ロクノベ小説保管庫 『喜劇のシンデレラ』三部

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10話

「あれ~?料理長どこに行ったんだろ~?」
26号の料理長探索もかれこれ10分。
船内中を探し回っても料理長こと42号は見あたらなかった。
「どうしたの?26号」
「あ、2号~!料理長がいないんだよ。」
あせりを感じ始めていた26号にとって、頼りになる2号と出会ったコトは
天の助けだった。船内のどこにもいない、ということを手短に説明する。
「そう・・・。それじゃボクが探しておくよ。
26号は先にトロン様のところに行ってて。」
「う、うん。それじゃお願いね?」
多少の心残りを感じながらも、26号足早に立ち去っていった。

「・・・もしかして、42号、いや、ロックさん・・・」
26号のつぶやきがゲゼルシャフト号に静かに響く。

42号は悩んでいた。まだ見回りの時間ではない機関室に隠れながら。
このドやかましい機関室の騒音も、彼の悩みをかき消してくれる要因にはならず
「自分はこのまま彼らの仲間でいていいのか?」という
超基本的なことに思いっきり悩んでいた。

自分は今コブン42号としてゲゼルシャフト号で働いているわけだけど。
少し前までは空賊と戦いを繰り広げていたディグアウター、ロックなわけで。
警察ともそれなりに協力したこととかもあったりする。

そんな自分が、今まではどちらかというと世間一般でいう
「正義」サイドにいた自分が、あんなことをしてしまうとは思いもしなかった。

話は1時間前にさかのぼる・・・。



11話
「レーダーに反応あり!後方右舷45度、かなり大きいです!」
16号の報告で、船内の空気が一瞬で変わる。
「どこの船だぁ!?俺達にケンカ売りにきたのは!」
読んでいた本に素早くしおりを挿んだティーゼルが叫んだ。
「えと、この型は・・・!エルズの特化警察です~!」
「エルズ!?バレント島襲撃からまだそんなに時間が経ってないってのに、
やるじゃない。最大戦速での脱出はできそう?」
エルズの特化警察は性質上まともにやりあうのはやっかいだ。
冷静に戦闘回避をしようとするトロン。
「ダメみたいです~!!機関はまだ70%が限界で~す。」
「仕方ないわ。11号!マニュアル操縦に切り替えて。6号は船内に戦闘配備Bを通達!」
「はい~~!!」

「これで明日の仕込みはおしまい、っと。そろそろ休もっか?26号」
「そうしよ~。もうヘトヘトだよ。料理長、お茶いる?」
一日の仕事が終わり、ほのぼの空間と化している調理室。
その空間を破ったのは、けたたましい警報と、6号の船内放送だった。

「全クルーに通達だよ~!特化警察が大型船で接近中。戦闘配置Bに入るよ!
機関室は出力60%維持。開発室は高機動グスタフの整備を急いで。
それ以外のコブンは、ドラッヘ隊と攻撃隊に分かれて~!」

「!!今の放送は!?」
「敵が来っちゃったんだよ~!は、早く持ち場に行かなきゃ!」
「持、持ち場って僕らも?」
「当たり前じゃない!急ごう、料理長。僕らはドラッヘ隊だよ。」
「え、ちょ、わわわ、引っ張らないでって。」
無理矢理26号に引っ張られる形で、ロックはドッグに行くことになった。

戦いと離れていたロックに、襲撃という逃げる余地のない状況がせまる。



12話
なりゆきで参戦を余儀なくされたロックだが、26号に引っ張られっぱなし
というわけにもいかない。途中からドッグへ向かって走り出していた。

開発室からグスタフのドッグ搬入を報告されたトロンもまた、
ドッグへ向かって走り出していた。。
「ホラ、ぼーっとしてないで!13号はボンと一緒にドラッヘBへ!
9号はお兄さまと司令室でミサイル準備。特化警察を撃ち落としてやるのよ!」
走りながらも的確な指示を出している時に、彼女は遅れてくる2人を見つける。

