エロパロの真宵凌辱SS前提の話。なので鬼畜傾向

【これまでのあらすじ】
どういうわけかシャバに出てきた巌徒と、何をどうしてか現世に出てきたちなみ(in春美)。
二人は復讐のために手を組み、真宵を拉致監禁し凌辱の限りを尽くす。真宵を助けに来た
成歩堂・千尋も返り討ちに遭い、状況は絶望的と思われた。
しかしそんな中、仮面の男が立ちあがる!

【このSSの注意点】
・真宵が壊れてる
・ゴドー×真宵。むしろマヨゴド
・それでいてナルマヨ
・男性陣がクズとゲスとヘタレばかり

*****

広さは十畳程度、フローリングの、ベッドと部屋の角に椅子が何脚かあるだけの殺風景
な部屋だった。窓には遮光カーテン、その上目張りまでされており、頭上でしらじらしく
光る電灯だけが唯一の光源だ。
その。ベッドの脚に、ゴドーは拘束されていた。といっても、脚の向こう側へ後ろ手に
回された両手首に手錠を掛けられているだけなので、脚と床にほんの一センチでも隙間を
作れば脱出できる。実行可能か不可能かはさておいて。
拘束される手と、座りっぱなしの姿勢を強要される腰と、一発で意識を落とすキレイな
打撃の入った後頭部。各所からの痛みを堪え、ゴドーは低い位置から正面を睨み据える。
ゴドーの歩幅で四歩ぶん離れた位置に、廊下に続くドアがある。ドアは今は開かれて
いた。廊下は暗い。ゴドーの壊れた眼でも顔の半分を覆う特殊なマスクを通せば人並みに
は見える──たったひとつ、“赤”という色を除いて──のだが、それでも明かりのない
廊下は黒一色、何も見えない。
ゴドーは見えないものは見ない。彼が見るのは、
「や。はじめまして、かな?」
「クッ……残念だが、アンタとアイサツをする気にはなれねェな」
ドアのほど近く。明と暗の中間に立つ、ひとりの男だった。
実際に会うのはこれが初めて。しかしゴドーは彼を知っていた。かつては優秀な捜査官
として。“ゴドー”と名を変えた頃には、死刑判決を待つ被告人として。そして今は、
「なあ、巌徒海慈サンよ」
ちなみと手を組み真宵と春美を誘拐した、憎むべき犯罪者として。その名を呼ぶ。
巌徒はニコニコ笑っている。ゴドーの怒気なぞどこ吹く風だ。
マスク越しでも分かる鮮やかな緑眼、黒の手袋。間違いなく巌徒だ。逃亡犯の身上を
考慮してか、今は写真で見た派手なオレンジスーツではなくごく地味な格好をしている
──もっとも、モノトーンのこの服が、ゴドーに認識できない真っ赤なスーツではないと
いう保証はどこにもないが──しかし体格や、独特の暑苦しさまでは誤魔化せない。熱の
薄皮一枚先にある、灼けつくような冷気も。
「アハハ。無愛想だねえ……ま。自己紹介の、手間が省けてイイけど。ええっと、確か、
カミ、」
「“ゴドー”だ」
「送ったDVD。よっほど気に入ってくれたみたいだね。“カミノギ”ちゃん?」
手錠が擦れてじゃらりと鳴った。
マスク越しの視線と殺気は、遮光グラス越しの視線と冷笑とに阻まれる。
「キミも、よくやるよね。カノジョ。キミの、コイビトの。イトコなんでしょ?」

