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「モバイルレディ・Ⅱ」(2009/01/12 (月) 16:31:35) の最新版変更点
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**モバイルレディ・Ⅱ ◆DNdG5hiFT6
――コードネーム・モバイルレディ。
大神グループの作り出したガイノイド。
敵地のコンピュータネットに侵入する破壊活動用サイボーグ。
だがそのコンセプトゆえに、“失敗作”のカテゴリに分類された人造人間。
数年前、多くのサイボーグたちと共に大神グループを脱走。
その後、催眠洗脳能力を持つ仲間の協力もあって、遠前町の商店街に溶け込み、
漢方薬屋を経営する女性・広川武美としてつかの間の平穏を手に入れることに成功する。
……そう、つかの間の平和。
大神での処置を受けない限り、体内に仕掛けられた“寿命タイマー”によって丁度10年目に爆発する。
そのタイムリミットまで残り……約半年。
これが彼女の、“モバイルレディ”のすべて。
* * *
クロたち2人が目指す施設は湖の中央にある家。
更には都合のいいことに水を渡れるいかだを手に入れた。
あの民家にいる人物と接触するつもりなら、一刻も早く民家へと行きたいところだがそうはいかない。
なぜならば家をぐるりと囲む湖はいわば天然の堀のようなものだからだ。
その“堀”を渉りきる瞬間は、どうしても無防備になってしまう。
つい先程襲撃を受けたのだ。少なくとも数ブロックは警戒し、安全を確保しなければならないだろう。
2人は周囲を警戒しながら、無言のままで湖を反時計回りに周り始める。
そして【F-8】ブロックに足を踏み入れた時、クロに変化が起こったのだ。
クロは立ち止まり、注意深く鼻をぴくぴくと動かし始めたのである。
「どうしたのクロちゃん?」
武美はその様子を訝しみ、小声で尋ねる。
だがクロは無言を通し、険しい顔つきのまま深い森を掻き分けて進む。
慌てるように前を行くクロの様子に武美は嫌なものを感じ取り、身を緊張させ必死に後をつけていく。
そして程なくして彼らの前に一つの光景が現れる。
薙ぎ倒された木々と巨大なクレーター。
そしてそのクレーターの前に倒れこむ体部分だけしかない、ロボットの姿だった。
ドラム缶のような寸胴なボディにずんぐりとした手足。
中国風の上着を着ている。もしかしたら中国製だったのかもしれない。
そして頭があったであろう場所はごっそりと削り取られ、首部分からは焦げ付いた機械回路を晒している。
あたりに漂うのは機械が焼け焦げたような嗅覚センサーを刺激する臭い。
優れた嗅覚を持つクロはこの匂いを嗅ぎ付け、駆けつけたのだ。
周囲に散らばった残骸を見渡していた武美だったが、散らばったパーツの中に金属製のネコの耳を発見する。
武美は交わした会話を思い出し、恐る恐る話しかける。
「もしかして……ミーって人?」
「いんや、形がまるっきり違う。どうやらご同類みてーだがな」
大きさも色も彼の知るミーとは似ても似つかない。
だがクロは厳しい表情を崩さない。
――下手人はあの女、凶器はあのロケットパンチモドキだな。
危く喰らうところだった一撃だ。見間違えるはずもない。
位置的に考えて、恐らくは自分達が襲撃を受ける直前、このネコ型サイボーグは倒されたのだろう。
(……だとしたら、逃しゃしなかったけどな)
破壊されたネコ型サイボーグの残骸を見て思い出すのは、元の世界でもたまに見かけた人間たちによって殺された猫の姿。
そう、あの女に対して感じるのは、そういった種類の怒りだ。
自分の同類を殺されたことに対する怒り……マグマのように粘り気のあるドス黒い怒りだ。
本来ならば即効で追いかけて、しかるべき報いを受けさせるところだが、
すでに遭遇からかなりの時間が経過していること、戦闘能力を持たない武美と行動を共にしていること、
そして何より当面の目的である湖中央の民家への意志から追跡を断念する。
……再び会った時には容赦はしないと心に刻みつけながら。
「……ま、警戒はこのくらいにして」
話題を変え、次の行動を促そうとするクロ。
だが不意に上げた視線の先に映ったものに、クロは言葉を失う。
その視線の先にあるのは武美の顔。
しかし万華鏡のようにコロコロと変わっていたその表情は、一切の感情が抜け落ちたかのような状態で停止している。
その茫洋とした視線はただスクラップと化した亡骸に注がれている。
そのあまりの変貌にクロは声をかけられないでいた。
死体――といってもスクラップにしか見えないが――を見たショックで死が怖くなったか?
