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ずたずたのぼろぼろに穴だらけにされて、得体の知れない何かに成り果てるまで腐り落ちてしまった僕の心は、先輩の熱さに焼き尽くされて、どろどろに融け切ってしまったあと、先輩と言う鋳型に填め込まれ、こうして新しい僕に生まれ変わることができた。 先輩の貪りによって齎される快楽は、もう射精くらいではイキ足りなかった。気絶でも不相応だ。 彼に何もかもを捧げたい。脚なんて要らない、腕も要らない。一つになって、一部になりたい。 ---------------------------------------------------------------- 棲家が変わった。 偶然に捕獲してしまった、幼く見える少年の待遇は変わらない。 錠を空けても、返事はない。 靴を脱いで玄関に上がり、スイッチを切り替えて照明に電気を通す。 「…………………。」 散らかった内部。清掃担当を留守にしてから、結構な時間を経たせている。そろそろだろうか。 住み慣れた一戸建ての一軒家から随分と距離を離れ、今現在俺達が身を寄せている先は、それなりに住み心地のいい堅牢なマンションだった。 崖から飛び降りたかのように悪くなった景気はどこの不動産もぞろぞろと余らせたようで、手頃ではなかった物件はそれなりに手頃になり、それでも空きが埋まるのは望めない所も、こういった地方都市には数多い。 新築直後に景気の方が砕けたという無惨なこのコンクリートの塊は、一階に一世帯ずつも入っていないという有様だった。 気温はぐんぐん昇り調子で、それなりに汗をかくようになった。 水分だけを十分に補給した後は、夕食も軽くそこそこに済ませ、体にぬめりついた嫌な汗と脂を落としに向かう。暗かったそこにまた一つ電灯を灯し、着替えの下着と寝間着を用意。 服も下着も手早く脱いで篭に入れ、そそり立つペニスを穏やかに揺らしながらバスルームの敷居を跨ぐ。 壁を背にくっつけて塞ぎ込んでいたそれは、ゆるゆると顔を上げる。 明るくなった浴室の眩しさに長い間目を細めていたが、俺の顔を見付けると、囁くように言った。 「せんぱい……おかえりなさい……」 首輪と手錠に繋がれた全裸の少年は、その窶れた頬に心底から幸福そうな微笑みを張り付かせて、 俺を生温く出迎えた。 「いやあぁぁぁあああああああーー!!!!せんぱいっ、せんぱいぃぃぃーー!!!! しんじゃううぅっ!!!ぼくしんじゃうよおおぉっ!!!」 少年が、かつてのような甘い嬌声を上げなくなって、幾日経っただろう。 ほとんど悲鳴のようになった声を張り上げて泣き叫び、尻穴を引っ掻き回されて犯される、性愛の悦びという無間地獄の責め苦に耽っている。 極上のオナホールの細く白い両腕は後ろ手に回されて、手首同士を手錠で繋がれていた。 首輪を嵌めさせられ、ステンレスの鎖が漱ぎ場の蛇口のパイプに回され、南京錠で閉じられている。 鎖の繋がる蛇口と、いま犯している位置からはやや距離があり、鎖はぴんと張ってしまっていて、 少年の架けられた首輪は、細い首の中にある気道を容易に圧迫して、薄い唇は喘息のような吐息を途切れ途切れに漏らしていた。 少年の姿勢は殆ど、横向きにした宙吊りのような酷い体勢だ。 今すぐにでも噛み破りたい柔らかく白い右の太腿は俺が抱き締め、左足の膝だけがようやく床に着いているという有様。股間の小さな性器は、右手で鷲掴みにして滅茶苦茶に嬲っている。掌の中は少年の撒き散らした精液で溢れ返り、どろどろが濃厚に粘ついていた。 かつて排泄器官であったもう一つの性器は、俺の剛直に刺し貫かれて断末魔の痙攣を続けている。 少年の肉孔は俺のモノとはまるでサイズが合っていない。 小さな骨盤と野太い牡に挟まれた腸壁の柔肉はいつでも熱く蕩けていて、俺の形に広がらされてもなお、健気にきゅむきゅむ締め上げる。 ずごりゅっ!!ずごりゅううっ!!ずぼりゅぶうっ!!ぐじゅぶじゅうっ!!ずぼん!ずぼんっ! 「いあああああぁぁーーーー!!!!うひぃいあああああぁぁぁぁーーーーっ!!!!! ひぃぃぃっ!!!!ふひぃぃぃぃーーーーっ!!!!ひぃっ、ひぎぃぃぃぃっ!!!!」 少年のペニスは、何日も前から狂っていた。敏感すぎる尻孔を抉り擦られながら、暴力的に茎と亀頭を扱かれる。