パーカーとTシャツを脱ぎ捨てる。
ズボンを脱ぐ手間すら惜しくて、ずり下げたトランクスの中から硬くそそり勃つものを取り
出した。
初めて目にした、成歩堂の男。
真宵を欲して先端からよだれを垂らしている剛直に、目のやり場に困った真宵はウロウロと
視線を泳がせている。

「真宵ちゃん、もう、良いよね?」

成歩堂も真宵も、結合するためのカラダの準備は既に十二分に整っていた。
真宵の太ももを大きく広げて身体を滑り込ませると、肩、腕、そして乳房から細腰へと裸身
に手を這わせ、いよいよ真宵に覆い被さった。

蜜を広げるように熱い秘裂を肉棒でかき混ぜる。
昂って硬くなっている真珠を成歩堂自身で捏ねられるのは指や唇で愛されるのとは一味違っ
て、真宵はいやらしい気分になるのを抑えきれずに思わず身悶えた。
淫らに身体をくねらせる真宵を楽しみながら、成歩堂は勃起を自身の手で数回扱くと、蜜を
滴らせた秘穴に宛がった。

お互いの熱さに二人は息を呑む。
呼吸を落ち着けるようにそっと息を吐くと、成歩堂は意を決したように腰を押し進めた。

「ん……あ……っ」

ゆっくりと貫かれて行く真宵はわずかに顔を歪めながら男を受け入れて行く。
亀頭の一番張り出した部分が入り口を通る時に、真宵は白い喉元をあらわにして仰け反った。
息を詰めているために、顔がみるみる紅潮していく。
何かを訴えるように小さく口を動かしているが声にはなっていなかった。
やがて行き止まりに到達して胎内が成歩堂自身で埋め尽くされると、真宵は下半身の感覚を
深く味わうように「……はぁ……っ」と息を吐いた。

「く……っ」

初めて侵入した真宵の中は熱くて、とてもよく締まった。
最奥まで進んでは、ギリギリまで引き抜く。
根元から先端まで、肉の棒に蜜をまぶすようにゆっくり大きく腰を動かしながら、成歩堂は
真宵の胸に顔を埋めた。
硬くしこった突起を吸い舌で転がしながら、頬に触れる柔らかな乳房の体温を楽しむ。
肌から立ちのぼる甘い香りがどこか官能的に思えたその刹那、真宵がしゃくり上げているこ
とに気が付いて顔を上げた。
唇を噛み締めて、瞳いっぱいに溜まった涙を流すまいと堪えているが、大きなまなこからは
ポロリ、そしてまたポロリと雫がこぼれ落ちていく。

「真宵ちゃん……」

今まで何度も真宵の泣き顔を見て来たが、今日の泣き顔は一段と愛らしくて、そして妖艶だ
った。

「どうしたの?」

真宵は腕を伸ばして成歩堂の背中に手を回し、ギュウッと抱き締めた。

「……ちょっと、待って……っ。しばらく、このままが、良い……!」
「……うん」

成歩堂は今すぐ突き上げたい衝動を抑えて腰を止めた。
彼女の中はきつく、不意に成歩堂を締め付けて来るので、暴発しないように細心の注意が必
要だった。
成歩堂もまた真宵の背中に腕を回し、抱き締める。
スッポリ腕の中に納まってしまう真宵が愛しくて仕方ない。