 それをねえ──煽る言葉への返答は、「アンタにゃ言われたくねェな」――陰惨な笑い
だった。“ゴドー”を、“神乃木荘龍”を知る人間であれば耳を疑うどろついた笑声が、
ゴドーの喉から洩れる。
「ボク“は”。カノジョに、ナニもしてないんだけどねえ」
「は」
短い遣り取り。後頭部の傷が痛んだのかゴドーは顔を歪めるが、暗く刺すような視線は
そのままだ。脂気の抜けた白い髪に、シャツに散る乾いた赤が暗い色どりを添える。
襟についた血は、ゴドーのものだった。しかし袖口や手の甲に残る体液はゴドーのもの
ではなかった。
それぞれの理由で一線を踏み越えた経験を持ち。現在進行形でヒトとしての倫理を外れ
つつある二人の男は、かたや射殺すように、かたや嘲るように相手を見て。
「ふえ……ひっ、く」
ぐずる声に、水を差される。
思いもせぬ闖入者にゴドーは一瞬呆け。
――するり。と。
巌徒の背後。廊下の暗がりから滲み出るしろい脚に、目を奪われる。
華奢な、少女の脚だ。滲み出る、と言っても、勿論脚だけのイキモノとか幻覚等では
なく、きちんと他のパーツも備えたニンゲンだった。ゴドーからは見えない暗闇に隠れて
いたものが、さみしさに我慢できなくなって灯かりの届く場所に迷い出てきたのだ。
さみしい。
そう。ソレは“淋しい”と泣いていた。
モノトーンのスラックス、真直ぐ伸ばされた男の脚に絡みつき、すり寄せる──青い
血管の浮く足の甲を、ゆるやかな曲線を描くふくらはぎを、情欲を煽るにはほんの少し
肉付きの足りない太腿を。絡ませ。その先。足首の、ひざこぞうの、濡れた内腿の先の
くちゃりと微かな音を立てる場所を。自らの指で弄るその場所を男へと擦りつけ、
綾里真宵が、ちいさく鳴いた。
ゴドーは、もう一度ソレを見る。巌徒の背に縋りついて自慰行為を続けるソレを見る。
黒く長い髪が乱れて汗で貼りついていた。頭の上で結い上げたおだんごが、ソレがぐずる
度にふらふら揺れた。薄手の、膝で裾を切り落とした着物は袷がゆるんで上気する肌が
覗けていた。当然だ。帯を巻いていないのだから。
剥き出しの、なだらかな下腹部。薄い茂みに指を潜り込ませたまま、手を、腰を、巌徒
へと押しつけて、
「……ひゃっ、あ、う」
真宵が、掠れた甘ったるい声を洩らす。
「――何だ」そこで。ようやっと呪縛が解けたかのように、「コレは──アンタ、綾里
真宵にナニをしやがった?!」ゴドーが吼える。
ああ。と。「別に。大したコトじゃないよ?」返答は、いっそどうでもいい風に。
「キミが。ちなみちゃんと、綾里春美にしたのと。似たようなコトしか、してないよ」
「――ッ!」
悪意を込めて。
沈黙に、鼻にかかった喘ぎが、くちゃくちゃと粘る水音が滑り込む。真宵の細い指が、
指では埋めきれない場所の空気と粘液を混ぜ合わせる。「ふ、う、んっ」てのひらで敏感
な芽を押し潰し、ぎゅうと目の前の逞しい身体にしがみつく。その光景からは、少女が
つい先日までオトコを知らなかったことを、自分を無理矢理オンナにした眼前の男を
恐れていたことを、──“初めて”を、と、おぼろげながらも思い描いていた相手がいた
ことを推し量るのは、難しかった。
す、と巌徒が動いて。
「んっ! ひゃ、……あ、……、あ」

