※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。



ウルージさんと7人の小人


322 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/02(月) 06:54:13 ID:ybaKUeOlO
あるお城にそれはそれは絶世の美女と名高い女帝が住んでいました
「鏡よ鏡
世界で一番美しいのは誰じゃ?」
『それは貴方様でございます…蛇姫様』

(フフン
まあ当然じゃな)
蛇姫様の姿は
見る人見る人心を奪われる程の美しさ
時に魔法の鏡ですら見とれてしまうほどでした
それでも
返ってくる答えは判っていても
蛇姫様は日に一度は必ず鏡へ問い掛けていました
そんなある日

「鏡よ鏡
世界で一番美しいのは誰じゃ?」

(もちろんわらわに決まっておるがな)

『蛇姫様、貴方様よりもソウジョウの森に住む
ウルージさんのほうが美しい』

(な、…な、何?
今…不可解な名を耳にしたような
いや!
わらわの聞き間違いに決まっておる!)

『流石の蛇姫様もウルージさんの美しさには
足元にも及びません』

(き、聞き間違いでは無い!)
ショックのあまり
蛇姫は膝をついてしまいました

「ど、どやつじゃ!
わらわにも見せい!」

すると鏡は光り出しました
しばらくすると何かが映りました
そこに映し出されたのは羽を生やした大男です
(やけにモコモコしている上に美しくなどない!)

「これは!…お、男ではないか!?
女ならまだしも男に!?わらわがこやつよりも劣っていると申すか!!」

憤り肩を震わせる蛇姫
鏡は少しの間をおき

『…残念ながら』
と一言
(馬鹿な……
世界にわらわよりも美しい者が居るなぞ…
お、おのれ…
この男…生かしておく訳にはいかぬ!)

323 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/02(月) 06:55:19 ID:ybaKUeOlO
蛇姫の理不尽な怒りを宥める鏡でしたが
蛇姫は聞く耳を持ちません


「皆の者!
ソウジョウの森に住む
あ、悪魔を狩って参れ!」
「その悪魔は…悪魔は
今も酷くわらわを苦しめておる!」

胸を押さえ俯き苦しんでいるポーズを取る蛇姫

ザワザワ
「許せん!」
「蛇姫様を苦しめるなんて!」
「腹が立つねェ~」
「わちしが仕留めるえ~!」
皆が皆蛇姫の虜になっている為
やたら殺気立っています

一方その頃
ソウジョウの森
広大な森の中
大層立派な木造の家が一軒
表札には『ウルージ』と記されています
ここはウルージさんハウス
中からは賑やかな声が聞こえてきます
ウルージさんと七人の小人ならぬ
七人の僧正見習い達です
生意気な盛りの
ローとキッド
二人は何かにつけて競い合っています
そんな二人を宥めるのは七人の中の良心
ドレークです
「暴れたきゃあ家の外で!」
そして大飯食らいのボニーちゃん
彼女の胃袋は不思議でいっぱいです
おかげでウルージさんも料理を作るのに大忙し!更に
シャイで素顔を見せないキラー君や占いにどっぷりハマってるホーキンス
歌うのが大好きなアプー
アプーは皆をからかったりするのが大好きな
困った子です

こんな個性豊かな七人の僧正見習い達
ウルージさんも毎日てんやわんやです
ちなみにウルージさんのベッドには
巷で人気のクマのぬいぐるみが添えてあります
寝る時に抱き締めて寝ています