「真宵ちゃん、すごく可愛いよ……」

成歩堂の言葉に反応してクッと締まり、潤いが増した。
真宵のカラダは予想以上に敏感だった。

「なるほどくん……!」
「う……ん?」

真宵は成歩堂の髭面に、桃のように柔らかく紅潮した頬を寄せると、彼の耳元で吐息の割合
が圧倒的に多い掠れ気味の声で囁いた。


「いたい…………」



「……え。」

真宵を見た。
なるほど、眉間にわずかに皺を刻んで、額には汗を掻き少し苦しそうな表情を浮かべている。

「角度が変?」

真宵はかぶりを振る。

「……場所、合ってるよね?」
「な、なるほどくんの、えっち!」
「いやいやいや……、そうじゃなくて」

まじまじと見た。
真宵は恥ずかしいのか、それとも痛みに耐えているためか、わずかに歪ませた顔を逸らして
視線を泳がせている。

嫌な予感がした。
それも、とてつもなく嫌な予感が。

もしかして、行為を始めてから今までに交わした会話のどこかに、重要な食い違いがあった
のではないのだろうか──。

冷たい汗が背中を落ちていく、久し振りのこの感覚。
検察や証人に追いつめられた時によく味わった、あの感覚。

成歩堂は、恐る恐る二人が結合している部分に目を遣った。
硬直した勃起をずっぽりと受け入れて形を歪めたピンク色の粘膜に血液が滲んでいるのを見
て、目をパチクリとしてしまった。

えーっと。
……この出血はなんだろう。

「真宵ちゃん、キミ、生理──」
「ち、違う……!」
「……だよなあ」

つい先ほどまで、そうであれば良いなと思っていたのに。
好き放題してしまった後ろめたさからか、今はそうでなければ良いと願っている。
そんな身勝手さにうろたえながら、成歩堂はおずおずと口を開いた。

「あのさ。もしかして……」

成歩堂の言葉を待たずに、堰を切ったように真宵の瞳から涙がこぼれ出した。

「あの、ね……ッ? あたし、こういうコトするの、はじめてだった……ッ」
「……ええええええええ……っ!!」

半ば予想通りの答えに内心「やっぱり……」と思いつつも、叫ばずにはいられなかった。
真宵は不安げにチラリチラリと成歩堂の顔色を窺いながら、時折痛みに眉をしかめている。

「い、異議あり! さっき『男を知ってる』って言ったじゃないか……!」
「知ってるよ!? みつるぎ検事にヤッパリさん、神乃木さんにイトノコさんにオドロキくん
に、それから、それから、裁判長さんに……」
「いやいや、それは知り合いってコトだろ? ぼくが聞いたのは、その……」
「な、何よ」
「つまり、キミがそういう経験があるのか聞いたわけで……」
「……?」
「あのね、『男を知ってる』って言い回しには、そういう意味があるの。その、男と女の愛の
営みというかなんというか」
「! そ、そうだったんだ……。あたし、何でこんな時にそんなコト聞くのかなって思っちゃ
ったよ……」

相変わらず苦悶の表情を浮かべる真宵に説明してやりながら、成歩堂ははたと思い出した。

「あれ。じゃあ、さっき玄関で話してたスーツの男は……?」
「え。あ、ああ。あれはテレビの集金だよ。倉院の里の集金を担当してる人」
「しゅ、集金……」

じゃあ、人を小馬鹿にしたような笑いは気のせいだったのか……?

成歩堂は今更、真宵にしたコトを思い出して冷や汗を掻いていた。
経験のない娘に対して、遠慮も配慮もないコトをしたような。
嫉妬に駆られて真宵の大切な部分を好き勝手に弄び、あんな格好でそんなコトをしてしまっ
た。
唯一の救いは焦って欲望のままにぶち込まなかったことくらいだ。
成歩堂の男としての矜持はただその一点のみで支えられていた。

切なげに見つめる真宵を、成歩堂もまた見つめ返す。
処女を散らした痛々しさと色を帯びた美しさが真宵を彩っていた。
十年間の付き合いで、初めて見る真宵だった。

「……痛かっただろ? 大丈夫?」
「……う、うん。へーき。なるほどくん、ゆっくりしてくれたから……」

成歩堂は愛しげに真宵の額から頬を撫でた。すると真宵は嬉しげに目を細めて応え、「はぁ
……っ」と溜め息を漏らし、彼女もまた、愛しげに成歩堂の頬を撫でた。
無精ひげがザラザラと柔らかい手のひらを刺して痛かった。
成歩堂は真宵の唇を吸った。
下半身で繋がったまま交わす口づけは殊更に官能的だ。

