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僕は子供の頃、モーニング娘。に憧れていた。 男の子なのに彼女たちみたいに踊れたらな、ってTVを見ながら思ってしまった。 男なんだから、憧れるにしても同性のジャニーズのアイドルになりたいと思うのが普通だろう。 だけど、僕はよりによって当時人気絶頂だった女性アイドルになりたかった。 丁度よく、見ていた番組でキッズオーディションが開催されることが発表され、すぐに受けてみたくなった。 まだ小さい子供だったから、お母さんに何度も何度も受けてみたいとせがんだ。 『千聖、あなたは男の子だからあのオーディションには受けられないの・・・諦めて』 だけど、僕は諦められず、お母さんに泣きすがってお願いした。 そして、性別を偽りオーディションを受け・・・まさかの結果となった・・・ お母さんは言った、絶対にあなたが男の子だって皆にバレたらダメよって。 バレるのを防ぐ為、僕はレッスン場に行く時は常に女の子の服装を身につけていた。 下着まで女の子のものを着なくちゃだから、恥ずかしくて移動中は知ってる人に会わないように注意した。 こんなヒヤヒヤした思いをしてまでレッスンに行くのが嫌だった。 それでも耐えられたのは憧れのモーニング娘。になりたいという憧れが心の底にあったからだ。 僕も早く彼女たちの仲間になりたい、それがなかったら今の僕はステージには立っていない。 ステージに立って唄って踊る時の快感といったら言葉には出来ないものがある。 その快感を知るまでの間、僕はレッスンに明け暮れた。 来る日も来る日も、一面鏡張りの部屋で女の子たちに混ざって踊り続ける。 いつになったらモーニング娘。になれるんだろう、という疑問を抱いてのレッスンは辛かった。 目指していたはずのゴール、それがどんどん見えなくなっていく・・・ しかも、僕だけ男の子の環境なのだから周りと馴染めるはずがなく、浮くばかり。 特に同じ歳の鈴木愛理と菅谷梨沙子の二人は、意識したくなくてもせざるをえなかった。 愛理は、キッズに入った段階で歌もダンスもずば抜けた実力を持っていて、勝手にライバル視していた。 りぃちゃんに至っては、同じ歳ですごく可愛い女の子が入ったなって異性としてドキドキしていた。 お母さんは『同じ歳なんだから仲良くすればいいじゃない』、と簡単に言ってくれるが、そんなわけにはいかない。 だって、二人は僕のライバルなんだもの・・・ 愛理だってりぃちゃんだって、モーニング娘。が目標に決まってるから、お友達だなんて気軽にはなれない。 それに・・・僕は男の子なんだ。 誰にも言えない秘密を抱えたままレッスンをする日々が続いていた頃、ついに知られてしまった。 相手は、嗣永桃子こと桃ちゃんと呼ぶ僕の初恋の人だった・・・ [[次のページ→>2]]
僕は子供の頃、モーニング娘。に憧れていた。 男の子なのに彼女たちみたいに踊れたらな、ってTVを見ながら思ってしまった。 男なんだから、憧れるにしても同性のジャニーズのアイドルになりたいと思うのが普通だろう。 だけど、僕はよりによって当時人気絶頂だった女性アイドルになりたかった。 丁度よく、見ていた番組でキッズオーディションが開催されることが発表され、すぐに受けてみたくなった。 まだ小さい子供だったから、お母さんに何度も何度も受けてみたいとせがんだ。 『千聖、あなたは男の子だからあのオーディションには受けられないの・・・諦めて』 だけど、僕は諦められず、お母さんに泣きすがってお願いした。 そして、性別を偽りオーディションを受け・・・まさかの結果となった・・・ お母さんは言った、絶対にあなたが男の子だって皆にバレたらダメよって。 バレるのを防ぐ為、僕はレッスン場に行く時は常に女の子の服装を身につけていた。 下着まで女の子のものを着なくちゃだから、恥ずかしくて移動中は知ってる人に会わないように注意した。 こんなヒヤヒヤした思いをしてまでレッスンに行くのが嫌だった。 それでも耐えられたのは憧れのモーニング娘。になりたいという憧れが心の底にあったからだ。 僕も早く彼女たちの仲間になりたい、それがなかったら今の僕はステージには立っていない。 ステージに立って唄って踊る時の快感といったら言葉には出来ないものがある。 その快感を知るまでの間、僕はレッスンに明け暮れた。 来る日も来る日も、一面鏡張りの部屋で女の子たちに混ざって踊り続ける。 いつになったらモーニング娘。になれるんだろう、という疑問を抱いてのレッスンは辛かった。 目指していたはずのゴール、それがどんどん見えなくなっていく・・・ しかも、僕だけ男の子の環境なのだから周りと馴染めるはずがなく、浮くばかり。 特に同じ歳の鈴木愛理と菅谷梨沙子の二人は、意識したくなくてもせざるをえなかった。 愛理は、キッズに入った段階で歌もダンスもずば抜けた実力を持っていて、勝手にライバル視していた。 りぃちゃんに至っては、同じ歳ですごく可愛い女の子が入ったなって異性としてドキドキしていた。 お母さんは『同じ歳なんだから仲良くすればいいじゃない』、と簡単に言ってくれるが、そんなわけにはいかない。 だって、二人は僕のライバルなんだもの・・・ 愛理だってりぃちゃんだって、モーニング娘。が目標に決まってるから、お友達だなんて気軽にはなれない。 それに・・・僕は男の子なんだ。 誰にも言えない秘密を抱えたままレッスンをする日々が続いていた頃、ついに知られてしまった。 相手は、嗣永桃子こと桃ちゃんと呼ぶ僕の初恋の人だった・・・ [[次のページ→>2]]

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