だが今の彼女の表情は“何もない”のである。
そう、怒りや悲しみと言った負の感情すら何処かへ置き忘れてきたかのように、ただ王ドラの亡骸をじっと見詰めている。
事実、武美は死に怯えているわけではない。
ただ、突きつけられた事実に感情が渦を巻き、オーバーフローを起こしているのだ。
彼女が目の前に散らかる残骸に思い知らされるのはただ一つの事実。
――ああ、あれは半年後の自分の姿なのだ。
例え元の世界に帰れたとしても遠くない未来、寿命タイマーによって自分の体は爆発する。
覚悟はしていた。だからそれまでの余生を思いっきり楽しむつもりでいた。
でも、目の前に改めて“現実”を突きつけられるとどうしても自身の死を連想せざるを得ない。
粉々になる自分。塵一つ残さずに消えていく自分。そして、自分を探す居候の男の姿。
(……もしも死んだら、風来坊さんは悲しんでくれるかな?)
答えの出ない問いは武美の思考を無限の闇へと誘う。
無限ループの中で永遠に彷徨うかと思われた武美の意識は、ガリガリと何かを削る音で現実に引き返させられた。
慌てて視線を流せばその先に、クレーターのすぐ横で自前の爪を使って穴を掘りはじめたクロの姿があった。
「……クロちゃん、何してんの?」
「埋めてやるに決まってんだろ」
「死体に意味なんてないよ。きっと死者は何も考えないからさ……」
死んだら……いや、壊れたらただの瓦礫になるのだ。
いや、自分の場合は瓦礫にすらならない。
証拠隠滅のため、残骸はバクテリアに分解されて塵一つ残らないのだから。
「そりゃそうだ。でもな、墓を作ることにはきっと意味がある。
一度死んだオイラが言うんだ。間違いないぜ」
「え……」
言葉を失う武美を尻目にクロは穴を掘り続ける。
クロ、いやサイボーグになる前のキッドという猫はすでに死んでいる。
愛する野良犬を庇いながら矢の雨を受け、ただの猫としての生を一度終えた。
不死身の体に生まれ変わった今でも死の記憶は彼の中に確かにある。
だから知っている。死者は何も考えないということを。
殺されたものが持つ悔しさや怒り、悲しみなんかは死ぬ瞬間にすべて置き去りにされるものなのだと。
だから墓を作ったところで、このネコ型サイボーグが喜ぶなどとは少しも思っていない。
だが、少なくともこうすることが必要だと感じられたのだ。
――涙を流さずに泣いている、目の前の女のために。
武美が今、何を考えているかなんてクロにはわからない。
しかし目の前の残骸に何らかのショックを受けたのは確かだ。
だったら、立ち直るためにはきっかけを与えればいい。
そう考えてクロが思いついたのが、墓を作ることだった、というわけだ。
「……アタシも手伝うよ」
「ん、じゃあ適当な石を探してきてくれ。それと、あんまり遠くに行くなよ」
言葉少なに指示を出すクロ。
そのまま2人で黙々と作業を進め、数分後には埋葬が完了した。
仕上げとばかりに武美が探してきた石を乗せ、簡素な墓が完成する。
「さて、名前ぐらい刻んでやっか」
クロはそう言って、緑色に輝く勇者のナイフを握り締める。
このナイフ、“何でも切れる剣”程じゃないが中々の切れ味だ。
リーチが短いのが難点だが、石に墓碑銘を刻むぐらいなら楽勝で出来そうだ。
「でもこの人の名前知らないんでしょ?」
「んー、じゃ“何処かの誰かの墓”とでも書いとくか」
「それだとワケわかんないし」
「ま、じゃこれでいいだろ」
無難に『ネコ型サイボーグの墓』とだけ記す。
その後、飼い主の老人達に倣い、両手を合わせる。
武美も思い出したように両手を合わせ暫しの間、黙祷を捧げる。
「よし、じゃ、そろそろ行くか……って何だよその顔は」
見上げた武美の顔は微笑んでいる。
ニヤニヤと、でも少し優しげに。
まるでこちらの意図をすべて見透かすかの様な笑みに耐え切れなくなり視線をそらすクロ。
その様子が武美の笑みを一層深くする、と分かっていたとしても視線を合わせていられなかった。
「ありがとね、クロちゃん」
「……なんのことだか、わからねえな」
* * *
そして数十分後、彼らは目的地……湖の島に到達していた。
警戒のかいもあってかいかだで渡る間襲撃はなく、安全に島へと進むことが出来た。
そんな彼らがメッセージを聞いたのは丁度いかだで湖を渡っている最中。
ミーの名が呼ばれなかったのは僥倖だったが、6時間で10人もの犠牲者が出ているのだ。
……先程のネコ型ロボットのような犠牲者が。
「まったく、気にくわねえにも程があるぜ……」
PDAから流れ出した音声を聞いて、心底そう思う。
何の感情もこもっていない電子音声がクロの神経を逆なでする。
この画面の向こうでタコハゲ親父が笑ってるかと思うとはらわたが煮えくり返りそうだ。
例え1000発、いや1万発殴ってもこの怒りは収まりそうにない。
怒りを頭に煮えたぎらせるクロとは正反対に武美は落ち着いた様子で話しかける。
「落ち着いてクロちゃん、そうやって苛立たせるのがあいつらの目的かもしれないよ?」
「……かもな。だとしたらイラつくのはヤツらの思うツボって訳か……
……そろそろ中に入るぜ。武美、オイラの後ろから離れるなよ?」
アポロマグナムを構えつつ、裏口から民家へと侵入する。
だが暫く歩を進めるうち、杞憂ではないかという思いが強くなってくる。
それも仕方のないことかもしれない。
彼女達が足を踏み入れたのは、どう見ても築数年立ったと思われるどこにでもある民家。
廊下を歩けば僅かながら板張りの床が音を立て、ドアを開けば蝶番が僅かに軋んだ音を出す。
クロの聴覚が制限されているとはいえ、自分達以外の音が聞こえないのは自分達以外誰もいないことの証明ではないか
ピィーーー!!