「んっ……ふ……!」

鼻から吐息を漏らしながら真宵は懸命に成歩堂に応えて唇を寄せる。

「まだ痛い?」
「う……ん。ちょっと痛い」

成歩堂は出来る限り腰を動かさないように気を配りながら、真宵の雪肌を楽しみ始めた。
首筋、鎖骨。
まだ痕跡のない場所を探しては、埋め尽くすように吸い上げて紅の花を咲かせて行く。
色づいてツンと勃つ乳首は春の苺のように甘く成歩堂を誘う。

「ぁ……っ」

魅惑的な誘いに乗せられて、成歩堂はチュと音を立てて突起を口に含んだ。

「んっ……ん……っ」

舌で絡め取り、丁寧に舐めて転がしてやると、真宵は切なげに身を捩らせた。
結合した胎内がキュンと成歩堂を締め付けるので、彼は辛抱しなくてはならなかった。
真宵の昂りと共に、成歩堂を包む蜜壷からは清らかな水が満ちて溢れて来る。

真宵は胸の先から下腹部にじんわりと広がる快感に身を任せていた。
胸の先端の敏感な部分と下腹部の大切な空洞が直結してるような錯覚を覚えてしまう。
成歩堂の舌先が生む快感にうっとりしながら、熱心に乳首を構っている彼に楽しげに言った。

「なるほどくん、赤ちゃんみたいだよ」

クスクスと真宵は笑う。
その笑顔は10代の頃と変わらないまるで幼げなものなのに、目尻がほんのり色づいていて妙
な色香があった。

「赤ちゃんはこんな風に舐めたりしないだろ」

真宵は成歩堂が露骨な言葉を囁くたびに、パッと顔を赤らめた。
言葉より、よほどいやらしいことをしているにも関わらず、だ。
そんな初々しさが愛しかった。

成歩堂は二人が繋がっている部分のすぐ上の芽を親指で揉み始めた。

「ひ……っ」

真宵は上半身を反り返らせて腰を震わせた。

「あ……あっ、あっ」

真宵の締め付けは一層きつくなり、クッと圧力がかかると成歩堂自身が押し出されそうだっ
た。
真宵の中はたっぷりの蜜と共に肉の棒を咥え込み、妖しく蠢く。

ヤバいな……。

成歩堂は射精前のムズムズした予兆を感じ始めていた。
下腹部がじんと痺れて来る。
このままでは動かないまま終わってしまいそうだった。
艶のある豊かな髪を愛でながら、ゆっくりと深呼吸で昂ぶりを落ち着ける。
何もしないまま一人だけ先に達してしまえば、成歩堂にとっては大惨事だ。
今は良くとも、数年後。今よりも経験を積んでいるであろう真宵に何を言われたものか分か
ったものでない。

そろそろカラダは慣れただろうか。乱暴にしてしまったのだから、せめて今こそ優しくしな
ければ。
ああ、でもぼく、もう限界が。真宵ちゃん、頼むからあんまり締め付けないでくれ……!

成歩堂の正直な腰は、そそり勃つものに快感を与えようと勝手に動こうとし、理性が必死で
それを自制する。
と、まるで彼の葛藤を見抜いたように真宵が言った。

「えっと。……コレって、本当は動くんだよね?」

初めての経験ながら、真宵にも多少は知識があるようだった。
どこで知ったのだろう。
そんな下衆なことが頭を過ぎったが、すぐに打ち消した。
真宵はもう以前のような子どもではないことを思い出したからだ。
年齢も、知識も……そして、カラダも。
真宵は正真正銘、大人のオンナだった。

「うん……」
「なるほどくんも、動きたい……?」
「そ、そりゃね」
「じゃあ……、良いよ」
「大丈夫?」
「うん、多分」

そう言ったあと、羞恥と躊躇いを隠しもせずに真宵は言った。

「なんか、ね……? 痛いの落ち着いたみたい。あたしも、少し良くなって来た」

抉じ開けられてやっと成歩堂を呑み込んだ下の口は、なんとか太いものに馴染んで痛みが和
らいで来ていた。
真宵は頬を赤らめて、溜め息を漏らす。全身にうっすら汗を掻き始めて、肌がじんわりと湿
っていた。
心なしか瞳が陶然として来たようだった。

