「…とっても盛り上がったね!」
「…ああ…真宵ちゃんに押されて奮発した甲斐があったね…」
「そりゃあね!…やっぱりこういう時はパーと皆で盛り上がらないと!!」
ホテル・バンドー・インペリアルの控え室から男女二人の会話が聞こえてきた。
二人は豪華なソファーに寄り添いながら座っている。
興奮さめやらぬ二人は、休憩がてら先程までの事を振り返りながら楽しく談笑したいた。
結婚とは男女の契りを結ぶだけでなく、人生の節目となる一大イベントでもあるからだ。
当事者である成歩堂と真宵はまだタキシードと純白のウェディングドレスを着ている。
それは先程の興奮をいち早く確認したかった事と、折角の晴れの日に着る特別な衣装を役目が終わったからと、あっさり脱いでしまうのはもったいなかったからだ。
「…いやけどまさか、御剣がスピーチで泣き出すとは…」
「ホント…最後は矢張さんが一人で読んでたね!」
「最初の数行ぐらいしか読んでないんじゃないか…?」
「確かね…本日はお日柄も良く…ぐらいから鼻をすすってた気がするよ…」
「本文にすら到達してなかったのか…」
そこから二人は順番に披露宴での出来事を振り返って行く…。
料理のメインディッシュがやたぶき屋のみそラーメンで、面をすする音と鼻をすする音が重なっていた事。
過去の事件で出会った人々との思い出に浸る度に、成歩堂が真宵の隣で冷や汗をかいていた事。
狩魔冥、ゴドー等、共に闘った戦友からの祝福の言葉。
そして最後、とある人物からのサプライズへと話は移り…。
「…けど…まさかはみちゃんが…お姉ちゃんを霊媒するなんて…」
「ああ…あれにはビックリしたね…春美ちゃん内緒にしてたんだね…ぼくたちを驚かすために…」
「お姉ちゃんも綺麗に正装してあんな見事なスピーチするんだもん…きっと二人でこの日の為に…」
そこで真宵の言葉は途切れた。
成歩堂は真宵の様子を伺うために前かがみになる。案の定真宵は泣いていた。
優しい眼差しを向けたまま成歩堂はそっと真宵の涙を拭ってやった。
「ご…ごめんなさい…思い出したら…」
「何言ってるんだ…キミの泣き顔が見れてこんなに嬉しいのは初めてなんだよ…」
「…そうだね…お姉ちゃんには…何回も心配かけたし…」
披露宴の最中、感極まって千尋のスピーチで号泣していたのは成歩堂だったのだが、今になり冷静さを取り戻した真宵は涙が溢れてしまったようだ。
勿論その涙には、姉からの祝福の言葉と今までの労いの言葉とこれから訪れる幸せを願う言葉の全てに対する答えが含まれていた。
二人は幸せに浸りながらこの優しい時間を共有していた。
この部屋には誰も居ない。
…真宵の着る純白のドレスは砂糖菓子の様に甘くて…二人の居るこの空間は幻想的な夢の世界のようだった。
二人の身体的な密着と共に、精神的な距離は近づいて行く…。
涙を拭う成歩堂の手が次第に真宵の顎へ近づき、二人は視線を合わせた後唇を合わせた。
二人はどちらからともなく舌を絡める。
「…ふあ…」
「はぁ…」
二人の体温が高まり出した頃に唇を離すと互いに熱い息が零れた。
二人の舌は今だ糸で繋がっており、名残惜しそうだった。
成歩堂は真宵と視線を合わせた。
次に何をしたいのか…言葉ではなく非言語のコミュニケーションさえあれば今の二人には十分に伝わった。
成歩堂は真宵の首筋に舌を這わした。
首筋を通り、鎖骨に吸い付いく…。
抜けるような白い肌に赤い所有物の証が刻まれた。
「けど…なるほどくん…時間…」
「分ってるくせに…」
成歩堂はそっとソファーに真宵を押し倒した。
真宵の拒絶が言葉だけである事も、そして成歩堂自身止まるはずがない事も、互いに理解していた。