324 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/02(月) 07:01:10 ID:ybaKUeOlO
やがて夕闇が迫る頃
この森へ
我が儘女帝の手先達が侵入…
「おっかない森だえ~、もう帰りたいえ~」
何やら頼りなさげな男と
「だからあっし一人で十分だと言ったんですがねェ~」
妙に風格がある男、そして
「カカカ、腕が鳴るわい」鼻の男
それとあと一人、計四人の猛者が森を進む
そこで先ほどから無言で先頭を歩いていた男の足が止まる
「てめぇら!くれぐれも俺の邪魔するなよ!」
この男やる気は十分なようだ
「勇ましいのう」
感心する鼻
「蛇姫ちゃんを救えるのは俺だけだ!」
「ヘンテコ眉毛…威張るなえ~!」
「そして蛇姫ちゃんを救ったあかつきには…ムフフ」
この男、何やら妄想中のようで…締まりのない表情をしている
「…いやらしいねェ~」
「見下げた男じゃのう」
「うぎゃああああ!?」
突然の悲鳴
チャルロス聖です
「く、熊だえ~!
熊が出たえ~!!」
見渡すと周りを囲むように熊の群れが
「問題ないよォ~、一瞬で終わるんでェ~」
一瞬何かが光ったかと思えば
熊が一頭倒れています
熊達唖然、チャルロス唖然
眉毛や鼻も少し動揺しました
続け様に光を放ち
熊をなぎ倒す猿
気付けば熊は一頭だけ残し、全滅していました
「ま、まあ俺も熊ぐらい瞬殺で」
「いや~驚いたわい」
鼻は素直に感心
残る一頭は白熊です
「あ、アイツはわちしが仕留めるえ~!」
銃を構えるチャルロス
しかし
「ぶぎゅっ!!」
いきなりの飛び蹴りでチャルロスは瞬殺されました
その熊の身のこなしはまるで人間のようです
「…こりゃ驚いたねェ~」
「お前ら此処に何しに来た!」
「「く、熊が喋った!?」」
続く?

376 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/02(月) 17:31:16 ID:ybaKUeOlO
324の続き
「お前何なんだ?」
……
「…熊じゃろう」
「アホか!この鼻野郎!熊が喋る訳ねーだろが!」
「…何かスイマセン」
何故か凹んでいるように見える白熊
「お前も謝ってんじゃねー!」
…一旦仕切り直し
戦闘の構えに戻る熊
「俺達は別にお前に用は無えんだが…!」
ズガッ!!
言い終えるより先に
熊の蹴りが飛んできた
間一髪ガードする眉毛の男
「…ちっ!問答無用かよ!」
仕返しとばかりに蹴りを返すが
熊の俊敏な動きでかわされてしまう
「ッ!この…!!」
不意に後方から光が差し込む
見ると白熊は倒れ、身動き一つしなくなった
「全く…こっちは遊んでる暇ァ無いでしょうが…」

(コイツ…)
二人は猿に頼もしさと同時に恐れを抱いていた

場面は変わってウルージさんハウスへ
夕食を食べ終えたローが話を切り出す
「ウルージさん!今日俺面白い奴と友達になったんだぜ」
やけに上機嫌な様子のローに
ウルージさんも笑顔になる
「おーおー、それは素晴らしいですな」
「けっ、どーせ大したモンじゃねえよ」

その言葉にカチンときたロー
「何だとー?やんのかユースタス屋!」
「いいぜー?来いよ!」
「こらこら、喧嘩しなさるな」
ローには何かと噛み付いてくるキッド
宥めるのも一苦労だ
「で、ロー!ソイツはどんな奴なんだ?」
すかさず争いの火消し役を買って出るドレーク
「それがこの辺じゃ見かけない白熊屋でさ!何と人間の言葉を喋るんだぜ!」

「ははっ!喋ったって!オメー熊が喋るかよ」
馬鹿にしたようにアプーはケラケラ笑う

377 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/02(月) 17:32:46 ID:ybaKUeOlO
「うるせえな、アプー!聞き耳立ててんじゃねーよ」
「おかわりぃ!」
ボニーだけはまだ食事中
「お前…いつまで食ってんだよ」
思わずキッドも呆れ顔
「うるせえな、あたしの勝手だろー?」
「ウルージさんの料理うめーんだもん」

