密林考察にうってつけの時 ◆1eZNmJGbgM



(……不自然だわ)

それが彼女―メスg…草薙素子―が放送を聞いた素直な感想だった。

死者の人数の多さに思う所はあるものの、彼らがどのような人物なのか推測すらできない以上大した
意味を持たない。いま自分の傍らにある遺体―あえてこう呼ぶ―がドラ・ザ・キッドであるという事が
放送とPDAの両方で確認できたぐらいである。あとはこの場に召喚された者の中で唯一顔見知りの
タチコマの名が呼ばれていないこと、その程度であった。

それより重要なのは禁止エリアの告知。もっと言い切ればH-8、なぜそこが選ばれたのか。
主宰者が言うところでのこの「壊し合い」を進めるなら、もっと行動に制限を設けられる地区にするべきだろう。
例えば自分の近辺ならH-4、ここを禁止エリアにすれば右下から右上のエリアに移動するにはF-4を
通るしか方法が無くなり、より他の参加者、しかも先程の放送で呼ばれた死者の数からすれば
危険人物との接触が多くなるというのに。最初の禁止エリアを様子見にするのならばH-8と共に
指定されるのがC-2というのもおかしい。地図で見る限り、C-2はただの湖にしか見えないからだ。
もしかしたら湖底に何か秘密の施設があるのかもしれないが、水中を行動できる参加者がそれほど
多いとも考えにくい。その上でさらに禁止エリアに指定する必要のある施設が存在する確率がどれほど
あるというのか。そもそもそれほど重要ならE-4の宇宙要塞の中に設置すればいいであろうに。
二か所とも無意味なエリアを指定することはありえない。



(つまり今回の禁止エリアではC-2は囮、デコイ。本命はH-8の発電所…)

なにより発電所の立地場所からしておかしい。だいたいなぜG-7とH-7、G-8とH-8の四か所に跨って
いるのか。最初から禁止エリアに指定するなら1エリアに収まるように設置していれば完璧であっただろう。
この場合、発電所を
1・4エリアに跨るように設置せざるを得なかった。
2・わざと4エリアに跨るように設置した。
3・たまたま4エリアに跨ってしまった。
この三つが選択肢としてありえそうなところか。

(まず1番、これはない)

おそらくこの会場は既存の施設ではなく一から創り上げたものだろう。なぜなら肝心なものが
欠けている。それはこの会場から外部へ移動できる手段が存在しない。一応シャトル発着場らしき
建物は地図上にあるが、それが四か所もあるのならおそらく各発着場への移動、つまり内部向けで
あろう。もしくはあの宇宙要塞へ移動することもできるかもしれないが、これも内部向けといえる。
大体、ここが元々は居住空間だとしたら簡単に宇宙要塞などという物騒な場所に移動できるのに
わざわざ内部に軍事基地など作るものか。むしろ治安維持に係わるなら軍事基地よりも警察暑の方が
スピード、コストの両面から考えても効率的なのは当然。
話を戻すと、あのシグマという男はこの会場の地形や建物を好きな位置に配置できる。当たり前だ、
設計図の段階で無理が生じたら書き直せばいいだけの事。「せざる」などという事態など起こり得ない。

(次に2番、これも放送の内容からして有り得ない)

もしわざと4エリアに跨るように設置したならなぜ最初の禁止エリアに指定する必要があるのだろうか。
故意に分割したならおそらくはトラップやミスリーディングなど、参加者にマイナスの効果を与える存在を
仕掛けておいたであろうに、禁止エリアに指定した事で全てが水泡に帰してしまった。そんな無駄な事を
するなら最初からそんな仕掛けを作らないか、禁止エリアに指定しなければいい。よってこれも無し。


(となると一番有り得そうなのは3番…)


このたまたまというのが最も適当な理由だろう。
そもそもコンピュータ、機械のやる事にたまたまということがあるのかは疑問だが、おそらくはそれほど
重要な施設としては考えていなかったのだろう。発電所と比べてD-7の電波塔、あるいは各地のシャトル
発着場に橋といった確実に1エリアに収まっている施設、場所の重要性は理解できる。
電波塔には自分たちには電脳通信、あるいは他の参加者が使える未知の通信手段の制限、そして
PDAの転送や体内の爆弾の遠隔操作に使用している通信手段。全てとは言わないまでも、どれかが
当てはまる可能性は十分あるだろう。
シャトル発着場と橋は会場内の移動手段の制限。特にこの会場のようにブロックごとに分割されていると
その効果は非常に高い。
それに比べて発電所は極論でいえば電力さえ生産できればそれでいい。場所だって何処でも構わない。
他の施設を利用するのなら電気が必要だから破壊する必要もない。最悪自家発電装置があれば
発電所自体の必要性すらない。このように必要性すら怪しい施設、適当に設置されても仕方ないかもしれない。

(じゃあなぜ最初に禁止エリアに指定……なんらかのバグがあったから?)

