Strays in the dawn ◆ss6T.bLZ42


D-5、シャトル発射場前施設の一室。
辺りは薄暗い。部屋の明かりをつけず、カーテンも閉めているからだ。
ベッド近くの小机に付属していた卓上照明が、唯一の確かな光源である。
椅子に腰掛けたソルティが抱えているのは白い布巾数枚と、お湯の入った緑の風呂桶。

エックスの損傷は、ほぼ全身にわたっている。
壁に打ちつけられた後頭部と背部、何よりもXキックを受け止めた胸部。バスターを含め四肢の欠損がないことが唯一の救いといえた。
青いアーマーは乾いた砂や土でくすみ、赤みがかったオイルが口元を濡らしている。
修理はできなくとも、汚れを拭くぐらいはしたい。ソルティを駆り立てたのはそんな思いだった。

ここはシャトル発着を待つための休憩所のようなものだろうか。
そう推考しながら、布巾を湯に浸してベッドに横たわるエックスの顔を拭っていく。
おっかなびっくりという手つき、だが丁寧にオイルをふき取る。
スリープモードでも感覚は残っているのか、時折ぴくりと彼のまぶたが揺れるたびに、大きくびくんと身体を震わせながら。
ほどなく汚れは落とされて、ソルティはほっと息をつく。
第一放送が流れたのは、その時だった。

音声が途切れた瞬間、ソルティに重い疲労感がのしかかる。
10人。
死亡者として名を読み上げられた者たちだ。
その中の誰ともソルティは面識がない。エックスの探し人の名も呼ばれなかった。
しかし彼女は、深い悲しみが胸に溢れるのを止められない。

そういえば、今の放送で呼ばれた「パンタローネ」という名前には聞き覚えがある。
確か、アルレッキーノが探し人として挙げた名前のひとつではなかったか?
もしそうなら今頃、アルレッキーノは落ち込んでいるに違いない。

この惨たらしい壊し合いで失われるのは、命だけではない。
ここに呼ばれた者達の持つ心と、絆のすべてを断ち切っていくのだ。
ソルティは浮かびそうになる涙をこらえながら、絶望感に震え――PDAを取り落としてしまった。
「あっ、」
とっさに両手で受け止めた。ふさふさした耳が垂れ下がり、安堵に顔を緩める。
放送があった以上、エックスを起こすべきなのかもしれない。
だが彼は痛覚を持っており、受けた攻撃は電脳へ多大な負荷をかけている。
そしてエネルギーも尽きかけていた以上、休息は絶対である。そう彼女は判断していた。
――起きたら、彼は何と言うだろう? テレビ局へ行かずに戻ったことを怒るだろうか。

エックスの寝顔は、意外なほど幼く見える。
普段の物腰や別れた時の厳しい表情には、頼もしい青年の雰囲気があったというのに。
ソルティは、泣き出しそうに顔を歪める。
彼女と同じように、エックスの身体も作り物だ。
稼動年数や性格設定、精神年齢を捉える上で、容姿はほとんど意味を持たない。
だが、ソルティには感じ取れた気がした。彼が戦いに際し、どれだけの心構えを要しているかを。

――誰かを守るため、争いを止めるために、戦う。
それは、この場に呼び寄せられたばかりのソルティが抱いていた想いと同じもの。
彼女を悩ませ続けるのは、アルレッキーノの投げかけた問い。
“エックスや壊し合いに乗らない参加者を守るために、敵を殺すことができるのか”。
依然として覚悟はできていない。

ただソルティの胸の内に、湧き上がる感情の奔流があった。

守りたい。

その想いは、この地へ呼ばれた直後とは比べ物にならないほど強く激しい。
当然ながら、ソルティも死ぬのは怖ろしい。大切な人々と離れ離れになった心細さもある。
しかし彼女の決意は、それらの不安をかき消すほどに確かなものだった。
――壊し合いに乗らない人達の絆を守るため。そのためなら、戦える。

ソルティは膝上に載せている、大切な人の銃を撫でた。
「ロイさん……どうか、力を貸してください」
うっすらとカーテンが白みを帯びていく。
夜明けの光が、薄いカーテンを透かして二人を照らし出す。
その時、エックスが僅かに身じろぎをした。ソルティは瞠目してエックスに目を向ける。
――彼と自分は、どこか似ている。

