ロクノベ小説保管庫 『ロックマンDASH プロローグ0』』1話~11話

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目覚めるは罪  眠るは罰


殺意を起こすな子供たち。
紅(あか)を起こすな多くの命。

呼んではいけない夜の王を。
言ってはいけない闇の王に。

目覚めてはならない罪人よ。
眠り続けろ咎人よ。

全てを罪を背負い眠れ。
全ての罰を受けて永遠に。

紅(あか)を起こすな子供たち。
殺意を起こすな多くの命。

起きれば全てが夢に消え。
全ては無に戻るから。
全ては最後になるのだから。



1話:めちゃくちゃ怪しい変態集団(違っ)!華麗にデビュー!?

リーバードの数体を一度で切り裂く真っ赤に光るビームソードを振るって、
その男は遺跡の最奥に向かっていった。
その服装はお坊さんや僧が着る法衣に近い服で、笠をかぶっている。
後ろの集団も同じ格好だ。
見るからに怪しい集団で、しかも顔が恐いもんで、子供が見たら泣いてしまいそうだ。
集団の先頭の男も、かなり目が逝っているような奴だ。
紅い眼はまるで血のようで、不敵に笑みを浮かべているからかなり恐い。
ばっさばっさとリーバードたちを切り裂いて、なぎ払って、蹴りを入れて、
拳を入れて、叩きのめして、兎に角。原形をも留めないほど破壊したりして。
黒い法衣を着込んだ集団は進んで行った。
先頭の男など、どんどん奥に進むに連れ、不敵な笑みをどんどん濃くしていったり、
歩く速さをどんどん上げていったりする。
恐い。兎に角この男は恐い。
リーバードたちにもし人間と同じ感情をより深く持っていたら、
この男の顔を見ただけで逃げ出すだろう。悪くすれば失神だ。
不気味な笑みを顔を宿す男は、ついに遺跡の最奥に辿り着いた。

その金色の扉は特殊な鍵が無ければ、たとえマザーであろうとも入れないシステムだ。
先頭の男は銀色のIDカードを金色の扉に差し込んだ。
ピーッと機械音が響いたあとに、重い音をたてて扉が開かれた。
その顔には一瞬鬼面が、狂喜が浮かび上がり、そして、大きく目を見開いた。
その部屋の中には、何も無かった。
リーバードも。
ディフェレクターも。
棺も。
男の唯一求めていた者が眠る棺が無かったのである。
「馬鹿な・・・・・」
男の鬼面は怒りとも喪失感ともいえないほど歪み、ぎしりと歯を噛んだ。
同時にまわりに殺意を迸らせた。
灼熱の冷気にも似た殺意が後ろの集団を恐怖させる。
その殺意は辺りの存在を焦がし、焼き尽くす。
そして同時に辺りの存在を凍てつかせた。
殺意がじわじわと広がるなか、男はふっとそれを消した。
哄笑。
狂喜を含んだ哄笑が部屋に満ち溢れた。
「それも良い。それも良い」
狂喜に顔を。心を歪ませる。
「逃がしはしない。逃がすものか。
 お前は私のものだ。
 何処へ行こうと私の手はお前を捕まえ、そしてお前の四肢を奪う。
 自由と言う右腕を千切り、希望と言う左腕を砕き、
 安らぎと言う右足を切り裂き、幸せと言う左足を捻じ切ろう。
 お前は私のものだ。
 誰にも渡さん。たとえお前が望もうとも。
 たとえお前の友であり、絶対の宿敵であろうとも」
目に浮かぶは、あのときの光景。

カプセルの中で胎児のように身体を小さくする金髪の青年。
それを守ろうと前に出てくる人間を全て殺し、
その青年が入ったカプセルを砕いた。
その透明な蒼い瞳に映るもの。
恐怖と絶望。

「ゼロ」
舌なめずりとをして、そしてまた哄笑を響かせるこの男。
最悪のイレギュラーとして遥か昔に滅ぼされた存在の遺志を受け継ぐもの。
ビシャスはまさに狂喜、狂気を顔に浮かばせ、
遺跡の中でサディスト的な哄笑を響かせた。



2話:女の尻に敷かれてる場合じゃないぞ!