おそらくは、すぐにでも禁止エリアに指定「しなければならない」程の何かが見つかったからではないだろうか。
仮に重大なバグが見つかったとしてもそれは発見されない限り何の問題もない。むしろこうやって禁止
エリアにすれば自分のように余計な詮索をする者も出てくる。そのぐらい分からない連中ではあるまい。
なぜそのリスクを冒してでも禁止エリアに指定して遠ざける必要性があったのか。
それは調査すればすぐにでも判明してしまうほどの致命的な問題が生じてしまったから。しかもこの
壊し合いの意義を根底から覆しかねないレベルで。それがどんなものかは想像できないが、皮肉な事に
発電所内を調査すると推測が出来るかもしれない。
単純に発電所の仕組みを言ってしまえば、火力ならボイラー、タービン、発電機、制御室。原子力なら
ボイラーの代わりが原子炉になるだけだ。水力、地熱は地図を見る限り除外しても構わないだろう。
仮にこの四つの設備が均等に配置されていれば、禁止エリア内の設備に問題があるということになる。
現状で禁止エリアに進入できなくともおおよその予測が立てられるし、体内の爆弾を無力化できた後なら
主催者陣営に対しての強力な切り札に成り得る。
それに危険な賭けではあるが禁止エリアに侵入した場合の状況を知る必要もある。短くて10秒、長くて
30秒程度の警告音が鳴らされるとは思う。参加者同士のぶつかり合いを望んでいるのなら、あくまで
禁止エリアはおまけにしか過ぎないだろう。確証がない以上いきなり爆発するかもしれないがリスクを
恐れた情報などにどれほどの価値があるというのか。



(もっとも、この仮説には重要な事が欠けているけど…)

この仮説が成立する大前提は「発電所の内部に誰もいない」ことである。もしかしたら単純に発電所
内部に留まっている参加者を外部に移動させるための措置かもしれない。開始から6時間ずっと
一ヶ所に留まり続ける者など、戦闘力に乏しい者か罠を仕掛けて待ち伏せる者のどちらかしかない。
後者だとしたらわざわざ企画に協力的な参加者の邪魔をするとは思えない。ならば前者、それに
そんな奴が禁止エリアの隣にいられるような神経を持ち合わせている筈もない。
つまり単に安寧の地から戦場へ引き摺り出す為の措置という可能性も十分にあり得るのだ。

(それでも向かう価値はある)

少なくとも参加者、それも壊し合いに乗っていない者との情報交換と支給品の確認、発電所内部の
様子、これだけでも今の自分にとっては十分な成果。結果発電所内に異常が無くともそれで構わない。
「発電所の中には問題が無い」という情報が手に入る。そしてこれはかなり貴重な情報。
当たり前だ、禁止エリアに指定されている辺鄙な施設へなど誰が足を運ぶものか。異常があろうと
無かろうと、発電所の情報は希少価値が高くなる。他の参加者との交渉の際、こちらの札は多いに
越したことはない。

(まあ、鍵の掛かった金庫の中に財宝が入っているとは限らないわね…)

最悪、自分の独り相撲である可能性も考慮に入れて行動を開始する。ドラ・ザ・キッドの遺体は悪いが
放置せざるを得ない。それなりの大きさと重さがあることに加え、H-4の連絡路は何の遮蔽物も無い。
これほど危険な場所を通るのならできるだけ身軽である必要があるため、余計な荷物は持てない。
車などの移動手段があれば話は別だが。それに修理工場ならそれなりの人数が向かう事が
予測されるため、後々の事を考えれば希少価値の高い発電所内の情報を入手するべきだろう。
よって導き出される答えはまず発電所内の調査。そこに他の参加者がいれば接触、その後キッドの
遺体と共に修理工場へ向かう。参加者に接触できなかった場合は修理工場へ向かい、そこで他の
参加者と接触、後に一緒に現在地であるH-5で遺体を回収、修理工場で解析を行う。

(光学迷彩もまだ使用不可、慎重に進むべき。申し訳ないわね、もう少し放置させてもらうわ)

一度ドラ・ザ・キッドの遺体に目を向けてから素子は南、発電所へ移動し始める。


最初の彼女の推察通り、かの場所に参加者はおらず。
しかし何らかの異常があるのかは判明せず。
そして唯一の知り合い、タチコマが破壊されたことなど知る筈もなく……



【H-5 森/一日目・朝】

【草薙素子@攻殻機動隊】
[状態]:健康、光学迷彩使用不可
[装備]:ロジャー・スミスの腕時計@THEビッグオー、封魔の瓶@魔法先生ネギま!
ブルースシールド@ロックマン、
[道具]:支給品一式×2、不明支給品(本人確認済み)、PDA×2(草薙素子、ドラ・ザ・キッド)
ジローのギター@人造人間キカイダー
[思考・状況]
基本思考:脱出およびシグマの拘束、もしくは破壊
1:発電所へ向かい、内部を調査。参加者がいた場合接触、情報交換をする。
2:シグマに関する情報を持った参加者と接触する(当面はエックス、ゼロが目標)。
3:その他の参加者にも、可能であれば協力を要請する(含タチコマ)。
4:他の参加者と行動を共に出来たならドラ・ザ・キッドの遺体を修理工場へ運び、解析する。
5:機会があれば、PDAを解析したい。

※ S.A.C. 2nd GIG序盤からの参戦です。
※ 光学迷彩の使用の制限は、連続使用は二時間まで。二時間使用すると、三時間使用できなくなります。
 もうしばらくすると使用可能に戻ります。
※「ロジャー・スミスの腕時計」でビッグオーを呼び出すことはできません。
※『黒い服の男』に警戒心を抱きました。
※発電所内でかなり大きな問題が生じていると考えています。
※また、かなり低い可能性ですがC-2の湖底にも秘密の施設があると考えています。
※確認済みの不明支給品ではドラ・ザ・キッドの遺体を運ぶことはできません。
※ドラ・ザ・キッドの遺体がH-5に放置されています。

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062:アナタノナキガラヲ… 草薙素子 111:煮え切らない





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