約束をしよう、あなたと  ◆vPecc.HKxU


「それで……ミーはその仮面の男から逃げる途中でミクと会い、テレビ局を向かっていたというわけですね」

一通り事情を聞きだしたラミアは確認のため、ミーに再度問いかける。

「はい、こんな子を戦場に出すわけにもいきませんから」
「民間人の保護とは。軍に属す者として厚く御礼申し上げますわ」
「はあ………」

3人…一応単位を整えると3名はテレビ局に向かう途中だった。
目的地は同じということで、とりあえずお互いの身の上をを話し合った彼らは少なくとも相手に敵意がない、と感じ
足並みをそろえることにしたのだ。
後ろでミクがネギのような長い棒をいじくっている最中、ミーとラミアはさらに話を進める。

「ラミアさんはここに知り合いはいますか? ミクはいないらしいんですけど」
「ごめんったらありゃしないのですよ。残念で幸いで幸か不幸かここにはいないみたいだったりでございますわ」
「はあ……(変な喋り方の女の人だなぁ)」

ここにはまともに喋る女の人はいないのだろうか?
思えば今まで自分の周りにまともな女の子(女型)はいなかったなぁとふとミーは過去振り返る。

「ミーの知り合いは?」
「1人クロっていうのがいるんですけど…僕と同じサイボーグ猫です。黒いの」
「クロ……シロという猫はいませんのでござんす?」
「いや、シロはいませんけど…」
「何でもないのですます。失礼しましたなのでありますのです」

クロという名前を聞き、ああどこにでも見たままの名前を名づける者はいるものだ、とラミアは思う。
だが、どちらかというとラミアが気にしているのはそっちの方ではない。
細かい表情が読み取れないミーの目線から明らかに出ている疑惑の目。

(く……カイ少佐はあまり気にせずにいてくれたが。あまり不思議がられても困るな。
 それはそれで信用を失いかねん)

もともとは高圧的な態度で相手を怯えさせないために使おうとした敬語。
だが、逆効果となってしまうのなら話は別だ。

(これだけ話せば威圧云々を気にすることもないだろう。よし)

「でも、クロはかなり暴れるやつなんで…それに強いし、しばらくほおって置いても大丈夫だと思います」
「ほう。だが、腕が立つとなれば是非仲間にしたいところだな」
(………アレ?)

「え? あ、はい。大人しく言うことを聞いてくれればいいんですけど」
「一筋縄ではいかん……か。当面当てにはできんか。
 仮面の男とやらの名前は分からないのか?」
(…ジー……)

「(いきなりまともになった?)いえ、僕が聞いたのは声だけだったので。
 とにかくあいつが危険人物かもしれないっていうことだけしか…」
「いかんな。情報がなければ判断もつかんし戦術も立たん。
 戦場で言えば丸腰同然だ。早いうちになんとかしなければ……」
(ジーー)

「ミク、どうしたの? ラミアさんをじっと見て」

気付くと後ろで遊んでいたはずのミクが何やら不安そうな目でラミアを見ている。

「…ラミアサン?」
「どうした? ミク」
「アノ……言葉…」
「言葉がどうか……」
「……………」

ミクの不安そうな目がだんだん寂しげなものに変わっていく。
ラミアが何かしたのだろうか?
2名には検討もつかな……いや、1つだけ思い当たるものがあった。

「しちゃったりしてなかったりしたりしなかったりしちゃうのでしょうですか?」
「……! イエ、なんデモありまセンっ!」

途端に安心したように笑顔になるミク。

(………しばらくはこのままでいた方が無難、か)



 ◇  ◆  ◇




C-7エリアからD-7エリアにかけてそびえ立つ建物はテレビ局と電波塔である。
日本では20世紀半ばより造られ、以後日常生活へとマスメディアを届けてきた。
それは例えば宇宙暦と呼ばれ、巨大ロボットによる戦いが起こる時代であろうと、
現代では手に余るような技術を以って歌うことだけを目的にロボットが作られるような遥か未来でも変わらない。