だが、その思考を覆すかのように甲高い音が家中に鳴り響く。
目の前の扉の向こう、リビングらしき場所から鳴り響く電子音にクロは緊張を漲らせる。
(トラップか? だとしたら相手がどうあれ、速攻でけりをつけてやる!)
判断は瞬時。
勢いよく扉を蹴り開け、アポロマグナムの狙いを定める!
「動くなよ、テメェ! 死にたくなかったら手を上げろ!」
クロの怒声が家中に響き渡る。
妙にドスの聞いたその声は、一般人であれば素直に従って両手を挙げたかもしれない。
だが銃口を突きつけられた目標はただ静かに沈黙していた。
感情を表すことなく、両手を挙げることも、それどころか振り返ることもない。
動揺も何もないその挙動は一切の意志を感じさせない。
……まぁ、それも当然であろう。
アポロマグナムの銃口の先に鎮座するのは角のない少し丸めのボディ。
排気部分からは白米の炊けた香ばしい匂いが広まり、中央部分についたボタンは“白米”から“保温”へと切り替わったところだ。
どう見ても炊飯器です。ありがとうございました。
――戦車すら破壊する銃口を炊飯器に突きつける黒猫。
シュールの極みともいえる光景にクロも、武美も言葉を失う。
そしてほどなくして沈黙があたり一面を支配する。
そのまま数秒間だったか、クロにしてみれば拷問に等しい沈黙の末、武美が口を開く。
「そのさ……動けって言う方が無理だと思うよ?」
その言葉がトドメとなり、クロは力なく両膝を床につけた。
* * *
「クロちゃん、機嫌直してよ。ホラ、さっきのかっこよかったってば!」
「あー、慰めんな。余計惨めになる」
そっぽを向いていじけを続行するクロ。
武美としては銃を構えるクロは掛け値なしにカッコイイと思ったのだが。
まぁ、今の状況では何を言っても空しく聞こえることだろう。
しかしそれにしてもコレだけ大騒ぎしても何もなかったということは、やっぱり……
「……ただ電気を消し忘れた、だけ、とか?」
はっきり言って、そうとしか考えられない。
だがだとしたら机の中央で存在感を主張するあの炊飯器をどう説明しよう。
もしかして後から帰ってきてもう一度食べるつもりだったのだろうか?
(……ちなみにあ~るは光画部の皆のために予約炊きをしていただけだったりするのだが。)
「……ったく、驚かせやがって……つーか、誰もいねえんだったらココにはもう用はねーな」
そもそもココに来たのは間抜けな参加者を保護するためだ。
無人であればこれ以上ここにいる必要はない。
そう考え、踵を返し出て行こうとするクロ。
だが武美は机の上に置かれた炊飯器をじっと見つめていた。
「ん、どうした。腹でも減ったのか?」
「うん、ちょっと……じゃなくて!」
武美はしゃがみ、クロに視線を合わせる。
「ねぇ、クロちゃんはご飯食べれる?」
「あん? それがどうかしたか?」
「いいから答えてってば! もう一度聞くけど、クロちゃんはモノを食べれる?」
首を縦に振る。
クロは動力源としてオイルを補給するが、普通の食物も摂取が可能である。
「ふーん、そうなんだ。アタシも食べることが出来るし
ここでご飯を炊いた跡があるってことは、ここにいたのはやつもアタシたちと同じタイプってことだよね?
でも、最初に出てきたあの“銀色の化物”は普通の食事を取るとは思えないし……
……っていうか、そもそも言ってたもんね。“エネルギーパック”か“有機的な食料”が入ってる、って。
それにこの場所にはクロちゃんみたいなネコ型のもいればアタシみたいな人間型もいる。
……男もいたし、さっき襲ってきたのは女の人だった。
それに能力だってアタシみたいな非戦闘型からキミみたいなバリバリの戦闘型まで千差万別だし。
これだけ多種多彩なのを連れて来たってことは、何か意味があるのかな?」
「知らねーよ。てきとーに連れてきたのかも知れねーぜ?」
「それはそれで一つの情報だよ。
“体に機械類があれば参加者自体は誰でも良かったのか?”
“逆に考えてランダムにつれてこざるを得なかったのか?”
