動に加え、奇妙な笑いまでも発しているその姿は、どう見ても危険人物だ。『積極的に参加者達に接触する』という方針は決めてはいたが、アレはどう見ても許容範囲外だろう。
冷や汗をかきながらハムが観察を続けている前で、黒い怪物は何やら奇妙な声を上げながらさらに周囲へと攻撃を加え始めた。
怪物の口から吐かれるビームがあちこちへと命中するたびに、診療所もまた鈍い音を立てながら振動する。

(ムハ~~っ…これは何と言う逆境……! ひ、ひとまずあの黒い怪物が私に気づく前にさっさとパソコンの調査を行わねば!!)

明らかに錯乱した様子の怪物に見つかって、因縁をつけられた挙句死亡、など笑い話にもならない。
ゆっくりと窓から離れ、身を掲げてちょこちょこと小走りしながら、目的地の診察室を目指す。
しかしアレが陣取ってるとなると入口から脱出は出来ない、はてこの建物に裏口はあっただろうか、そんな事を考えながら診察室のドアを開け中へと滑りこんだ瞬間。


異変が、起きた。


音が、消えた。
視界から、色が消えた。
断続的に自分の体を襲っていた、振動が消えた。
先ほど夏子と話していた時と全く違う、灰色の空間がハムの事を出迎えた。

「こ……これは……いったい……!?」

扉を開ける直前まで、あれほど良く聞こえていたあの怪物の挙げていた奇声すらもこの部屋の中では一向に聞こえない。
まさか良く出来た防音、と言う事もないだろう。なぜならば、窓ガラスは先のデパートの爆発以来そのほとんどが割れている。
明らかに、異常な空間が診察室の中を覆っていた。
しばし混乱しながら周囲を見渡していたハムだったが、やがてその視線は一か所に固定される。
見つめているのは、今から自分が調査するハズだったパソコンの画面。
なぜかほとんどの物が灰色に覆われているこの空間の中で、唯一そこで輝く『SOS』マークのみがサイケデリックな輝きを放っていた。
ゴクリ、と自分が唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。
ドクンドクン、と自分の中の鼓動が速くなっているのが感じられる。
だが、いつまでもそうしてぼーっと立っている訳にも行かない。
ハムはゆっくりとパソコンの前に近づくと、マウスを手に取った。

何が起こったのかはさっぱりわからない。だが、この原因、もしくは解除法はこのパソコンにあると見て間違いないはずだ。

半ば祈るような気持ちでしばらく画面のマウスカーソルを移動させる。
が、ゴルフ場のパソコンを操作した時のように、kskネットにアクセスする事が出来ない。
そもそも、アクセスする為にクリックするアイコン自体が見つからない。
デスクトップに映っているのは、目に悪く気味も悪いマークのみ。スタートボタンすら、そこには存在していなかった。
ムハ~、と弄りながら当て所も無くカーソルを動かしていたハムだったが、事態の解決は意外に早く訪れた。

ピコン、というアラームと共に突然画面にダイアログが表示されたのだ。
kskネットでkskにアクセスしようとした時、夏子が言っていたようなキーワード入力画面にそれは酷似していた。
だが、それはハムの知る物とは決定的な違いがいくつか存在している。
その中の一つ、見なれぬ文章の幾つかを思わず読み上げる。

「プログラム……それに、鍵、ですと……?」

そこにはこんな文章が書かれていた。


<!-プログラム起動条件・鍵をそろえよ-->
鍵1…複数回の訪問  Clear
鍵2…一定時間の操作 Clear
鍵3…SOS団の正式名称  ?


最後の文章、『鍵3』と書かれたそれの下には、文章が入力できるフォームが存在していた。
試しにそこをクリックし、適当な文章を入れてみるがなんの問題もない。
とりあえず、この設問に答える権利はあるようだと結論づけた所で、ハムは渋い顔で顎に手をあてた。

「ムハ~~~……正直言って、何がなんだかさっぱりですな…そもそもプログラムとは何なのかが……」

元々、パソコンが一般的に普及していない世界からやってきたハムにとっては、基礎用語自体を理解する事が出来ない。
それでも、分かる範囲で一つ一つの要素について考察していく事にする。
まず、『プログラムの起動条件』とは何か。
プログラムと言う物が何かはわからないが、ともかくその条件を満たせば『何か』が起こるという事。
現在進行形で自分を覆っているこの灰色の空間がそのプログラムではないかと一瞬だけ予想するが、未だに『鍵』の入力についてが終わっていないのでそれも違うだろう。
次に、『鍵1…複数回の訪問』について。
読んで字のごとく、『何回かこのパソコンの前に訪れる事』、だろうか。
実際、ハムは夏子との会話をこの部屋で行い、その後で見送りに行くためにこの部屋を退室したため、ここを訪問したのはこれで二度目だ。
そういう意味では、確かに条件は満たされているといえる。
次に、『鍵2…一定時間の操作』について。
これはパソコンの操作の事だろう。なんのアイコンも存在せず、クリックする場所もない画面上ではあるが、諦めずにマウスを動かし続けろという事か。
特に操作の指定がない所を見れば、キーボードを適当に打ち続けていても条件を満たせるのかもしれない。
そして最後に『鍵3…SOS団の正式名称』。
これが最大の関門であると同時に、最大の謎でもある。
この文章のすぐ下に入力フォームがある所をみれば、質問文である事はわかるのだがその質問自体の意味がわからないのでは意味がない。

しばらくの間、頭を捻りながら自分の中で『SOS団』という単語に思い当たる節がないかと悩むが、結果は惨敗。
ひとまずそこで考えるのを諦めたハムは、適当な文字を入力して様子を見る事にした。

(まぁ、虎穴に入らずんば虎児を得ずとも言いますし…試した所でまさか命を奪われるような羽目にはならないでしょうしねぇ?)

そんな事を考えながら適当な文字列を入力し、エンター。
すぐに、画面のダイアログに変化が現れる。


<!-プログラム起動条件・鍵をそろえよ-->
鍵1…複数回の訪問  Clear
鍵2…一定時間の操作 Clear
鍵3…SOS団の正式名称  Error
<!-プログラム起動失敗。転移を開始する-->


その文章を確認した刹那、画面の中のSOSマークが強烈に光り輝き、ハムの視界を塗りつぶした。



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類は友を呼…びすぎてませんかちょっと? キン肉スグル 詐欺師兎は脱出に至る鍵を手にして笑う
Turning point ハム
川口夏子 I returned






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