真宵で魔女裁判ってこんな感じ? 鬼畜系、エロ度は低め



 この町での魔女裁判は日曜日、中央広場で行われる。これは公開裁判であり、多くの
敬虔な信徒が魔女への裁きを見守ることとなる。
 本日の被告は一名。町の外から来たという、うら若き娘である。後ろ手に縛られ壇上に
引き出された彼女は、魔女とは思えぬほどに怯え、小柄な身体をますます縮こまらせて
いた。黒い瞳には涙がいっぱいに溜まり、助けを求めるかのように広場の群衆を見回す。
 これが魔女の手口である。
 可憐な姿で同情を引き、男も女も構わず誑かす。見よ、浅薄な女衆のなかには惑わされ
涙ぐむ者さえ居る。しかし大半の人間は騙されない。壇上の魔女を曇りなき眼で見、糾弾
の言葉を発している。魔女、悪魔の徒、堕落女──次いでの卑猥な言葉に、その形容詞が
相応しい自身に今更恥じ入ったのか、娘の頬がかっと赤くなり、「ち……違うよ……」
弱々しい否定が唇から洩れた。無論聞く耳なぞ誰も持たない。
 静粛に、と、裁判官が木槌を鳴らす。
 潮が引くように静まり返る広場に、重々しい声が響く。
「これなる娘は魔女であり悪魔の力を以って人心を惑わし世間を混乱に陥れた」
 娘は何度も首を横に振る。魔女は常にそうだ。自らの罪を認めようとはしない。だから
こそ裁きの場が必要となる。罪を白日の下に晒し、正義からは逃れられぬのだと示すこと
が必要となる。
「見よ、娘の異装を」
 娘は異様な格好をしていた。顔立ちだけ見れば幼ささえ残るごくありきたりの少女なの
だが、長い黒髪を奇妙なかたちに結い上げ、見たこともないような装束を身にまとって
いる。ボタンもなく、帯で留めただけの前合わせの服は就寝用のガウンのような代物で、
足の指も露わな靴と同じく破廉恥極まりない。
「──この姿はまごうことなく魔女である」
「ちがっ、」裁判官が言葉を切ったところ、娘が必死の様相で口を挟んだ。
「あたし、魔女なんかじゃ、あり、ありません……っ」
「笑止!」
 一喝を受け娘はびくんと身を強張らせる。
「魔女ではないと言うなら、その姿は何の故あってのことか!」
「こ…これは、倉院流霊媒師のカッコウで……」
 霊媒。群衆がざわめく。霊媒。“れいばい”だって?
 木槌が激しく打ち鳴らされる。ざわめきを圧し裁判官の大音声が響き渡る。
「霊媒! 語るに落ちたな、魔女よ! 死者を呼び戻す邪法が悪魔の所業でなくて何だと
いうのか!」
「! そんなっ、霊媒はジャホウなんかじゃないよ!」
 もはや娘に味方する者は存在しない。どれだけ娘が悲痛に身をよじり訴えても、全ては
明白だった。
 だが。
「であれば証明せよ」
「え」
 魔女裁判は厳正にして公正。たとえ明らかに魔女だとしても、最後の確認は怠らない。
「お前が魔女でないと主張するならば、その身を以って潔白を証明せよ」
「え。え……きゃわわっ?!」
 娘が素っ頓狂な悲鳴を上げる。数秒ののち、ようやっと自分がどういう状況なのかに。
屈強な役人に後ろから抱え上げられ、脚を大きく開いている自身の姿に気づいたのか、
顔を真っ赤にして暴れ出す。しかし魔女とはいえ小柄な少女、役人はびくともしない。
「やだやだあっ! 下ろして、おろしてっ!」
 脚の間、下着を晒して少女は喚く。役人は頓着せず、取り囲む群衆に娘を見せるため
その場でぐるりと一回転した。群衆は興奮し口々に叫ぶ。証明しろ。証明しろ。魔女で
ないという証拠を見せろ!