「……じゃあ、失礼して。痛かったら、言って」

成歩堂はおもむろに真宵の膝の裏に手を差し込んで大腿を抱えると、下半身を密着させてリ
ズミカルに抽送を始めた。

「あっ、んっ、んあっ」

肉の襞がいきり勃つ棒にぬちゃぬちゃと絡みついて来て、腰の中に生まれる気だるい疼きに
成歩堂は思わず呻いてしまいそうになる。
突き上げる度に真宵は甲高く鳴き、その声に呼応するかのようにキュッと締めつけて来る。
奥を突くと淫らな水が湧いて来て、成歩堂の先走りと混ざって二人の間で淫靡な音を響かせ
た。
腰の動きに合わせて乳房がぷるんぷるんと揺れるさまは、成歩堂を興奮させるには十分な眺
めだった。

「真宵ちゃん、やらしい……」
「あっ」

乳房を揉み、敏感な先端を指でイタズラしながら、リズミカルに腰を振る成歩堂を、真宵は
ぼんやりと見上げた。
突かれる度に衝撃で声が漏れてしまう。
奥深いところを突かれるのは独特な鈍痛を伴ったが、狭いところをペニスに拡張され一枚一
枚襞を抉るように擦られると、甘美な痺れが胎内を熱くし始めた。
頭の中まで侵食していく痺れが、次第に思考能力を奪う。荒くなる呼吸と喘ぎは自分の意思
とは無関係に切迫していた。

初めは苦しげだった真宵の喘ぎが、次第に甘えるような艶を帯びたものに変化していく。
破瓜の痛みは成歩堂との濃密なスキンシップで既に引き、硬くて太い成歩堂の分身が自分の
中で動く度に、高まって行く切なさが真宵の全てを支配しようとしていた。

「んんっ、あん、あ、あ、や、あんッ……ッ!」

真宵は成歩堂の背中を掻き抱いた。
自分にとって、兄のようであり、友達のような存在だった成歩堂。
その彼が、熱に任せた愛撫の一つ一つにオンナとして翻弄される真宵に興奮し、昂ぶりを堪
えることなく、本能のままに腰を振っている。
これまで二人の間に表立ったことが無かった男女の部分をあらわにしていることが、真宵に
は妙に気恥ずかしく感じられた。
いやらしく腰を使いながら、すぐ真上で息を弾ませている成歩堂を直接見るのが恥ずかしく
て、視線を逸らしながら真宵は呟いた。

「なるほどくんと……ッ、んっ、こんなコト、してるなんて……、なんか変な感じ……っ」

成歩堂は真宵のつるんとした額にキスを降らせながら言った。

「ぼくは……、ずっとしたかったけどね」
「!」
「キミとこういうコト、したかったんだ」
「ん、あっ……なるほどくん、って……っ、意、外と……、えっちだったんだ……」

時には姉弟だなんてからかいながら十年間を過ごして来たのに、その間も女として見ていた
と暗に言われてしまうと、彼女の中の建前が音を立てて崩れ去っていく。

友達、兄妹。
ずっとそう自分に言い聞かせてきた。

だけど……。
広い肩幅、喉仏、大きな背中。
血管が浮き、骨ばった手。
徹夜明けの無精ひげを生やした疲れた顔。
自身満々に間違えた時の照れ笑い。
異議を叩きつけた時の会心の笑み。
いつも彼の右側から見上げていた、法廷に立った時の凛とした頼もしげな佇まい。
そして、真宵の名を呼び、笑いかける優しい笑顔。

そのどれもが自分には無いもので、少なからず異性を感じていたはずだ。
そうでなければいつの頃からか日に日に増して行った胸の高鳴りは証明出来ない。
真宵は10代の頃から彼に恋していた。
だがそれ以上に家族のような関係はとても心地良かったから、下手に想いを伝えて気まずく
なって関係が崩れるよりは、いつまでもこのままで良いと思っていた。

