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 桃ちゃんは僕らキッズの中でも年長組で、今ではすっかり弄られキャラが定着したが当時は面倒見のいいお姉さんだった。 キッズには僕より年下の舞ちゃんを含め、まだまだ手のかかるメンバーが多かったから年長組は自然と年少組の面倒を任されていた。 そういう事もあり、お姉ちゃんのいない僕はすぐに桃ちゃんを『お姉ちゃん』として慕い、桃ちゃんも『千聖』と呼んで可愛がってくれた。 その桃ちゃんに僕が男の子だとバレたのはレッスン終了後の着替えの時だった。  僕は女の子としてレッスンに通っていたから、当然服装から持ち物まで女の子のものを使っていた。 お母さんが『あなたがモーニング娘。になりたいなら、絶対に必要なことなの』、と言われては嫌だけど従うしかなかった。 だから、僕は周りの目を気にして、皆から離れた場所で一人で着替えをすることが多かった。 僕は女の子であることを突き通す事に恥じらいを感じ、内緒でたまにお母さんの言いつけを破っていつものを着ていった日もある。 桃ちゃんにバレた日も、僕は普段通りの服装でレッスン場に行き、周りに誰もいないことを確認して着替えだした。 その時、背後からかけられた桃ちゃんの声に心臓が止まるくらいの驚きと焦りを感じていた。 「ねぇ、千聖さぁ~今日はやけに男の子みたいな服着てるんだね」  僕は喉が渇き、返す言葉がみつからずに気持ちばかりが焦り、何もできない。 何か言葉を話そうと力めば力むほど、口からは『あ』とか『う』といった呻き声しかあがらない。 しまった、ここに至って僕はお母さんの言いつけをあれ程守ることの重要さを知り、守らなかった自分を責めた。 「どうしたの?固まっちゃってさ。ちょっと~千聖」 「う・・・うん」 「うんじゃないでしょ。いつも以上にボーイッシュだから驚いたなぁって桃は言ってるの」  キッズの仲間でも僕は元が男だからというのもあるけれど、ボーイッシュだねとよく皆から言われる。 愛理はプロゴルファーのお父さんがいて、お金持ちだから服装から何から上品さが漂う。 りぃちゃんはくりっとした大きくて丸い瞳が魅力的な女の子で、デビューもしていない時点でファンが大勢いた。 いやがおうにも、僕はこの同級生たちと比較され、皆から『岡井少年』と名づけられていた。 僕は事実、男の子なのだし少年と言われて間違ってはいないのだけれど、それでも可愛いと言われる二人には軽い嫉妬を覚えた。 モーニング娘。に憧れるくらいなのだから、僕だって男の子なのに可愛いと言われたいのだ。 おかしいのかもしれないけれど、僕は可愛いと言われたかったのだから仕方ない。 「千聖、体の調子がおかしいの?返事もしないで。どれどれ、熱はないみたいだね」と桃ちゃんは僕の額に手を当ててきた。 ひんやりと冷たい桃ちゃんの掌が、緊張して熱くなった額に触れる。 ただ、それだけなのに僕には照れ臭かった。 「も、桃ちゃん・・・」 「あ、ようやくしゃべったと思ったら私の名前呼んだだけなんて、おかしいぞ」 「だって、桃ちゃんがいきなり触るからさ・・・驚いたんだよ」 「あははは、それにしたって驚きすぎ。何か私に隠し事でもしてるから驚いたとか?」 「い!?」 「えぇ~隠し事してたんだぁ。お姉ちゃんショックぅ~。千聖は私に何でも話してくれてると信じてたのに」 桃ちゃんは僕の目を一瞬たりとも逸らさずに話して、と目で訴えかけてくる。 そういった時、僕はうまく誤魔化そうと適当な言い訳を並べるのだが、桃ちゃんには見抜かれてしまう。 千聖は嘘が下手だから何でも正直に話しなさい、それが桃ちゃんが僕にお説教を言う時の決まり文句だった。 僕はここで自分が男の子だ、とバレたらどうなるか子供ながらに考えてみたが、今みたいに物事を知らなかったから 最悪の状況まで検討していなかったのだ。 だから、僕は『お姉ちゃん』である桃ちゃんになら、話したほうがいいのかなと・・・つい、話してしまった 「あのね、僕は男の子なんだ」 「何言ってるのぉ~いくら千聖がボーイッシュだからって男の子はないよ。冗談はやめなさい」 「ホントなんだ。