既にトコロテンなのか真っ当な射精かも判別がつかなくなって久しいそれは、犯されているとき、延々と精液をぶちまけ続けている。 セックスの間中、イキまくっているようなものだ。 身動きもできず、呼吸もまともに許されないという、拷問のような責め苦に少年が溺れている中、 ケダモノ以下の存在である俺はといえば、無限に湧き出る性欲を処理する為に、こいつを犯し続けている。 すっかり縮み上がったそれを喉奥まで咥えさせると、髪を掴んで強引に揺さ振る。 狭く熱く軟らかい咥内を使って、ペニスの幹に纏わり付いた白濁の泡を拭い取らせていた。 これで別に発射はしない。ただ、簡単に洗うだけだ。 少年の息が薄くなるまで洗わせて、髪を離して床に放り出す。 浴槽の縁を跨いで入り、張ったばかりの清潔で温暖な湯に体を横たえた。 解放された少年は休息もほどほどに体を起こして、這い擦るように頭を伏せて、風呂の床へ舌を伸ばす。 盛大に床へぶち撒けられたどちらのとも知れない精液の汁溜まりを、自分の舌で舐め取っている水音が淫猥に響いた。 少年には、もう随分と長い間食餌を与えていない。互いの精液と、水だけで生かしていた。 戯れのつもりで浴室に監禁して、もう六日も経っている。 奴隷のように育てられた、中性的な美貌を持った惨めな少年は、ほぼ完全に奴隷そのものの扱いをされてもなお、それはそれは幸福そうに、痛々しい笑みを作って微笑むことができていた。 若さを根拠とした、底の尽きない性欲を日々滾らせていた俺の前に現れた人肉は、それはそれは都合のよい存在だった。 どのような苛酷な責めにも悦び、幼いほどに瑞々しい肌、面倒な避妊をする心配もない、細く締まった背徳的な肉体。まるで淫魔そのものだ。 少年は今や真性のマゾヒストであっても、それは産まれついてのものでは決してない。 親から日常的に振るわれる不条理な暴力を、それが実は愛情なのだとありもしない嘘で自分を偽って 盲目的に信じこまなければ、到底今まで生きて来られなかったのだろう。 二十分も浸かっていたのだろうか。時計のない浴室は、時間の流れが分からない。 ざばあと湯を飛ばして、浴槽に立ち上がり、出る。 艶やかな黒髪を足先で蹴転がし、横転していた体を強引に仰向けにさせる。 「あうぅ……せ ん ぱいぃ……」 足元の肉塊は、既に意識が朦朧としている。焦点の合わない瞳に光は無く、ちゃんと俺の目を向いているかどうかも、半分は自信がない。 肉でできた精液便所を欲しいと、どうしようもなく馬鹿だったガキの頃に願った覚えは、確かにある。 年月を経て手に入ったそれが、まさかオスの子供だったとは。 無駄な肉付きのない細い躯。爪で引っ掻けば皮が毟れる、絹のように柔らかい白い肌。 太腿を蹴飛ばして、股を開かせる。うっすらと歪んだ頬は、それがやっと覚えた笑顔とでも言うのか。 涙をほろほろと流す虫けらに、ゆっくりと覆い被さる。 「ぅぃぎゅぅ!!」 突っ込むだけのただただ乱暴なセックス。尻の孔は爛れきって、赤さの滲む粘液をひたすら溢れさせる。 腰を振り回せば、悲鳴のようなしゃっくりじみた吐息を肺から弾き飛ばし、便所は嗚咽を漏らして囀り出した。 子供はもう、自分では動けない。 ただ、がくがくと首だの肩だのを、俺が尻を突き上げる反動で蹴散らされるだけだった。 ------------------------------------------------------------ 明くる日、朝勃ちのそれを隠そうともしないまま、また浴室の扉を開けた。 様子が、おかしかった。 顔面は蒼白と化して息は荒く、ぜえぜえとした耳障りな喘ぎを止めようとしない。 「…………おい。 おい、どうした。」 声を投げて寄越してやっても、こちらに気付いた様子すらまるで無い。 当たり前の因果だ。 まともな飯も食わせず、朝から晩まで裸で、しかも濡れた体も拭かせずに放置していたんだ。 そんな生活が一週間も続いていた。ただでさえ体力のない痩せガキが、衰弱しない訳がない。 急いで輪を外した。手錠も外した。赤く血の滲む手首をみて舌打ちを一つこさえて、戻る。 バスタオルでふやけきった体を拭い、下着を穿かせて、愕然とした。 こいつには、寝間着すら買ってやっていない。 思えば、当然だ。暇さえあれば毛布の中に引き摺りこんでいたのだ。 夜に着せる服なんぞ、考えた事もなかった。 俺のベッドに小さく軽い体をそっと横たえてやる。