 がちがちと歯の根も合わぬ様子の娘の前に、裁判官が立つ。彼は傍らの従者から何かを
受け取り、恭しく頭上へと掲げた。
 怒号が止む。代わりに期待と興奮に満ちたどよめきが広場を、壇上を揺らす。群衆の中
には拳を振り上げ足を踏み鳴らす者さえ見える。
 周囲の高揚とは裏腹に、娘は何事が起ったのか、これから起こるのか、理解していない
ようだった。落ち着きなく視線を這わせ、あるはずもない助けを求め続ける。そして、
困惑の色で裁判官の手を。彼が持つモノを見る。滑らかな、使いこまれ艶々光る表面の、
男性器を模した張り型を阿呆のように眺めている。
「なに、なに」
 役人に抱えられたまま震える娘。裁判官は彼女を一瞥すると、群衆へ向き直った。
「──魔女は悪魔と交わり邪悪なチカラを得る!」
 大音声がどよめきに重なる。
「これよりこの魔女が悪魔と交わったことを証明する!」張り型が陽にかざされ、壇上に
濃い影を落とす。「聖木から切り出し、神の祝福を受けたこの聖具──悪魔の痕跡残る
体内を焼き尽くし、魔女に苦痛を与えるであろう!」
 娘が悲鳴を上げる。羞恥と、恐怖。娘の下着が、その残骸がはらりと落ちる。裁判官が
刃物で断ち切ったのだ。薄い茂みは、脚を開いているせいでその下の裂け目を隠せない。
娘がじたばた暴れる。どれだけ抵抗しても、無防備な下半身はがっちりと固定され動か
ない。まるで処女のような清楚な性器はぴったりと口を閉じている。魔女の淫乱な性と
目の前の光景の落差とに、観衆の興奮は嫌が応にも高まる。早く、見せろ、虚飾を剥げ!
 初心な娘のフリをして人心を惑わす魔女、その本性を引きずり出せ!
 張り型の先端が娘の秘裂へと当てられる。娘は狂ったようにもがき、頭を振る。神の気
に焼かれるのを恐れる姿は、容姿の幼さとも相俟って、意に染まぬオトコに手折られる
処女の如しであった。秘裂も、まるで初めてのように固い。張り型をそのまま挿入する
のは無理と見切り、裁判官が指で拡げる。娘から鈍い苦鳴が洩れる。白い内腿の筋肉が
びくびくと引き攣っている。
 かたん。奇妙な形の靴が、娘の片足から落ちた。どよめきが大きくなる。
 靴が脱げるのは不貞の証しである。
「ちがう……ちがうよ……あたし、魔女なんかじゃ……」
「ならば」
 厳かに、裁判官が告げる。指で秘裂を拡げる。うっすらと桃色がかった肉が、日の下に
露わになる。
「お前が魔女でなければ、神はお前に苦痛を与えはしない。恐れるな。恐れるのは、」
 張り型の先端が、柔肉の合間に添えられ。
「──魔女だけだ」
 ねじ入れられた。
 娘の顎が跳ねあがる。華奢な背中が反る。一瞬声が止み、「いたいいたいいたいいたい
いたいいたいいたい──!」絶叫した。
 支えていた役人が思わずよろめく勢いで身をよじる。細い足が空中を蹴り、垂れた帯が
滅茶苦茶に踊る。裁判官は怯むことなく張り型を進める。肉を裂く乾いた音は、娘の絶叫
と観衆の興奮とにかき消され、娘自身の耳にも届いたか怪しいものだ。
 張り型が三分の一ほど隠れたところで裁判官の手が止まる。ナニかに引っ掛かったのか
顔を微かにしかめ、張り型を小刻みに動かす。娘の喉から高い呼吸が断続的に洩れる。額
には脂汗が浮いている。被告である娘は、魔女でなければ感じないはずの苦痛をその身に
受けていた。全身を引き攣らせ、痛みに喘いでいた。これでもう魔女と確定したような
ものだが、裁判官は最後まで確かめるつもりらしかった。
 濁音混じりの、獣じみた悲鳴が迸る。肉の千切れる、抉られる、聞こえないはずの音も
した。