真宵はイタズラに微笑みながら成歩堂の首に腕を回し、再び深く熱い口付けをした。
それが了承の合図だと把握した成歩堂は、真宵の欲求に答えながら、タキシードを脱ぎネクタイを外した。
「ぼくね…」
「…ん?」
「真宵ちゃんのドレス姿を見る度に思ってたんだ…」
「…?」
真宵の質問に成歩堂は答えなかった。
しかし、何かを含んだ笑みを見せながら、真宵のドレスのチューブトップに手を掛けた。
裏返すように下げると、ドレスに付いていたカップが表を向き、真宵の白い胸が露になった。
「この谷間に手を差し入れたい…て」
「…もう…スケベ…ふあ…」
成歩堂は白い膨らみに口付けを落とすと、両手で包み込んで優しく揉みしだいた。
次第に中央の桜色の乳首が硬く主張し出し、吸い込まれるように口に含んだ。
舌で転がすと、真宵の呼吸が荒くなり、か細い悲鳴のような声を上げた。
真宵の胸を楽しみながら成歩堂はドレスのスカートに手を滑り込ませた。
正装した真宵の華奢な太股には、ガーターがついている。
成歩堂の興味は胸から太股へ移ったらしく、ベルト部分に指を這わせながら、片方の手でフリルのたっぷりついたドレスをたくし上げた。
清楚なドレスの下からは、白を基調に青いリボンとレースをあしらったショーツと同じデザインのガーターとそこから繋がるストッキングが現れた。
「…真宵ちゃん…とっても可愛いよ…いやらしいね…」
「うう…あんまり見ないで…」
先程の成歩堂の愛撫も影響し、真宵は全身を桃色に染めた。
少年のように快活な真宵の恥らう姿は何時見ても可愛らしいと成歩堂は思った。
「青色なんだね…」
「冥さんからのプレゼントなんだよ…サムシングブルーって言って…何か青いものを見につけると幸せになるんだって…」
「…へぇ…」
それを聞いた成歩堂は意味深な返事と共に途端に嬉しそうな表情をした。
ガーターを触りながら、顔を太股に近づけぺろりと舐めながら優しくなで上げると、真宵は背筋を振るわせた。
すると真宵はガーターを装着した太股をすり合わせ、ねだるような仕草を見せた。
それを合図に真宵のショーツをずらし、ガーターを外した。
「そいつはいいや…」
「?」
「…青はぼくの色だし…」
―――もっとぼくの色に染まってごらん?
手袋を外しながら、真宵の耳に囁いた。わざと吐息が掛かるように。
真宵は更に顔を赤くし、あっと思わず声を出してしまった。
しかし負けじと成歩堂に「もう染まっちゃってるよ…」と耳元で囁き返すと、成歩堂も顔を赤くした。
ショーツとガーターの下から現れたそこは、既に硬く立ち上がった秘芯としどとに濡れた聖域が顔を出した。
真宵はこの甘い雰囲気に呑まれてしまったようだ。いつも以上に素直な反応を示している。
幼顔の真宵に合わせて作れたドレスはフリルとリボンをふんだんに取り入れたもので、まるでおとぎばなしのお姫様のようだ。
しかし清楚なドレスの下からは、下腹部を覆うガーターと男を欲しがり雌の香りを立たせた蜜壷が顔を見せていた。
「あ…あぁ…なるほどくぅん…」
「真宵ちゃん今日はいやらしいね…」
くちゅくちゅと指で中をかき回しながら秘芯を刺激した。
赤く熟れて行く秘芯と熱い粘膜の壁に、更に強い刺激を加えてやると、途端に真宵は小さく痙攣した。
「…はぅ…ぁ…あ…」
「そうだ…真宵ちゃん…この体勢だと汚れちまう…」
成歩堂は力の抜けきった真宵の腰に腕を回し立たせると、身体を反転させソファーの背もたれに手を付かせた。
真宵は成歩堂に尻を突き出す体勢になった。
ボリュームたっぷりのドレスはすっかりたくし上げられてしまった。
真宵の着ているドレスは背中が大きく開いている。髪を結い上げているので真宵のしなやかな曲線はむき出しになっていた。