そんなボニーの笑顔に
思わず表情が綻ぶウルージさん
「ははは、たんと食べなされ」

部屋の隅では
「お前…いつもそれ何やってんだ?」
普段無口なキラーがホーキンスに話し掛ける
「タロットカード…占いだよ」
……
「面白いのか?」
「さぁ…な」

とまあ、変わらない日常を過ごしていたウルージさんハウスの面々

だがそんな平穏も突然終わりを告げる
不意に派手な音と共に吹き飛ぶドア
いきなりドアを蹴破ってきた来客
「クソ失礼します」
「ここに悪魔がおると聞いたんじゃが…」

「何だ…お前ら」
謎の二人組に怯えながらも敵意を露わにするキッド・ロー
ドレークは思わずウルージさんにしがみつく
ビクつくアプー
微動だにしないホーキンス
無口ながらも威嚇するキラー
変わらず食事中のボニー
「何の用ですかな」
子供達を後ろに二人の前に立つウルージさん
流石のウルージさんもその不躾な態度に不快感を隠せないでいる

すると煙草をくわえた男が話し出す
「あー、この辺にとんでもねー悪魔が居るって聞いたんだが…あんた知らないかい?」

378 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/02(月) 17:34:37 ID:ybaKUeOlO
「悪魔?それはまた物騒な…」
「とぼけんな!ゴリラマン!!悪魔ァテメェだろーが!」
「は?何故私が」
疑問符が頭から消えないウルージさん
(やれやれ…とんだ厄介の種だ
子供達も怯えている、早々に追い返さねば)
そんな思考が妨げになり不意に飛んできた蹴りに反応出来ないウルージさん
「どうッ!!」
壁に叩き付けられ、思わず膝をついてしまう
「「「ウルージさんッ!」」」
子供達の悲痛な声が重なる
「立ちな!蛇姫を苦しめたテメェは万死に値する」
「じゃが…子供達はどうする?狩る予定には入ってなかったぞい」

「あー?知らねえよ!取りあえずこのクソゴリラやった後にでも考え」
(…そうだ、私がやられれば子供達が…!それだけは…!それだけは断じてッ!)
「…ませんぞ」
「…あ?何だって?」
「子供達には!指一本たりとて触れさせませんぞ!!」
ゴウッ!
「何ッ!?」
ソレは巨大なハンマーが激突した
そう思えるような衝撃だった
(がっ!?ば、バケモンか?コイツ)
眉毛の男は玄関から外へ吹き飛ばされ
そして木々の合間を数十メートルは飛ばされただろうか
やがて一本の巨木に激突し、そのまま気を失った
「これは…少々厳しいかのう」
鼻の男の頬を汗が伝う
(しかしコヤツは蛇姫の敵!勝てなくとも…!)
「あ~止めといたほうが良いねェ~」
「そなたは…!!」
「久しぶりだねェ~、怪僧ウルージ」
「知り合いか?」
「………」
「昔はあっしも生身の人間だったからねェ~」
「あん時トドメを刺しとくべきだったねェ~」
「そうは思わねェかい?ウルージ…」

713 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/04(水) 05:58:15 ID:nk3K0NW7O
378の続き

「いやァ~、未だにわっしの脳裏から離れないんだよ…
あんたの面と名前がねェ~」
一歩一歩、男が近付く度
「屈辱だったよォ~?
手ェ抜かれて負けるなんてねェ~」
空気が重くのしかかってくる
「おまけにアンタはトドメもささずに消え失せた…」その瞳はただ
ウルージさんだけを映している
「いやァ~本当に…
この偶然に感謝だねェ~」
(アレからわっしは
悪魔の力を手に入れる事が出来た
今日でアンタとの因縁も終わりだねェ…)

身に纏う只ならぬ気配
その尋常でない殺気が
ウルージさんの体に突き刺さる
「因果応報…か」
時に情けは憎しみをも生む
そんな事すら忘れていた
いや今は
己の過去の未熟さを恥じるよりも
守るべきモノを…!