──たとえ将来、どちらかが別の誰かと一緒に人生を歩き始めたとしても。

その選択がいつか自分を苦しめるかもしれないと、真宵にはよく分かっていた。

自分以外の誰かに優しく笑いかける彼を近くから見ながら生きて行くのは予想以上にツライ
だろう。
自分には決して向けられることのない笑みを独占出来る女性を、浅ましく羨みもするかもし
れない。
素直に彼の人生を祝福出来るようになるまでには時間がかかるかもしれない。

そう遠くない未来に、自分自身だって家族を作らなくてはいけなくなる。
自分は一族の長、家元なのだから。
一子相伝の力を絶やさないために大切な務めがある。
そのためのリミットが刻々と近づいているのを肌で感じていた。
里の命運が己の肩にかかっている今、自分一人の想いを優先させるわけにはいかない。
覚悟を決めなければならない日が近づいている。
誰かのものになってしまう自分を成歩堂に見られるのは……。
そして、彼に笑顔で祝されることは、きっと死ぬほど切ないに違いないことを、真宵は泣き
たくなるほどよく理解していた。

それに、綾里に振り回され続けた彼を再び巻き込むことへの抵抗もあったし、今も闇の中で
真実という光を探して走り続けている彼に脇目を振らせることなんて出来ない。

そう思ってしまうのは、女としては悲しいことなのかもしれない。
それでも、そんな胸の痛みを堪えてでも壊したくない、大切にしたい関係だった。
恋人じゃなくていい。妹でいい。友達でいい。
そのかわり、ずっと近くにいたい。
妹でいいから、友達でいいから、近くにいたい。

そう考えていた真宵にとって、十年の時を経て成歩堂と結ばれる時が来るなんて夢のようだ
った。

“友達でいい”
そう思いながら、女性としての自分は、心のどこかで成歩堂とこうなることを夢見ていた。
成歩堂に女として求められている今、味わったことのない柔らかな光のような幸福感に全身
を包まれている気がした。

成歩堂がバッジを失ってからの七年。
成歩堂に抱かれている今この時だって、彼に、共に歩く将来を望んではいけないことは分か
っている。
だけど、今だけは。
成歩堂の腕に抱かれて、女性として愛されたかった。

「あたしも……、したかった」
「え?」
「なるほどくんと、えっちしたかったよ」
「真宵ちゃん……」
「オバサンになっちゃう前に出来て、良かったよ」

真宵はそう言って精一杯の笑顔を浮かべた。
瞳を潤ませてふんわり笑む真宵の白磁の頬に唇を落とす。

オバサンになっちゃう前に、か……。

──可愛いなあ。

少しでも乱暴に扱えば折れてしまいそうに細い真宵の身体を抱き竦めた。
真宵もぎゅうと抱きついてくる。
いじらしさが愛しくてたまらない。

目を閉じれば浮かんで来る17歳の真宵の面影が、自分の匙加減一つで切なげに身をよじらせ
悶える27歳の真宵と重なる。
色気など皆無だったのに、この十年の間にいつの間にか女らしく熟れたカラダで成歩堂を魅
了する。

「あの、さ」
「うん?」
「あたしの中って、どんな感じ……?」
「……温かくって、ぬるぬるしてて、動いてるよ」
「それって、気持ち、良いの……?」
「う……ん、すごく良いよ。……真宵ちゃんは……?」
「え?」
「ぼくの、わかる?」
「……ん……」

真宵は秘所に意識を集中させた。
成歩堂の動きに合わせてグジュグジュという激しい水の音が聴こえて来る。
クッと下腹部に力を込めると陰茎が中でピクリと跳ね、成歩堂が同時に小さく呻いた。
膣に出入りする成歩堂の感触を確かめる。

これが、なるほどくんの──

真宵は赤面してしまう。
自分が乱れることによって成歩堂が興奮して、彼の性器が学生時代に保健の授業で習った通
りの状態になっているのを改めて実感してしまった。
汗を掻いて熱っぽい成歩堂の眼差しが、真宵の心に切なく響く。