黒手袋の手で、自らを慰める真宵の手を取り上げる。新しい刺激が与えられるとばかり
思っていたのだろう。一瞬嬉しげな顔をした真宵が、みるみるうちに瞳を潤ませる。巌徒
が意に介さず手を握っていると、いやいやと首を振って、「――ん、く」舌を這わせた。
くちゅくちゅと唾液を泡立たせ黒革越しの指を、そこに絡め取られた、自身の体液が残る
細い指ごと口に含む。零れる唾液に革が異様なてかりを帯びる。
老齢の、逞しい男に。彼の肩までも届かない小柄な少女が奉仕する。誰に命じられる
わけでもなく、自分の意志で。肌を情欲の熱で火照らせて、男の機嫌を取れば望むモノが
与えられるのだと浅ましくも信じて。
ゴドーは。絶句したままその光景を見ていた。阿呆のように見ているしかなかった。
コレに声を掛けて。コレを現実だと認めてしまった瞬間。全てが終わるような気がした。
「マヨイちゃん」
拒否しても。逃避しても、終わりはやってくる。
巌徒が、空いている方の手で、真宵の髪を──見ているゴドーが怖気立つほど優しい
仕草で掻きあげ、耳朶をくすぐられた真宵が指を口に含んだままびくんっと身をよじり、
「ボク、忙しいから。そろそろ行くね」
引き抜かれようとした指に、真宵が噛みつく。それほど強い力ではないのだろう、巌徒
は怒るそぶりも見せなかった。唯「ダメだよ」甘やかすように。祖父が孫娘に、優しく
言い聞かせる調子で。「ナルホドちゃんを。“かえして”あげる、ジュンビ。しないと」
真宵が。口を、あける。
なるほどくん。
白い唇から初めて意味のある単語が零れた。
「そ。だから、ね」
黒の。唾液塗れの指が、真宵の口の端を撫ぜ、頬を滑り、そっと顎を持ち上げる。それ
以上は触れない。つんと尖った胸の先端にも、濡れて擦り合わされる脚の間にも、巌徒は
何ひとつ与えない。
「アッチの。お兄さんと、“遊んで”おいてよ」
たったひとつの言葉乃至示唆もしくは許可以外は何ひとつ与えない。
真宵が、ゴドーを、見る。
わらう。
嬉しそうに。遊び相手を見つけた子どものように嬉しそうに。とろとろ疼いて淋しくて
どうしようもない場所を埋めてくれる相手がいたことを、素直に、無邪気に喜ぶ。
狂ったような金属音と身体の痛みで、ゴドーは自分が拘束を外そうと無駄な努力を今更
行っているのに気づく。真宵が近づく。足取りが危うい。わらっている。腕に肩に激痛。
頭が痛むのは殴られたせいか視力を補うためのマスクが視神経に負担をかけているせいか
それともそれとも──「じゃ」
扉が閉まる。闇が消える。「二人とも。“仲良く”ね」
白い光の下に残された二人は、それぞれの理由で荒い息を吐いて。ゴドーが何か言う
より早く。
「ゴドーさん」
――狂って。全てを忘れてしまっているとばかり思っていた少女が。ゴドーの名を、
呼んだ。

「クッ……! コネコちゃん、こいつはちょいとばかりおイタが過ぎる、ぜ……ッ?!」
言葉が上滑りしてゆく。返答は壊れた笑い声。服をめくられ露出した腹を這う、温かく
濡れた感触。真宵の舌。
「ふあ……ゴドーさん、どう、ね、ゴドーさん」
ベッドの脚に背をつけ、崩れた座位を取るゴドー。その脚の間に割り入る真宵の小さな
身体。舐める場所が徐々に上がると共に、やわらかなふくらみと硬くなった乳首とが押し
つけられる。