「何やってんのよ!ロッ・・・じゃない、42号。それと26号。
さっさとドラッヘに乗り込みなさい!」
「トロン様・・・トロンちゃん!相手が警察ってホントなの?」
うろたえた様子を見せないようにするロックだが、
その言動からは感じられるためらいを隠すことはできない。
その言葉を予想していたようにトロンが言い放つ。
「いい?あなたはもう42号なのよ?仮にあなたがそれを拒んだとしても、
この船に乗ってる限り向こうはそうは思ってはくれないわ。それとも、
私を捕らえて警察に引き渡す?」
そう言ってトロンは両手をあげた。冗談じゃないのは、ニコリとも笑っていない
顔をみれば明らかだ。
「・・・そうだね。もう僕もこの船の乗組員なんだよね・・・。
行こう、26号。僕らはドラッヘCだよね?」
「うん!行こう!」

「良いのね?ドラッヘに乗り込むってことは・・・。」
「分かってるよ。戦うからには・・・手を抜くのはなし、でしょ?」
トロンの言葉を遮ったロックは、ドラッヘCに乗り込み出す。
「分かってるじゃない。1号、私達も行くわよ!高機動グスタフの
性能、たっぷり見せてあげましょう!」



13話
「おい、俺様のスピーカーちゃんはごきげんかぁ?」
「は!それはもうごきげんでございます、警部補!」
「よーし、あのボロ船にいっちょ脅しでもかけてやるかぁ~~」

空中に15機のドラッヘと、それに捕まるグスタフ、ボンが漂う。
そろそろ敵味方とも、射程距離圏に入るはずだ。
いやおうなく緊張するボーン一家に、
聞き触り最悪な声が響いてくる。

「だっはっはっは!おい、空賊ども!このエルズの巨大な彗星と呼ばれた
マルボル警部補と、俺様専用船ナッカト号に向かって刃向かう気かぁ~~!?
今すぐ武装解除すれば、ここで撃ち落とすのだけは許してやるかもよぉ~?」

「なんつームカツク声だよ・・・マルボルってのはピッタリだな」
「ナッカト号ですって。ネーミングセンスのかけらもないですわ。」
「きょだいな水性って何でしょ~?あの人、水に溶けるんですかね?」
「大体、警部補ってそんなに威張れる役職じゃないよね・・・。」
「バブ~~・・・。」
それぞれの不満、ていうか欺瞞の声がマルボルに届く。

「ムキー!!こぉのバカ空賊どもがぁ~。この海にボチャボチャ墜ち落として、
そんなセリフ吐けないようにしてやるぞぉ~!!攻撃部隊、射出ぅ~!」
「はい!カタパルト、展開せよ!」

20機以上の攻撃挺が空中に躍り出る。指揮官はちょっとあれだが、
特化警察の名前は伊達ではないようだ。
「や~っと出てきやがったか。あのクソボルの声聞くよりゃあドンパチやる方がずっと楽だぜ!」
「その点は同意しますわ、お兄さま。みんなも気合い入れるのよ!」

(あれでも一応警察なんだよな。僕は今からあの人たちと戦うんだ・・・。
僕に、できるのか?)
ロックの心の声を無視して、ドラッヘCは全速で戦闘に入る。



14話
「く、くそっ!空賊ごときにやられ・・・どあああ!」
「イッテキ!ち、畜生、エルズの精鋭である俺達が!」

「命中しました!敵戦闘挺、撃沈!」
「いよっし!後の戦闘挺はトロンに任せて、あのナッカトだか納豆だかのケツに一発食らわせるぞ!」
「ラジャ~~!」

戦況はボーン側に傾いていた。船の性能自体はエルズの方が若干上だが、
統率力に欠けている。その隙をついて、小回りで上回るドラッヘ隊と、
抜群の命中率を誇るゲゼルシャフトのミサイルがエルズを翻弄する。

「ムググググゥ~。どうなっとるのだ!こっちの方が攻撃力も数も
あるんだぞぉ!一気にドカーンと沈めちゃうはずだろぉ!?」
「そ、それが、一点に集中気味の我らの攻撃では、小回りの利く奴らの船に
当てることすらできない状況でして・・・。」
「なにおぅ!俺様の華麗かつ大迫力な指揮が奴らに劣るハズはないぃぃ。
もっともっと集中してぶち込むのだぁ!」
まったく反省のないクソ・・・マルボルは、ナッカトの前方周辺に戦闘挺を
集め始めた。一気にゲゼルシャフトまでの道を開くつもりだ。