だが、今は感動を呼ぶ映像も、人々を楽しませる音声も届ける役割を果たさぬその場所に1人の改造人間と1人の自動人形がいた。


「アルレッキーノという楽師、パンタローネという道化師、コロンビーヌという舞姫……それがキミの従者の名前だな」
「はい。彼らは最も長く私に仕えてくれた最古の4人(レ・キャトル・ピオネール)が3人。
 必ずや私達の力になってくれるでしょう」

本郷のPDAに3名の名前が入力されていく。
フランシーヌ人形はその動きを見て、見よう見まねで同じようにPDAを操作する。
彼女が書き込む名前は風見志郎、神敬介、城茂、村雨良の4名の名前。
本郷と同じくしてこの会場に呼び出された正義の戦士達。

「…………」
「どうした? フランシーヌ。何かあったのか?」
「気になるのです。ドットーレがいないことが」
「ドットーレ?」
「彼はアルレッキーノ達と同じく最古の4人……3人がいるのであれば、彼もいると思うのですが」

フランシーヌ人形が統べていた自動人形の集団―"真夜中のサーカス"にいた自動人形は数多い。
その中でも何故自分と3人がこの場所にいるのか…それがフランシーヌ人形にとって不思議に思えた。

「なるほど……それなら俺も同じだな」
「本郷もですか?」
「仮面ライダーの名を持つ仲間は俺を含めて10人いる。なのにここにいるのは5人だ」
「シグマは何かの理由をもって私達を選んだ…と?」
「かもしれない。まだわからないがな」

仮面ライダー1号、2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX。
仮にこれが本郷猛、一文字隼人、風見志郎というような繋がりがあるのならばまだ話は分かる。
だが、あまりにも不規則な並び順。
そこにあるのは作為か。あるいは完全なる無作為か。

「考えていても仕方ないな。まずは動こう。  …………む?」
「本郷?」

「…誰かがこちらに向かってきている」



 ◇  ◆  ◇




ところ再び変わり、こちらはテレビ局前。
口調とは裏腹に、走りながら舌も噛まずに走る3名の参加者。
1人は冷静沈着にして精巧な人形を思わせる顔立ちのグラマラスな美女、ラミア・ラヴレス。
1人は少々長すぎるツインテールに電脳風味な格好をした美少女、初音ミク。
その両名に挟まれる幸せな男、もとい♂は………精神的に啓蒙していた。

「――そうデスカー。ラミアサンは軍の人ナンですネ。
 軍歌とかは歌ったりしマスか?」
「いえ。特に歌という歌は歌ったりしちゃったりしないんですことよこれが」
「ハァ……残念です。私、知リ合いに軍人サンがいないので聞キタかったんですケド」
「期待に添えなくてごめんあそばせですわ」

(……疲れる……この2人は疲れるよ、ゴー君)

ミーは嘆いていた。
かたや時折言葉が音階に乗って発射される少女。
かたや丁寧語謙譲語尊敬語を片っ端から使って発言する女性。
ハタから見れば両手の華のこの環境も、猫であるミーにとってはこの上なくキツイ。
ラミアもミクの言葉に一々付き合わなければいいのに、律儀に返してしまっているからいまいち止めづらい。
せめて先ほどのように普通に喋ってくれればいいものの、何故かラミアはまた変な喋り方に戻っている。

「ミーサンはどんな歌ガ好きデスカ? 私歌イますヨ」
「…何でもいいよ…僕あんまり音楽興味ないから」
「ムゥ……ジャア何がいいデショう……」

(うう……誰かまともな人がいたらいいんだけどなあ)


「あ、ココがテレビ局ノ入り口ですね」

そうこうしているうちに3名はテレビ局の前へと到着した。
まだ薄暗い中、テレビ局のロビーには灯りがともっている。
「誰かいるのかな…」
「可能性はありますわ……………っ!?」

その時、3名が自動ドアに近づく前にドアが開く。

この場にいるのは合わせて5名。
だが、奇しくもサイボーグ猫、人造人間、改造人間、自動人形、ボーカロイドとその形は全て似て非なる存在であった。




「俺の名は本郷猛」
「……っ!?」

本郷は何も聞かずに3名に名乗りを上げる。
彼らがこの殺し合いに乗っていないことを信じて。

「もちろん殺し合いに乗る気はない。彼女は……こほん、フランシーヌという」
「どうぞよしなに」
「フランシーヌ…? 名簿にはフランシーヌ人形と書かれておりますが?」