「だからセラってば!それじゃあロック君がかわいそうだって!」
「何を言う、お前がやっている事よりこっちの方がいくらかマシだ」
「どっちもどっちなんですけど・・・」
今ロックたちがいる場所はヘブンの中枢、ライブラリ。
そこで今、ジジとガガの端末が作製されていた。
メモリーが何とか残っており、復活が可能なのだ。
そのため、ユーナとセラは端末を動けるようにと治し、
ジジとガガの復活を準備していた。
ロックはいまやその復活の為のぱしりである。
先程からマザーたちが言い争っているのは、ロックにお使いに行ってもらうことだ。
しかも、どちらもかなり危険が高い場所だ。
ユーナのお使いはヘブン最下層のジャンク場で、
暴走起こしているリーバードがあちらこちらにいる。
下手すれば地上の何処の遺跡のリーバードよりたちが悪い。
セラのお使いは敵などはいない。ただ、外に出るだけなのである。
しかし、外に出るための服が無い。
もしこのまま外に出れば確実に死ぬ。
どちらも逝きたくない。
行くと死ぬ。
と言うことがよくわかった。
「だめよ~、セラちゃんもユーナちゃんも、少しはロック君の身体の事心配しなきゃ」
口喧嘩をしているセラとユーナの間に、第三者が混ざった。
マチルダ・キャスケット。
ロールの母であり、つい先日までユーナに身体を貸していた人である。
「ロック君は私たちのご飯を作ってくれるし、掃除もしてくれるのよ。
 もっと私たちがめんどいことに使わなきゃ~」
マチルダ・キャスケット。案外ひどいこと言う人である。
既にライブラリの隅でいじけるロックの姿が見えた。



3話:マチルダさんの3分クッキングv材料はリーバードv

「ところでユーナちゃん、リーバードって懐かれると可愛いのね」
マチルダの後ろには数匹の赤いホロッコが列を乱さず並んでいる。
ずらっと並んで、マザーに一礼する。
「ああ、リーバードと言う物はシステムを護る警備員のようなものだが、
 敵でない者には善意を尽くして働くからな」
ユーナの代わりにセラがそれを答える。
そうなんだ、とマチルダはホロッコの一匹を持ち上げて(良くできるものだ)
笑っていった。
「まるで犬みたいねv」
ほーれっと勢い良く空高く放り投げ、またキャッチする。
「良く投げれるな・・・・」
ロックでもそう簡単に真上に投げられないのに。
「ロック君、知ってる?」
「はい?」
「犬って食べられるのよねv」
「ええ、まぁ、食べられるには食べられますけど」
「それがどうしたの?」
マチルダの言葉に、3人の頭に?マークが浮かぶ。
「赤犬って美味しいのよ」
「へぇ・・・そうなん」
ユーナは言葉を切った。
彼女の言っている意味が分かったからだ。
「リーバードも美味しいかしら?」

ガラスにひびが入る音が響いた。

ロックはすぐさまマチルダの腕からリーバードを引っ手繰り、
数匹のリーバードと共に部屋の隅に寄った。
「冗談よ冗談v」
テヘッと笑う彼女の笑顔が、マザーでさえも恐怖させる。

あなたが言うと、冗談に聞こえません。  4話:部屋の奥には何がある?

「ところでユーナちゃん。さっき上の一番広いお部屋で、小さな扉を見つけたんだけど。」
「えっ?」
ライブラリの上の部屋、超巨大リーバードが門番をしている。
そこでマチルダはお茶を飲んでいたのだが、暇になり。
超巨大リーバードの頭に乗って、遊んでいたのだ。
その中、ちょっと上の方に、扉があるのを見つけ、何の扉なのかユーナたちに聞きに来たのだ。
「扉だと?そんなところに扉があったのか?」
「うん、あんまり使われてないみたいだったわね」
そりゃもう数百年このヘブンには住んでいる人なんていなかったのだ。
使われてたら恐い。
「何の扉か良くわからなかったから、一応聞いてみようと思ったんだけど、
 知ってる?」
「私は知らないわ。あの部屋の上のほうに隠し通路があるなんて」
「僕もです。大体記憶が戻ってきているけど、あの部屋に扉があるなんて知りませんでした」
「私もだ・・・。あの部屋に隠し通路があったという事は、マスターからも知らされていない。
 それどころか、あの大部屋に通路があるなんて、ヘブンのシステムにはない」
首を振って、3人はマチルダの質問に答えた。
「そうなの?それじゃああの部屋はなんなのかしら?」
マチルダのディグアウター魂に火が灯り、目をキラキラと輝かせた。
「ロック君、今すぐその部屋をディグアウトするのよ!」
「ええっ!?僕がですが?」
「当たり前よ!まさか・・・女の子にディグアウトさせるなんて酷いことしないでしょ?」
ああ、やっぱり彼は尻に敷かれる。
哀れロック。
セラもユーナもロックに任せるようだ。
(僕、なんでこんなに女の人に命令されるんだろう)