「!!エルズの連中、本当に戦術知識が乏しいみたいね。高機動グスタフの
見せ場を増やしてくれたじゃない。行くわよ!ドラッヘトライアングル!」
「はい、ドラッヘJ、敵前線に突っ込みまーす。」
「ドラッヘFも行きます~」
「わわ、ドラッヘH、すぐ行きます~!」

「んん!ハエが自分から向かって来てくれちゃったみたいだぞぅ。
撃って撃って撃ちまくっちゃえぇ~!」

「きゃ~!い、いっぱい来ましたよ、トロン様~!」
「慌てないの!J、F、Hはもう少し散開して。大丈夫、避けられるわ!」



15話
グスタフが掴まっているJと、F、Hが三角形に散開した直後、敵戦闘挺10機以上
からの砲撃が始まった。それをギリギリでかわすF、Hだが、Jだけは
グスタフの重量分、回避が遅れ、避けきれない状況に陥ってしまう。
「よーしよしよし、あの目障りなメカを撃ち落とせたぞぉ~!」
マルボルがその下卑た声で叫んだ。

「狙い通りね!跳ぶわよ!」
回避不可能距離に弾がせまっているその時、高機動グスタフの足が、
ドラッヘJの船体を蹴って跳ぶ。その勢いでJは弾から逃れ、
グスタフは空中を跳ぶ。左腕の軽量化ボーンバズーカが唸った瞬間、
エルズ戦闘邸の1隻が空の藻屑と化す。
そのままグスタフは、ドラッヘFへ跳び乗る。

「んなーー!?あ、あんな方法で弾をかわしやがったぁぁ!?」

慌ててドラッヘFに向かって砲撃を始めた戦闘挺だが、
空中ブランコのように空を飛び回るグスタフとドラッヘに対して
そう簡単に着弾できるわけがなかった。
抜群のチームワークでまったくフォーメーションを崩さないトロン部隊の前に、
戦闘挺は次々と沈んでいく。

「この作戦のために整備してきたんだから。絶対当たらないわよ!」
「おサルのようにぴょんぴょん跳んでくれちゃいやがってぇ~!!」

「さすがトロンの作戦、爽快だな!機関室、後10%出力あげろ!
戦闘挺が減ったところを狙ってブチ込むぞ!」
ゲゼルシャフトが前進を始める。本船同士が近づき始めたということは、
勝敗はどうあれ戦闘に決着がつくのも近いということだ。

そのころロックは・・・。



16話
「26号、上に回って!上からキャノンをぶつける!」
「うん、ドラッヘC、急速上昇!」

「どんだけ高いお空に上ろうが、エルズからは逃げられねえよ!」
ドラッヘCを追うように、戦闘邸も上昇を始める。
戦闘挺とドラッヘCが縦に一直線になった瞬間、ロックが半身を
ドラッヘの窓から乗り出した。その右腕には、装備していなかったバスターの
代わりに、サーチ機能を削って軽量化に成功したキャノンが装備されている。
「!まさかっ!」
「ごめんね・・・。」
弾は戦闘邸のコクピットに命中し、パイロットを爆発に巻き込んだ。

「やったね!きっとトロン様にほめられるよ~♪・・・どうしたの?42号。」
「うん?あ、ちょっと、ね・・・。」
やっぱり罪悪感は拭いきれない。これから殺す人に向かって「ごめん」
と言う自分に吐き気がする。

「ザ・・・ザ・・・・こえるか?こちらティーゼル。全ドラッヘに命令だ。
戦闘挺は大体撃ち落とした。トロンがあのクソボルを翻弄してる間に、
ナッカトに向かって総攻撃を仕掛ける。ナッカトの主砲にだけ気を付けて、
全速前進!」

「あの変なおじさんの船にみんなで攻撃しにいくんだね。僕らも行こう、42号。」
「ああ、行こう。行かなきゃね・・・。」



17話
「な、なんてパワーだよ・・・」
「バブー!」
最後の戦闘邸を、ボンがドラッヘとの連携踏みつけで叩きつぶす。

「なななんあななな!!俺様のかわいい戦闘挺部隊が全滅ぅ!?
おのれぇ、ぶぁか空賊なんかにぃ~!!」
「このままでは被害は本船にまで及びます。応援も間に合わない今は、
引いた方がよろしいかと・・・」
「引くぅ~!?この俺様があんなおサルどもごときに!?
そんなことできるかぁぁぁ!」