桃ちゃんは何でも正直に話してって言ったでしょ。だから、僕はホントのことを言ったの」 「で、でも・・・千聖は女の子だからここにいるんじゃないの?」 「お母さんがモーニング娘。になりたいなら、女の子のふりをしなさいって」  僕は顔から火が噴き出しそうなのをこらえ、桃ちゃんに全てを話しきった。 信じられなさそうにしていた桃ちゃんも、熱心に訴えかける僕を見て嘘や冗談ではないと悟ったという。 「千聖、男の子なんだ・・・」 「驚いた?」 「うん、そりゃあね。でも、千聖が男の子だって知ってるの私だけ?」 「桃ちゃんにしか言ってないよ。だって、皆には内緒にしなさいとダメよって言われてるから」 「皆が知ったら千聖はキッズにはいられなくなっちゃうね・・・桃は弟がもう一人出来て嬉しかったし、いなくなってほしくないな」 「ありがとう・・・」 「でも、まだ信じられない。千聖が男の子だなんて」  それもそうだよね、僕がいくら説明したところで今まで女の子として活動してきたんだもの。 首を傾げ、考え込むようなポーズを取ってしばらくした後、桃ちゃんはついてきて、と僕をロッカールームの奥に連れ込んだ。 薄っすらと影が差し込み、人に簡単にみつかりそうにないこの場所で桃ちゃんは何をするんだろう。 僕と桃ちゃん、二人だけの空間にお互いの吐く息がかかりあう。 どうしてだろうな、変な緊張感がある・・・ 「あのね、千聖が男の子だって証拠にある物をみせてほしいの。そうしたら、信じてあげるし、桃が千聖の秘密守ってあげる」 「ある物って?」 「千聖のおちんちん」  桃ちゃんは『おちんちん』と言う時だけ、僕の耳元でぼそっと囁いた。 近くに誰もいないし、物音はしないから決して空耳だとか聞き間違いはありえないのだ。 桃ちゃんは僕に確認の為にどうしても見せて、としつこくせがんで引き下がってくれない。 僕は誰かに見られたくないから、また周りを窺うようにして桃ちゃんに信じてほしいとズボンを脱ぎだした。 [[←前のページ>1]]   [[次のページ→>3]]
 桃ちゃんは僕らキッズの中でも年長組で、今ではすっかり弄られキャラが定着したが当時は面倒見のいいお姉さんだった。 キッズには僕より年下の舞ちゃんを含め、まだまだ手のかかるメンバーが多かったから年長組は自然と年少組の面倒を任されていた。 そういう事もあり、お姉ちゃんのいない僕はすぐに桃ちゃんを『お姉ちゃん』として慕い、桃ちゃんも『千聖』と呼んで可愛がってくれた。 その桃ちゃんに僕が男の子だとバレたのはレッスン終了後の着替えの時だった。  僕は女の子としてレッスンに通っていたから、当然服装から持ち物まで女の子のものを使っていた。 お母さんが『あなたがモーニング娘。になりたいなら、絶対に必要なことなの』、と言われては嫌だけど従うしかなかった。 だから、僕は周りの目を気にして、皆から離れた場所で一人で着替えをすることが多かった。 僕は女の子であることを突き通す事に恥じらいを感じ、内緒でたまにお母さんの言いつけを破っていつものを着ていった日もある。 桃ちゃんにバレた日も、僕は普段通りの服装でレッスン場に行き、周りに誰もいないことを確認して着替えだした。 その時、背後からかけられた桃ちゃんの声に心臓が止まるくらいの驚きと焦りを感じていた。 「ねぇ、千聖さぁ~今日はやけに男の子みたいな服着てるんだね」  僕は喉が渇き、返す言葉がみつからずに気持ちばかりが焦り、何もできない。 何か言葉を話そうと力めば力むほど、口からは『あ』とか『う』といった呻き声しかあがらない。 しまった、ここに至って僕はお母さんの言いつけをあれ程守ることの重要さを知り、守らなかった自分を責めた。 「どうしたの?固まっちゃってさ。ちょっと~千聖」 「う・・・うん」 「うんじゃないでしょ。いつも以上にボーイッシュだから驚いたなぁって桃は言ってるの」  キッズの仲間でも僕は元が男だからというのもあるけれど、ボーイッシュだねとよく皆から言われる。 愛理はプロゴルファーのお父さんがいて、お金持ちだから服装から何から上品さが漂う。 