「あはは」ゴドーに身体を預け、真宵が笑う。「ね、これ、ゴドーさんのおちんちんです
よね?」汗と唾液で濡れた腹に乳房を擦りつけながら、ズボン越しの隆起を掴む。声を
かろうじて堪えるが、下半身に血が集まるのまでは避けられない。熱くて濡れて小さくて
やわらかいカラダが、ゴドーに沿って動く。「ゴドーさんの、ごどーさんのおちんちん」
掠れた声が、濡れた吐息が、耳にどんどん近くなる。
こつん。マスクと真宵の額が当たる音は、いっそ可愛らしかった。そこまで近づいた瞳
がゴドーの記憶にあるものとは随分かけ離れていて、思わず絶望の呻きが漏れる。狂った
手つきで服越しの男根を求める少女に、ナニがあったのか。ナニをされてきたのか──
DVD。映像。絡み合う男女。視点固定、サウンドレス、ビジュアルオンリー、音声以外
の編集なし──知っている男と、知っている女。もう一人、知っている、死んだはずの
オンナ。腹の上でもどかしげにベルトを外す、知っていたはずの少女。
ここでナニがあったのか。想像もしたくないのに理解してしまう。
性器を押さえていた布の感触が消える。外気に触れて刹那熱が奪われ。「ふあ……!」
立ち上がりざまの陰茎に圧しつけられる濡れそぼった肉に意識が飛びかける。カタさを
増す陰茎に自身のとば口を擦りつけ、真宵はひとり身体を揺らす。
「きもちいい、ね、きもちいい? ね、ごどーさん、ごどーさん……」
陰茎をずるずると襞が滑り、亀頭が尻の谷間を辿って後孔近くまでを刺激する。真宵が
喘ぎ、どろりと愛液が吐き出され、ますます滑りがよくなる。角度が上がり、真宵は殆ど
ゴドーに身体を密着させ垂直方向に動いていた。ぐじゅぐじゅ音立てる肉に、襞を、花芯
を自ら擦りつける。汗で濡れた身体は、言葉とは裏腹に自分の快楽のため動いているよう
に見えた。
ゴドーが呻く。
しかし声を発した理由が制止のためか他の目的あってのことか。もう当人にも分から
ない。それほどまでに、眼前の少女は、「ゴドーさん」
少女は。真宵は、ゴドーの知らない色を、目に映していた。
「ゴドーさんは、おねえちゃんと、えっち、したことある?」
「な……!」
不意打ちだった。黒い瞳。どんぐりまなこ。似ているだろうか。黒い髪、似ていない。
彼女はもっと茶色っぽい髪の色だった。上気する肌。体臭。甘酸っぱい。似ている。
違う。同じじゃない。「ね、ゴドーさん」声。違う。違う。この子は彼女ではない。ソレ
は分かる。分かっている。
「あたしと、おねえちゃん」
視界が歪む。映像。死んだはずの女。神乃木荘龍にも見せたことのない表情でオトコを
受け入れていたオンナ。
「どう違うのか教えてくださいね」
愛した女の妹が、ゴドーの屹立した性器へと、腰を落とした。
濡れた場所はやわらかくて温かくて、拍子抜けするほどあっさりとゴドーを奥まで呑み
込んだ。
「くうっ……?!」
快楽は、そのアトに。奥まで一気に抉らせた真宵が仰け反りぎゅっと脚に力を込めた
トキに来た。濡れた肉が隙間なく絡む。絡んで緩やかにけれど容赦なく締めつける。それ
だけなら耐えられた。けれど真宵が貪欲に腰を動かす──しかも上下に、腰を上げては
落とす、小さな身体のドコにこんな体力があったのだろうと疑う動きで、ゴドーを責める
ものだから。
「ひゃ、ね、ねえ、あたし、ちゃんと、キモチイイですか、っ」
言葉で答える余裕もなく、「あ──っふ、ああッ!」落とされたところを突き上げる
ことで応える。最奥を乱暴にブチあげる感触があって一瞬肝を冷やすが、耳を打つ嬌声に
罪悪感が消える。
悦んでいる。
この少女は、貫かれる悦を知っている。