……っていうね」
自慢げに眉を上げる武美。
「うん、参加者から考えるってのは悪くないかも。
そういえばさっきの通信では“プログラム”って言ってたし、これは何かの実験なのかも……」
大神が多くの実験を行ってきたかのように、これもまたそういう実験なのかもしれない。
だがだとしたらその目的がまったく見えない。
壊し合いをさせるだけならば、いかだなど支給する必要はないのだから。
ならば何故……
そのまま考え込んでしまう武美。だがその様子を見て、クロは安心する。
(へっ、もう大丈夫そうだな)
先程の触れただけで壊れてしまいそうな女はそこにはない。
そこにいるのは知恵を絞り足掻く、強い女の姿だ。
それに少ない情報でそこまで考えるとは……自分が考えるよりもよっぽど頭の巡りはいいのかもしれない。
そしてそれは紛れもない事実である。
武川広美というサイボーグは大企業・大神グループを相手に逃げ回ることに成功していたのだから。
大神グループは灰原の所属するCCRという脱走したサイボーグを破壊するがあるにもかかわらず、だ。
催眠能力を持った仲間がいたとはいえ、それだけで監視の目から逃れられる理由にはなりはしない。
今まで常に演じ、欺き、それでもボロを出すことはなかった。
それは彼女の知能が高く、それでいて強(したた)かである証拠に他ならない。
「……まぁ、今の状態じゃ分からないことばっかりだよね。
でもこうやって考えるのは無駄にはならないはずだよ」
武美はそう話を締めくくり、思考の海から脱出すると台所の戸棚を空けてみる。
米びつ以外に塩や醤油といった調味料はそろっているが、冷蔵庫には何もないようだ。
「ま、とにかく情報が欲しいな。そのためには早く他の人と接触しないと……」
「……だったら面白いモンがあるぜ?」
別の部屋の扉を開けたクロがニヤリと笑う。
その視線の先、棚の上に鎮座するのは両手で抱えられるほどの黒い機械。
……いわゆる一つの黒電話、というヤツである。
「あ、お前、確か有線があればハッキング出来るとか言ってなかったか?」
「ん~……難しい、かも。多分規格違うし……」
その視線の先は黒電話と壁を繋ぐコード。
壁との接続部分はLANケーブルどころか黒電話にあわせたかのようなレトロな接続端子であった。
一応電話線は繋がっているようだが、一目見ただけでネット環境など望めそうもないことが理解できた。
「そっか……ま、だとしても“力”になるのは確かだろ?」
「え?」
「コレを見ろよ、コ・レ」
ニヤリと笑ったクロが手に取ったのは黒電話の横に置かれたメモ。
そこに残されていたのは、幾つかの施設の名と電話番号。
コレが通じれば身の安全を確保したまま連絡を取ることが出来る。
真偽はともかくとして、情報を手に入れることが出来るのだ。
そう、情報という名の“力”を。
* * *
コードネーム・モバイルレディ。
通信能力に特化した大神製の実験用サイボーグ。
だがその通信能力は妨害され、今の彼女は非力なガイノイドに過ぎない。
この会場にいるうちでは間違いなく弱者のカテゴリ――破壊される側に分類されるであろう。
だが“武川広美”は歯向かう決意をする。
何故ならば、“武川広美”は人の醜さも知ると同時に優しさも知っているから。
何故ならば、“武川広美”はもう一度会いたい人がいるから。
何故ならば、“武川広美”はその人に胸を張って再会すると決めたから。
だから彼女は抗う。目の前に広がる破壊の運命に。
“モバイルレディ”だけが彼女の全てではない、それを証明するかのように。
【E-7 民家/一日目/朝】
【クロ@サイボーグクロちゃん】
[状態]:装甲各所に軽い凹み
[装備]:アポロマグナム@仮面ライダーSPIRITS、
ウィルナイフ@勇者王ガオガイガー(なんでも斬れる剣があった場所に収納)
[道具]:支給品一式、風船いかだ
[思考・状況]
基本思考:ハゲ(シグマ)をぶちのめす! その後剛を殴る。
1:とりあえず電話を使って他参加者と接触を図る。
2:とりあえず、ハゲ(シグマ)の居場所を探る。そして暴れる。
3:ミーと合流して、爆弾を何とかする。
4:とりあえず、今は武美を深く追求する気はない。
5:あの女(ギンガ)には容赦しねー
※内臓ミサイルは装備されています。尻尾ミサイルは使用済み。
※ガトリングやなんでも斬れる剣が没収されていることに気づきました。
※参加時期は異世界編(五巻)終了後です
※クロが確認したF-7の小屋の照明は、Rが侵入した際に点けていったものです。
【広川武美@パワポケシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム1~2(クロ好みの武器はないが武器は最低一つある)
[思考・状況]
基本思考:絶対に生き残り、ここから脱出する。
1:とりあえず電話を使って他参加者と接触を図る
2:F-7の湖内の孤島にある小屋へ向かって、内部を確認。その後、市街地へ向かう。