その言葉を聞き、すかさずラミアはPDAを取り出し確認する。
名簿に載る人物は本郷猛、そして確かにフランシーヌ"人形"と書かれている。

「その通りです。私はフランシーヌ人…」
「おっと、彼女を人形と呼ぶのはやめてやって欲しい。
 ここに本物のフランシーヌはいない。それに」

本郷の脳裏に先ほどの会話が過ぎる。
人形とは何か、人間とは何か。それらを踏まえて上で彼は言う。

「彼女は人形なんかじゃない。俺が断言しよう」
(…………)

力強い言葉とともにウインク1つを投げ、本郷が拳を握り締める。
その言葉に思わず3名は理解できない謎の説得力を感じさせられた。

「ということは、2人は殺し合いに乗ってないんですね?」
「はい。この身壊れるまで、抗うつもりです。本郷もまた……」
「そっか……よかったぁ」

大きな安堵の息をつき、自分は運がいい、とミーは思った。
初めて自分が目撃した人物は開始早々に人を殺したかもしれない殺人鬼。
だが、次に遭遇したミクは悪事を企むタイプではなく、ラミアも対シグマを志す者だ。
そして今目の前にいる2人も強い意志でシグマの野望を断とうとしている。
あとはラミアと2人にミクを保護してもらえれば自分は憂いなく動ける…そう思った。

「あなた達の名は?」
「ボクはミーっていいます」
「あっ、私ハ初音ミクです! 特技と好キなことは歌うコトです!」
「ラミア・ラヴレスだ。よろしく」

三者三様の挨拶。約1名は余計なことまで言う。

「キミ達はどうしてここに?」
「私は何かシグマの手掛かりがねえかと思いましてテレビ局へ」
「はあ……」
「ラミアは情報工学について明るいのか?」

フランシーヌ人形がラミアの奇妙な言葉に違和感を覚えつつも本郷はそれを流す。

「これでも元スパイの仕事をしちゃったりなんだりですから、自信はありますわん」
「そうか。実は、俺もここを調べたいと思っていたんだが、できれば人手が欲しいと思っていた」


(本郷猛……か)

ラミアはその名前を聞いたとき、何かが引っかかるものを感じた。
システムXNで違う世界に来たあと、どこかで聞いたような……

その時、ラミアのメモリーにある人物の名前が浮かんだ。

「本郷、ちょっといいでしょうか?」
「 ? どうしたんだい?」
「ギリアム・イェーガーという名前に心当たりはないでごわすか?」

ギリアム・イェーガー……とは、ラミアが所属する新特殊戦技教導隊の前身である旧特殊戦技教導隊の一員である。
その正体はラミアと同じくシステムXNによって異世界へとやってきたファーストジャンパー。
ちなみに彼曰く、ラミアが元々いた世界の住人ですらないというが……
ふとラミアはギリアムが独り言で呟いたことがある本郷の名を思い出したのだ。

「ギリアム……いや、心当たりはないな」
「そうでございますか。ごめんなすって」

まあ恐らくは関係ないだろう。と思い、ラミアは話題を早々と切った。

「そちらの2人は?」
「えっと、私ハ…」
「ボクはこの子を安全な場所へと思って来ました。ラミアさんとはその途中で」
「ウゥー……」

ミクにあまり余計なことは喋らせまいとミーの鋭い言葉が走る。
あまり遊ばせておくと2人のために1曲…などという事態になりかねない。冗談抜きに。

「ミーとミクは以前より親しい付き合いがおありなのですか?」
「いえ、初対面ですけど」
「ハイ。ミーさんとはサッキ初めて会いまシタ。とってモいい人デスヨ♪」

(全く見知らぬ人のために動くことができる……
 猫にでも分かることを今まで知らなかった…なんと愚かだったのでしょうか、私は)

落胆するフランシーヌ人形に、黙って本郷が肩に添える。

「そうだったのか。ミーは男だな」
「ハハッ、それほどでも……それに、またアイツみたいな危険なやつがいつ来るか分かりませんし」
「危険な奴?」
「はい。赤い角が生えてて虫みたいな目をしてて…あと、身体に大きく"S"って書いてありました」
「!? なんだって…!?」