熱を計れば、40℃を越えるか越えないかのライン。 風邪薬の常備薬など、この家にあろう筈もない。 痛み止めや包帯、湿布やガーゼだのならいくらでもあるこの家だが、しかしそれは頑健さだけには自信のある俺用の物資に過ぎない。 医者には見せられない。こいつには、保険証がない。身分証明書がない。戸籍すらない。 真冬の夜。靴すら履かず、黒ずんだ血痕の残る薄汚れたワイシャツ一枚で、泣きじゃくりながら転がり込んで来た惨めな子供を、 犯して、奴隷にして、攫って来たのだから。 喘息の発作を起こしている。薬などないのだから、氷枕でも作ってやるしかなかった。 呼吸が不自由でまともに寝られない子供の側に座り込んで、茫然とそれを見遣るしかないのだ。 残飯と精液ばかりを食わされ、気が向けば無造作に殴られ、罵声を浴びせられ続けて来たそれは、まるで馬鹿みたいだ。 息を吸うのも吐くのも困難な状態でいる分際で、微かに何度も俺の名を呼ぶのだから。 右手を頬に寄せてやると、それに両の掌を添え縋り付く。 いっそ、何もかも楽になってしまえと、本気で思った。 俺が恙無く事後処理さえ完遂すれば、今までの罪状も水に流される。 こいつの親の後ろ暗さそのものであろう、このガキがくたばってしまえば、後は山に埋めればよい。 無数の社会の歯車に悲鳴を上げる間もなく押し潰されたガキが、奈落の底に投げ捨てられるだけだ。 この先何の未来もない惨めな生き物が、山のような生ゴミと汚物と、この世に蔓延るおぞましい物体をみんな背負って、たった一人で死んでくれるのだ。 「もう……十分生きただろ……。お前には、人間なんて、荷が重過ぎたんだよ……。」 いっそのこと、楽になってしまえと、思う。 いっそのこと楽になってしまえと、本気で思った。 何時間が過ぎただろう。さっきまで瀕死だった物体は、疲れ果てたのだろうか。 気絶したかのような穏やかさで、安眠している。 全く拍子抜けした。どうにも眠いので、こいつの横で俺も寝た。 まだ、夜中だった筈だ。それとも明け方だろうか。 薄ぼんやりと明るいようで暗い部屋。月光なのか、払暁なのか、半別し難い奇妙な時間。 気だるくて、寝苦しくて薄目を開けると、ベッドの上で体を起こしている半身の影がある。 奴だった。質の悪い深海魚のような、薄暗がりに爛々と光る目で、俺を見下ろしている。 ……やはりこいつは、何がしかの魔物なのだろうか。 ある日突然現れた見知らぬ子供は、どれだけ殴り付けても、肉を抉っても、 俺から逃げるどころか縋り付いて来た。 俺の口は動く筈もない。まして薄目の視界もはっきりしない。半分眠りこけた頭は言葉を作れない。 奴の上半身がゆるゆると下降して、俺の右脇腹、あばらの辺りにぴったりと寄り添った。 心臓に近い位置だった。 …いよいよか。 何十分も経ったかわからない。いい加減痺れを切らして、何をしているのかと怪訝に思って首を回した。 俺の皮膚と毛布の中に顔を埋めて、声も出さずにすすり泣いていたのだった。 右手を伸ばし、子供の頭を撫でて、肩から包むように抱き締める。奴はびくりと震えて、泣声は止んだ。 「せんぱいぃ、ありがとう、ありがとうございます……」 「何がだ。」 「だって、……先輩、ぼくの傍で、ずっと、看ていてくれました…… 死ねなくって、ごめんなさい。まだ、ご迷惑になります。」 「………………………。」 かけてやれる言葉もなく、少年を強く抱き締めたまま、再び眠るしかなかった。 ----------------------------------------------------------------------- 安物のソファに腰掛け、ろくに頭に入りもしない、理解もできないテキストを広げて読んでいると、喉を鳴らしながら肩肘に寄りかかる存在に気付く。 追っ払うよりも手元に置く方が後々便利なので、膝を開いて俺の身体の前に座らせる。 こいつのこういうコンパクトな身体は、殴るにも犯すにも大層都合がいい。 「もう。先輩、女の人のにおいがします。」 「いいだろ?偶にはよ。……お前はお前で、昨日はヘロヘロだしよ。悪いだろ。」 大勢で呑んで来ただけだが、社会のそういう行事にはとんと疎い子供だった。 それでも、自分以外の肌については、匂いだけで分かるらしい。犬猫のような勘の良さだけは、感心にだけ値する。飯も食って、風呂にも入った。