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 えりかちゃんは後ろから千聖の胸をがっしりと掴み、私にも一緒に触ってみない?、とにやっと笑った。
千聖は胸を掴まれ、えりかちゃんやめてよぉ、と必死に訴えかけている。
その姿がとても可哀そうに見えてしまったものだから、私は完全に千聖が男の子であるかどうかどうでもよくなった。
男の子だからって何だっていうんだ、ずっと一緒にやってきた仲間じゃん。
舞波がいなくなって、めぐもいなくなって、オーディションを合格した仲間の大切さはよくわかってる。
事務所が知ったら大事になるのは馬鹿な私でも十分わかるし、千聖が男の子かどうかなんて騒ぐのはやめよう。

「もうやめなってば。えりかちゃんだって本気でそんなこと信じてるわけじゃないんでしょ。℃-uteのメンバーなんだし」
「千奈美は男の子だって信じないんだね。わかった。私が話したかったことってこれでおしまい」

 千聖の胸を掴むのもやめて、えりかちゃんはみやでも呼んで来ようと言って、去って行った。
残された私と千聖は、あっけない終わりに拍子ぬけして立ち尽くしてしまう。
お互いに顔を向きあい、次どうしたらいいのかわからず、照れ笑いを浮かべる。
何か話さなくちゃって自分に言い聞かせてみるけど、こういう時に限っておしゃべりな口がまわってくれない。
「あははは、やっ」と何となく挨拶してみると、「どうも」なんて頭を下げられる。
どうしたらいいんだろうな、えりかちゃんもほったらかしにしないで戻ってきてほしい。
と、ここで私の心の中でも見抜いてほしい、と思ってもいないのに、いつの間にやらえりかちゃんが戻ってきていた。

「あ、そうそう」
「うわぁぁぁぁ!! び、びっくりしたぁ。お、驚かさないでよ」

 えりかちゃんを横から月が照らしだし、ホラー映画のモンスターのように不気味にみえてくる。
そして、両手をぶらんと垂れさせ、顔を引きつらせて、魔女みたいな笑い声をあげて、こう呟いた。

「ここお墓だからお化けでるかもよ。私は臆病だし、一秒たりともここにいたくないんだよ」

 そうだった、ここは紛れもなく幽霊でも出そうなお墓だったのだった。

「じゃあ、私はこれで。じゃあ、、バイバ~イ。お化けこわっ」
「え、えっ・・・ちょ、ちょっと~待ってぇ~」

 運動神経ほぼ0のえりかちゃんが走るのを追いかけて、私と千聖も走った。
ハロプロのスポーツ大会の時よりも足が遅くなっている自分にショックだったけど、そんなことは気にしていられない。
お墓から一センチでも遠くに行きたくて、ひたすら走り続け、お寺に着くころには、心臓がバクバクいって破裂しそうだった。

「えりかちゃんの馬鹿。怖くなっておしっこ行きたくなっちゃったじゃんか。あぁ~一人じゃトイレ行きたくないよ」
「じゃあ、三人で行きますか? ね、千聖」
「うん、ちさともトイレ行きたい。ちょ~漏れそう。ピンチだよ」

 さっきまでの張りつめた空気がなくなって、いつものベリキューに戻れた。
トイレを済ませて撮影現場に戻った私を待ちうけていたのは、さっきも行ったお墓にまた行くことだった。
えりかちゃんは「さっきも行ったんだし、平気だよ」と言ってくれたけど、あんな場所に慣れるわけがない。
ロケの間中怖くて怖くて、早く皆のところへ帰りたくて仕方なかった。
途中、電話が鳴りだす大ハプニングがあって、恐怖倍増とはなったロケも無事に終わってくれた。

 あのロケが終わって放送を見たとき、ふとあんなことがあったなってことを思い出した。
怖い思いもしたけど、それ以上に舞美への思いも強くなった実感がある。
人から信用されるのは楽じゃないし、なくした信用を取り戻すのはもっと大変だ。
だからこそ、大事な親友を裏切ることはしたくない。
そう誓った私は今日も自分の中の悪い癖と闘い続けるのであります。

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