ミーの言葉に思わず本郷が声を立てる。
本郷の脳裏に浮かぶ1人の戦士。
友の仇討ちのため自ら改造人間となり、共に戦った女性を失いながもブラックサタンに立ち向かった仲間。

「ミー……そいつは俺の仲間だ」
「え?」

そう言うと、本郷は4名から離れ、背を向けて突然腕を逆側に水平に伸ばした。
その体勢から腕を半円を描くように曲げていく。

そして…


「うわぁぁ!?」

本郷のベルトから放たれた眩い閃光。
それと共に現れたのは緑と黒のスーツに赤く巨大な眸を持つ異形。
それを人は怪人と呼ぶだろう。

だが、本郷が戦った世界での彼の呼び名は違う。

その名は仮面ライダー。悪を、闇を蹴散らす男。

「こんな姿をしていなかったか?」

その言葉だけ聞いたらどこかの怪談を連想させるような言葉を言いながら本郷が振り返る。
そこには驚くミー、構えるラミア、呆然とするフランシーヌ人形、ぼけーっとするミクがいた。

「あ……はい、そんな格好でした」
「話の内容が正しければ茂…ストロンガーだろうな。だけど、あいつが危険人物とはどういうことだ?」
「誰かの墓を作ってました……ものスゴイ力で。だからもうあの人は誰か殺したんじゃないかって」

(墓を作っていた…? 確かに茂は激情しやすい性格だが、あいつが殺し合いに乗ったとは思えない)

本郷は思う。
城茂もまた自分と同じく、何かを失いし者。
奪われる悲しみを知る茂がそう易々と殺人を犯すとは思えない。
悪人を倒し、その墓を作ったか或いは……

「とにかく、あいつに会ってみよう。ミー、茂に会ったのはどこだ?」
「待って! ボクも行くよ!」
「ダメだ。ここは危険すぎる。彼女達と一緒にここで待つんだ」
「ボクだって戦える!」
「いいから待っていてく…」

一閃。
ミクの隣にいたミーの姿が消え、次の瞬間本郷の首元に鋭い爪を突き立てるミーの姿があった。

「ほら、ボクが案内した方が確実だしさ。それに」


「ボクもクロじゃないけど、暴れたい気分なんだよね」

眼光が宿らないはずのその顔に鋭い光が走る。
戦えることは証明した。そう思いミーは爪を収納した。

「ミーサン……怖いデス」
「あっ、ごめんミク。怖がらせるつもりはなかったんだよ!」
(ていうか本当は何でも切れる剣使うつもりだったんだけど…まさかガトリングも没収されてるなんてなぁ)


「分かった。確かに案内があった方がいい。ただ無茶はしないでくれ」

本郷は臆したわけではない。だが、ミーの中に宿る何かを感じ、その同行を許す。
彼はただ暴れたいがためにその爪をむき出しにしたのではない。
この惨劇に怒り、闘志を燃やす意志があるのだ、と。
本郷はPDAよりライドチェイサーを転送すると、それに乗る。
ミーも本郷の後ろに乗ると背中からアームを出し、ガッチリ固定をする。
本来1人乗りであるライドチェイサーだが、ミーが乗る分に苦はない。

「…器用なんだな」
「まあね」

本郷は振り返り、2人の女性に声をかける。

「すまないラミア、ここで情報収集を頼めるか?」
「了解でありんす」
「フランシーヌ。キミもここでラミアの手伝いをしてやってくれ」
「私にできることがあるかわかりませんが……本郷、アルレッキーノ達に会ったらよろしくお願いします。
 それと、どうかお気をつけて……」
「ああ。そうだな…6時に1度ここに戻ろう。その時ここで待っていてくれ」

ミーも振り返り、1人の少女に声をかける。

「じゃあミク……ラミアさんやフランシーヌさんの言うことを聞いて大人しくしてるんだよ」
「えェッ? ミーサン私の歌聞いてクレないんですカ…? せっかくテレビ局マデ来たノニ……」
「今ボク急いでるでしょーが!」
「シュン……」
「あーもう! 戻ったら1曲くらい聞いてあげるから!」
「! ホントですか! 約束ですヨ!?」
「猫は嘘つかないんだよ」
「じゃあ、じゃあッ、ミーさんのタメに何歌ウカ考えておきマス!」