「もう蛇姫さんの命令なんて関係無いよォ~
コレはただの私怨なんでェ…」

「なっ?貴様ッ!」

終始棒立ちだった鼻の男
猿の瞳がそちらに逸れる
「あ~アンタも居たんだったねェ~、ご苦労様。もう帰ってもいいよォ…」

「ふざけ!?」

ピカッ
瞬間、眩い閃光が走る
皆がその光に目を奪われた
直後、鼻の男は地上から消え
高く宙を舞っていた
鼻の男を遥か上空へ吹き飛ばしたモノが
猿の蹴りだと気付けたのは
ウルージさんただ一人
「これはまた…珍妙な力を身に付けなさったな…」

(やれやれ…。どうやら加減は出来ぬようだ…致しかたない)

モコ…モコ…
見る見るウルージさんの肉体が巨大化してゆく
子供達も初めて見るその姿に動揺していた

714 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/04(水) 05:59:14 ID:nk3K0NW7O
「す、凄え!」
「これなら勝てるよ!」

「…全力できたほうが良いよォ…」

振り上げた拳を猿へ振り下ろす!

猿の体に拳がめり込む瞬間!
明らかな違和感を感じ取るウルージさん

(な?手応えが…無い?)
「おやァ?顔色が悪いねェ~」
すかさず再度殴りかかる!
が…またも手応えが無い
まるでそこに何も存在しないかのように…

「スゲエよ!さすがウルージさん!」
「一方的だぜ!強えー!」
ローやキッドは興奮気味
しかしホーキンスが口を開く
「待て…何か変だ!ウルージさんの様子がおかしい!」

何度殴りかかっても
手応えが返ってこない
ウルージさんの額に浮かぶ汗は疲労のモノではない
焦りから来るモノだった
「おっかしいねェ~」

(ゼェ…ゼェ
馬鹿な…こんな事が!?)
「気は済んだかァ~?
じゃあそろそろ反撃するとしようかねェ…」

また先ほどの閃光が辺りを眩ます

(これは…体中が光っている!?
それに攻撃が通用しない肉体
やはりこれは…自然系能力者か!)

「ぐわァっ!?」
幸い攻撃を視認する事は出来た
だが!反応が間に合わない!!
避ける事も防御する事も出来ない

猿は表情を崩さず
愉快そうな笑みと悪意を孕んだまま
攻撃の手を止めない

「そ…そんな」
「ウルージさんが!ウルージさんがッ!」
「嫌だ!ウルージさんッ!」
子供達の悲痛な声が響く
(子供達…!
済まぬ…私のせいで)

…どれほど時間が過ぎただろうか
今やウルージさんはボロボロで、立っているのも限界だった
「無様だねェ~、もう楽になるといいよォ~」
「ッ!!!」
その強烈な蹴りはウルージさんの意識を狩り取っていく

715 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/04(水) 06:00:12 ID:nk3K0NW7O
…そのまま地面に倒れ込むウルージさん
「ッこのヤロー!!」
「ロー!止めろ!」
「馬鹿!戻れロー!!」
ローは皆が止めるより先に
猿の足に飛びついていた
しかしすり抜けて地面に転がってしまう
「お前なんかッ!帰れよー!」
目に涙を溜め
必死に追い払おうとするロー
キッドやドレークも加勢しようとするが
キラーやホーキンスに止められる
「放せよ!キラー!!
ローが!ウルージさんがッ!」
キッドは怒り狂ったように叫ぶが、キラーは決して放そうとしない
「止めろ!俺達が…適う相手じゃないッ!」

キラーの声が震えていた
悔しさで
非力な自分を呪うように

『…蛇姫様、本当にこれで宜しいのでしょうか』
その頃、鏡はウルージさんの現状を映し出していた
蛇姫はそれを呆然と見ていた
(今観ても美しさなど微塵も感じぬ!でもあの子らは奴を必死に守ろうとしておる!何故じゃ!?)
鏡は問い掛ける
『貴方様の身勝手な言葉で傷付いているあの男
それを守ろうとする小さな命をも
貴方様は奪おうとしています
本当にこれで宜しいのでしょうか』

