「第二回放送」(2009/03/28 (土) 16:25:51) の最新版変更点
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**第二回放送 ◆2Y1mqYSsQ.
PDA内に内蔵された、デジタル型の時計が十二時を示す。
画面が点滅し、本日二度目の放送が鳴り響く。
『――インフォメーションメッセージ』
合成電子音が、死者を知る時間だと告げた。
死んだものを悲しんでいる者にも、戦いを続ける者にも、会場を探索している者にも、PDAにより放送は発せられる。
『12:00時点における本プログラムからの脱落者をお知らせします。
No11 ゲジヒト
No35 初音ミク
No23 タチコマ
No49 ロボ
No43 メカ沢新一
No31 ノーヴェ
No15 城茂
No48 ロックマン
No06 絡繰茶々丸
No12 KOS-MOS
No01 R・田中一郎
No47 ルーン・バロット
なお、進入禁止エリアは【C-7】、【E-2】の2ブロックとなります』
告げ終えた機械は沈黙する。死者の存在を知らせる言葉が、生き残ったものに影響を与える。
よかれ、悪かれ。
機械はただ、事実を告げるのみ。
□
シグマはPDAに送信された音声ファイルが再生する様子を、モニターで確認する。
もしかしたら聞き逃した者がいるかもしれないが、親切に二回流してやる気はない。
体内の爆発物を持っているグループをみてみると、自分に爆破されることを恐れているらしい。
爆弾を持っていない、と情報をかく乱するようだ。シグマは嘲笑の笑みをモニターへと向ける。
コロニーを用意したのは、シグマだ。室内でも様子が分かるのは自明の理。
その上、対象が室内にいたとしても確認できる道具がある。シグマは静かに、そのグループが映し出されているモニターから離れた。
爆弾の解除は実はシグマにとってそれほど不利益ではない。いくつか理由があるが、そのうち一つが殺し合いの舞台となるコロニーだ。
プログラムを邪魔になれば、コロニーごと始末するという手が残されている。急く必要もない。
それに……
「早すぎる」
そう、今彼らを殺すのは早すぎる。進化とは、闘争を繰り返した果てにある。
かつてシグマは唯一『悩む』という行為が出来るレプリロイド、エックスに進化の可能性を見出して闘争の場を用意した。
今また並行世界を知り、集められた者たちにもシグマの望む進化を見ることが出来るのか興味があった。
だからこそ、爆破の条件を緩めた。もっとも、それらは理由の一つに過ぎないが。
「エックス……まさかキサマが、修羅の道を行くとはな」
と、言いつつもシグマの声に本気で驚いている様子はない。
この可能性も、ありえると想定していたのだ。再生をしたシグマはスカイネットと出会い、このプログラムを提案された。
参加者を集めたのはスカイネットの仕業だ。シグマはコロニーを用意して、舞台を整えた。
プログラムの映像はスカイネットに送られている。シグマに彼らが協力する代わりに、映像を送ると約束したからだ。
理由を聞かされたときは呆れた。もう、スカイネットがシグマに接触することもないだろう。
途中、スカイネットにシグマは未来と過去を教えられた。
正確にはシグマのいた世界の過去や未来になりえた世界だ。だからこそ、エックスが修羅の道へと歩む今の姿もある程度納得する。
平行世界は多種多様。人を憎むレプリロイドもいた。そして、肝心のエックスの未来は……
「牙なき者を守る剣……か」
シグマはかつて、イレギュラーハンターの隊長として隊員に告げた教えを呟く。
頭髪のない、人間の中年を想定した顔に皮肉の笑みが刻まれた。
悪夢の舞踏はまだ続く。
*時系列順で読む
Back:[[大切なものを喪う悲しみ(前編)]] Next:[[涙の証明]]
*投下順で読む
Back:[[大切なものを喪う悲しみ(前編)]] Next:[[涙の証明]]
**第二回放送 ◆2Y1mqYSsQ.
PDA内に内蔵された、デジタル型の時計が十二時を示す。
画面が点滅し、本日二度目の放送が鳴り響く。
『――インフォメーションメッセージ』
合成電子音が、死者を知る時間だと告げた。
死んだものを悲しんでいる者にも、戦いを続ける者にも、会場を探索している者にも、PDAにより放送は発せられる。
『12:00時点における本プログラムからの脱落者をお知らせします。
No11 ゲジヒト
No35 初音ミク
No23 タチコマ
No49 ロボ
No43 メカ沢新一
No31 ノーヴェ
No15 城茂
No48 ロックマン
No06 絡繰茶々丸
No12 KOS-MOS
No01 R・田中一郎
No47 ルーン・バロット
なお、進入禁止エリアは13:00をもってして【C-7】、【E-2】の2ブロックとなります』
告げ終えた機械は沈黙する。死者の存在を知らせる言葉が、生き残ったものに影響を与える。
よかれ、悪かれ。
機械はただ、事実を告げるのみ。
□
シグマはPDAに送信された音声ファイルが再生する様子を、モニターで確認する。
もしかしたら聞き逃した者がいるかもしれないが、親切に二回流してやる気はない。
体内の爆発物を持っているグループをみてみると、自分に爆破されることを恐れているらしい。
爆弾を持っていない、と情報をかく乱するようだ。シグマは嘲笑の笑みをモニターへと向ける。
コロニーを用意したのは、シグマだ。室内でも様子が分かるのは自明の理。
その上、対象が室内にいたとしても確認できる道具がある。シグマは静かに、そのグループが映し出されているモニターから離れた。
爆弾の解除は実はシグマにとってそれほど不利益ではない。いくつか理由があるが、そのうち一つが殺し合いの舞台となるコロニーだ。
プログラムを邪魔になれば、コロニーごと始末するという手が残されている。急く必要もない。
それに……
「早すぎる」
そう、今彼らを殺すのは早すぎる。進化とは、闘争を繰り返した果てにある。
かつてシグマは唯一『悩む』という行為が出来るレプリロイド、エックスに進化の可能性を見出して闘争の場を用意した。
今また並行世界を知り、集められた者たちにもシグマの望む進化を見ることが出来るのか興味があった。
だからこそ、爆破の条件を緩めた。もっとも、それらは理由の一つに過ぎないが。
「エックス……まさかキサマが、修羅の道を行くとはな」
と、言いつつもシグマの声に本気で驚いている様子はない。
この可能性も、ありえると想定していたのだ。再生をしたシグマはスカイネットと出会い、このプログラムを提案された。
参加者を集めたのはスカイネットの仕業だ。シグマはコロニーを用意して、舞台を整えた。
プログラムの映像はスカイネットに送られている。シグマに彼らが協力する代わりに、映像を送ると約束したからだ。
理由を聞かされたときは呆れた。もう、スカイネットがシグマに接触することもないだろう。
途中、スカイネットにシグマは未来と過去を教えられた。
正確にはシグマのいた世界の過去や未来になりえた世界だ。だからこそ、エックスが修羅の道へと歩む今の姿もある程度納得する。
平行世界は多種多様。人を憎むレプリロイドもいた。そして、肝心のエックスの未来は……
「牙なき者を守る剣……か」
シグマはかつて、イレギュラーハンターの隊長として隊員に告げた教えを呟く。
頭髪のない、人間の中年を想定した顔に皮肉の笑みが刻まれた。
悪夢の舞踏はまだ続く。
*時系列順で読む
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