終始無表情なラミアとフランシーヌとは対照的にコロコロと表情を変えるミク。
それを見て本郷は、また彼女も守るべき存在であるということを再認識する。

「じゃあ行くぞ、ミー」
「はい!」

「ライドチェイサー、発進!!」



 ◇  ◆  ◇



「はあ……」

3人のもとから離れてミーは1つため息をつく。

「どうした? やっぱり3人が不安か?」
「ええ……ラミアさんはともかく、ミクが、その」

2名が同じようにミクの笑顔を思い浮かべる。
だが、それに対する感想は2名異なる。

「いい笑顔の子だと思うよ」
「それはいいんですけど……ミクは全然危機感を感じてないんですよ」
「………」
「自分が死ぬんじゃないかって、友達が死んじゃうんじゃないかって…普通思うのに、何の心配もしないで」

初めてミーが出会ったとき、ミクは大声で歌っていた。
彼女の美声は認めざるを得ない。
だが、殺し合いを強要させられているその場での行動としてどこか狂気じみたものにも思える。
その後も彼女は忌憚ない行動で初対面であるラミアや本郷、フランシーヌ人形と接してきた。
幸運にも彼らは善人であったため、無用な争いは起きなかった。
だが、もし狂気の刃を持つものあればミクはその純粋な想いとともに一瞬で切り裂かれていただろう。

「……彼女はまだ子供なんだろうな」
「子供…ですか?」
「ああ。見た目は大きいがな」

子供。本郷が幾度となく怪人の魔の手から守ってきた、この世で最も綺麗な人類の宝。

(子供……コタローみたいな子、か)

子供と言われてミーの頭に思い浮かぶのは何時の間にやら同居していた天才少年コタロー。
思えば彼も出会ったときは破天荒な性格で、散々に困らせられたこともあったが、やはり基本的には"いい子"であった。
彼と同じく例えるならば、今のミクはクロに更正させられる前のコタローなのだろうか?
そう思うと救いがありそうやら、頭が痛いやらでミーは余計思い悩んだ。

「おいおい、しっかりしてくれ。無事戻ってミクの歌を聞いてやるんだろう?」
「は、はい」
「それと……別に敬語は使わなくてもいい」
「え?」
「ぎこちないからな。キミは猫なんだからもっと自由でいい」
「…分かったよ、本郷さん。行こう」
「ああ!」

ライドチェイサーは2名を乗せ、早朝の街を走っていく。

夜明けは近い。



【C-6 路上/一日目・早朝】
【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康、ライドチェイサー搭乗中
[装備]:ライドチェイサー『シリウス』@ロックマンXシリーズ
[道具]:支給品一式、トマト×100@THEビッグオー
[思考・状況]
基本思考:殺し合いには乗らない、打倒主催
1:ミーとともに墓のあった場所(A-5)へ向かう。
2:殺し合いに乗っていないもの保護、及び合流。
3:6時にラミア、フランシーヌ、ミクとテレビ局で合流。
4:風見、敬介、茂、村雨と合流。
5:アルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌにフランシーヌ人形のことを伝える。
※原作8巻(第32話 称号)から参戦。
※アルレッキーノ、パンタローネ、コロンビーヌの特徴を知りましたが、コロンビーヌの格好を旧式のものと勘違いしています。


【ミー@サイボーグクロちゃん】
[状態]:健康、ライドチェイサー搭乗中
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、不明支給品(1~3個)
[思考・状況]
1:本郷とともに墓のあった場所(A-5)へ向かう。
2:仲間を集める
3:6時にラミア、フランシーヌ、ミクとテレビ局で合流。
4:仮面の男を警戒
5:暇ができたら一度ミクとちゃんと話をしたい、あと歌を聞いてあげる?
※なんでも切れる剣、ガトリング等の武装は没収されています。
※悪魔のチップの制限については後続の書き手にお任せします。