…朦朧とする意識の中
誰かの声がウルージさんの耳に届いた

この声は…ロー!?
何を泣いている?
よしよし…そんなに泣きなさるな
『何で泣いちゃいけないんだよー』
そなたが泣くと私も悲しい気持ちになるんですぞ?
『何でウルージさんも悲しくなるの?他人じゃん!血も繋がってないんだよー』
…馬鹿を言いなさる
血など繋がっていなくとも!そなたと私は立派な家族ですぞ
『…家族!本当に?』
…本当だとも

「…ロー、そんなに…泣きなさる…な」
「ウルージさん!意識が!?」

406 名前: 名無しかわいいよ名無し [sage] 投稿日: 2009/03/07(土) 05:46:49 ID:CyVIvweaO
ウルージさんと七人の小人の続き

一瞬安堵の表情を浮かべたロー
しかし猿に踏み倒され動けなくなる

「ぐっ!?」「ロー!!」
「いい加減目障りだねェ~、消えると良いよォ~」

「止め…!!こ、子供達には手を出しなさるな!」
猿の指先に光が集まり出す
「無駄だよォ~、今死ぬよォ~」
(大事なモノを守れずして誰を救えようか!
救わねば!私が皆を!)
ゆらりと立ち上がるウルージ
確かに両膝を撃ち抜いたはず…何故立てる?
思わず動きが止まる猿
そして
「!?」
ベキ!ボキッ!

へし折られた指
猿は何が起きたのかを理解しようとした

がそれよりも早く
僧正による鉄槌が下される

それはかつて味わったモノよりも遥かに強烈な拳
横殴りに飛ばされ
地面を転がる猿
さらに両腕で体を鷲掴みにされ
そのまま地面へと叩き付けられる
地を揺らすような衝撃
体がバラバラになったのではと錯覚すらした
それでも猿は考える
何が起きたのか
そう
触れられないはずの体に奴が触れ、掴まれ、殴られ
そして叩きつけられた
これは一体!?

思考が定まらない

今一度怪僧ウルージを見る
その表情はまさに憤怒の化身
それに奴の体から滲み出る闘気
アレは…まさか覇気!?奴が覇気を使えるとは…とんだ誤算…
ゆっくりと己のほうへ歩むウルージ
「おっかないねェ~」
おっとと…膝が揺れる
…効いている
この感覚はいつ以来だろうか

ウルージの巨体が更にバカデカく見える

(…今更ながらこんな化け物と闘っていたとはねェ…)

407 名前: 名無しかわいいよ名無し [sage] 投稿日: 2009/03/07(土) 05:48:09 ID:CyVIvweaO
「『…天叢雲剣』
参ったねェ~、やれやれ…コイツで首をハネて
終いにするとしましょうや」
ウルージさんは目を瞑り今一度、誰が為に力を尽くすのか考える

子供達を守る為!
そして
復讐に捕らわれた猿の人
彼を救う為!今こそ過去を正す時

"お主を救おう"

『因果晒し!!!』

剣がウルージさんに突き立てられるよりも早く
思いがこもった拳が猿を打ち抜いた

凄まじい轟音が辺りに響き渡り…
ようやく全ては決したようだ

地に横たわり動かない猿を見てようやく膝をつくウルージさん
それに飛び付くロー
「「「ウルージさん!」」」
ローに続き子供達皆がウルージさんに抱き付いた
「おーおー、ま、前が見えませんぞ!こらこら!アプーどこを触っていなさる!おーッ!」

皆一様にウルージさんの存在を確かめるように
強く抱き締めた

ウルージさんもまた
子供達の存在を強く噛み締めた
(子供達が居なければ恐らく今頃は…)