5話:なぁんかいやぁなかんじぃ。

その通路はヘブンの通路と一見変わらないが、なんか雰囲気が少し違った。
なにやら奥のほうから何か拒まれているようで、行きたくない。
しかし、オペレータを行っているユーナとマチルダは。
ゴーゴー!と言ってロックを応援。
セラは隠し通路が気になったが、ジジとガガの復活に専念した。
すぐに復活させたら行かせるようだ。
「それにしても・・・この通路はどこに繋がっているんだろう」
リーバードの姿は一切見えない。
一直線に進む通路。
不気味以外何もいえない。
少しは曲がり角があったっていいのに。

奥に進むに連れて、どんどん嫌な気配で、走るスピードが遅くなっていく。
それどころか、どんどん体力がなくなっていくようだ。
「嫌だな・・・・」
気付いたら、マチルダとユーナのナビがない。
通信不能となったのだろう。
戻ろうと思うが、戻ってはいけないと本能が告げた。
どうしても行かなければならない。
行かなければならないのだ。
待っている。
誰が?
待っているのだ。
どうして?
大切な人だ。
誰?
自分を守ってくれた。
誰から?
苦しいのだ。
悲しいのだ。
助けてと叫ぶ。
でも。それでも。
どんなに叫んでも彼を助けてくれる人はいない。
彼は人形であり続ける事を拒んで。
それでも苦しくて。
眠ったのだ。
永遠に。
でも。それも。
「古き神々」によって邪魔されたのだ。
愛する人も。
大切な人も。
全てを壊されて。殺されて。

「ロック様!」
突如後ろから呼ばれ、振り返るとそこにはジジとガガがいた。
「大丈夫ですか!?」
「ガガさんに、ジジさん・・・体が・・・・」
「はい、セラ様とユーナ様のおかげで復活できました」
ジジに支えられ、ロックはふっと安堵をもらした。
「ありがとうございます。助かりました」
「いえ。・・・・ロック様、このまま先に進む事は危険すぎます」
ジジとガガの額には冷汗が浮かんでいる。
この押し潰されそうな気配に、彼らも苦しそうだ。
「うん、でも、あと少しみたいだ」
ロックたちのいる少し先に、扉が見える。あれが最後なのだろう。
ジジとガガは少し首を捻ったが、ロックの後に続いて、入っていった。



6話:でっけぇこいつは一体何なのさっ!!?

「棺っ!?」
ガガの言葉が、その部屋に響いた。
ひし形の棺。
セラとジジが封印されていたひし形より大きく、そして複雑なプログラムで封印されている。
「なぜこんなものがここに?」
そうロックが呟いた途端、ずしんと振動が足に伝わった。
巨大な、巨大なリーバードが立っていた。
良く周囲を見渡してみると、この部屋はライブラリの前の部屋よりかなり広く。
そして、この超巨大リーバードはあのリーバードの2倍はある。
「で、でかいっ・・・」
ジジもガガもこれほど巨大なリーバードは見た事がないようだ。
片足一本で小さな家の2,3軒は軽く踏み潰せる。
突如、棺は球体のエネルギーフィールドに包まれ、巨大リーバード――シールが口に咥えた。

お・ぎ・や・あ・あ・あ・あ

まるで生まれたばかりのような赤子の泣き声に近い咆哮を上げ、腕を振るった。
それをギリギリに避ける。
こんなものを一撃だけでも喰らったらばらばらにされてしまう。
「ロック様!」
ガガとジジはすぐさま戦闘形態――金と銀の鳥形リーバードに姿を変える。
ガガの背に乗り、その巨大リーバードの周囲を旋回する。
「このリーバードは一体・・・」
赤い一つ目をぎょろりと動かし、周囲を一瞥するシールは、絶対指令として、
周りにちらつく2体のリーバードの排除にかかった。

また産声のような咆哮は部屋に響き渡った。



7話:俺のバスターが熱く燃える!敵を倒せと轟き叫ぶ!!