「きゃうっ! あ、ひっ、や──っ!」
疲れたのか快楽が動きを鈍らせたのか移動範囲が狭くなる真宵へ、思い切り捻じこむ。
ぐちゃりと根元まで呑み込んだところを揺すり立てる。開きっぱなしの口からは喘ぎと涎
が零れて、下の口はひくひく震えて蜜を零して、見開きっぱなしの瞳は、
「ね、」
大きな瞳は、ゴドーを、見ていた。
「あたし、と、おねえ、ちゃん、と」
見る、瞳には。情欲ではない切実な色があり。
「――ドコが、違うのかなあ?」
泣く寸前に、潤んでいた。
ドコが。
喘ぐ女。貫かれる女。縛られた両手。ひらかれた両足。オトコを咥えこむ、脚の間。
ぐちゃりと。真宵が動いて、喘いで、繋がる場所が音を立てた。
──何故、を問う自分の声が。遠く聞こえた。
「なるほどくん」
――なのに。
──答える少女の声は、酷くクリアに響いた。
真宵がゴドーの腹に繁みを押しつけたままずりずりと腰を這わす。奥で、腹のすぐ内側
で、キモチイイ全ての場所で真宵はゴドーをゆさぶる。
「なるほどくんが、泣くの」
肉の。身体の奥の。感じるところの全てをゴドーに預けながら、真宵は別の男の名を、
口にする。
「『ごめんよ』って泣くの」
泣きながら、ゴドーではない男を見る。
「キスしても『ごめんよ』って、おちんちん、なめても、『ごめんよ』って、こう、こう
しても、ずっと『ごめんよ』『ごめん、真宵ちゃん』って──なんでっ、なるほどくん、
おねえちゃんとは、」
姉とは──綾里千尋とは。
あんなにも。
あんなにも──。
「あたしじゃ、ダメなの? あたしじゃ、なるほどくん、なるほどく……っ、あ、や、
やあ──ッ?!」
瞬間。ゴドーの脳裏に浮かんだのは綾里千尋の姿だった。乱れて、溺れて、猿轡がなけ
ればきっと抱く男の名を呼んでいたであろう──ゴドー以外の男によがり狂う、愛した女
の白い裸身だった。
投げ出していた膝を立てる。腹と腿で小柄な少女を挟み、不自然な姿勢からの精一杯で
突き上げる。がくがく揺れる身体の逃げ場は何処にもない。「なるほどくん、」手首が、
肩が、軋んで痛む。拘束されているのに無理に引っ張るからだ。コイツが外れればもっと
話はカンタンで。「なる、ほど──っひ、っく、あ──!」自分以外の名を呼び続ける
カノジョを抱いてドコにも行かぬようできるのに。
突き上げる。オンナが歓喜に喘ぐ。きゅうきゅう締めつける。抉る、
音のない映像の中。成歩堂龍一がそうしていたように。
乱暴な動きに、しかし真宵は応える。奥を抉る瞬間に腰を深く落とし、襞を削る動きに
内側を締めつけて絡める。意識の外で行われる反応に、どちらも高まってゆく。
やがてゴドーが限界まで張り詰めた先端を、抉じ開けるように押し入れてきて。
真宵はソレを、身体と身体をぴったり密着させ、衝撃が何処にも逃げぬようすることで
応え。
絶頂の瞬間。
呼んだのは、それぞれ相手とは別の名前だった。

「――ヒトツ。伝言。頼まれてくれるかな」
何時からそこに居たのか。緑眼の男が含み笑いを洩らす。
「伝言、だと……?」
ぐったりした真宵を乗せたまま、体液まみれの自身を顧みる余裕もなく、ゴドーは聞き
返す。
「そう」男は、朗らかに。「ココに、もうすぐ。ナルホドちゃんが来るから。伝えてよ」
いとも楽しげに。

「“マヨイちゃんがとてもイイ子なので。キミに、かえしてあげるよ”――って」

そこにどんな意味があるのか。どのような意図で発せられた言葉なのか。ゴドーには
知る由もない。
唯。「じゃあ、ね。マヨイちゃん。――それまで。ゴドーちゃんと、“仲良く”ね」
声に。こちらを見上げてくる真宵の瞳に。ただひたすらの“悪意”に、心の何処かが
軋んで折れた。



――どれほどの時間が過ぎただろう。
足音が聞こえる。暗い廊下を進む音。
ゴドーの腹の上に乗る真宵が顔を上げ、なるほどくん、と呟いた。嬉しそうに。愛しげ
に。どろどろと、他人と繋がったままの身体の奥から、自分と、愛する男以外の体液を
流しながら。
もうすぐ。愛するオンナの姉/妹を抱いたオトコが、愛するオンナを奪ったオトコと
対面する。
死ぬほど。死にたくなるほど滑稽な話だった。

最終更新:2010年07月31日 02:42