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第6章~魔女と悪魔と戦士達~(4)

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rocnove

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悪魔は消えた。島は元通りとなり、けが人や死人もあの事件の起こる前と全く変わらない生活を送っている。

ガルド、ガフムス、ジェイスフォンの3人は今、町の喫茶店に来ている。
お昼前という事もあり、客はそれ程多くない。
「それにしても・・・なんか、夢を見ていたみたいですね」
「誰も覚えてないんだものね」
ガフムスとジェイスフォンが誰にともなく言う。
コーヒーを飲みつつ、ガルドも「そうだな・・・」と呟いた。

あの事件は新聞やニュースに取り上げられる事はなかった。
そればかりか、あの7人以外、誰の記憶にも残っていない。
カルムナバッシュに襲われた人も、商店街でシャルクルスに店を叩き潰された人も、まるで何も覚えていない。
殺されたはずの人も生き返り、ごく平凡な生活を送っている。
7人には不思議で仕方のない事だ。

「まぁ、いいんじゃないか?世の中一つや二つ謎があった方が面白いぜ」
明るくそういい、外を見る。
木々の芽はふくらみ、春の陽気が心地よい。
こんなに穏やかな気分になったのは何年ぶりだろう。
フレッドと和解しなければ、もうこんな気持ちにはなれなかっただろうな・・・

と、突然喫茶店の扉が荒々しく開けられた。
入ってきたのはフレッド。
「ガルド!ジュノ・・・見なかった?!」
荒げた息を抑えつつ、ガルドに問うフレッド。
ガルドは驚いたような表情を浮かべていった。
「ジュノならジェノさんとメビウスさんと一緒に丘に行ったぞ。もう立つって・・・」
「丘だね!?あんがと!!」
最後の一言を聞く前に、フレッドは喫茶店を出て行った。

ジュノ、ジェノ、メビウスの3人は、ガフムスの襲われた丘に来ていた。
ジュノの助けられた海岸、ジェイスフォンの襲われた港、ガルドと会った草原・・・。
市街地も一望できる。
「・・・もう挨拶回りは済んだんだな?」
ジェノが問う。
ジュノは無言で頷いた。

春風が耳元を通り過ぎていく。
空には雲1つ無く、海は日の光を反射してきらきらと輝いている。
「・・・ジュノ。選別として2つ渡したい物がある」
ジェノが改まってジュノに言った。
「何ですか?」と問うジュノに、ジェノは黒い半球型クリスタルを渡した。メディアの胸についていた、あのクリスタルを。
「こいつの中にはメディアのメモリーが残っている。 メディアのメモリーの中にはお前に関するデータも入っているはずだ。 向こうに着いたら解析してみろ。 それと・・・」
口ごもり、視線をそらす。
ジュノは意味がよく分からなかった。
「その・・・メビウスをお前にやろうと思う。 こいつは頭がいいし、戦力にもなる。1人でいるよりはずっといいだろう」そう言ってメビウスをジュノの隣に行かせる。
ジュノは慌てた。
「い、いいですよ!そんな事しなくても!!それに、メビウスはジェノさんのパートナー じゃないですか!!」
「俺よりお前の方がうまく使ってくれるだろう。修復できるように設計図も持たせてある。 拡張パーツなんかはお前が作ればいい」
「しかしどうして?!」
それでも食い下がる。
「メディアと戦った時の事、覚えているな?お前がメディアにやられかけた時だ。 ・・・メビウスが俺以外の人物をかばったのは、お前が初めてだ。 きっといいパートナーになると思うんだよ。 お話はここまでだ。メビウス!元主人として最後の命令だ!ジュノを頼むぞ!」
メビウスに視線を向け、最後の指示を出す。
メビウスはこくんと頷き、ジュノの隣に移った。
「よろしく!ジュノ様♪」
「なッ!私はまだ連れて行くなんて一言も・・・」
「今言ったぞ!」
「今のは違います!今のは・・・」
15分の葛藤の末、結局ジュノが折れた。

春風が耳元を通り過ぎていく。
ジュノはメビウスの背びれを掴み、目を閉じた。
「行きましょう。場所はディニクチス諸島!」
「了解!」
軽く伸び上がり、ゆっくりと上昇するメビウス。
風を切り、空を滑るように進み出した。
島がどんどん小さくなっていく・・・


「・・・ジュノー!」
不意に、懐かしい声がジュノの耳に飛び込んできた。
驚いて振り返る。島の岬で、金色爆発頭が手を振っていた。
「!フレッド!」
「ジュノー!また会えるよねー!?」
あらん限りの声を張り上げ、叫ぶフレッド。
ジュノもそれに答えるように声を張り上げた。
「ええ!また会えます!また会えますよー!」
「ジュノー!・・・」
もうフレッドの姿は見えない。
でもジュノの耳には、フレッドの声がしっかり届いていた。

いつか・・・また来ます・・・この島に・・・
今まで自分になかった・・・Friendに・・・Close Friendに・・・会うために・・・



―小説「Friend」完―

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