後はこいつに後ろの処理を済まさせるだけで、毎夜のように行っている閨の時間になる。 特に寂しくはなくとも、ほんの時折、心のどこかに微妙に隙間風でも吹いているかのような気分になるのだ。 すぐ近くにある、狂おしいくらいに甘い腹を、薄いシャツの上から撫で摩る。 「……処理しとけ。」 この変態は、微笑んだように見えた、……ほっとしたらしい、と言った方が近い。 摩った腕に一頻り頬擦りして、嬉しそうではあるが静々と準備に向かう後ろ姿に、俺はどこか、一抹の後悔のようなものを覚える。 「ちょっと待て。こっち、来い。」 「はい?」 全く無防備な足取りでとてとてと駆け寄る顔面に、握り締めた拳を叩き付ける。 全くの不意を突かれた馬鹿餓鬼が足元をよろめかせながら、打ち据えられた顔を両手で覆った。 剥き出しの後頭部を髪を掴んで引っ張り上げて、逆の顎にもう一発を打ち込む。 呆然自失で、何が起こったか理解すらできていないといった風情の間抜け面が現れる。 「俺の事が好きか。」 「だっ、だいずぎ、でずっ。だいずぎ、でっ ごめんなざい、ごめんなざいっ!!」 「ムカつくんだよ!!」 髪を引っ掴んだまま、すぐ側の壁に側頭部を叩き付ける。糞餓鬼は、抵抗どころか、悲鳴すら上げない。 「惨めが服着て歩いてるような分際で!それが当たり前みてえなツラしやがって!!」 返事がない。もう、こいつの思考は世界の果てまで吹っ飛んでいる。何事かを呟いている。大方、いつものように『ごめんなさい』とか何かだろう。 「……とっとと死ねよ」 呆れたのは、こっちの方だ。大きな溜息を吐いて、掴んでいる髪を遠くに放り投げた。 --------------------------------------------------------------------------------- 前戯にもならない痛め付けと嬲りをそこそこに済ませ、いざ始める時になったものの。上になれと言ったのは、本当に気紛れの発案に過ぎない。 訳が分からないという風にきょとんとしているガキに、好きな様に腰を振れと言ったのが、勘違いの素だったのだろう。 胡座をかいた俺の上に座らせようとさせている過程だが、ちょうど腰を中ほどまで降ろし、俺のが先端だけ飲み込まれた状態で、何を思ったかこいつは尻を揺さ振り、内部をきゅうきゅうと締めて俺を愛撫する。気でも違ったか。 「おい。まだ全部入ってねえだろ。」 「ふふ。先輩の先っぽ、お尻でもぐもぐしてるの。」 「……馬鹿か。何考えてんだ。俺で遊ぶな。」 変わった事をやらせようとすると、すぐこれだ。シーツの上に押し潰して、その勢いで根本までぶち込んだ。 一瞬だけ顔が驚愕に色めき立つが、その後はいつものように脚と腕を絡ませ、甘い声を上げて喘ぐ。 浅い痙攣に震える体を無視して、両腿を持ち上げ、いつもと大して変わらぬ勢いでピストンを始める。 「せんぱいぃぃっ!もっと、ぼくのおしりいじめてぇ!!いっぱいひどいことして、壊して!!」 顔は笑顔でも声だけは悲鳴を上げるそれの、唇を塞ぐ。舌を挿し込んで、喉奥まで突っ込んで黙らせた。 ずぐん!ずぐん!ずぶりゅうう!!じゅぼぶう!ずぐん!ずぐぐっ!ぐんっ! 肉を伝って漏れ出る卑猥な音を聞きながら、熱くて柔らかい、窮屈な肉洞の痺れるような快楽を貪る。 もう、互いに互いの肉体に、中毒症状のようにのめりこんでいた。 冗談じゃなく棍棒じみた俺のペニスで貫けば、少年はいつ果てるとも知れない、滲むような射精が止められない。前立腺の全てを押し潰してしまえる、絶妙な位置も角度も全て知ってしまった。 明らかにサイズの合ってないペニスによる突き上げは、少年の呼吸にしゃっくりのような無理な負荷を与えてばかりでいる。 「あのっ、せんぱいぃっ!」 「なんだ。」 「ぼくのお尻、ちゃんとっ、きつきつですか…?いっぱい使ったから、もう、がばがばになっちゃって、ないですか…?」 「まぁ、入り口は、柔らかいが。……入れ易くて、都合はいい。中は狭いから、気にするな。」 「よかったぁ……」 俺の答えに安堵でもしたか、泉の沸きかけている眦を指で押さえて、少年は心の底から嬉しそうに微笑む。 「……立て。」 「え……?も、もう、勃って、ますよ。」 声の感触が変わったことは、屑の脳味噌でも感じられたようだった。 覆い被さっていた身体を起こす。腹の奥まで貫いていたペニスも、ずるりと引き抜いてしまった。 