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 世界同時不況の煽りを受けてか、今日も都会の片隅で幼い妹と弟の為にと靴を磨く一人の少年の姿がそこにあった。

「靴綺麗にしますよ~一回500円でピッカピカにしちゃいまぁ~す。おっ、そこのかっこいいスーツ姿のお兄さん、どうですか?」

 元々肌が浅黒いのもあるだろうが、仕事で使う油を洗い落とし切れていないせいでところどころに黒い染みがついている。
少年は身なりこそ汚かったが、通り過ぎの青年に向かってにっこりと微笑んだ。
しかし、青年はそんな少年を一目見るやそそくさと足早に去って行った。

「次はお願いしますね~いつもここにいますから」

 汚いものを見る目で見られたというのに、少年はそれでも去っていく青年に向けて笑顔で大きく手を振った。
何が少年を前向きにさせるのかは知らないが、少年は去っていく人たちに決して悪態もつかずにいつも笑顔で見送るのだ。
今どきたかが靴磨きに寄って行こうなんて酔狂な人は少なく、この大都会・東京でも一日に一人か二人寄ればいい程度だ。

「はぁはぁ・・・うぅ~寒い・・・さすがに日が暮れてきたし、今日はこれくらいで帰ろうかな」

 少年はすっかり日が落ちた空を眺めた後、商売道具を畳んで家路へと急いだ。
今も腹を空かして兄の帰りをひたすら待つ妹たちの顔が浮かび、フラフラした足取りにもかかわらず走る。
スーパーの明りをみつけ、少年は今日のご飯を買おうと立ち寄ることにした。
安く買えるタイムセールを狙ってスーパーへやってきたのだが、どうやら読みが当たったらしく、店内では主婦がタイムセール品に大勢群がっていた。
その大群を前にしても少年は怯まず、僕も買いますと声を張り上げて、商品を掴もうと進む。
誰かの肘が当たったり、足を踏まれたりするアクシデントにあいながらも、彼は前へ進み商品を掴むことができた。

「よかった。これで明日菜たちにご飯を買ってあげられた。えへへ」

 お店を出てレジ袋に詰まった牛乳や野菜やらをみて、自然と笑みがこぼれる。
夕飯はもうチャーハンに決めていた少年は、どんな風に作ろうか悩みながら家へと一歩また一歩と近づいていく。
目の前に見える、大きな公園。
ここを突っ切れば、家までもう少しだ。
そう思ったところで、少年は滑り台から聞こえてくる小さな鳴き声に引き寄せられていった。
そこには少年の大好きな一匹の子犬が体を震わせて縮こまっていたのだった。
この出会いこそが後に一人の少女との出会いをも引き起こすのであった。

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