成歩堂に大きく広げられて抱えられた真宵の生白い下肢が、彼の肩越しに律動に合わせて力
なく揺らめいていた。
それは自分で見てもとても艶かしい光景だった。
その上、膣を埋めている力強すぎる成歩堂の存在。

あたし、今、なるほどくんとエッチなことしてるんだよね……。
なるほどくんといやらしいこと……しちゃってるんだ。
か、考えてみれば、すごい行為だよね。
なるほどくんのアレがこんなに硬く……勃……起、して、あたしの大切なところに出入りし
てる。
すごいトコロにすごいモノ、挿れられちゃってるんだもん。
これがせっくす、かぁ……。
あたしもとうとうしちゃったのかあ。
……なるほどくんと、生まれて初めての、せっくす。
えっと、えっと。
こういうの、“オンナになった”とか“オンナにされた”って言うんだっけ。
あたし、なるほどくんに“オンナ”にしてもらったんだ……。

今日のなるほどくん、あたしですら知らないあたしをどんどん見つけていくみたい。
あたしでもこんないやらしい声が出るなんて、知らなかった。
足なんて自分の足じゃないみたいにゆらゆら揺れてるし、あそこなんて、恥ずかしいくらい、
ぬるぬるって、濡れちゃって……。
自分がこんなにえっちだったなんて、知らなかったな……。
それに、あたしのカラダで、なるほどくんは気持ち良くなってるんだよね……。
それっていやらしい。なんか、凄くいやらしいよ……!

「は、あぁん……っ!」

不意に、真宵の喘ぎが甘く鼻にかかったものになったので成歩堂は顔を上げた。
可憐な耳朶、ふっくらと柔らかな頬、それから男に組み敷かれて揺さぶられている小さなカ
ラダ。
すべてを桃色に染め上げた真宵は、悩ましげに眉根を寄せて、下半身を支配しようとしてい
る快感に呑まれそうになっていた。
改めて自分のしている行為を認識した真宵は、自分で自分を煽ってしまったことに気付くほ
どの経験など、当然のごとく持ち合わせてはいなかった。気持ちの昂ぶりと共に、
じんわりと切なく熱くなっていくお腹の奥に戸惑い、突かれた時には思わず甘い声をあげてし
まっていた。

膣の中の感じてしまう所を亀頭で擦り上げられると、成歩堂の指で強制的に覚醒させられて
いたその場所は、敏感に刺激を受け止めて快感に変えて行く。秘穴は成歩堂との
摩擦で熱を帯びてわななき、疼きは不規則な痙攣に変換される。
ヒクリヒクリと少しでも奥へと誘うように真宵の襞は蠢き、もう離さないと言わんばかりに
クッと成歩堂を締め付けて来る。
背中を駆け上る寒気にも似た快感に、成歩堂は思わず溜め息を漏らした。
ゆるゆると抽送を続けながら、真宵を愛しげに愛撫する。
少しずつ性感に目覚め、戸惑いながらも素直にカラダに表す真宵が可愛くて仕方なかった。

胸の突起を口に含んで軽く引っ張られ、舌先で捏ねられると、乳房の中で甘酸っぱい感覚が
弾けた。
成歩堂はもう片方の乳首を摘まみ、指の腹で転がす。

「あ、ん……」

次第に真宵は恍惚となって行く。
不思議なことに、弄られているのは胸なのに、成歩堂と繋がっている下半身の大切なところ
が熱を帯びていた。
中を擦りながら出入りする成歩堂の肉棒は、カチカチに硬くて太かった。
よく入ったものだと思う。
じっくり見たわけではないので構造は分からなかったが、どうも中で引っ掛かる部分がある
ようで、それがゴリゴリと擦れて気持ち良かった。
成歩堂が抜けそうなほどに出て行くと、それまで満たされていた部分がどうにも切なくなっ
てしまう。
早く欲しい。埋めて欲しい。
真宵の期待通りに硬いモノが再び入って来ると、胎内の襞が伸ばされて、空洞だった部分が
いっぱいに満たされる感覚がたまらない。