「馬鹿野郎。違う。立って、後ろ、向け。」 こうまで言っても命令を理解できてない愚図野郎の前髪を掴んで、無理にでも吊り起こす。 「バックだっつってんだ。早くしろ。」 明らかに不機嫌な声を唸らせると、とりあえずはおずおずと尻を向けた。 自分で自分の胸を抱いて、首を回して後ろに居る俺を見ながら、怯えに下がった眉尻はふるふると震えている。 そうだった。やっぱり、これでないと駄目だ。こうでないと背筋は沸かない。本気で犯っている感触がしない。 不意に歪んだ頬をこいつに悟られないように、細くとも柔らかい尻たぶを掴んで割り開く。 比喩でなくムース缶ほどもある俺のものの、欲情しきった硬さを、尻のクレバスに教えてやる。 「責任取れ。途中でへばっても許さん。」 ひくん、と尻の筋肉が締まる。ペニスを挟みこんだ尻肉がきゅううと締まって、声での返事はないが、唾を飲み込みでもしたか、喉仏が蠢いたのはようく見えていた。 「ひっ……!」 にちゃにちゃとぬかるんだ卑所に先端を宛がえば、艶かしく引き攣る、上擦った声が俺を更に昂ぶらせる。 「ひっ、あっ、あっあっ、あっ、ひぐっ、おな、おなか、ひろがっちゃ、広がっちゃいますっ、」 まるで処女のような言葉を吐いていても、十分に潤んだ尻はぬぷぬぷと俺を飲み込んでしまう。 「やっ、やあっ!おな、おにゃか、ぱんぱん、ですっ、ぱんぱんなのっ!息、できな…!ひぐっ、ひぐうっ!!」 木目細かい尻の肌が俺の腹に押し付けられる頃には、もう獲物の少年はまともではなくなっていた。 膝立ちの、立ちバック。ベッドに押し倒してのセックスは、甘く蕩けるような睦み合いだが、こうしてバックから犯すときは殆ど俺が主導権を握った陵辱になる。 「ひゃあああ!!!やだぁ!!やだよう!……怖い、怖いの。いつもの、せんぱいに、戻って……」 ただ単に腰を上下にグラインドさせただけで、本当に恐ろしそうに、怯えている様子が堪らない。 「泣くのも叫ぶのも許してやる。しっかりケツ締めろよ。少しでも緩かったら、分かるな。」 「わぎゃう!!!」 切ってもいない爪で乳首を抓り上げれば、少年の脆い肌はいとも簡単に血を滲ませる。ぷっくりと赤い球体が膨れ、やがて重力に抗えず一筋の赤い沢を作った。 「………この、マゾガキ。」 息は荒く、眦には水滴が溢れ始めるが、その表情はどこか歪んで、苦痛以外の色を含んでいる。 しっかりとそそり立っている若い薄桃色に息づいた下の肉苗の鈴口から、ぴゅるりと先走りが飛んだのも見逃しはしなかった。 腰を捻りながらペニスを引き抜こうとすると、泣き声は本物になる。 「うああっ!うぁあああーー!!!!駄目!駄目駄目駄目ぇ!!お腹、引っぱられ、持ってかれちゃ……あぐうううぅーー!!!」 本当に幼い子供のように、哀願の涙をぽろぽろ零しながらがくがくと身体を揺り動かす姿は、それが俺を誘っている仕草と気付いているのだろうか。 意図してやっているなら、俺よりこいつが一枚上手だという事だ。是非とも無意識だと思いたい。 ぐずぼおうっ!!! 「ぐぎううぅっ!! かっ!……はっ!は……ぐ…」 何の躊躇も手加減もなく、一気に深々と貫いた瞬間の奴の悲鳴は甲高く、横隔膜でも破けたように思えた。 ぬぢゅっ!ぬぢゅっ!ぬぢゅるっ!ぬぶっ!ぶぶぬぢゅっ!ぶぬるっ!ぢゅりゅっ! 「きゃふぁああああ!!!いひぃ!!ひいいいいぃっ!!ひっ、ぐぅうう!!あぐっ、あがあっ!!」 こいつの嬌声も耳に入らなくなって来た。ただ狭隘な肉穴を犯している感覚が脳髄中を駆け巡り、柔らかい尻にひたすら腰を打ち付けて快楽を貪る。 少年が必死に尻をこねくらせて、打ち込まれる熱い鈍痛から必死に逃げようとしているのに、俺の腕が勝手に蠢いて腰を掴んでしまう。 睾丸の根本、ふぐりの付け根が煮え滾り始めた。射精までもう、間もないのだろう。 しかし、それでも。輸精管と尿道との境界を懸命に引き絞っている。まだ発射はしたくない。 射精寸前の、まさに今すぐにでもペニスが弾け飛びそうな強烈な快感を長く保つことが、射精のもう一つの醍醐味なのだから。 とっくに頭の中は真っ白になっていた。射精るな、出るな。もっとこの電流が欲しい。睾丸が破裂する軋みを上げるまで、射精を押し留めていたい。 ひくひくと白い液汁を駄々漏れさせながらしゃくり上げている、少年の幼い勃起が目に入る。