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 舞波が男の子だと知ったのは、千聖のときと違って偶然だった。 一人でレッスンが終わるとそそくさと着替えに向かう舞波をみては、これは何かあるなと勘付いた私は彼を追ってロッカーへ向かった。 千聖も着替えを覗かれたことで、他のメンバーにもバレていったみたいだけど、バレて当たり前だったのだ。 皆、着替えは同じ部屋を使用するのだから、バレない方が奇跡に近い。 千聖みたいに気をつけているようでつけていない子はともかく、舞波はしっかりいていたから余計に驚いたと思う。 私と目があった瞬間、彼の顔から血の気が引くのをみた気がした。 みてしまった私は私で気まずく思いながらも、立ち去ることもできずに声をかけていた。 「や、やぁ~偶然だねぇ~。あははは、一人で何してるのかなぁって気になってつけてきちゃったんだよね」  こんな緊迫した場面でぽんと言い訳が思いつくわけもなく、本当のところを話すしか出来なかった。 私の言い訳を聞いて、舞波は口をアルファベットのWに似た形にして、困ったねぇと呟いた。 困ったねぇ、と言いつつも顔はそれほど困ったようにはみえなかったから、実に冷静な子だったのだろうな。 「桃子、落ち着いてきいてね。どこから説明しようかな。僕、実は男なんだ。びっくりするよね」  普通なら驚かずにはいられない告白も、この時の私には千聖という前例があった。 あまり驚ずに済んだのは助かったのか、舞波はゆっくりと今までのことで語りだした。
 舞波が男の子だと知ったのは、千聖のときと違って偶然だった。 一人でレッスンが終わるとそそくさと着替えに向かう舞波をみては、これは何かあるなと勘付いた私は彼を追ってロッカーへ向かった。 千聖も着替えを覗かれたことで、他のメンバーにもバレていったみたいだけど、バレて当たり前だったのだ。 皆、着替えは同じ部屋を使用するのだから、バレない方が奇跡に近い。 千聖みたいに気をつけているようでつけていない子はともかく、舞波はしっかりいていたから余計に驚いたと思う。 私と目があった瞬間、彼の顔から血の気が引くのをみた気がした。 みてしまった私は私で気まずく思いながらも、立ち去ることもできずに声をかけていた。 「や、やぁ~偶然だねぇ~。あははは、一人で何してるのかなぁって気になってつけてきちゃったんだよね」  こんな緊迫した場面でぽんと言い訳が思いつくわけもなく、本当のところを話すしか出来なかった。 私の言い訳を聞いて、舞波は口をアルファベットのWに似た形にして、困ったねぇと呟いた。 困ったねぇ、と言いつつも顔はそれほど困ったようにはみえなかったから、実に冷静な子だったのだろうな。 「桃子、落ち着いてきいてね。どこから説明しようかな。僕、実は男なんだ。びっくりするよね」  普通なら驚かずにはいられない告白も、この時の私には千聖という前例があった。 あまり驚かずに済んだのは助かったのか、舞波はゆっくりと今までのことで語りだした。 [[←前のページ>桃ちゃん編 10]]   [[次のページ→>桃ちゃん編 12]]

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