3:シグマの居場所を探る。
4:元の世界のあの人のところに戻って、残り少ない人生を謳歌する。
※【F-8】に王ドラの亡骸が埋葬されました。墓石がわりの石には“ネコ型サイボーグの墓”と刻まれています。
*時系列順で読む
Back:[[荒野を渡る風]] Next:[[missing you true]]
*投下順で読む
Back:[[荒野を渡る風]] Next:[[破壊戦士物語]]
|067:[[そいつは人情派サイボーグ]]|クロ||
|067:[[そいつは人情派サイボーグ]]|広川武美| |
**モバイルレディ・Ⅱ ◆DNdG5hiFT6
――コードネーム・モバイルレディ。
大神グループの作り出したガイノイド。
敵地のコンピュータネットに侵入する破壊活動用サイボーグ。
だがそのコンセプトゆえに、“失敗作”のカテゴリに分類された人造人間。
数年前、多くのサイボーグたちと共に大神グループを脱走。
その後、催眠洗脳能力を持つ仲間の協力もあって、遠前町の商店街に溶け込み、
漢方薬屋を経営する女性・広川武美としてつかの間の平穏を手に入れることに成功する。
……そう、つかの間の平和。
大神での処置を受けない限り、体内に仕掛けられた“寿命タイマー”によって丁度10年目に爆発する。
そのタイムリミットまで残り……約半年。
これが彼女の、“モバイルレディ”のすべて。
* * *
クロたち2人が目指す施設は湖の中央にある家。
更には都合のいいことに水を渡れるいかだを手に入れた。
あの民家にいる人物と接触するつもりなら、一刻も早く民家へと行きたいところだがそうはいかない。
なぜならば家をぐるりと囲む湖はいわば天然の堀のようなものだからだ。
その“堀”を渉りきる瞬間は、どうしても無防備になってしまう。
つい先程襲撃を受けたのだ。少なくとも数ブロックは警戒し、安全を確保しなければならないだろう。
2人は周囲を警戒しながら、無言のままで湖を反時計回りに周り始める。
そして【F-8】ブロックに足を踏み入れた時、クロに変化が起こったのだ。
クロは立ち止まり、注意深く鼻をぴくぴくと動かし始めたのである。
「どうしたのクロちゃん?」
武美はその様子を訝しみ、小声で尋ねる。
だがクロは無言を通し、険しい顔つきのまま深い森を掻き分けて進む。
慌てるように前を行くクロの様子に武美は嫌なものを感じ取り、身を緊張させ必死に後をつけていく。
そして程なくして彼らの前に一つの光景が現れる。
薙ぎ倒された木々と巨大なクレーター。
そしてそのクレーターの前に倒れこむ体部分だけしかない、ロボットの姿だった。
ドラム缶のような寸胴なボディにずんぐりとした手足。
中国風の上着を着ている。もしかしたら中国製だったのかもしれない。
そして頭があったであろう場所はごっそりと削り取られ、首部分からは焦げ付いた機械回路を晒している。
あたりに漂うのは機械が焼け焦げたような嗅覚センサーを刺激する臭い。
優れた嗅覚を持つクロはこの匂いを嗅ぎ付け、駆けつけたのだ。
周囲に散らばった残骸を見渡していた武美だったが、散らばったパーツの中に金属製のネコの耳を発見する。
武美は交わした会話を思い出し、恐る恐る話しかける。
「もしかして……ミーって人?」
「いんや、形がまるっきり違う。どうやらご同類みてーだがな」
大きさも色も彼の知るミーとは似ても似つかない。
だがクロは厳しい表情を崩さない。
――下手人はあの女、凶器はあのロケットパンチモドキだな。
危く喰らうところだった一撃だ。見間違えるはずもない。
位置的に考えて、恐らくは自分達が襲撃を受ける直前、このネコ型サイボーグは倒されたのだろう。
(……だとしたら、逃しゃしなかったけどな)
破壊されたネコ型サイボーグの残骸を見て思い出すのは、元の世界でもたまに見かけた人間たちによって殺された猫の姿。
そう、あの女に対して感じるのは、そういった種類の怒りだ。
自分の同類を殺されたことに対する怒り……マグマのように粘り気のあるドス黒い怒りだ。
本来ならば即効で追いかけて、しかるべき報いを受けさせるところだが、
すでに遭遇からかなりの時間が経過していること、戦闘能力を持たない武美と行動を共にしていること、
そして何より当面の目的である湖中央の民家への意志から追跡を断念する。
……再び会った時には容赦はしないと心に刻みつけながら。
「……ま、警戒はこのくらいにして」
話題を変え、次の行動を促そうとするクロ。
だが不意に上げた視線の先に映ったものに、クロは言葉を失う。
その視線の先にあるのは武美の顔。
しかし万華鏡のようにコロコロと変わっていたその表情は、一切の感情が抜け落ちたかのような状態で停止している。
その茫洋とした視線はただスクラップと化した亡骸に注がれている。
そのあまりの変貌にクロは声をかけられないでいた。
死体――といってもスクラップにしか見えないが――を見たショックで死が怖くなったか?