成歩堂は曲線をなぞる様に舌で舐り、手を前に持って行き、ぶら下がる果実もみしだく。
このまま可愛らしい格好でよがる真宵の痴態を楽しみたかったが、この雰囲気に呑まれているのは真宵だけではなかった。
慌しくズボンを下ろし、そそり立つ己をトランクスの中から解放する。
真宵の身体が蜜で潤うのと同じく、成歩堂も先走りで先端を濡らしていた。
「…はぁ…あったかいいよぅ…」
「…真宵ちゃん…もういい?」
真宵の入り口に成歩堂を宛うと、それだけで腕の中に居る真宵はその熱に身を震わせた。
真宵の其処はとても素直で、成歩堂をすんなりと飲み込んでしまった。
成歩堂の体温が真宵の内側に一気に広がり、真宵は小さな絶頂を迎えた。
「…ぁ…はっ…ぁ…」
「今日の真宵ちゃんはスゴイね…」
「いや…あ…」
真宵の素直な反応に気を良くした成歩堂であったが、自身の限界も近い。
成歩堂は急かされる様に真宵に何度も突き入れた。
動きに合わせてドレスとヴェールが揺れ、スカートが床に擦れる度に音がした。
熱くたぎる肉と肉が互いに絡み合うと、二人は無我夢中で求め合った。
「な…なるほどくん…ああ…前ももっと弄ってぇ…」
「真宵ちゃん…いやらしい…」
「ああっ…うあ…奥が…ああ…もっと奥が欲しいよぉ…」
更に熱い刺激をねだる真宵が可愛くて、それに答えるように成歩堂は恥骨をくっつけ奥を攻めた。
真宵は中心から湧き上がる強烈な快感に全身を震わせると、身震いしながら腰を振った。
真宵の身体は絶頂を昇りきり、あえぎ声すら出せず、ぱくぱくと口を動かし酸素を取り入れるだけだった。
「…うぁ…なる…ほどく……も…は…」
「真宵ちゃん…ぼくも…そろそろ…」
「はっ…中に…だ…し………」
「うん…う…ああ…っ」
互いに会話にならない会話をし、成歩堂は高みを目指し一心不乱に腰を打ちつけた。
真宵は幾度と迫る高みの中で、成歩堂のくれる愛を今か今かと待ち構えた。
その瞬間はあっけなくやって来た。
二つの肉が融合するように成歩堂は真宵を強く抱きしめた刹那…
「まよいちゃ…うぅ…あ…」
「はあぁぁ…熱いよぅ…」
成歩堂の熱が真宵の中に注がれる。
互いを受け入れる愛の証が二人を繋げた。今の二人に言葉は必要ない。
夫婦の契りを結んだ二人の心と身体がひとつになった瞬間だった。
***
「…うう…どうしよう…なるほどくん…」
「ごめん…真宵ちゃん…ぼくも雰囲気に流されて…」
「ううん…あたしにもセキニンあるよ…」
その後二人は一気に力が抜け、その場に倒れこみしばらく立ち上がれなかった。
次第に熱が冷め、事の重大さを理解し冷や汗をかいたが時既に遅し。
まず此処はホテルバンドーの控え室。披露宴を終えた二人にはこの後も予定がぎっしりと詰まっていた。
今頃主役の二人が部屋から一向に出てこなくて心配しているだろうし、下手をすれば二人が密室で何をしていたのか勘付かれているに違いなかった
いい年した大人が、周囲を巻き込むのを承知で、己の性欲に負けてしまう姿程恥ずかしいものはない。
そして何よりその場の勢いで避妊もせずにセックスをしてしまった事が悔やまれた。
真宵は今や一人前の霊媒師だ。この先の予定も決まっている。
妊娠した状態で霊媒をしたら、お腹の子供はどうなるのだろう…そのまま残るのか…なら男を霊媒したらどうなるんだ…などと、成歩堂は考えてしまったが、真宵が深刻な表情をしていたので聞けなかった。
「ま…まぁダイジョウブだよ…うん…」
「なるほどくんの顔、全然ダイジョウブに見えないよ!!」
真宵と成歩堂の愛し合った証がそのまま形になって現れるか否か、それは現段階では判断できないが、この後どんな顔をして出て行けばいいのか…まずは二人の問題はそこからだった。