腕を振るう。
口がから火炎放射。
足で押し潰す。
様々な攻撃を繰り返し、避けるだけで精一杯のロックたちは、もう体力の限界だ。
バスターで攻撃などはしているが、全くの効果は無い。
唯一効く攻撃はシャイニングレーザーだが、それもあと少しでエネルギーはなくなってしまう。
「くそっ、どうしたら!?」

超巨大リーバードシールは唯一絶対の指令を受け、敵を排除する。
シールの存在理由は二つ。
『棺』を護ること。
そして、ある人物に棺の『鍵』を渡すこと。
たったその二つの理由だけで、シールは存在している。
だから、シールは目の前にいる『適任者』を倒す。
本当に『鍵』を渡すのに相応しいか確かめる為に。

『ロック様、このままでは体力的にこっちがやばいですよ!』
大きく旋回するガガとジジ。
このままではガガとジジの体力が持たない。
「でも、扉は鍵がかかってしまって逃げられない・・・・」
シールが咆哮すると、次の瞬間、赤い目がぎょろりとロックとガガを睨む。
「そうだ!!ガガさん、僕をあいつの目のところまで運んで!!」
『エエッ!?し、しかし・・・』
「早く!このままじゃやられてしまう!!」
『・・・わかりました。しっかり掴まってて下さい!』
ガガは高速でシールの目に一直線で飛ぶ。
シールはそれに気付いて、叩き落とそうとするが、横からジジの攻撃を受けて、一瞬止まる。
その間にロックはシールの頭に張り付き、目に向けてシャイニングレーザーを構えた。
「ごめんね」
直後、シャイニングレーザーの光はシールの目を貫き、巨大な断末魔が部屋に響いた。



8話:このひと、誰?

『一等粛清官ロックマン・トリッガー、及びコードXを確認。
 バリアーシールドを解除、及びメインキーを渡した後、特別守護用リーバード・ シールのメモリーは、
 秘密文字の為に消去する。
 ミルトン管理マザーへの報告は、直接報告されたり』
シールの奥から機械的な声が流れ、がぱりと棺を咥えた口を開けた。
ゆっくりと横に倒れると、まるで眠るかのように、巨大リーバードは機能を停止させた。
ジジとガガは下に降りてくるロックを守るかのように、棺に顔を向けた。
棺は既にシールドされてなく、ふわふわと降下してくる。
ロックも緊張していた。
この棺の中にはどんなものが入っているかわからない。
それに、あの巨大リーバードが厳重に守っていたのだ。
余程大切なものが入っているのだろう。
そう、世界を滅ぼすほどの、大きな力を持った存在が。

光が溢れる。
眩い閃光が迸り、ロックは腕で顔を隠し、ジジとガガは巨大な自分の翼で顔を隠した。


光が消えるとき。
一人の男性が、ロックたちの前に立っていた。

紅いアーマーに、長い金髪。
罪人と呼ばれた古き者は、今ここで眠りから覚めた。



9話:この美しいお人はっ!?  別名:誰やこの別嬪はんっ!?(違っ)

棺の中から現れた赤い人はその場で倒れ、今はガガの腕に抱かれている。
大広間の隅っこに移動させて、その間にロックとジジは部屋の探索を行う。
あまりにも巨大な大広間は、暗がりで奥の方が全く見えないといっても良い。
壁を伝って進めば、いくらか部屋の隅まではいける。
壁を伝って進む、進む、進む、進む、進む、進む、進む、進む、進む・・・・・・何処まで行けば良いんじゃい!?
「何処まで行ったらいいんだ・・・・」
先程の巨大リーバードの戦闘もあるのに、この大広間は既に広間と言えないほど広かった。
遺跡の迷路の方が10倍もマシな方である。
「はぁ~~」
深くため息を吐き出すロックは、頭の中で先程の言葉を引っ掛けていた。

『一等粛清官ロックマン・トリッガー、及びコードXを確認』

「コード・・・・・X?」
聞き覚えの無い言葉だった。
データのおかげで、大体は昔の記憶を取り戻している。
マスター、マザー、ヘブン、粛清官、ロックマンシリーズ。
自分が粛清官の中で、最強を誇っていた事を。
だが、「コードX」と言う単語は、ヘブンでも地上でも知らない言葉だ。
そして何より、棺の事だ。
棺とは主に対処できなくなったイレギュラーをある特定の時期まで長期間封印するシステムなのだ。
色々と使い道があるが、マザー・セラ、そして自分を封印していた棺はマザー・ユーナが所持していた一等粛清官でさえ
破壊不可能のイレギュラーを封印するものだ。
しかし、彼を封印していた棺は、さらに強力で、厳重だった。
何処かで見た事があった。
しかし何処で見たんだ。
「彼は・・・・」
かちっ。
「えっ・・・・・?」
かちっ?
ロックの左手はスイッチを押していた。壁にスイッチがあったのだ。
壁の色と同じ黒だったので気付かなかったのだが、スイッチがあった。
押していた。