だが今の彼女の表情は“何もない”のである。
そう、怒りや悲しみと言った負の感情すら何処かへ置き忘れてきたかのように、ただ王ドラの亡骸をじっと見詰めている。
事実、武美は死に怯えているわけではない。
ただ、突きつけられた事実に感情が渦を巻き、オーバーフローを起こしているのだ。
彼女が目の前に散らかる残骸に思い知らされるのはただ一つの事実。
――ああ、あれは半年後の自分の姿なのだ。
例え元の世界に帰れたとしても遠くない未来、寿命タイマーによって自分の体は爆発する。
覚悟はしていた。だからそれまでの余生を思いっきり楽しむつもりでいた。
でも、目の前に改めて“現実”を突きつけられるとどうしても自身の死を連想せざるを得ない。
粉々になる自分。塵一つ残さずに消えていく自分。そして、自分を探す居候の男の姿。
(……もしも死んだら、風来坊さんは悲しんでくれるかな?)
答えの出ない問いは武美の思考を無限の闇へと誘う。
無限ループの中で永遠に彷徨うかと思われた武美の意識は、ガリガリと何かを削る音で現実に引き返させられた。
慌てて視線を流せばその先に、クレーターのすぐ横で自前の爪を使って穴を掘りはじめたクロの姿があった。
「……クロちゃん、何してんの?」
「埋めてやるに決まってんだろ」
「死体に意味なんてないよ。きっと死者は何も考えないからさ……」
死んだら……いや、壊れたらただの瓦礫になるのだ。
いや、自分の場合は瓦礫にすらならない。
証拠隠滅のため、残骸はバクテリアに分解されて塵一つ残らないのだから。
「そりゃそうだ。でもな、墓を作ることにはきっと意味がある。
一度死んだオイラが言うんだ。間違いないぜ」
「え……」
言葉を失う武美を尻目にクロは穴を掘り続ける。
クロ、いやサイボーグになる前のキッドという猫はすでに死んでいる。
愛する野良犬を庇いながら矢の雨を受け、ただの猫としての生を一度終えた。
不死身の体に生まれ変わった今でも死の記憶は彼の中に確かにある。
だから知っている。死者は何も考えないということを。
殺されたものが持つ悔しさや怒り、悲しみなんかは死ぬ瞬間にすべて置き去りにされるものなのだと。
だから墓を作ったところで、このネコ型サイボーグが喜ぶなどとは少しも思っていない。
だが、少なくともこうすることが必要だと感じられたのだ。
――涙を流さずに泣いている、目の前の女のために。
武美が今、何を考えているかなんてクロにはわからない。
しかし目の前の残骸に何らかのショックを受けたのは確かだ。
だったら、立ち直るためにはきっかけを与えればいい。
そう考えてクロが思いついたのが、墓を作ることだった、というわけだ。
「……アタシも手伝うよ」
「ん、じゃあ適当な石を探してきてくれ。それと、あんまり遠くに行くなよ」
言葉少なに指示を出すクロ。
そのまま2人で黙々と作業を進め、数分後には埋葬が完了した。
仕上げとばかりに武美が探してきた石を乗せ、簡素な墓が完成する。
「さて、名前ぐらい刻んでやっか」
クロはそう言って、緑色に輝く勇者のナイフを握り締める。
このナイフ、“何でも切れる剣”程じゃないが中々の切れ味だ。
リーチが短いのが難点だが、石に墓碑銘を刻むぐらいなら楽勝で出来そうだ。
「でもこの人の名前知らないんでしょ?」
「んー、じゃ“何処かの誰かの墓”とでも書いとくか」
「それだとワケわかんないし」
「ま、じゃこれでいいだろ」
無難に『ネコ型サイボーグの墓』とだけ記す。
その後、飼い主の老人達に倣い、両手を合わせる。
武美も思い出したように両手を合わせ暫しの間、黙祷を捧げる。
「よし、じゃ、そろそろ行くか……って何だよその顔は」
見上げた武美の顔は微笑んでいる。
ニヤニヤと、でも少し優しげに。
まるでこちらの意図をすべて見透かすかの様な笑みに耐え切れなくなり視線をそらすクロ。
その様子が武美の笑みを一層深くする、と分かっていたとしても視線を合わせていられなかった。
「ありがとね、クロちゃん」
「……なんのことだか、わからねえな」
* * *
そして数十分後、彼らは目的地……湖の島に到達していた。
警戒のかいもあってかいかだで渡る間襲撃はなく、安全に島へと進むことが出来た。
そんな彼らがメッセージを聞いたのは丁度いかだで湖を渡っている最中。
ミーの名が呼ばれなかったのは僥倖だったが、6時間で10人もの犠牲者が出ているのだ。
……先程のネコ型ロボットのような犠牲者が。
「まったく、気にくわねえにも程があるぜ……」
PDAから流れ出した音声を聞いて、心底そう思う。
何の感情もこもっていない電子音声がクロの神経を逆なでする。
この画面の向こうでタコハゲ親父が笑ってるかと思うとはらわたが煮えくり返りそうだ。
例え1000発、いや1万発殴ってもこの怒りは収まりそうにない。
怒りを頭に煮えたぎらせるクロとは正反対に武美は落ち着いた様子で話しかける。
「落ち着いてクロちゃん、そうやって苛立たせるのがあいつらの目的かもしれないよ?」
「……かもな。だとしたらイラつくのはヤツらの思うツボって訳か……
……そろそろ中に入るぜ。武美、オイラの後ろから離れるなよ?」
アポロマグナムを構えつつ、裏口から民家へと侵入する。
だが暫く歩を進めるうち、杞憂ではないかという思いが強くなってくる。
それも仕方のないことかもしれない。
彼女達が足を踏み入れたのは、どう見ても築数年立ったと思われるどこにでもある民家。
廊下を歩けば僅かながら板張りの床が音を立て、ドアを開けば蝶番が僅かに軋んだ音を出す。
クロの聴覚が制限されているとはいえ、自分達以外の音が聞こえないのは自分達以外誰もいないことの証明ではないか
ピィーーー!!