ここに至ってもまだ戦術のなんたるかを理解しようとしないマルボル。
その神経をいよいよ逆撫でする声がゲゼルシャフトから響いてくる。

「おい!クソボル!てめえの蚊トンボ部隊はぜーんぶ撃ち落としてやった。
裸になったナッカトにゲゼルシャフトの熱い一発を食らうか、船を捨ててとっとと
おうちに逃げ帰るか、選ばせてやるぜ!」

「もももももー切れたぁ!アレ使うぞぅ!アレ!」
「アレ、と申しますと・・・。!危険です。周辺海域に被害が!」
「警察様が空賊を撃ち殺しちゃうのに遠慮はいらないぃ!周りの海なんか関係あるもんかぁ!」

「動きが無くなった・・・?気を付けて、お兄さま。何かあるかもしれませんわ!」
「腐っても特化警察ってコトか?しかしこの状況を打破できるモンなんて・・・」

ティーゼルが言い終わる前に、ゲゼルシャフトに異変が起こった。
突然の衝撃がゲゼルシャフトを襲う。

「な、何なんだ、アレは・・・。」
「わわわ!ゲゼルシャフトが~!どうしよう、42号~!?」



18話
「だっはっは!見ろ見ろぉ、奴らの慌てブリぃ~!!」
(敵しか見てないのか、このクソデブは・・・。下の海がどうなってるのか想像する頭も無いんだな・・・)
「んん?なぁんか言ったか?」
「いえ、なんでもありません。警部補・・・」

「何かあるんじゃねえかとは思ったが・・・やられたぜ!こんなもん隠し持ってやがったとはな!」
「く・・・!ナッカト自信は裸同然なのに、身動きがとれないなんて・・・」
ティーゼルたちは嵐の中にいた。ただの嵐ではない。磁気嵐だ。
マルボルの兵器とは、細かな鉄片を空中で竜巻状にするものだった。
鉄片自体のダメージはさほどないが、発生した磁気のため電子機器が使えず、
竜巻のせいで空中制御もままならない。
巻き込まれたゲゼルシャフトと、グスタフを含む多くのドラッヘが
身動き一つとれずにいた。

「あぁの中で苦しんでいるところに、この俺様のマルボル砲を撃ち込めば、
あぁんな船なんてこっぱみじんだぁ!がっはっは!」

「ダメだ、あれに近づけば、僕たちも巻き込まれる。」
「そんなこと言ったって・・・僕らだけじゃどうしようもないよ~!?」
上昇していたため難を逃れたロックたちのドラッヘCも、
本船が動けない状況では動きがとれない。

「とりあえずダメージ自体は低いみたいだ。何とかナッカトの主砲発射だけでも妨害できれば・・・」
「僕らにできるのはそれぐらいだよね・・・。やってみよっか!42号!」
「うん。・・・!ちょっと待って、下の海がおかしい!」



19話
「ひどい・・・僕らを倒すためには海なんかどうでもいいのか!?」
「うわあ、お魚さん達が・・・。」
竜巻によって水が巻き上げられ、大量の海洋生物が死んでいく。
さらに鉄片が辺りじゅうに散らばって、海の中のあらゆるものを
傷つけていく。この鉄片が後からもたらす被害も甚大なものだろう。

「・・・主砲を止めるなんて悠長なことを言ってられない!早くあの兵器を止めないと!」
「でも、でも残ってるドラッヘはCと・・・Gだけだよ。」
「考えるんだ。二機のドラッヘだけでどうにかする方法を!」
ロックの頭はナッカトに致命的なダメージを与えることに集中し始めた。
(僕は確かに空中戦の経験は少ない・・・。でも、ボーン一家のみんなは
少ない人数で特化警察をここまで追いつめたんだ。今日の戦いの中に、
きっとヒントがあるはず・・・。そうだ!)
「26号!ドラッヘGと連絡はとれる?」
「うん。磁気嵐で通信状況は良くないけど、Gだけとなら。」
「すぐ連絡して!」