想いの根拠は掴めぬまま、ソルティは彼が寂しい夢を見ているのだろうと感じていた。



【D-5 シャトル発着所内/1日目・朝】
【ソルティ・レヴァント@SoltyRei】
[状態]:健康 意気消沈 強い決意
[装備]:ミラクルショット@クロノトリガー マッハキャリバー(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式、ToHeartの制服@ToHeart スラッシュクローの武器チップ@ロックマン  紫の仮面@現実  K&S Model 501(7/10)@SoltyRei、予備弾各50発 PDA×2(ソルティ、神 敬介) LUCKの剣@ジョジョの奇妙な冒険


[思考・状況]
基本思考:壊し合いに乗っていない参加者を守り、シグマを倒す
1:部屋の中でエックスが起きるのを待つ。襲撃者が来た場合、彼を守って戦う。(ただし、二人で逃げることを優先)
2:エックスが起きたら、これからの行動について話し合う
3:ロイさんやローズさんの元に帰りたい
4:ミラクルショットはエックスがOKというまで出来る限り撃たない。
[備考]
※スラッシュクローの武器チップの事をエックスに言い忘れています。
※マッハキャリバーをただの首飾りと思っています。仮に詳細を知った場合、操れるかどうかは不明です。
※参戦時期はアニメ10話~11話です。
※戦い自体への迷いは消えましたが、相手を躊躇なく殺せるまでには至っていません。

【エックス@ロックマンXシリーズ】
[状態]:気絶中、疲労大、全身に大きなダメージ
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、クロマティ高校の制服@魁!!クロマティ高校  赤い仮面@現実
[思考・状況]
基本思考:壊し合いに乗っていない参加者を守り、シグマを倒す
1:……X……無事なのか……?
2:テレビ局でソルティと合流。
3:ゼロと合流(ゼロは簡単には死なないと思ってるので優先順位は低い)
[備考]
※神敬介の名前を、Xだと思っています。
※第一放送の内容を知りません。



C-5、橋の前。

「フランシーヌ様は、存命であられたか」
放送が終わると、アルレッキーノはそう呟いた。
目を伏せ、思いを巡らせる。

放送で呼ばれたひとつの名前――パンタローネ。
見知らぬ遠い場所でまたもや欠け、半分になった「最古の四人」。
彼らの間に、親愛や友情などは存在しないはずだった。
しかし現在、アルレッキーノは明らかな喪失感と、強い焦燥を覚えている。
パンタローネを上回る参加者が存在するという事実。
――なんとしても、フランシーヌ様と合流しなければ。
アルレッキーノの端正な造りの顔が渋面に変わった。

帽子を脱ぎ、眠る小人を裏返した帽子につまみ入れる。
飛行場にいる二人のうち、エックスと戦った相手であり、アルレッキーノが殺した“ことになっている”男だ。
この点については、ひどい失策だった――冷静さを欠いていたといわざるを得ない。
ソルティは違うようだが、エックスが男の名前を知っている可能性もあったのだ。
その場合、死んだ男の名が放送で告げられないのだから、不審を呼ぶことは避けられない。

男が元の大きさに戻るまで、残り一時間足らず。
アルレッキーノは男を運ぶためだけに、スモールライトの使用回数を無くす気はなかった。
男が暴れた時に止められるような参加者を探し出し、預けなければならない。

――もし預けられる相手に出会うより先、元の大きさに戻る前に男が目覚めたとして。
いくら小さくしたとはいえ、何の準備もしないまま男を頭に乗せておくのは、非常に危険な行為だろう。

橋の入り口、陰になる位置でしゃがみこみ、男を入れた帽子を地面に置く。
とりあえず男のシャツと上着を剥ぎ取り、縄代わりに使うことにした。
恐らく、男の膂力は並みのヒトを超えている。
この二枚だけでは足りないかもしれない。
アルレッキーノは、自らの衣服に視線を移す。パンタローネほどでないにせよ、彼も自らの衣装に愛着を持っていた。できることなら破りたくないが、そうも言っていられない。
断腸の思いで決断した後、彼の衣装は七分袖になった。

男を縛り上げるアルレッキーノの表情は暗い。
自身に対する苛立ちが、指の動きを乱暴なものにしていく。
一挙一動が制限され、まるで懸糸傀儡にでもなってしまったかのような心地だった。
――殺しを恐れるソルティを笑えない。より重症なのは自分の方かもしれないのだ。