いつかはこれを食い千切ってやりたい、きっと甘い味がする筈だ。 上下に跳ね回るそれを握ろうとしても、自分の腰の突き上げでのたうち回っているせいで、指先の照準が定め難かった。 構わず腕を薙ぐと、まだ柔らかく熱い、子供の睾丸の感触が掌に広がる。 「ひゃあうぅっ!!わぎゃああ!?せっ、せんぱいぃ!!握っちゃだめ!扱いちゃだめええ!!」 精液の漏れ出方が、ぴゅるぴゅるとした、蛇口を浅く開けたようなものに変わる。それを無理矢理塞き止めようと、二つの睾丸ごと一息に根本を握り潰した。 そうすると、少年の直腸は括約筋を握り込み、それはそれはぎゅうぎゅうに、痛いほど締まり上がるのだ。 そのまま尻のストロークを二回ほど責め抜いて少年にたっぷりと射精感を溜め込ませた所で、苗の幹をひん剥き、亀頭を露出させて雁首の部分に爪を立てる。手前で抱いている柔らかい肉が、すぐさま背筋を強く湾曲させて、 「ひぎゃああああ!!!!!あぎゅうわあああぁ!!!」 子供の喉は、甲高くて甘い、絶望的な悲鳴を上げた。 ぷぷしゃああああっ!!ぶじゅびゅるるるるうっ!!ぶううっ!!ずびゅるううう!!! ベッドの下まで飛び散るほどの激しい射精をぶち撒ける少年は、これで何もかもが限界だ。 俺の手に迸る汁の、温度も粘りも分かる。細い幹の尿道を通り、鈴口から放たれる脈動まで克明にだ。 少年の太腿はがくがくと痙攣して、異常に身体が強張っていた。直腸の締まりが抜群に良くなる。 熱い溜息を大きく吐いて、下半身がぐずぐずに癒合してしまいそうな快楽に、もう身も心も蕩けそうだ。 少年の射精は前立腺を熱く蠕動させ、俺のペニスを揉みしだいて、ひたすら精液を搾り取ろうと、先走りが泣き叫んでいた。 一際大きく腰を引く。下半身に捻りを加えながら少年の尻からペニスを引き摺り出すと、赤く腫れた直腸壁までもが一緒に纏わり抜けてくる。 少年の柔らかい内臓を2センチも捲り、脱肛までさせて引っこ抜いたことへの薄暗い満足感に、狂喜じみた冷笑が沸いた。 もう駄目だった。全身の無意識が射精に向けて駆け出している。 ペニスの根本、陰毛の生え揃う毛根の群れの一部が少年の卑部にめりこむまで、強烈な打ち据えでペニスを捻り込む。 「がああああっ!!!」 どぶびゅしゃああああああ!!!ぶじゅっ!ぶじゅるぶびゅふうううう!!! ぶぐるううう!!!ぶびゅばああああ!!!! 「ひぎゃああああああああああああ!!!!!!」 咆哮を上げながら放つことなど、そうそう無かった。 こいつの射精を、ペニスの幹で感じ取るのも好きだった。少年の射精が前立腺を通して知れる、一人の人間に完全な屈服を強いたという、充実感と支配感。 小さな身体が瘧にようにがくがくと震え、腸だけはペニスに吸い付いて、次から次へと熱く滾った毒液を飲み干してゆく。 歯を剥いて、かちかちと音を立てながら食い縛り、ぱっちりした大きな瞳は更にまだ見開かれて天空の一点を見詰め、目尻に溢れる涙の雫が小川を作っていた。 少年の、欠けて不揃いな歯の隙間には、微かな泡立ちも見て取れた。ひゅー、ひゅー、という、耳障りで奇怪な喘息じみた呼吸音が、尚更俺の嗜虐心を沸き立たせる。 まだ、黄ばんだ白い種汁は、少年の腹へ蒔き終わってはいない。 ぶぐるっ…! ぶぶうぅー…! ぶぶびゅぅー…! びゅうぅー…! 「ぐはあっ…! はぁっ…! はぁっ…! はぁっ…! ぐっ……」 痙攣の止まない腸壁を擦るように、腰を捏ね繰って剛直の硬い幹を擦らせてやる。 「ぎぅ!」とかいう獣の叫びが短く響いて、がくがくと慄く白く細い下半身が安定を失う。 同時に、俺の足元もふらついた。なんとか落下点を捻って、ベッドの上に少年の小さな躯を押し込む。 二人して繋がり合ったまま、ひしゃげたシーツの上に引き摺り上げて、うつ伏せの甘い肉塊の上に更に圧し掛かった。 体重を掛けたから、ペニスは更に深く少年の腸壁を抉る。 そのまま、俺の射精が一段落を終えるまで、二人で必死にシーツの捩れを掴んでいた。 じき、押し込んでいるペニスの飛び跳ねが弱くなり、吐き出す量も随分と手緩くなる。 いつ覚えたのかは知らんが、こうなる頃に少年は何故か、腹に力を入れて息むときがあった。 少年の肛門の辺りから奥へ奥ヘと昇るように、逆に俺のペニスで言えば根本から先端へとなる形、尿道の居残りを搾り取っているのだと気付いたのは、そう遠い過去の話ではない。 