その内、腰を浮かして自ら迎えに行けば良いのだと気付いて、おずおずと成歩堂の動きに合
わせて腰を動かしてみた。
より奥まで迎え入れられることが分かって、ゆるりゆるりと腰を振り始める。
成歩堂はそんな真宵に驚いたように目を見張ったが、ふっと笑って抱き締めてくれた。
彼と抱き合うと、幸せで鳥肌が立った。

「真宵ちゃん、気持ち良いの?」
「うん……、いい……」

何しろ真宵にとっては初めてのことだから、何が正解で何が間違いなのかなど分からない。
手探りでコツや感覚を掴もうとしている真宵は、腰を動かすことに夢中になって行く。
本能に従って男を貪ろうとしている彼女の姿に、成歩堂は感動すら覚えていた。

ゆるやかなピストン運動をしながら身体中を撫でている成歩堂を、真宵は何か言いたげに見
つめていた。
潤んで誘うような、それでいてほのかに切なげな瞳が成歩堂の心に突き刺さる。
その瞳を見つめながら、結合部から溢れる蜜を指に取ると、秘芯に塗りつけ円を描くように
擦ってやる。
真宵の瞳が悩ましげに歪んだ。

「あんっ」

薔薇を思わせる可憐な唇から漏れる愛らしい喘ぎ。

「なる……ほど、くん……っ……?」
「なに……?」
「あ……っ、な、なんか、そこ……っ、やあ、あ、んっ……凄い、よ……!」
「感じる……?」

真宵は恥ずかしそうにこっくりと頷いた。初々しさが可愛らしい。

「敏感なんだね」
「ん、あ、あ、あ……ッ」

甘美な感覚に悶える真宵を見ながら、成歩堂は腰遣いを変えた。
色々な抽送を試してみたが、その中でも特に真宵は、深く挿して最奥部に押し付けたまま掻
き回されるのを好むようだった。
そうしてやると一段と甲高い声を上げ、腰を浮かす。
胎内の前面のザラザラした部分を擦り上げたり、亀頭のカリの部分で入り口を浅く引っ掛け
てやるのも悦んだ。

無邪気な真宵の肌は桃色に染まり、唇からは普段からは考えられないような甘く淫靡な声を
こぼす。
汗で光る肉体がくねる様子は、卑猥で妖艶とも言えた。

「あ、あれ……?」

真宵はしきりに目をこすっていた。
硬いモノが胎内で動くたびに下半身の奥が切なくなって来て、視界までぼやけてしまう。目
元を拭ってみて、初めて涙が滲んでいるのだと気付いた。

「どうしたの」
「う……ん、なんか、いつの間にか涙が……。泣いてるわけじゃないのに……っ、なんでえ…
…?」
「それは」

成歩堂は汗を掻いた頬に張り付いている髪を取り払ってやりながら、言った。

「本格的に気持ち良くなり始めたってコトじゃないかな」
「え。……で、でも。もう気持ち良いよ……?」
「もっと気持ち良くなるんだよ、これから」
「え……」

真宵は真っ赤に頬を染めた。
恥じ入るように目を伏せたが、成歩堂の肉棒を包む膣はキュッと締まり、熱をあげた。
羞恥に顔を赤らめる幼さとは裏腹に、カラダはある種の予感に期待して素直に嬉しがってい
た。

華奢ではあるものの、腰から尻にかけて広がる女性的なラインと、乱れた装束から覗く白い
素肌、そしてそこに散らばる黒髪が何とも淫猥だ。
成歩堂は腰を抱えると、真宵が嬉しがる場所へ角度を調節して腰を使い始めた。
真宵は成歩堂の背中にすがるように抱きつき身体の支えにするが、もはや息も絶え絶えだっ
た。

「ああ、は、あんっ、あ、ああっ、あ……んんっ」

下腹部の熱が徐々に真宵を支配していく。
緩やかなカーブを描いて昇って行く熱が、もどかしい。
自分ではどうしようもないのがまた切ない。
これ以上続けたらどうなってしまうのだろう。
下半身の熱さに溺れてしまいそう……!