朝焼けの名残は消え、空は薄紫から白みがかった明るい青に変わり始めている。
白光の中、アルレッキーノはC-4へ向かう橋の上を駆け抜けていた。

第一放送で発表された二つの禁止エリア、C-2とH-8。
どちらも地図の端寄りで、大きな施設や道を塞がない位置にある。
これを知った参加者はどう動くか――中央寄りのエリアへ移動するのではないだろうか。

特に禁止エリアやその周りにいた参加者は、安全圏を探して躍起になっているはず。
つまり禁止エリアの周辺にある、中央や施設に近いエリアにいれば、他の参加者との遭遇率が上がる。
そう彼は結論を出していた。

更に、もう一つの理由がある。
万が一ソルティ達がD-5を離れてテレビ局に向かった場合に、すぐに鉢合わせしないようにするためだ。

この選択は、奇しくも彼を探し人の居場所から引き離すこととなる。
そして仮に、最初にアルレッキーノが男の生存をソルティに打ち明けていたなら、もしかすると結果は逆だったのかもしれなかった。
だがそれらを彼自身が知る時が来るのかは、まだ誰にもわからない。



【C-5 橋の上/1日目・朝】
【アルレッキーノ@からくりサーカス】
[状態]:健康、やや腹部にダメージ、七分袖
[装備]:マグネット×2、阿紫花の長ドス@からくりサーカス
[道具]:支給品一式×2(アルレッキーノ、神 敬介)  スモールライト@ドラえもん(残り四回)
[思考・状況]
基本思考:エレオノール(フランシーヌ人形)を生還させる。出来れば自分や茶々丸も共に脱出したい
1:橋を渡ってC-3とその周辺(B-3、D-3など)へ向かい、エレオノールを探す
2:帽子の中の男を信頼できる人物に預ける
3:D-5のシャトル発射場に戻り、茶々丸(及びソルティ、エックス)と合流する。C-3周辺の探索を終えるまでに帽子の中の男を手放せられない場合も観念して戻る
4:フェイスレス側の自動人形は積極的に破壊する
5:協力者を探し、チンクへの警告を呼び掛ける
※名簿の『フランシーヌ人形』はエレオノールの事だと思っています
※この殺し合いに参加している自動人形には、白銀とフェイスレス以外の何者かが作った者もいるのではと考えています

※シュトロハイムとゲジヒトを、ナチスがあった時代に作成されたナチス製の自動人形であると思っています
※チンクは殺し合いに乗り、シュトロハイムを殺害したと思っています
※ロボットの事を「自分の知っている自動人形とは違う作られ方をした自動人形」と認識しました
※茶々丸と情報交換しましたが、完全には理解できていないようです

【神敬介@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:気絶中、胸部破損、疲労大、右腕破壊、全身にダメージ大 サイズ1/10 首から下が蓑虫状態
[装備]: なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:エックス……
[備考]
※ライドルは没収されています。
※地図と支給品説明以外は未読です。
※胸部を破損した事による暗闇大使の種子への影響、洗脳が解けたかどうかは、次の書き手様にお任せします。
※阿紫花の血により回復速度が促進され、胸の出血が止まりました。他に全く影響が無いのかは、次の書き手様にお任せします。
※自身のシャツと上着、アルレッキーノの服の袖でぐるぐる巻きにされています。拘束は変身すれば楽に抜け出せる強さですが、変身前の姿では元の大きさに戻るまで困難です。
※第一放送の内容を知りません。

【スモールライト@ドラえもん】
懐中電灯型。本編でも多用される。動力は普通の乾電池。
スイッチを入れると発光し、その光を物体に当てると一時間その物体を小さくできる。
小さくしたものにもう一度光線を当てると元の大きさに戻すことができる。
このロワでは通常の1/10までしか小さく出来ない。射程距離は30cmで、サイズが1/10になるまでに一分の時間がかかる。しかも、小さくしている途中で光が外れると、たちまち効果を失う。電池は五回分しかもたない。





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071:アルレッキーノ、コロンビーヌの事情(前編) ソルティ・レヴァント 085:認めるということ
071:アルレッキーノ、コロンビーヌの事情(前編) エックス 085:認めるということ
071:アルレッキーノ、コロンビーヌの事情(後編) アルレッキーノ 089:兄弟/姉弟/家族(前編)
071:アルレッキーノ、コロンビーヌの事情(後編) 神敬介 089:兄弟/姉弟/家族(前編)





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