俺のスペルマにどこまでも貪欲な、殊勝な態度で抱かれる少年は、交尾の直後ともあってひたすら愛しく感じられる。 褒美に寄越すのは、腰を∞の字に揺する、尻の中の掻き回し。 「あぁ……せんぱい…、すてき……すごく、すごく気持ちいいです……おナカが、おナカが融けちゃう…。」 痩せている筈の腹がこんもりと丘を作るくらいに種付けられた精液を、更に腸壁に塗り込められる快美感に、少年はうっとりと目を伏せて、鼻を鳴らして悦ぶのだった。 「悦いだろ。……俺も悦い……。お前…、いい子だな…。すげぇ可愛い……。」 「う、うれしいよう、うれしいです……せんぱいだけ、せんぱいだけだよぅ、ぼくのこと、いい子って言ってくれるの…。」 愛しさに辛抱が堪らなくなって、少年の目尻に溢れる涙を舐め取った。頭を抱き締めて、そのまま鼓動を重ねながら休んだ。 誰だって、こんな猛然と腰を振るっていれば、少しでも休憩を挟まなければやってられない。 抱いている肉塊が泣きじゃくり始めたのは、それから五分を過ぎた頃だろうか。 「ひっく、ひっく……。おちんちん、せんぱいのおちんちん……。どうして…?どうして、まだ、こんなに硬くて、おおきいの…?」 ハの字を描く可憐な眉。涙に濡れそぼった大きな瞳は、恐怖にばかり彩られてふるふると揺らいでいる。 ああ。こいつ、もっと欲しいのか。こいつが泣きじゃくるときは、欲情している証拠だ。 「便器が喋ってんじゃねえよ…お前、俺の嫁になりたいんだろ?エロガキは大人しく狂ってりゃいいんだよ。」 腰を、8の字を描くように、ごりごりと蠢かせる。引き攣った声を漏らして、少年は身を竦ませて息んだ。きゅううとペニスが搾られる。いい具合だ。 「やさしく、やさしくして、くださいぃ……。痛いのは、大好きだけど……。 さっきみたいなのは、激しすぎて、息ができないです……。 それに、もう、ぼく、射精できないよぅ……。もう、せーえき、濁ってないの。さらさらになっちゃったの、お、 むほぉおおおお!!!」 少年の言葉が終わるのも待たず、また腰の突き立てを繰り返す。亀頭がひりつくにも構わず、貪欲に射精を求めて止まない。 「あぎいいいいい!!!いぎゅういいいいいいううう!!!だっ、だめっ、だめぇ!!だめえええ!!!」 責めは終わらない。手加減するつもりもない。少年の本気アクメはこれからだと、経験が知っていた。 涎と汗と涙を撒き散らす少年は、ごっぷりと膨らんだ腹をたぽたぽと揺すって、再び齎される逃走不能の快楽によがり狂い始める。 短く詰まった呼吸は肉体の限界を物語っているようだが、尻の痙攣はいつまでも俺を悦ばせて離さなかった。 事後のこいつの吐息は、いつだって浅く、早い。 焦点の合わない濁った瞳はあらぬ方向を向いて、肢体をふるふると震わせながら幾度もの絶頂の余韻に感じ入っていた。ぼっかりと開いた肛門の様相は、ピンク色の腸壁が捲れ腫れ上がって、切なげにヒクヒクと、艶かしい痙攣を打っていて、 汗ばんだ肌は、白い皮膚の下が薄く赤らみ、熱く火照った肉体を盛んに冷やそうと毛細血管を滾らせている。 限界まで犯し尽した後は、大抵がこうなる。 甘く優しく嬲ろうとしたつもりが、その約束で抱く予定が、途中から自分の獣欲を止められなかった。 「大丈夫か?」 全身を蕩かせながら横臥する子供の頬近くに顔を寄せて、まともな意識があるかどうか確かめた。 「はふ。せんぱいぃ、んふんぅっ、せ、ん、ぱい……、ん…ふぅぅ…せん、ぱいぃ」 ……まるで駄目だった。涙が滲んで赤く腫れた虹彩をうっとりと彷徨させながら、壊れたテープカセットの再生のように、俺のことを何度も呼ぶように囁いている。 その様相は恍惚というより、まるで痴呆そのもので、少なくない充実感を俺の胸の内に芽生えさせる。 「……………動くなよ。」 「あ………む………」 ひっきりなしに俺を求める唇を、自分の同じそれで塞ぐ。ヒクつく舌を捕えて離さず、折られて不揃いな歯を撫でてやる。 快楽に陶酔し切って夢心地の中にいた少年は呼吸の道を塞がれて、脳味噌が酸素を要求し始めたせいで、いきなり現実に引き戻された。 暗く黒い瞳に光が差し込む。はっとした子供は俺と目が合ったあと、幸福そうに微笑んで再び目を閉じた。 甘い唾液を吸い立てて、ようやく口を離した。唇に残る泡も舐め取ってやる。 「気がついたか?」 「はぁい…………」 意識ははっきりとしているようだが、こうして抱き締めていて分かる事に、体の痙攣が、まだ引いていない。 