組み敷かれて官能に喘ぐ真宵をまじまじと見た。

最奥を突かれるたびに真宵の身体は跳ねた。
重低音が下腹部に響くような感覚は少し痛みを伴うが、それ以上に、成歩堂が硬い棒の先端
を子宮に押し付けて腰を回すのには参った。

「あんっ、あ、ん、ぁッ、あ、あああっ……!」

真宵はあられもなく悶えてしまう。

そこを、もっと奥を突いて欲しい。
めちゃくちゃに、掻き混ぜて欲しい……!
もっと気持ち良くして欲しいよ……!

「なる……ほどく、ん……っ、あたし……っ!」

成歩堂の呼吸も荒い。
真宵の中はドロドロに蕩け、成歩堂の勃起を包む襞は、まるで奥へ奥へと咥え込むように吸
いついてくる。
未知の快感に堕ちようとしている真宵はもう限界のようだった。
成歩堂の下腹部も時折ピクッと跳ねて、射精が迫っていることを教えていた。
一層奥へと捻じ込んで小刻みに揺さぶると、真宵はカラダを弓なりにしならせ嬌声を上げた。
成歩堂を奥まで咥え込んだ秘穴は、真宵の意思とは全く無関係にヒクヒクと収縮している。

「やんッ、あ、ああああ……っ」

もう、わけが分からない。
身体の奥が熱くて溜まらなかった。
秘所や胸の敏感な突起がじんじんと疼いて仕方ない。
下半身でどんどん大きくなって行く熱の塊が、限界まで膨らんでパンっと弾けた。同時に視
界が閃光に包まれる。

「ん────ッ!」

絶頂のその瞬間、真宵は息を引いてカラダを強張らせた。
桃色に染まったカラダが大きく痙攣する。
はしたない声を漏らしていた唇が、酸素を求めてパクパクと戦慄いた。

フワフワと宙に浮かんでいるような感覚に恍惚としている真宵を掻き抱き、成歩堂は抽送を
激しくして行く。
絶頂の余韻に浸りきっている真宵の妖艶な姿はめまいを感じるほど魅惑的だ。もう喘ぎ声を
上げる力すら残っておらず、突かれるがままにカラダを揺さぶられている。
どろどろに溶けた肉襞はキュウっと収縮しながら彼の分身に絡みつき、押し出そうとすらし
ていた。

「真宵、ちゃん……!」

成歩堂の中を熱いものが駆け上がって来て、はち切れんばかりに膨張している陰茎が甘い痺
れに包まれていく。限界だった。
真宵の最奥に剛直を突き挿すと、低い呻きと共に男の粘液を吐き出した。

「く……ッ」

ビクリビクリと脈動しながら白い液体をほとばしらせる肉棒を、心地良く弛緩した真宵の女
性器が少しでも奥へと呑み込もうと蠢く。
淫らに蠕動する襞に、成歩堂は最後の一滴まで精を吸い取られていくような気がしていた。

それまで息を弾ませながら激しく腰を使っていた成歩堂が、一際深く突き挿して動きを止め
たので、真宵は重く感じるまぶたをやっとの思いで持ち上げた。

あ……。

成歩堂は真宵の腰を両手で抱えて少しでも奥に注ごうとするように局部を押し付け、眉間に
深く皺を刻んだ苦しげな表情で下腹部を震わせている。
その様子で、真宵はぼんやりと行為の終焉を悟った。

終わった、のかな……。

お腹の中で、時々成歩堂がビクンと跳ねている。
真宵はじっと、彼の痙攣が治まるのを待っていた。

今、せーえきが出てるんだ……。
……なるほどくんでも、やっぱり射精するんだねえ……。

射精している成歩堂が妙に色っぽく見えて、真宵のそこはまたヒクリと反応してしまった。
やがて、真宵の腰を掴んでいた成歩堂は、二度ほど大きくゆっくり抜き挿ししてから倒れ込
むように覆い被さって来た。
真宵は荒い呼吸を整えている汗だくの背中をギュッと抱き締めた。

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最終更新:2010年03月26日 22:49