「気がついたようじゃな

目を開けるとそこには鼻の男が居た
気付けば夜も明け、朝になっていた
  • ・ ・ ・ ・ 。
「おー、どうやら負けたみたいだねェ~」

しかし…
猿は笑った
何故か心は開放感に満たされていたからだ
清々しい…
「お、起きたのか」
眉毛の男がチャルロスを抱えてやってきた
「コイツまだ気絶してやがる」

408 名前: 名無しかわいいよ名無し [sage] 投稿日: 2009/03/07(土) 05:49:28 ID:CyVIvweaO
「思ったんじゃが」
「ん?何を?」
「本当にあやつは蛇姫に何かしたんじゃろうか」
「……さぁな」
薄々は気付いていた
奴は誰かを傷付けるような真似は出来ない男だと
それでも麗しの蛇姫の頼み
聞かない訳にはいかなかった
で、見事に皆返り討ちに遭った訳だが…

「もう一度やるか?」
その問いに頷く者は居なかった

「オイオイ、このまま帰る訳にもいかねーだろ!」
焚き付けるように怒鳴ると

「もうよい!」

「は?」
近付く足音
見ると声の主は…


「蛇姫ちゃん!?あ、いや蛇姫様!何故ここに!?」
驚く皆を余所に
ウルージさんハウスに向かう蛇姫


ドアが無い為
失礼すると一言添え
中へ入る

またも侵入者!
しかもとびきり美人だった

「うわっ!凄え綺麗な姉ちゃんだ!」

「オイ!何デレデレしてんだよアプー!」

ボニーに蹴られるアプー
「痛ってー!」

「フンッ!あたしだって大きくなりゃこれくらいなれるっての!」

「大飯食らいがなれる訳ねーだろ」
ボソリとローの鋭い一言
「大体気は強いし可愛げも無えし、せーぜー海賊になるのが関の山だ!な、キラー」
「ククク…違いない」

追い掛けるボニー
逃げる四人
顔を見合わせ、やれやれと溜め息をつくホーキンスとドレーク
「こらこら!客人の前で暴れなさるな」
包帯塗れのウルージさん
とりあえず話を聞く事に
  • ・ ・ ・ ・
「そなたがあの有名な蛇姫殿でしたか
確かに…噂に違わずお美しい」
しかし俯き申し訳なさそうに言葉を紡ぐ蛇姫

409 名前: 名無しかわいいよ名無し [sage] 投稿日: 2009/03/07(土) 05:50:43 ID:CyVIvweaO
「わらわはそなたに…とても酷い真似をしてしまった」

酷い真似?
…なる程、そうゆう事か
眉毛の人が確か蛇姫の名前を出していた

全てを察したウルージさん


「謝罪の言葉を幾ら並べてもそなたの許しを得る事は…叶わないだろう」

蛇姫の体は震えていた
自業自得とはいえ相手に悪態をつかれたり
責められる事には不慣れ故の事だった


「それでも…わらわ…
いや、私は謝りたい
謝らせて欲しい」

深々と頭を下げた

「ごめん…なさい」
鼻の男も猿も眉毛も呆気に取られた
蛇姫が人に頭を下げるなど!
未だかつて見た事がない
「何だ何だ!?何でこの姉ちゃん謝ってんだ?むぐっ!」

ウルージさんの手がアプーの口を塞ぐ

「顔を上げなされ」

その言葉は驚くほど温かかった
拒絶される事を想定していたのに…

「わざわざ遠いこの地まで、お一人で謝罪する為だけに来なさるとは
しかとその思い受け取りましたぞ!蛇姫殿」

「な、待たれよ!そんな簡単に!子供らも危険な目に遭わせたのじゃぞ!?私が許されるはずが!」

「そなたは己の過ちに気付き、償う意志を私に見せて頂いた!それで…十分ですぞ」
そう言い、澄んだような笑顔を返される
蛇姫は思い知った
自分とこの男の器の違いを
何と大きく
何と温かい事か…!
理不尽に傷を負わせた私をも慈しむようなその温もり
美しい…
鏡の言葉に偽りは無かった