だが、その思考を覆すかのように甲高い音が家中に鳴り響く。
目の前の扉の向こう、リビングらしき場所から鳴り響く電子音にクロは緊張を漲らせる。
(トラップか? だとしたら相手がどうあれ、速攻でけりをつけてやる!)
判断は瞬時。
勢いよく扉を蹴り開け、アポロマグナムの狙いを定める!
「動くなよ、テメェ! 死にたくなかったら手を上げろ!」
クロの怒声が家中に響き渡る。
妙にドスの聞いたその声は、一般人であれば素直に従って両手を挙げたかもしれない。
だが銃口を突きつけられた目標はただ静かに沈黙していた。
感情を表すことなく、両手を挙げることも、それどころか振り返ることもない。
動揺も何もないその挙動は一切の意志を感じさせない。
……まぁ、それも当然であろう。
アポロマグナムの銃口の先に鎮座するのは角のない少し丸めのボディ。
排気部分からは白米の炊けた香ばしい匂いが広まり、中央部分についたボタンは“白米”から“保温”へと切り替わったところだ。
どう見ても炊飯器です。ありがとうございました。
――戦車すら破壊する銃口を炊飯器に突きつける黒猫。
シュールの極みともいえる光景にクロも、武美も言葉を失う。
そしてほどなくして沈黙があたり一面を支配する。
そのまま数秒間だったか、クロにしてみれば拷問に等しい沈黙の末、武美が口を開く。
「そのさ……動けって言う方が無理だと思うよ?」
その言葉がトドメとなり、クロは力なく両膝を床につけた。
* * *
「クロちゃん、機嫌直してよ。ホラ、さっきのかっこよかったってば!」
「あー、慰めんな。余計惨めになる」
そっぽを向いていじけを続行するクロ。
武美としては銃を構えるクロは掛け値なしにカッコイイと思ったのだが。
まぁ、今の状況では何を言っても空しく聞こえることだろう。
しかしそれにしてもコレだけ大騒ぎしても何もなかったということは、やっぱり……
「……ただ電気を消し忘れた、だけ、とか?」
はっきり言って、そうとしか考えられない。
だがだとしたら机の中央で存在感を主張するあの炊飯器をどう説明しよう。
もしかして後から帰ってきてもう一度食べるつもりだったのだろうか?
(……ちなみにあ~るは光画部の皆のために予約炊きをしていただけだったりするのだが。)
「……ったく、驚かせやがって……つーか、誰もいねえんだったらココにはもう用はねーな」
そもそもココに来たのは間抜けな参加者を保護するためだ。
無人であればこれ以上ここにいる必要はない。
そう考え、踵を返し出て行こうとするクロ。
だが武美は机の上に置かれた炊飯器をじっと見つめていた。
「ん、どうした。腹でも減ったのか?」
「うん、ちょっと……じゃなくて!」
武美はしゃがみ、クロに視線を合わせる。
「ねぇ、クロちゃんはご飯食べれる?」
「あん? それがどうかしたか?」
「いいから答えてってば! もう一度聞くけど、クロちゃんはモノを食べれる?」
首を縦に振る。
クロは動力源としてオイルを補給するが、普通の食物も摂取が可能である。
「ふーん、そうなんだ。アタシも食べることが出来るし
ここでご飯を炊いた跡があるってことは、ここにいたのはやつもアタシたちと同じタイプってことだよね?
でも、最初に出てきたあの“銀色の化物”は普通の食事を取るとは思えないし……
……っていうか、そもそも言ってたもんね。“エネルギーパック”か“有機的な食料”が入ってる、って。
それにこの場所にはクロちゃんみたいなネコ型のもいればアタシみたいな人間型もいる。
……男もいたし、さっき襲ってきたのは女の人だった。
それに能力だってアタシみたいな非戦闘型からキミみたいなバリバリの戦闘型まで千差万別だし。
これだけ多種多彩なのを連れて来たってことは、何か意味があるのかな?」
「知らねーよ。てきとーに連れてきたのかも知れねーぜ?」
「それはそれで一つの情報だよ。
“体に機械類があれば参加者自体は誰でも良かったのか?”
“逆に考えてランダムにつれてこざるを得なかったのか?”