 ◇  ◆  ◇




「行ったようですわね。では私達も自分の任務を果たしちゃいませんと」
「ええ」

本郷達が去った後、3人はテレビ局にて捜査すべく中へと立ち入った。
だが……

「どうかしちゃったりしましたですの?」

ミクが壁に書かれている絵を見だす。
絵は案内図で、スタジオや休憩所の配置が描かれている。

「えーっと………」
「ミク、何かお探しで?」
「アっ! ありましタ!」

すると突然ミクが嬉しそうな声を上げた。
と思った次の瞬間、ミクが走り出す。

「ミクはどこへ行こうと?」
「知ったこっちゃねえですわ。とにかく追いますことよ」


……………
………


バン! と小気味いい音と共に扉が開かれる。
ミクが一目散に向かった先。そこは

「ココなら歌ッテモ大丈夫ですヨネ?」

「『ラジオ第1スタジオ』……?」

要するに、防音設備の整ったこの場所なら歌ってもいいですよね? とのことらしい。
ミクにしては頭を使ったのかもしれないが、やはり思考が一段飛んでいる。

ミクを追ってきた2人は呆れと理解不能だという反応を示し、しばし呆然とする。
ちなみにミクはすでに歌う前の心の準備なのか、深呼吸を繰り返していてもう既に聞く耳を持っていない。

「……まあいい。ミクとフランシーヌは少しここで待ちやがってくださりませ」
「ラミア? どこへ行くのですか?」
「万が一ということもあります。何かトラップがないか簡単に調べて来ますわ。
 本格的な探索はその後に」
「私と本郷が歩いた時には何もありませんでしたが……」
「信じないわけじゃないんだけど、自分の手で調べて起きたいんだよー…ん? なんだ今の言語モードは」
「?? とにかく、分かりました。ここはラミアの指示に従いましょう」
「分かっていただけて幸いでござる。
 戻ってきたら合図をしちゃったりしなかったりしたりしますので」
「はい。合図を聞いたら鍵をあけちゃったりしちゃったりすればよいのですね」
(いかんな…このまま喋っているとフランシーヌにまでこの言葉が伝染りそうだ)

そう思い、ラミアがスタジオから足早に退散する。
ドアが閉められたその次の瞬間、スタジオにミクの歌が鳴り響いた。


……………
………


(物理的なトラップはないと予想はついていたが、監視カメラも盗聴器もないとはな……)

簡単な捜索を終え、ラミアはスタジオへ戻る途中。

(衛星などによる監視? だがそれでは建物の中などは見えない……
 かといってただ殺し合いをさせるだけが目的とは思えん……)

ラミアはその思考を幾多も張り巡らせ、シグマの意図を探ろうとする。
例えばデータ収集目的、例えば新兵器の実験、例えばただの観戦だろうと、
必ずどこかにこちらから情報を送る仕掛けがあってしかるべきだ。

だが、それがこれまでの捜索において一切見受けられない。
ラミアには考えられないような技術で監視しているのか、或いは……

「フランシーヌ、今戻りましたですわよ」

ドン! と少々手荒な1撃をドアに打ち込むラミア。
これが打ち合わせ通りの合図だが…

「フランシーヌ?」

ドアが開かない。
何かあったのだろうか?
ラミアに一瞬嫌な予感が走る。

だが、少し遅れてドアが開き、そこからフランシーヌが顔を覗かせた。

「すみません、ラミア」
「いえ。特に仕掛けはござらんしたのですぐにでも捜索を………?」




  騒ぎ出す 微かな予感を

  溢れ出す 期待を

  少しずつ 探し続けても

  虚しいだけ いらない


開けたドアから漏れてきた歌声。
それはミクの口元より発せられる魔法の言の葉。

「これは……ミクの歌?」
「ええ……」



  つまらない一日が終わり

  長い夜は恐くて

  また朝が来るけど 何も見えないのは

  何故だろう




「……私はずっと、ある目的のため人を笑わせるということを研究してきました」
「…?」
「歌もその1つ…特に私に最も長く仕えてくれたアルレッキーノとパンタローネの楽曲は見事なものでした。ですが」