193 名前: 名無しかわいいよ名無し [sage] 投稿日: 2009/03/08(日) 06:14:09 ID:56XrooKRO
ウルージさんと7人の小人の続き

思わず膝をつき泣き崩れる蛇姫
涙が…止まらぬ!
それでもただ
ごめんなさいと繰り返した

一頻り泣いた後、ようやく蛇姫も気を落ち着けたらしい

「見苦しい姿を見せてしまい申し訳ない…」

少し恥ずかしいのか顔が赤い
「気になさるな蛇姫殿」

「皆の者も、すまなかった
わらわの我が儘に付き合わせてしまい…本当にすまない」

「いやいや!蛇姫ちゃんは気にしなくていいって!」
「そうじゃよ!ワシも好きでやった事じゃ」

「コラ!何さり気なく告ってんだ鼻野郎!」

「蛇姫ちゃん!コイツよりも俺のほうが君の事を愛してるぜ!絶対!」

「何を言うか!大体ワシは告ってなど!」

ギャーギャー騒ぐ二人
「あ~やれやれだねェ~」
それを見て猿も呆れ顔
そんな様子を見てウルージさんも笑う
蛇姫もそれに釣られるように笑った

そんな時、目を覚ましたチャルロス

「はっ?蛇姫だえ!良し!良い所を見せるチャンスだえー!」
ウルージさんに向け銃をぬこうとするも

「ぶふぅっ」
猿に殴られあっさり気絶する

「全く…少しは空気を読みなさいよ…」

そのまま猿はウルージの前に立つ

昨夜の事もあり子供達は少し後退りする
しかし何も言わず
丁寧に頭を下げる猿

194 名前: 名無しかわいいよ名無し [sage] 投稿日: 2009/03/08(日) 06:14:51 ID:56XrooKRO
ウルージさんも何も言わず
それを見つめた
そしてそのまま家を出ようとし、出る際に一言
有難うねと呟いた

無論ウルージさんには伝わっていた
その後
蛇姫に城に来ぬか?と誘われるも
ウルージさんはそれを断った

やんちゃ盛りな子供達には
この森で暮らすのが一番合ってると思ったからだ

…あれから数日経ち
ウルージさんハウスは
いつもの賑やかさを取り戻していた

「あれー?ローは?なぁ!キラー、ロー見かけなかったか?」

「多分…あの白熊と遊んでるんだろう」

「もうお昼だぜ?
ウルージさん昼食の準備出来たってのに」


「おや…ベポとローの姿が見えませんな」

唯一ウルージさんの手伝いをしてるドレーク

変わらずタロット占いをしてるホーキンス

「アイツラ…まだ遊んでんのかよ~
凄く腹減ってんだぞあたしは!」
ちょっとむくれるボニー

「ちょっと探して来るか」
「ウルージさん!すぐ戻るから!ボニー!まだ食べるなよー!」

「分かったよ!早く戻って来いよ~」
キラーとキッドは外へ飛び出していった

195 名前: 名無しかわいいよ名無し [sage] 投稿日: 2009/03/08(日) 06:15:52 ID:56XrooKRO
(…おっかしいな~
大体この辺に居るはずなんだが…)

草木を掻き分け道を進む
「おーい!ロー!何処だ~!」

何度呼び掛けても返事は無い
しばらく進むと
やや開けた場所へ出た
そこには大きな泉が湧いていた

…こんな場所があったのか

「おい!キッド、これ!」
「え?」
キラーが泉に浮かぶ帽子を発見

「これは…ローの帽子じゃねえか!まさか!?」


  • ・ ・ ・ ・
「…遅ぇな!まだかよ!」
「カリカリすんなよ、ボニー」

気が立ってるボニーと気楽に構えるアプー

テーブルに料理を並べるウルージさん
(さすがに遅いですな
もしや…何かあったのでは)

ウルージさんの胸に一抹の不安が過ぎる
「俺達も探したほうが良い!
ローに『災難』の相が出ている」

「何ですと?」

ホーキンスのその言葉
何やら確信めいた物を感じる

居ても立っても居られず外へ駆け出るウルージさん

(頼む!どうか私の杞憂であってくれ!)