「いーい眺めだなぁ!あいつらきっといつ主砲が来るかって怯えてるぞぉ!」
「そうでもないのも中にはいるみたいですよ?警部補。」
「なぁにい?」

「17号!作戦は分かったね。」
「うん、だけど、ホントにできるの?」
ドラッヘGとCはまっすぐナッカトに向かっている。ドラッヘGの操縦者、17号との共同作戦だ。
「僕を信じて。僕はコブン42号だろ?」
「・・・うん!やろう。42号。26号も!」



20話
たった二機のドラッヘが、巨大船ナッカトに向かってくる。
マルボルにとってそれは常軌を逸した行動にしか見えなかった。
あんなハエがぶつかってきても、ナッカトはびくともしない。
そう堅く信じているのだ。

「だっはっは!特攻をしかけるつもりかぁぁ?お前らの魂胆なんて見え見え
だぞぉ。どぉせブリッジか主砲に小型挺をぶつければ何とかなるとでも
思ってんだろぉ?どっちに近づいてきても、副砲でバァラバラにしてやるぅ!」
ブリッジ周辺に一斉に副砲が向く。これでは、たとえ特攻をしかけたとしても
ブリッジにダメージは与えられないだろう。

副砲の存在を忘れたように、二機のドラッヘがブリッジに向けて突っ込んでくる。
しかし、副砲の反応は無い。待っているのだ。ドラッヘがブリッジ間近に
来るのを。特攻できる、という希望を抱かせておいて、それを破壊する
というマルボルの最低な趣味に従って。

「今だぁぁぁ!!」
ブリッジにドラッヘが命中しようとした瞬間、全ての副砲が火を吹いた。
ドラッヘの姿が爆炎の中に消えていく・・・」

「やったぁぁぁ!しぃとめたぁぁ!」
マルボルが精一杯の歓喜の声をあげた。煙で良く見えないが、絶対にバラバラに
なっていることだろう。そう確信し、目をこらしたそこには。

一機のドラッヘが浮いていた。ドラッヘGがだ。
「へ?ええええええ!?なな、なぁんでだぁ!?」
「お前のおかげだよ。お前が副砲の全てを撃ち込んでくれたおかげで、
ドラッヘCは「鉄片」になった。だからナッカトの電子機器は、
攻撃地点の後ろに逃げていたドラッヘGを補足できなかったんだ。
そのドラッヘGへ、僕と26号が「跳び移った」のさ。」



21話
「うぐぐぐぐぅ!いい気になりやがってぇ!すぅぐまた副砲でバァラバラにしてやるう!副砲発射ぁ!」
マルボルの叫びに反応するものはいなかった。ナッカトの副砲は微動だにしない。
ロック達は平然とドラッヘの中で立っている。
「うそぉぉぉ!?なんでぇ?」

「さっきお前が全弾撃ち尽くしたんだよ。」
「よくもみんなを磁気嵐なんかに放りこんだな~!許さないぞ~!」
ロック、26号、17号のボーン爆弾と、ドラッヘGのキャノン砲。
その全てが、強化ガラス越しにマルボルを向いている。

「あ、あのぉ、許してもらえなぁい!?」
「ダメ。」

言うが早いか、マルボルはブリッジから逃げ出した。
他の警察官もマルボルと共にあわてふためいて逃げていく。
その後ろを撃ち抜くように、キャノン砲が炸裂する。

「マルボルさんは死んだかな?」
「それは分からない。けど、とりあえず磁気嵐を止めるのが先だ。」

ドラッヘGがブリッジごと磁気嵐発生装置を破壊し、ナッカトの周辺から
待避するのを見て、ティーゼルは舌をまいた。
「さすがだな。敵にすると怖いが、味方となるとこうも頼もしいとは思わなかったぜ。」
「たっぷりカラダで払ってもらえましたわね・・・。」
完全に助けられた形となったトロンが悔しそうにいう。
「まあな。さて、ゲゼルシャフトも動くようになったし、あの納豆には沈んでもらうことにするか!」
「ナッカトですわ、お兄さま・・・。9号、ミサイル発射!」

「見てよ42号、ナッカトが沈んでいくよ~!僕らやったんだね!」
「うん・・・。やったね。勝ったんだね・・・。」