フランシーヌの視線がラミアからミクへと移る。

「私はそれを理解する術を持ち得ていませんでした……
 彼等の歌の、歌の詩の意味を分かることができなかった…」
「………」


  何一つ変わらない 待ち続けてても

  誰も救われないけれど

  希望なんてなくても 僕は生きてくから

  そんな強がり 虚しく響いていた



「ただ求めるだけで与えることを考えなかった私を、本郷は人間と呼びました……
 ですが、私にその資格があるのか……」

かつて創造主である白金の欲望を満たさんがため造られたフランシーヌ人形。代用品。
それが"本物"であることを求めてよいのだろうか?
あの才賀正二、アンジェリーナ、ギイ、そしてエレオノールのように人間になってよいのだろうか?
一度は本郷の言葉に心動かされたフランシーヌ人形だった。
だが、何が再びフランシーヌ人形を不安にさせたのか。
それは歌のせいなのか、他に理由があるのかは誰にもわからなかった。

だが


「W17だ」
「え?」



  呼吸さえ 覚束ず

  全て僕のせいだけど

  聴きたい音があるよ 知りたい事もあるよ

  前だけ見つめているよ



「私の制式番号だ。呼びたければ以後そう呼んでもらっても構わん」
「ですが、あなたの名前は…」
「そうだ…私はW17だが、同時にラミア・ラヴレスでもある。
 だが、仲間達は私が自分を人形呼ばわりすると酷く怒る」
「…………」
「未だ実感が沸かんのだがな…恐らく私はもう人形ではないのだろう。
 人間が言うのだからな」

「だが、もしお前が人形であろうと思わないのであれば……」

ハガネ・ヒリュウ改のクルー達の顔がラミアの脳裏に浮かぶ。
彼らの顔、目の前で歌うミクの表情…そして歌詞が奏でる未来は



  色褪せたこの色も 君に伝えたい

  何の意味もないけれど

  夜明けは来ないよと 聞こえない振りして

  いつの日にか 笑っていられるかな



「これから笑えるようになればいい。そう私は思う」

笑顔 だった。



歌が終わるとミクがひと呼吸置いてペコリ、とお辞儀をする。
それはサーカスで言うならば演目の終わり。

パチ、パチと人間の手が拍を打つのとは若干異なる音が歌い手に送られる。
送り主はラミア、そしてフランシーヌ人形。


「あ! ラミアサン、オカエリなさい!」
(気付いていなかったのか…)
「で……どうでシタ?」
「ああ。特に何も仕掛けられていませんでしたですます」
「ソウじゃなくテ、歌デス、歌」
「そっちか……中々よかったのではないでしょうか?」

「エヘヘ……フランシーヌサンはどうデスカ?」
「ええ…声量、音程、テンポともに巧みにとれていて言葉と戦慄の合わせ方が高揚感を生じさせ…」
「アノー……私ハ批評じゃなクッテ、フランシーヌサンの感想ガ聞きたいンデスけど」
「感想…ですか?」

フランシーヌ人形が口にした片言に苦笑いを浮かべながらもミクは感想を求める。
客観的ではない、フランシーヌ人形が感じたそれを求めて。

フランシーヌが必死に言葉を探し、うつむきながらも答える。

「………?」
「そう……ですね。言葉が足りず、申し訳ないのですが」
「ハイっ!」

「いい気持ち……でした」

おずおずとフランシーヌ人形が首を上げる。
目の前には両手を胸に当て、ドキドキした表情でフランシーヌ人形を見つめるミク。

「…だめでしたか?」



だが、その表情はやがて弾けるような笑顔へと変わる。

「……ヤッタぁ!」

2人の観客の評価にミクはとろけるような笑顔を持って答える。
少女にとってそれがどれだけ幸せなことなのか。
それを知る余地は2人に今のところはない。
だが、それを気にさせないような。それはとても"いい笑顔"だった。



(ミク………)


フラシーヌ人形は嘗て様々な歌を聞いてきた。
それは例えば辺境の民謡だったり、大舞台で歌われるオペラであったり。
だが、その全ての意味をフランシーヌ人形は知ろうとすることなく、ただ人に笑顔を与えるかどうか、
その1点だけを見つめてきた。
だから自分が歌う歌にミクほどの価値はない……そうフランシーヌ人形は思いかけた。