子供達もウルージさんの後を追い掛ける



それは
これから起こる奇想天外な物語の幕開けでした…

634 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:21:28 ID:d0zUybCKO
ウルージさんと7人の小人の続き

ここは蛇姫の住む城

(最近姉様の様子がおかしい
心なしか以前よりも穏やかになったように感じるし…
何かあったのかしら)

「ソニア姉様!姉様の様子が!」

「え??姉様がどうしたの!?」
急いで蛇姫の部屋へ駆け付けるとそこには、ベッドで横になり胸を押さえ
苦しみ喘いでいる蛇姫の姿があった!

「姉様!どうしたの!?」
「姉様!!」

二人の声も届いていないのか
ひたすら苦しそうな表情の蛇姫

「何かの病気かしら!」
「早く医者を!」
「待つのじゃ!」
「「ニョン婆様!?」」
「勝手に姉様の部屋に入るなんて!」
「許されないわよニョン婆様!」

怒る二人を余所に蛇姫の傍に向かうニョン婆
「話は鏡に聞いたぞい」
「!?」

「…モコ…モコ」
「うっ!?」
その言葉に一際胸の痛みを訴える蛇姫

「「ね、姉様!?」」

謎の呪文を唱えたニョン婆
唖然とする二人
「どうやら間違いニャさそうじゃな」

「な、何?ニョン婆様はこの病気を知って!?」
「知ってるのなら早く治療法を!」

「……無理じゃ」
「無理ってちょっと!」
「ニョン婆様!?」
「何故ならこれは…」
「「これは??」」

「薬では治せぬ恋の病!!」
「こ、恋の…」「や…病?」
「怪僧ウルージ…
うむ、お主が惚れるのも無理は無い。立派な男じゃな」
その名を聞き顔を赤くする蛇姫

635 名前:名無しかわいいよ名無し[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:22:18 ID:d0zUybCKO
「会いたいのじゃろ?蛇姫」

「………」
「素直にニャるのじゃ蛇姫」
一呼吸置いて蛇姫は答えた
「…会いたい」
「ならば何故会いに行かぬ!?」
「わらわは…彼に酷い事をしてしまった!…今更どんな顔で会えと!?」
「彼はそなたを拒むとでも?」

「……」
「そなたの罪はもう許されたのじゃろう?拒む理由などニャい」

「食欲も随分と落ちておるではニャいか!このままだと死んでしまうぞ?」

「…わらわは」
「鏡を見れば彼の姿を見る事が出来る」

不意にニョン婆の言葉にドキッとする蛇姫
「そう思いながら夜な夜な鏡を見つめておったじゃろ」

「な、何故それを!?」
うろたえる蛇姫
「鏡の前でウロウロしてたのをワシは見たからの」

「な…///」
取りあえず鏡の間へ行く4人
姿を拝めばいくらか素直になれるかもとのニョン婆の考えからだった

「鏡よ鏡……フゥ」
「落ち着きニャされ」
「わ、わかっておる!」
「鏡よ鏡…世界で一番美しいのは…誰じゃ?」
蛇姫の鼓動が高鳴る
あぁ…頭が真っ白に…

鏡は答える
「はい、それはウルージさんです…?」

………映らない?
鏡に彼の姿が映らない
「すいません…映せません」

「ど、どうゆう事じゃ!?」
動揺を隠しきれない蛇姫
「ウルージさんに何か良からぬ事が起こったようで、私の力も及びません…」
「よ、良からぬ事…」
不意に倒れ込む蛇姫

「ね、姉様ッ!?お気をしっかり!」

「どうゆう事なの!コレは」
鏡に食ってかかるソニア
「わ、解りません…こんな事は初めてで…」

「怪僧ウルージ…彼の身に何か!?」