……っていうね」
自慢げに眉を上げる武美。
「うん、参加者から考えるってのは悪くないかも。
そういえばさっきの通信では“プログラム”って言ってたし、これは何かの実験なのかも……」
大神が多くの実験を行ってきたかのように、これもまたそういう実験なのかもしれない。
だがだとしたらその目的がまったく見えない。
壊し合いをさせるだけならば、いかだなど支給する必要はないのだから。
ならば何故……
そのまま考え込んでしまう武美。だがその様子を見て、クロは安心する。
(へっ、もう大丈夫そうだな)
先程の触れただけで壊れてしまいそうな女はそこにはない。
そこにいるのは知恵を絞り足掻く、強い女の姿だ。
それに少ない情報でそこまで考えるとは……自分が考えるよりもよっぽど頭の巡りはいいのかもしれない。
そしてそれは紛れもない事実である。
武川広美というサイボーグは大企業・大神グループを相手に逃げ回ることに成功していたのだから。
大神グループは灰原の所属するCCRという脱走したサイボーグを破壊するがあるにもかかわらず、だ。
催眠能力を持った仲間がいたとはいえ、それだけで監視の目から逃れられる理由にはなりはしない。
今まで常に演じ、欺き、それでもボロを出すことはなかった。
それは彼女の知能が高く、それでいて強(したた)かである証拠に他ならない。
「……まぁ、今の状態じゃ分からないことばっかりだよね。
でもこうやって考えるのは無駄にはならないはずだよ」
武美はそう話を締めくくり、思考の海から脱出すると台所の戸棚を空けてみる。
米びつ以外に塩や醤油といった調味料はそろっているが、冷蔵庫には何もないようだ。
「ま、とにかく情報が欲しいな。そのためには早く他の人と接触しないと……」
「……だったら面白いモンがあるぜ?」
別の部屋の扉を開けたクロがニヤリと笑う。
その視線の先、棚の上に鎮座するのは両手で抱えられるほどの黒い機械。
……いわゆる一つの黒電話、というヤツである。
「あ、お前、確か有線があればハッキング出来るとか言ってなかったか?」
「ん~……難しい、かも。多分規格違うし……」
その視線の先は黒電話と壁を繋ぐコード。
壁との接続部分はLANケーブルどころか黒電話にあわせたかのようなレトロな接続端子であった。
一応電話線は繋がっているようだが、一目見ただけでネット環境など望めそうもないことが理解できた。
「そっか……ま、だとしても“力”になるのは確かだろ?」
「え?」
「コレを見ろよ、コ・レ」
ニヤリと笑ったクロが手に取ったのは黒電話の横に置かれたメモ。
そこに残されていたのは、幾つかの施設の名と電話番号。
コレが通じれば身の安全を確保したまま連絡を取ることが出来る。
真偽はともかくとして、情報を手に入れることが出来るのだ。
そう、情報という名の“力”を。
* * *
コードネーム・モバイルレディ。
通信能力に特化した大神製の実験用サイボーグ。
だがその通信能力は妨害され、今の彼女は非力なガイノイドに過ぎない。
この会場にいるうちでは間違いなく弱者のカテゴリ――破壊される側に分類されるであろう。
だが“武川広美”は歯向かう決意をする。
何故ならば、“武川広美”は人の醜さも知ると同時に優しさも知っているから。
何故ならば、“武川広美”はもう一度会いたい人がいるから。
何故ならば、“武川広美”はその人に胸を張って再会すると決めたから。
だから彼女は抗う。目の前に広がる破壊の運命に。
“モバイルレディ”だけが彼女の全てではない、それを証明するかのように。
【E-7 民家/一日目/朝】
【クロ@サイボーグクロちゃん】
[状態]:装甲各所に軽い凹み
[装備]:アポロマグナム@仮面ライダーSPIRITS、
ウィルナイフ@勇者王ガオガイガー(なんでも斬れる剣があった場所に収納)
[道具]:支給品一式、風船いかだ
[思考・状況]
基本思考:ハゲ(シグマ)をぶちのめす! その後剛を殴る。
1:とりあえず電話を使って他参加者と接触を図る。
2:とりあえず、ハゲ(シグマ)の居場所を探る。そして暴れる。
3:ミーと合流して、爆弾を何とかする。
4:とりあえず、今は武美を深く追求する気はない。
5:あの女(ギンガ)には容赦しねー
※内臓ミサイルは装備されています。尻尾ミサイルは使用済み。
※ガトリングやなんでも斬れる剣が没収されていることに気づきました。
※参加時期は異世界編(五巻)終了後です
※クロが確認したF-7の小屋の照明は、Rが侵入した際に点けていったものです。
【広川武美@パワポケシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム1~2(クロ好みの武器はないが武器は最低一つある)
[思考・状況]
基本思考:絶対に生き残り、ここから脱出する。
1:とりあえず電話を使って他参加者と接触を図る
2:F-7の湖内の孤島にある小屋へ向かって、内部を確認。その後、市街地へ向かう。
3:シグマの居場所を探る。
4:元の世界のあの人のところに戻って、残り少ない人生を謳歌する。
※【F-8】に王ドラの亡骸が埋葬されました。墓石がわりの石には“ネコ型サイボーグの墓”と刻まれています。
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