だが、フランシーヌ人形は思い出す。
自分にもただ1つだけ、人のために歌った歌があったということを。


「……お礼に、私もあなたに聞かせられる歌が一つだけあります」
「エッ!? それ、今スグ聞かせてクレルんですか!?」
「いえ…ミク、ラミア。あなた達は眠りますか?」
「ハァ……フツーに寝マスけど?」
「私も普通の人間ちゃんと比べちゃったら少ない方ですますが睡眠行動は取りますわ」

「そうですか。それは安心しました」
「何が安心なのです?」

フランシーヌ人形が2人に背を向け、天井を仰ぐ。
彼女の脳裏に宿るのは自分の存在が消える直前の記憶。

「あの歌は子供が泣いたときか、眠る前に歌うものらしいのです。
 ですからその時まで待っていてもらえませんか?」
「…ソウデスカ。でもッ、それまで楽シミにしてマスね!」


なんだかよく分からない歌を歌いながら、喜び室内を駆け回るミク。
それを見てラミアが「子供か」とやや呆れたような目線で見る。

「やれやれ、歌が絡むと言うことを聞くのだな」
「はい……ですが、彼女はとてもよい笑顔を持っていると思います」
「ふっ。私もそう思う」



「……ところでラミア。あなたは普通に喋れるのでは?」
「ああ……確かに敬語を使わなければよいのだが」
「?」
「その…普通に喋るとミクが落胆したような顔をするのだ。やめるべきかどうか……」
「はあ……」




【C-7 テレビ局内/一日目・早朝】
【ラミア・ラヴレス@スーパーロボット大戦OG外伝】
[状態]:健康。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、M18クレイモア×4、不明支給品(2個、本人確認済み、少なくともラミアから見て戦闘には役に立たない模様)
[思考・状況]
基本思考。打倒シグマ。必要なら誰かと共闘する。晴海の人間拉致の黒幕について疑問
1:フランシーヌ人形、ミクとともにテレビ局の捜索。
2:6時に本郷、ミーとテレビ局で合流。
3:シグマや壊し合いについての情報を得るため、エックスと接触する
4:壊し合いに乗っていない個体と接触し、情報を得る。
5:壊し合いに乗った個体を排除する。
6:敬語?を使うのを止めようか迷っている。
※参戦時期はOG外伝第11話での拉致後です。
※シグマはパーソナルトルーパー等の人型機動兵器を有している可能性が高いと考えています。
※気持ち程度に言語機能が悪化しているようです。敬語を用いらない喋り方には影響ありません。
※テレビ局内に監視カメラ及び盗聴器の類は発見されませんでした。ですが確実に無いという保証はありません。


【フランシーヌ人形@からくりサーカス】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、未確認支給品1~3(本人未確認)
[思考・状況]
基本思考:罪滅ぼしのために、主催者を倒す。
1:ラミアの指示に従う。
2:私は生命の水に溶けて無くなった筈では……
3:いつか、本郷やミクのような笑顔をしてみたい。
4:いずれミクとラミアにあの歌を聞かせたい。
※原作死亡後(25巻第32幕微笑(後編))から参戦。
※コロンビーヌの姿を旧式のものだと勘違いしています。


【初音ミク@VOCALOID 2】
[状態]:健康、ご機嫌
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品(ネギみたいな長い棒)、エスケープボール@ゼノサーガ
[思考・状況]
1:ソレデハもう1曲……ってダメですか?
2:ラミアの指示に従う?
3:ミーに歌ってあげる歌を考える
4:フランシーヌ人形の歌が楽しみ
※ミクの歌声は半径訳500m強、1エリア全体をカバーできる程度の大きさです
※ミクの過去などの設定は後続の書き手にお任せします。
※死とは何なのかあまり良く理解していません。ですがちょっと疑問に思っています。


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031:からくりライダー 本郷猛 079:交錯する想い、その行方
031:からくりライダー フランシーヌ 078:もう一度歌声を
049:しゃべるの得意じゃないけど ラミア・ラヴレス 078:もう一度歌声を
049:しゃべるの得意じゃないけど ミー 079:交錯する想い、その行方
049:しゃべるの得意じゃないけど 初音ミク 078:もう一度歌声を





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