 勢いをつけ一気に最奥まで貫かれた娘の顔は、赤を通り越して蒼褪め、細かい痙攣を
繰り返す。衝撃に自ら噛み切ったらしく、涎に混じり血がひとすじ落ちる。
 上の口と同じように、張り型の抜かれた場所からも血が滴った。
 息を呑む気配。悪魔と交わる魔女に、処女は有り得ない。娘の肌を伝う血に、ざわめき
が生まれ、
「見よ」
 裁判官の掲げる張り型に衆目が集まる。数々の魔女を判じてきた張り型は見間違いなく
血をまとわりつかせていた。
「これは破瓜の証しである」淡々とした言葉に場が静まる。娘も微かな希望を浮かべ顔を
上げる。娘が穢れなき乙女であれば、娘は魔女では──「──そして、この娘が魔女で
あるという、まごうことなき証拠である!」
 娘が大きく目を見開く。
 驚き囁き交わす声。厳しい、朗々たる裁判官の声がそれらを圧する。
「この娘はさかしくも、悪魔と交わる際、不浄の門を使ったのだ!」刹那、沈黙。次いで
驚愕と嫌悪、蔑み。中心となる娘は状況についていけず呆然としている。
「裁きから逃れるため、神の目を欺くためにおぞましい性交を行ったのである! この娘
は肉体は処女であったかもしれない! しかし性根は卑しい魔女である!」
 見よ。裁判官は告げる。これがその証拠となる──「ッ?! っぎ、あ、あ──!」
 呆然としていた娘が全身を引き攣らせる。後孔を裂き少しずつ挿入される張り型の感触
に悶絶する。
「後ろの孔にこのように呑み込むとは、何度ここで交わったのだ、猥らな魔女め」
 裁判官の詰問に娘は答えられない。みちみち拡がる後孔の痛みに、腸を逆走し内臓を
突き上げる質量に、その姿を大勢の目に晒し罵られる状況に。誰一人として彼女を救おう
としない、その絶望に。彼女は唯泣くことも忘れて身体を跳ねさせる。
 張り型が全て収まる。限界まで拡がった孔は隙間なく張り型を咥え込み、裁判官が手を
離しても落ちる気配はなかった。孔がひくひく痙攣する度に張り型もふるふると揺れた。
それでも落ちなかった。望まぬならば吐き出せばいいものを、娘はそうはしなかった。
「なれば」
 ならば。答えは決まっている。
「諸君らに問う! この娘は魔女か否か!」
 この娘は“魔女”である。
 新しい張り型が前の孔へと挿入される。神の祝福を受けた、悪魔のチカラを削ぐ聖別具
に娘は掠れた悲鳴を洩らす。魔女であった。裁判官がふたつの張り型を掴んで突く。胎の
内側で擦り合せるようにして娘を責める。娘は逆らうのを止め、されるがままに裁きを
受ける。

「娘」
 娘が動かなくなった頃、裁判官が問うた。
「お前は、魔女か。魔女である場合は沈黙をもって答えよ」
 娘は。かぼそく息し、下肢に二つの張り型を咥え、顔を上げることも出来なくなった娘
は──沈黙を通した。
 裁判官が席に戻る。観衆が固唾を呑んで見守るなか、木槌が振り下ろされる。
「判決──有罪」
 広場に魔女の破滅を祝う歓声が響いた。
 補足として。
 この町の魔女裁判は、中世の暗愚なものではない。魔女とはいえ火刑に処される場合は
ほとんどなく、罪を購う機会が与えられている。まずは身を清めるため、敬虔な信徒が
魔女の胎に精を注ぎ、悪魔のチカラを祓う。若い娘であれば悪魔の影響も強いので、清め
の儀式には多くの時間と人員とが必要となる。今回もそうなるだろう。
 ちなみに儀式に参加する信徒は徳の高い順から──つまりお布施の多い順に選ばれる
ので、この名誉ある奉仕を行いたいというのであれば、それなりに寄付をするのが宜し
かろう。
 この町の魔女裁判は、以上のように行われるのである。
最終更新:2010年10月25日 19:06