部屋は突如光に溢れた。


「うわっ!?」
まるで広大な大地に立っているかのようであった。
部屋の隅は・・・・・。全く見えない。
それほどこの空間が広かった。
ジジとガガも、明りを付いた事よりもこの部屋の広さに目を丸くした。
一体どうやってこんな部屋を作ったのか?
それ以前、何のためにこの部屋を作ったのか。
『こんにちは、ロックマン・トリッガー』
後ろから突如、女性の声が聞こえ、反射的にバスターを向けてしまった。

立っていたのは、女。
詳しく言うと美人。
もっと詳しく言うと素ッ晴らしい美人。
さらに詳しく言うと二十歳の美しい人――つまり美人――。
銀色の長髪と麗しい顔に雪のように白い肌。
何処をどういえども身体のパーツが完璧と言っても良いお方だった。
服は肌と同じように汚れ一つ無い純白のローブに身を包んでいた。

ロックは、頬を赤らめるよりまず先に。
懐かしさを感じた。  



10話:それってちょっと、酷くない?

『銃を向けるのは止めてくれる?もう私はここにいないけど、やっぱりちょっと話しにくいから』
「すっ、すいません!』
ロックは慌ててバスターを降ろす。
そして、ふと頭に過ぎった言葉がある。
「もう、ここにいない?」
「ロック様!?」
「何事です!?」
戦闘形態となったジジと、眠り続けている青年を抱いたガガがやってきた。
見慣れぬ女がいたことで、すぐさま警戒するが、彼女は全く気にしないで微笑みを見せる。
『そんなに警戒しないで、私はトリッガーに頼み事をしたいだけだから』
「僕に・・・・頼みごと?」
『そう、頼みごと』
くすっと笑うと、彼女は静かにガガの上に抱かれている青年を見た。
『ミストレスからの勅令です。トリッガー、あなたは『古き神々』の一体。ビシャス破壊を命じます』
先程までとは違う、威厳に満ちた目でトリッガーを見た。
『と言うのは言いたくないけど、どのみち倒さなくちゃいけないから、御願いするわね。後ゼロの事もお願い。
 私もう死んじゃってるから』
「ええっと?あの、古き神々って・・・・それに勅令って・・・・」
『それじゃ、御願いするわね。私はあなたにこのことを伝えたら消去されるようにしてあるの。
 それじゃ、頼んだわよv』
ロックの意見は無視され、彼女の姿は消えた。
ただむなしく風(?)が吹き荒び、3人の姿が残された。

それってちょっと、酷くない?



11話:止めろロック!最強最悪変態サディストを!!

その部屋は薄暗かった。
広く、豪華な器具が揃っている室内は、真昼に関わらず薄暗かった。カーテンで閉め切っているからだ。
ソファーに深く座って、男は天井を見ていた。
ただぼうっと天井を見ていた。
ピー
電子音が響くと同時、彼の部下からの連絡が入る。
『――――――――』
しかし、彼は無言だった。
『―――――』
部下の言葉は彼の了解を得たと確認し、通信を切る。
この男は無言か、それとも二言三言の否定で通信を終わらす。

数時間ほど経ったか、またも通信が入った。
『―――――――』
定期連絡の通信で、各地の遺跡の様子を報告した。
『―――――――』
通信を切り、またもつまらない時間をすごすつもりだった。
ピー
続けてだった。しかし男は無表情、無反応だった。

『ゼロを発見しました』
光の如く、男は通信機に飛びついた。
「場所は」
『ヘブンに保管されてあったようで、1時間前、地上に降りたようです』
「今何処に」
『ミュラー氏の持つサルファーボトム号内と確認。マザーと従者が二組。一等粛清官1名滞在』
「すぐに向かう。各地で鍵を回収している者の数名を呼び出せ」
『了解』

男は狂喜を浮かべた。
すぐさま黒のロングコートを羽織り、黒の長剣を手に持つ。
男の名はビシャス・シン・アギトと言う。
しかし、その心奥底に宿るのは、遥か闇。
自分から受け入れ、自分自身でそれを制御した。
遥か太古、デコイがレプリロイドと呼ばれる世界に君臨した、至上最強のイレギュラー。

ビシャスの顔は今まさに歓喜と狂喜に満ちていた。