灰狐は甦える ◆V9YQ4knn.A



「死ねぇぇい!」

 液体の名を持つ蛇の叫び。
 直後、咆哮するとも取れる鋼鉄の歯車仕掛けの恐竜の足が灰色狐へと振り下ろされた。
 しかし、耐えた。狐の体――強化骨格は軋みながらも持ち堪えた。
 奇跡的に生まれた、僅かな時間。『戦友』との惜別の時間。

「スネーク、さらばだ」

 狐は言った。直後、一撃。その一踏に、既に限界を迎えた強化骨格は抗えなかった。
 狐の、FOXの称号を持つ男の、一度は死んで黄泉返された男の、その長い人生は……無理矢理返された無意味な世は、これで終わりを告げた。
 後に残るは固体を冠した蛇の慟哭と、液体を冠した蛇の嘲笑。

 グレイ・フォックスは死んだ。

 そう、死んだ筈だった。


                ◇  ◆  ◇ 


 だが、彼はここにいる。
 この殺し合いの、真っ只中にいる。

 今度こそ死んだ筈だったのに。いや、死んだ筈で無い。死んだのだ。
 しかし彼はここにいる。
 再び、彼は蘇った。
 グレイ・フォックスは、蘇った。

 彼は一度、彼の世から舞い戻った事がある。強化骨格と麻薬漬けにされて、無理矢理蘇生されたのだ。

 今度も、再びその様に蘇えされたのか?
 いや、再現は出来ないだろう。彼の体は鋼の巨大に叩き潰された。
 最新のテクノロジーを用い、サイバネティク・モジュールを組み込み、遺伝子治療で拒絶反応を克服したとしても、体の再生は絶対に不可能だ。

 それなのに何故グレイ・フォックスはここにいるのか?
 死して尚見る夢とは思えない。犯された頭が魅せる幻覚とも思えない。
 強化骨格越しに肩で切れる風がそう物語る。戦場の、風。

 ならば、もっと未知の技術が使用されたのだろう。
 シグマと呼ばれた男は願いを叶えると口にした。
 フォックスに、フランク・イェーガーに望みは無い。
 大事なのは奴の発言。シグマは、死者をも蘇らせると言った。きっとその技術を応用させて、死者・フォックスを生者に変えたのだ。

 ……………………。

 手元に目線を落とした。四角い機械。彼をこの場に導いた男はそれをPDAと称していた。
 指を走らせる。支給品の項目に触れる。

 支給品は三つ。


 ひとつは『空気砲』、もうひとつは『ライドル』。そして、最後のひとつだが、武器としての利用は出来そうにない。
 それぞれの説明を入念に眺めると、一旦支給品の項目を閉じ、名簿とMAPに目を走らす。
 参加者を確認。彼の求める人間はいない。
 地図を吟味する。地形を頭に入れる事は、兵士に取って必須。
 今はこんな体にされてしまったが元は兵士だった、それも飛びきり優秀な。
 辺りを見渡し、地図と見比べ、場所を、地形を、方角を、頭に叩き込む。

 それも終わりフォックスは支給品を取り出し、装備する。
 右手に『空気砲』、腰のラックに『ライドル』を仕舞い、動作を確認する。
 一仕切り完了すると、強化骨格の跳躍力で月目掛けて飛び上がった。
 両手と、膝を付き、平伏する姿で着地する。

「スネーク、この場にお前はいない様だが、俺はどうやらまたあの世から呼び出された……解放をされなかったらしいな。
 …………俺は死の囚人だ。俺はこの場で死に場所を求めて戦うつもりだ。
 俺達は戦う事でしか自分を表現出来ない」

 独白。やおら立ち上がる。

「だが、俺達はいつも自分の意志で戦ってきた。政府や誰かの道具じゃない!!
 そうだ、スネーク、そうだろう?」

 吠える。

「スネーク、俺は死を求めて……闘って死ぬ。だが、奴ら……シグマの為では無い!!
 俺は自分の意志で、兵士として闘って死ぬ!」

 荒野に狐、慟哭す。
 死んだ狐は、死に場所を目指して。

 灰色狐は月夜の荒野を駆ける。


【F‐5 北部/一日目・深夜】
【グレイ・フォックス@メタルギアソリッド】
[状態]:健康
[装備]:空気砲@ザ・ドラえもんズ、ライドル@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式、不明支給品(武器ではない)
[思考・状況]
1:闘って兵士として死ぬ

※原作死亡直後からの参戦です


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GAME START グレイ・フォックス 041:真夜中のサーカス





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