りぃちゃんはくりっとした大きくて丸い瞳が魅力的な女の子で、デビューもしていない時点でファンが大勢いた。 いやがおうにも、僕はこの同級生たちと比較され、皆から『岡井少年』と名づけられていた。 僕は事実、男の子なのだし少年と言われて間違ってはいないのだけれど、それでも可愛いと言われる二人には軽い嫉妬を覚えた。 モーニング娘。に憧れるくらいなのだから、僕だって男の子なのに可愛いと言われたいのだ。 おかしいのかもしれないけれど、僕は可愛いと言われたかったのだから仕方ない。 「千聖、体の調子がおかしいの?返事もしないで。どれどれ、熱はないみたいだね」と桃ちゃんは僕の額に手を当ててきた。 ひんやりと冷たい桃ちゃんの掌が、緊張して熱くなった額に触れる。 ただ、それだけなのに僕には照れ臭かった。 「も、桃ちゃん・・・」 「あ、ようやくしゃべったと思ったら私の名前呼んだだけなんて、おかしいぞ」 「だって、桃ちゃんがいきなり触るからさ・・・驚いたんだよ」 「あははは、それにしたって驚きすぎ。何か私に隠し事でもしてるから驚いたとか?」 「い!?」 「えぇ~隠し事してたんだぁ。お姉ちゃんショックぅ~。千聖は私に何でも話してくれてると信じてたのに」 桃ちゃんは僕の目を一瞬たりとも逸らさずに話して、と目で訴えかけてくる。 そういった時、僕はうまく誤魔化そうと適当な言い訳を並べるのだが、桃ちゃんには見抜かれてしまう。 千聖は嘘が下手だから何でも正直に話しなさい、それが桃ちゃんが僕にお説教を言う時の決まり文句だった。 僕はここで自分が男の子だ、とバレたらどうなるか子供ながらに考えてみたが、今みたいに物事を知らなかったから 最悪の状況まで検討していなかったのだ。 だから、僕は『お姉ちゃん』である桃ちゃんになら、話したほうがいいのかなと・・・つい、話してしまった 「あのね、僕は男の子なんだ」 「何言ってるのぉ~いくら千聖がボーイッシュだからって男の子はないよ。冗談はやめなさい」 「ホントなんだ。桃ちゃんは何でも正直に話してって言ったでしょ。だから、僕はホントのことを言ったの」 「で、でも・・・千聖は女の子だからここにいるんじゃないの?」 「お母さんがモーニング娘。になりたいなら、女の子のふりをしなさいって」  僕は顔から火が噴き出しそうなのをこらえ、桃ちゃんに全てを話しきった。 信じられなさそうにしていた桃ちゃんも、熱心に訴えかける僕を見て嘘や冗談ではないと悟ったという。 「千聖、男の子なんだ・・・」 「驚いた?」 「うん、そりゃあね。でも、千聖が男の子だって知ってるの私だけ?」 「桃ちゃんにしか言ってないよ。だって、皆には内緒にしなさいとダメよって言われてるから」 「皆が知ったら千聖はキッズにはいられなくなっちゃうね・・・桃は弟がもう一人出来て嬉しかったし、いなくなってほしくないな」 「ありがとう・・・」 「でも、まだ信じられない。千聖が男の子だなんて」  それもそうだよね、僕がいくら説明したところで今まで女の子として活動してきたんだもの。 首を傾げ、考え込むようなポーズを取ってしばらくした後、桃ちゃんはついてきて、と僕をロッカールームの奥に連れ込んだ。 薄っすらと影が差し込み、人に簡単にみつかりそうにないこの場所で桃ちゃんは何をするんだろう。 僕と桃ちゃん、二人だけの空間にお互いの吐く息がかかりあう。 どうしてだろうな、変な緊張感がある・・・ 「あのね、千聖が男の子だって証拠にある物をみせてほしいの。そうしたら、信じてあげるし、桃が千聖の秘密守ってあげる」 「ある物って?」 「千聖のおちんちん」  桃ちゃんは『おちんちん』と言う時だけ、僕の耳元でぼそっと囁いた。 近くに誰もいないし、物音はしないから決して空耳だとか聞き間違いはありえないのだ。 桃ちゃんは僕に確認の為にどうしても見せて、としつこくせがんで引き下がってくれない。 僕は誰かに見られたくないから、また周りを窺うようにして桃ちゃんに信じてほしいとズボンを脱ぎだした。 [[←前のページ>1]]   [[次のページ→>3]]

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