「もう……先輩、激し過ぎます……。おちんちん、狂って、破裂しちゃうかと思いました……」 腹の上にしこたまぶち撒けた自分の精液を指先でねとねと弄びながら、顔を火照らせて嬉しそうに囁くそれが、何故かとても愛おしい。 歳相応の笑みを一瞬だけ浮かべて、毛布の上を滑りながら、俺の胸元に頬擦りを寄せて来た。 「先輩、ありがとう……僕、男の子なのに、こんなにお腹いっぱい、出してくれて…… 僕のからだ、ちゃんと、先輩のおちんちんに、満足して貰えたんですよね。夢じゃないですよね、嬉しい…… 先輩。また、明日も……いっぱい愛して、下さいね………」 耳の後ろにかかった手触りも質もいい髪を愛撫しながら、酷く冷めた声色で、そしてはっきりと呟いた。 「………ヤリ狂ってばかりってのも、考え物だな。」 少年がその言葉を脳に伝えるのには、たっぷり五秒はかかった。 ゆるゆると俺の肩甲骨から頬を離し、腕の中から見上げて来る瞳は驚愕の色に満ちている。 「え…………?」 「………なんでもねえよ。とっとと寝ろ。」 指先で目蓋を撫でてやり、無理にでも目を閉じさせる。 それでも足りず、心臓の鼓動が肉を伝って鼓膜に聞こえるまで強く抱き締めて、それでようやく少年は浅い眠りに就けたようだった。 冷静に醒めた頭で考える。このままで、いいのだろうか。 こいつは、このままでは、本当にただの性奴隷だ。 本当ならば、正しい判断は、それでいい筈だ。 あれの身体など顧みもせずに、ただひたすら犯し尽して。 飽きれば喉笛でも掻き切り、四肢五体を五寸刻みに切り裂き挽き肉にして、下水にでも流せばそれでいい。 生きたまま解体して欲しいというのも、あいつの口から聞いた望みでもある。 「先輩に迷惑をかけた償い」という理由だそうだ。 それでいいのか。 まともな人間らしい趣味もない。特技といえば、力に任せた暴力に、顔色も変えず耐え切れるくらいのもの。 せめて人並みの、少しくらい真っ当な人生を歩ませてやりたいと思うのは、行き過ぎた情の作り出す錯覚で、度を越した傲慢なのだろうか。 最早自分の生に何の希望も抱いていない、退廃と破滅ばかりを願う子供に、何を施しても無駄なのだろうか。 誰も答えを返さない。ただ粛々と冷笑を湛えた三日月が、ちっぽけな俺たちを見下している。 ------------------------------------------------------------------------------- 夏が始まろうとしている。 もう何年も歩いていない道だった。 ただ、苗を植えたばかりの水田と、雑草のしこたま生えた畦道は、遠い昔と変わらない。 もうカンカン照りの日和だと言うのに、こうしてただでさえ体温の高い子供と手を繋いで、寄り添って歩いているなど、正気の沙汰とは思えない。 「先輩っ!僕を死なせてくれたら、お肉食べて下さい!」 「肉より魚が食いたい。魚。」 「じゃ、じゃあ僕のこと、溺れ死ににさせて下さい!お風呂の……いつものを……もっと……」 「焼き魚じゃないのか?なら、お断りだ。」 「え、焼き…?うーん、水で、火で…ガソリン?うーん……」 「蟹が食いたい。蟹。伊勢海老でもいい。」 「……?蟹さんって、食べられるんですか?……海老?」 「俺はお前の食感覚がわからん。」 季節にはまだ早いが、白いワンピースだけを着ただけの、まるで少女のような美しい少年と、あやふやな会話を続けながら既に一時間以上を経過。 バスを降りた後に無闇な距離を歩くしかない、永久不変にも思えるド田舎ぶりだった。 こいつの容貌なら、目玉の節穴な家の連中はだまくらかせるだろうと思うが、油断はならない。 「先輩の家って、まだ歩きます?」 隙を見せれば腕だの背中だのに纏わり付いて来る色ボケガキをあしらうのにばかり労力を費やしていたが、ようやく覚えのある坂が見えて来た。これが最後だろう。 所帯を持たないと宣言して家から脱走しておいてはや数年、今更『嫁』などという物体を見せに帰るなど、限りなく時間の無駄だった。 「男だとか言うなよ、言ったら首を圧し折る。」 「いっぱい折って下さい!」 話の通じない馬鹿との旅路も、ようやく終わりに差し掛かろうとしている。
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